October 10, 2006
The naughtiest boy 1
息子は運動神経だけは良いらしい。生まれた時からその兆候は見えていた。
生後2週間目から、掛けていた毛布はいつも足で蹴り飛ばし、オムツ替えのときも私の顔面にキックが飛んだ。(たまに水鉄砲も飛んできた)
他の赤ちゃんがバギーにアーチ状にとりつけられたおもちゃを触って遊んでいる姿を愛らしいと思い我が子にも・・・と購入したが、取り付けた途端、彼の足蹴りの格好の標的となり、5秒後に破壊された。
はいはいもつかまり歩きも異常な速度で動き回り、階段の多い我が家ではまさに一秒も目の離せない状況だった。
離乳食を食べ始めるようになると、わざと口の中のものを私の顔面に逆噴射した。
ケラケラと笑う息子とご飯粒だらけの顔で呆然とする私は、はたから見れば漫画の様だっただろう。
平均的には1歳の誕生日の後に歩き始めるところを、息子は10ヶ月で歩き出した。
喜ばしいことだったが、大変さに拍車がかかった。
こちらの言う事が理解できないのに、体だけは一人前に動くのは、○○老人と同じ状態。
寝ている時以外は一秒たりとも静止することのない息子を追いかけて、私も家の中にいても座ることさえもできなかった。
12人の孫の成長を見守ってきた義母からは、”The naughtiest grand child” という称号をいただき、彼女は「こういう子は香港でもベビーシッターに断られるのよね・・・」と遠い目をしてつぶやいた。
しかも、「私の息子はこんなに腕白じゃなかった。いったい誰に似たのかしら・・・」
と不本意そうに私の顔をじっと見つめた。
お義母さん、それは濡れ衣です。
家の中でじっとしていられない息子に付き合い、一日に4回は外に連れ出した。
滑り台なども、一緒に付いて遊んでやらなくてはならない。
40近くの中年女が、大きなお尻をむりやり滑り台に押し込め、両手を挙げて「わ~い」などと滑り落ちる姿は、もし息子が透明人間だったらただの変質者である。
息子は自分の実力以上の遊具にも果敢に挑戦したがり、ちょっと目を離すと2メートル位の高さの場所から、両手だけでぶらぶらとぶら下がり絶体絶命の危機に陥っていた。
公園でもプレイグループでも他の子の持っているおもちゃを片っ端から奪い取った。
1歳くらいだと、「誰の所有物」とか「貸し借り」の概念がまだ理解できないと何かで読んだ事があったが、他の親の手前、たしなめなければならない。
いつもは日本語で話しかける私も ”You have to share it” とか “It’s not yours”とか、その度にわざとらしく英語でアピールした。
そんな事の繰り返しにも疲れ、時には息子がトラブルを起こしても他人のフリをしたい気持ちになる事もあったが、公園内でオリエンタルの親子は私たちだけなのですぐに面が割れてしまう。
(その点、日本人親子のグループ『なかよし会』に参加した時は、つかの間のオアシスだった。ごめんね。)
プレイグループでは、外用の三輪車で屋内に入ろうとして怒られたり、一角に設けられているベビースペースの囲いによじ登り、中にダイビングし新生児の真横に着地して、新米ママたちを恐怖のどん底に陥れた。
彼の度重なるオキテ破りの行動の度に人々に謝り、息子を叱るのにも疲れ切り、プレイグループから足が遠のいた事もあった。公園に行っても、誰もいないとほっとしたりした。
そんな息子を小さい頃から見ている日本人のママ友は、ある時
「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている・・・・」
と「坊っちゃん」の冒頭をいきなり暗唱し始めた。
確かに私も「立ち入り禁止」と書いてあると立ち入りたくなる性格ですが・・・。
つづく
投稿者 lib : October 10, 2006 01:30 PM