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March 01, 2007
ランボルギーニ
シティAMという無料新聞紙がある。
その名の通り、シティで朝、配られている。ほとんどが経済記事で企業のトップの交代とか、株価とかが中心だが、 「成金 サラリーマン」つまり、ちょいとボーナスを貰って懐具合のいいシティの連中むけの商品情報も載っている。
私のようにシティ勤めをしながらも給料の安い女にとっては、たいへん苦々しく思えるページなのだが、時々おもしろい話を見つけることができる。
ランボルギーニの社長のインタビューが載っていた。
私は車にはまったく興味がない。
赤い車として、二階建てバスのダブルデッカーと消防車と赤いポルシェがあったなら、
「乗るときにお金を払うのがバス」で
「はしごとかホースがついているのが消防車」で
「乗るときにお金を払わなくても良くて、はしごもホースもついていないのがポルシェ」
という区別しかつかない。
ポルシェもミニもランドローバーもすべて 「乗用車」であり、違いは 「ドアの数」と 「色」しかわからない。
しかし、さすがの私でもランボルギーニの名前くらいは知っている。
この社長は 「ボーナスが出るとフェラーリを欲しがる男が多いが、ランボルギーニのほうが個性的でクール」みたいな話をしている。
で、その値段だが、10万ポンドから17万ポンドとある。(2300万円から3900万円)
ふーん、車ごときにねえ。ロンドンの移動なんて地下鉄に乗れば、初乗り料金がたったの4ポンドじゃないの。(・・・考えてみると公共交通機関のくせに、めちゃくちゃ高いな。日本のタクシーの初乗り料金のほうが安いってなんなのよ)
さて、この値段はロンドンのワンベッドルームのフラットくらいだと書いてあった。
10万ポンドでロンドンに不動産なんか買えないだろうと考えていて、ふと、ひらめく。
(と、いうことは、私にも買えるじゃないの)
こう見えても家はある。それを売ればランボルギーニが買えるのだ。
BMW、ベンツ、ポルシェ、ジャギュアくらいの車には乗ったことがある。バービー人形とケン人形が乗ったら、残りのスペースはゼロ、というイタリアの小さなスポーツカー(名前は覚えていない)にも乗った。
ただし、すべて助手席だ。助手席に乗せてもらうのと、所有して運転するのでは、
「えびの天ぷらを食べる」のと 「えびの養殖場を経営する」くらいの違いがある。
そうか、ランボルギーニか・・・。
あ、しまった。ミルクを買うのを忘れた、なんて時も、
「スーパーまで車を走らせてくれない? ランボルギーニの新車なんだけど」と言えば、
100人くらいの応募者があるだろうから、ショッピングも楽勝だ。
「お母さん。あのね、ランボルギーニを買っちゃったの」と日本に電話をする様子を想像してみた。どうだ、親戚の誰もランボルギーニなんか持っていないだろ。
しかし、
「そうなの。ランボルギーニを買ったの。よかったわね。それで、ロンドンの天気はどうなの?」
という会話になると思われる。まず第一に、ランボルギーニが何なのか知らないはずだ。
私の小説が出版されたときも、
「お母さん。あのね、小説が出版されることになったの」と電話したら、
「そうなの。小説が出版されるの。よかったわね。それで、ロンドンの天気はどうなの?」
と言われたことを思い出した。(実話)
うーむ、これでは全然、見栄を張れないではないか。
親にすら自慢できないランボルギーニなど、コストパーフォーマンスがいい車とは言えない。
それによく考えると 「ランボルギーニのオーナー」にはなれるものの、その代償として 「家なき子」になるのである。
この車の購入に関しては 「人生における優先順位」に関しての熟慮を要するようだ。
投稿者 lib : March 1, 2007 09:12 AM
コメント
フェラーリが駿馬ならランボルギーニは野牛ですね。
デザインは未来的ですが、
エンジンや車体の基本設計は何十年も昔から変わってなくて、
物凄い馬力と野太い排気音で身震いをしながら、
土煙を上げてかっ飛んでゆく暴れ牛のようで、
乗る人の人生観を変えてしまうような化け物じみたクルマですよ。
助手席でいいですから、ランボルギーニの現行モデル:ムルシエラゴ
というクルマに一度乗ってフル加速を経験してみてください。
僕の言っていることが頭じゃなくて体で分かって頂けると思いますよ。
座席が低いのでスカートだとパンツが見えちゃいますから、
ズボンを履いていってくださいね。
投稿者 まあくん : December 5, 2007 08:33 AM
「ランボルギーニは野牛です」って、カッコいいですね。
日焼けした肌、白い歯、女心をとろかすシニカルな笑顔。アルマーニのスーツにタイをはずして着くずしたシャツでハンドルを操る投稿者の姿が見えるようです。 (イメージ図。未確認のため、実物と異なる場合もあります。)
スカートの件、了承しました。ただし、ランボルギーニに乗ろうっていう女なら、脚線美を見せびらかしながら、 「パンツが見える? ふふふ、そのために車の色に合わせたパンツをはいてきたのよ」 くらいのことが言える肝っ玉が欲しいものです。
投稿者 十貴川 洋子 : December 6, 2007 06:02 PM