November 23, 2006
007
「007 カジノ・ロワイアル」のプレミアに行ってきた。友人のお招きである。
バービカンセンターは複合文化施設で、住宅のほかにミュージアム、コンサートホール、図書館、映画館、アートギャラリーと盛り沢山に揃っている。
催し物は人の流れに加われば自動的に会場に到着するものだが、ここでは前にいる人がどの施設に向かっているのかわからないので、頼れるのは自分だけ。
内田光子のピアノコンサートに行こうとして、日本人グループの後ろについていくと、アラーキーの写真展に行く人たちだったりするので、油断できない。
とりあえず、駅から「バービカンセンターはこっち」の黄色い線に沿って歩くと、たどり着くことになっている。で、着いたところは・・・図書館。あれっ?
「ははは、迷ってる、迷ってる」と友人がやって来た。
人を笑いモノにしたくせに、友人も迷ってしまい、ふたりでしばらくウロウロする。
ロンドン広しといえど、これほど「大人の迷子」が多い場所はここだけだろう。
やっと会場にたどり着く。
招待客のみのプレミア。モタモタしていたせいで、渡されたシャンペンを半分も飲まないうちに映画が始まった。
新007のダニエル・クレイグ。骨太のスパイを演じていて、予想外によかった。
彼がジェームス・ボンドに配役されたとき、
(ちょっと、役不足じゃない?)と思ったものだが。
映画が終わるとビュフェパーティになった。
「おもしろかった」というのが大勢の意見。
ジェイムス・ボンドはやっぱり「イギリス男の夢」だ。
強靭な肉体、クールな戦略、やたらと女にもてる理想の男。
世界中を飛び回り、銃を撃ちまくったり、仕掛けのついたスポーツカーを運転したり、カジノで大金を賭けたり、すごい美人とシャンペンを飲み、キャビアを食べたりする。
12Aで12歳以下は保護者と一緒に鑑賞するという映倫指定だが、けっこうバイオレント。
007といえば、クリスマス時期にTV放映される映画のひとつ。でも、この映画はクリスマス休暇に祖父母の家に遊びに行った孫が、おじいちゃんのひざの上でお菓子を食べながら見るにはふさわしくない気もするな。
それとも、ゲーム類でこのくらいの暴力沙汰には慣れていて、いまどきの子供には刺激なしか?
ディナージャケットはまったく似合いそうにないイギリス人のおじさんも、ボンドガールには遠く及ばないプロポーションの奥さんと一緒に 「シャンペンとキャビア」ではなくて 「ビールとクリスプ」なんかを口に運びながら、TV放映を見るんだろうな。
まあ、グラマラスな美人でも平気で男を裏切るボンドガールと命の心配をしながらキャビアを食べるより、普通の女とローストターキーを食べるほうがのんびりとクリスマスを過ごせると思う。
キャビアで思い出した。
友人がハロッズのフードホール(デパ地下のハロッズ版だ)で、男の人がキャビアを買うのに居合わせた。100-200gで200ポンドかなんかを払ったらしい。
びっくりして、思わずカウンターの人にすごいね、と話しかけると、
「お得意さんですよ。毎週のようにお見えになって、キャビアをお求めになります」とのことだった。
1週間で200ポンドなら、キャビア代だけで800ポンド (17-18万円)。
いったい、この人の一ヶ月の食費はいくらなんでしょう?
どうやって召し上がっているのかも気になる。
朝食時のトーストにベタベタと塗りたくっているのか? 毎夜、美女と共にシャンペンとキャビアを楽しんでいるのか?
007はともかくとして、実際にはキャビアが好きなイギリス人は少ない。むしろ「生臭い」と言って嫌う人のほうが多い。 このハロッズの上得意は「生臭もの」が好きなイギリス人に違いない。
日本に来れば、おいしくて「生臭いもの」がいっぱいありますよ。
クサヤ、イカの塩辛、ホヤとかね。
シャンペンには合うかどうかは知らないけど・・・。(誰か試してください)
投稿者 lib : November 23, 2006 09:17 AM