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April 19, 2007
セクハラ
セクハラといっても業界によってずいぶん違う解釈なのではないだろうか。
友人のひとりは 「地方公務員」である。オフィスの飲み会に呼ばれたこともあるが、(なぜ招待されたのかは忘れた)同僚の人たちはおっとりした雰囲気だった。古き良きイギリス、ビクトリア時代の道徳観を思わせるお行儀の良い人たちで、セクハラみたいなきわどい話題なんかとんでもない。職場でも飲み会でもお天気とかガーデニングの話しかしないような感じだった。
もうひとりは 「国家公務員」である。ここもまたオフィスの飲み会に呼ばれたことがある。 (どうして、私はやたらと他人の飲み会に行っているんでしょう?)
鋭いジョークが飛び交ってはいたが、口のきき方には気を使っている様子だった。
と、言うのも、ものすごく厳しい規律があるらしい。
たとえば、コピー機の修理に黒人の若い男の人が来ているとする。で、その人のことを
「あのコピー機の前にいる 『黒人』の」という言い方をしてはいけないそうだ。
「若い」(年齢差別)と 「男の」(性差別)はまだ大丈夫らしいが、時間の問題かもね。
ちなみにその友人の奥さんは黒人なので、彼は人種差別で言っているのではないと思うが、
「性差別と人種差別をしないようにというルールが行き過ぎて、『黒人』で『女性』なら、いくら怠慢で仕事ができなくても、クビにはできない」と苦笑していたのが印象的。
ここまで来るとなんだかねえ。
さて、シティである。
ここはキャピタリズムの権化で男社会なので、何でもあり、だ。
ボスによると彼の若い頃にはシティで働く女性などいなかったそうだ。
「何で女性がいない職場で働く気になったの?」
「他にチョイスがなかった。でも、だんだんシティで働く女性が増えてうれしかった」
ふーん、でも今は私がアシスタントでかわいそうだね。
しかし、女性が多くなっても、シティはいまだにマッチョな習慣が生きている。
ドアは必ず開けてもらえるし、リフトでも先に乗せてくれ、レディファーストできちんと扱われる。パブで女が金を払うことはないし、ワイングラスが空になれば気を使うのは男のほうだ。
が、上記の 「地方公務員」に聞かれると目を回しそうで、 「国家公務員」なら 「諮問委員会」にかけられそうなお下劣さも日常茶飯。シティにある友人の会社では女性の胸の形のコンピューターのマウスパッドを使う奴、ヌードクッションを置いている男なんかもいるそうだ。もっとも、そんな会社で働く女性はまったく気にしないらしいが。
時々、新聞などで、
「セクハラをされたのでノイローゼになり、その結果クビにされた。賠償金を請求する」
という記事を見る。これがシティだと20万ポンド (年俸4600万円、もちろんボーナスは別)くらい稼いでいた女性ディーラーかなんかで、請求額は数ミリオンポンドだ。
(シティで数十万ポンドも稼げるなら、殺しても死なないくらいにハードでタフな女に違いない。そんな女に 「セクハラ」をするような 「向こう見ずな会社」があるのか? それを受けて 「傷ついたりするヤワな神経」を持っている女なのか?)と疑問に思うのだが、まあ、真相はわからない。
私に対して、ボスや同僚はセクハラまがいのジョークを言わない。
これは彼らが 「紳士」だからではない。下品なジョークは日本語、英語に関わらず、私の 「もっとも得意とする分野」で、下手なことを言うと、大の男が顔を赤らめちゃうくらいの事を言い返されるのを知っているからだ。
ふふふ、諸君、いつでもかかってらっしゃい。受けて立つわよ。
と、愚にもつかない事を自慢していると、元同僚のイギリス人の女性からメールが来た。 (たぶん、このメールはシティのあちこちで回覧中だと思う)
「ホリディに行った友達から、つまらない家族写真を送られてうんざりしていませんか? 大切なあなたには素敵な写真を添付しました。楽しんでね」のメッセージについてきたのは
若いイケメンのセミヌード写真が1ダース!
早速、職場の女の子と一緒に鑑賞、品評会を開いた。
ボスからは 「みんなでオンラインショッピングかい? その3番目の男なんかどうだ?」とからかわれ、男の同僚も 「好みの男の写真をスクリーンセーバーに設定してあげるよ」と親切である。
うちの会社がお堅い職場でなくて良かった。
・・・しかし、このイケメン写真。ゲイの雑誌からのコピーのような気がするんですけど。
投稿者 lib : April 19, 2007 12:00 AM