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April 17, 2008

お窓様

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今回は教室についてのお話をひとつ。

イギリスの中学高校では授業毎に教師が教室を移動するのではなく、生徒が移動するのが基本です。日本でも理科室や家庭科室など学科の用途に合わせて作られている教室がありますが、イギリスではそういう特殊な道具や施設が必要な教科に限らず、全ての教科に専用の教室が割り当てられています。私の学校ですと、私の専門教科である歴史科の教室は三つ。本校舎の1階部分にあります。

もちろん教室の数より教師の数の方が多いので、一教師一教室というわけにはいかないのですが、フルタイムで教えている専任の教師は授業をおこなう教室がなるべくいつも同じになるように時間割が組まれています。歴史科は数学科や英語科と比べると教師の数も少ないので、私は幸運な事に一年目から自分の教室を貰えました。私の授業は10年生より上の学年以外は全てその教室でおこなわれます。

私の授業の時間になると生徒が私の教室にやってくるのです。もちろん他の学科の教師が、教室が足らなくて使うこともありますが、基本は私の独占状態ですので教材や授業で使う道具も全てそこに置いておけます。授業準備も休み時間の間に移動せずにできるので楽です。

自分の教室があると机や椅子の位置や部屋のデコレーション(掲示板に貼る背景の紙の色やポスター、掲示物も含めて)も自分好みにできるので自然愛着が生まれます。ちょっとした「自分の城」なのです。どうしたらカラフルで面白くて子供の学習意欲を高めるような教室作りができるか、という内容の校外研修を主催する会社もあるくらいです。はじめてその研修会の広告を見たときは驚きましたし、今でもわざわざそれに参加してまで学ぼうとは思いませんが。

さて、そんな私の「城」ですが、かなり困った事があります。以前にも書きましたが、私の学科がある本校舎では窓にかなりの難があるのです。一体窓のちゃんと開かない部屋が校舎の中にいくつあることか、、、。建て付けが悪かったり、窓を支える金具が壊れていたりと、開かずの窓に苦しむ教師は私だけではありません。なにせ、窓が開かなければ30人の生徒と夏の暑い日でも新鮮な空気が入る事のない教室、いえ、「サウナ」で100分授業をすることになるのですから。

思えば私があの部屋で授業をするようになってからの約3年半、下手をしたら窓が開かなかった期間の方が長かったのではないでしょうか。私の学校の校舎はもちろん建設業者が建てた物で、現在、学校と契約している管理会社が設備のメンテナンス・校舎の警備をおこなっています。ところが、肝心な窓枠を入れた業者が随分前に倒産したらしく、どんなに難があっても窓枠ごと新しく換えられる事はないのです。

一旦壊れれば、メンテナンス会社と連絡をとって修理するしかありません。でも、その修理がなされるのが遅い。現に数ヶ月前に壊れた窓が修理されたのはつい数週間前の事でした。用務員のおじさんに言っても「俺らには直せないよ」と言うばかり。どういう手続きをすれば直してもらえるのかも教えてはくれません。彼らの雇い主である管理会社に連絡してくれれば済むと思うのですがそれすらしてくれない。今回のことについても滅多に会うことのない校舎・設備の総責任者である同僚Dに直談判をしてやっと直してもらったのです。「はじめから彼に頼んでおけばよかった」と心底思いました。

さぁ、これから夏。イギリスとはいえ、天気が良ければ気温は上がります。私の城が快適な環境であるために不可欠である二つの窓。その窓が壊れればまたサウナ状態での授業になるのです。それはどうしても避けたい私。「お願いだから壊れないでね」と毎日窓にご機嫌伺いをする毎日が続きます。

投稿者 lib : April 17, 2008 10:38 PM

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