« Solution | メイン | 茫洋 »
August 09, 2007
イエローキャブ
日本の雑誌を読んでいたら、イエローキャブの記事があった。
「海外旅行でハメをはずす日本女性は 『イエローキャブ』として、『世界中』に知られ、下げずまれている」というものである。
そこでイギリス人(8名)に 「イエローキャブとは何でしょう?」と聞いたところ、 「アメリカのタクシー」という答えであった。 「蔑称としてのイエローキャブは?」と、さらなる質問には 「知らない」という回答である。
「世界中」って、どこの国のこと?
「旅の恥は掛け捨て」はイギリス人も同様だ。
イビサ島は 「暴飲暴食」と 「不特定多数の異性向け、求愛ダンス」で有名な若者向けリゾートだ。
テレビでここが映されると、地鳴りがしそうなほどの大群集が、なぜか 「両手を挙げたポーズ」で踊り狂っている。数百人の体臭と汗がテレビ画面から匂ってきそうな恐怖に思わずチャンネルを替えてしまう。
また、 「予期しなかった妊娠率の増加」や 「身に覚えがある疾病罹患率の増加」または 「アルコールによる肝障害の増加」などが記録されているようである。
会社の同僚の女の子がふたり、イビサで週末を過ごすと聞いた。
「おや、おや、 『酒池肉林ツアー』ですか。ヒューヒュー(口笛の音)」とからかうと、
「入場料の高い大人向けのクラブに行って、ならず者のようなティーンエイジャーとは別行動をする」と言っていた。が、
「飛行機が死ぬほど遅れて、ロンドンに着いたのが日曜の午前3時」だったらしく、月曜日はヨレヨレ状態で出社。
「は、話しかけないでね。頭が割れそう・・・」
「肉林」はともかくとして、 「酒池」にどっぷりと浸かっていたのは疑問の余地なしである。
ジャマイカに出かける中高年イギリス女性の姿にも 「痛い」ものがある。
彼女たちは現地に住む若くハンサムな黒人青年 (種馬機能つき)と 「恋に落ちる」のである。ホリディの期間中は彼らの衣食住の費用を引き受ける保護者ぶりを発揮。
現地黒人青年 (種馬機能つき)に寄り添うイギリス中年女の背中には、日焼けによるシミとそばかすが浮いている。プッシュアップブラで作った胸の谷間にはそのまわりの皮膚の 「ちりめんじわ」が谷に流れ込む小川を形成している。が、心は恋する乙女。
「人生最後の恋」はホリディで終わらずに相手をイギリスに招待。
愛人に走り彼女を捨てた前夫に
「彼が新しいボーイフレンドなの」と現地黒人青年 (種馬機能つき)を紹介し、溜飲を下げる、ということもままあるらしい。
ここまでくると、 「ろうそくは消える直前に最後のきらめきを見せる」という言葉を思い出す。
(がんばれ、おばちゃん。恋が実るといいね)と無責任な声援を送りたくなる。
上記に比べればイエローキャブのイエローぶりは、せいぜい 「ひよこの黄色」だ。
ま、暴走族と一緒でいずれは 「卒業」する。その後、改心して結婚出産などを経て、半世紀もすれば、かわいいおばあちゃんとして養老院で余生を過ごすかもしれない。
「あたしは若い頃、ロサンジェルスでたっぷり遊んだものよ」
「え、なに? よし子さん」 (耳が遠い)
「みんなに 『イエローキャブ』と言われるのも平気でブイブイいわせたものですよ」
「あら、あたしもそうですよ。ニューヨークのクラブシーンでさんざん・・・」
「あら、あなたもブイブイ?」
「ええ、あたしもブイブイ」
「あの頃は楽しかったわね。ズズー (番茶をすする音)」
「栗ようかん、もう一切れどう? ところで、お孫さん、元気?」
狂乱のイエローキャブ時代も 「おばあちゃんの昔話」として、懐かしげに語られるかもしれない。
一方、海の向こうの養老院でも、ジョン爺さんが
「俺さー、日本人の一夜妻がいたんだぜ。名前はよし子」と自慢し、
怒りっぽいピーター爺さんに
「嘘をつくなよ、この野郎」と殴られて、入れ歯をふっ飛ばされるかもしれない。
旅先でのアバンチュールも結構。しかし、男なら美人局にカモられて、身ぐるみはがされる程度ですむかもしれないが、女ならバーで出会った 「素敵な人」が実は 「連続殺人者」で、後日、ホテルのバスルームでバラバラになって発見される可能性も大。
―――知らない人についていくのはお勧めしません。
投稿者 lib : August 9, 2007 12:09 AM