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September 30, 2006

サンドイッチ

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イギリスでサンドイッチといえば、日本のおにぎりであろう。(こじつけ)

昔のおにぎりの中身は梅干、昆布、かつおぶしが基本だったと思い出される。
が、コンビニで海苔がパリッとした感触を楽しむために別包装され、そのパッケージも改良が繰り返されたあたりから、おにぎり革命が始まったようだ。

明太子、ツナマヨ、炊き込みご飯とバリエーションが豊かになり、お米の種類や産地を表示し、水にこだわり、と20-30円の違いで多様なチョイスができる。

さて、イギリスのサンドイッチはこの10年で・・・ほとんど進化してない。
芸のないことである。

稲穂の国から来た私はポテトもパンも嫌いという、本来、この国の食文化に向かない人間だ。パンといっても、イギリスの「食パン」がいやなので、パニーニとか、シバータのホットサンドは食べている。

用事があって郊外へ出かけた。

お腹が空いていたが、駅前にハイストリートが存在せず、改札の前はバス乗り場と駐車場という、商業地開発には無縁、資本主義国にあるまじき都市計画である。
と、駅の売店でサンドイッチを売っているのが見えた。
りんごのほっぺ(死語)で、ドラッグに手を出したこともなければ、クラブ通いもしていない、日曜日は教会に行きます、という雰囲気の田舎娘が立っている。

私が近づくと田舎娘が緊張した。メトロポリタン化していない郊外に行くとこんな反応をときどき見る。
(あ、外人だ。おまけに東洋人。話しかけられたら、どうしよう? ああ、どんどん、こっちに近づいてくる・・・。いやー! やめてー! こないでー!)と顔に書いてある。
大丈夫ですよ、噛んだりしませんよ、と愛想のいい笑顔を浮かべる。
「ハロー」ほらね、英語だって話せますよ。
たかがサンドイッチを買うのにたいした手間と気の使いようである。

地元の「パン屋さん」で作りましたという感じのサンドイッチ。安い! 値段はシティにある強欲なサンドイッチショップの半分以下だ。
飲み物は紅茶を選んだ。めったに紅茶を飲まないが、この手の店でコーヒーを買うとイギリス人好みの超うす味のインスタントで、「コーヒー」ではなくて、お湯の入った「コ」みたいな飲み物になっているからだ。

まず、紅茶を飲み(これは当然マトモである)素朴なサンドイッチを一口・・・。
衝撃が走る。こ、これは・・・。

ひえー、マズーイ!

思わず中を見ると食パンにマーガリンを塗り、ハムがはさんである。昔風で「ごく普通のイギリス家庭の・・・ただし、あまり料理が得意でないお母さんの、サンドイッチ」であった。

あまりのショックに頭の中が10数年前にタイムスリップした。

シティで働き始めて間もなくのこと、レデンホール・マーケットにランチを買いに出かけた。どこにしようかと悩んでいると、一軒のサンドイッチ・バーに長蛇の列。

これだ! とそこに並んだ。
「行列のできるラーメン屋」みたいに「シティのサンドイッチならここだぜ」という店に違いない。で、延々と並んで自分の番になり、カウンターのおねえさん(2人いた)を見ると「超スロー」なサービスぶりだ。おまけに当時の私は巻き舌もケバケバしい「アメリカ英語」で非イギリス系の店員に注文が通じず、横に並んでいたイギリス人のおじさんが見るに見かねて「通訳」までしてくれたのだ。

そこまでして買ったサンドイッチは・・・まずかった。列が長かったのは店員がトロくて時間がかかるせいらしい。

10年前の出来事に思いをはせながら、じっとサンドイッチを見つめる。あまりのまずさにそれ以上食べる気もせず、かといって捨てるにも気が引ける。
あちこちのレストランで食べ歩きをして、「イギリスの食事も、最近はイケてる」と豪語していた私の口には、
「時代の流れに逆行してでも、この味を守ります」と自己主張の強いマーガリンがべったりと残っているのだった。

この、頑固者・・・。

投稿者 lib : September 30, 2006 12:28 AM

コメント

うーん。確かにまずい物はこまるけど、どこのハイストリートにも同じチェーン店がならぶロンドンよりは、リンゴほっぺの売り子がいる店があるのがうれしいし、きっとそのまずい食べ物も納豆を愛する日本人のように大好きな人もいるのでしょう。と理解したいですね。

投稿者 KEIKO : October 1, 2006 11:21 AM

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