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September 07, 2008

ボイラーの修理

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ボイラーが壊れた。暖房とお湯が我が家から消えた。

もうこの時点で、イギリス在住の方は同情心から目が涙でウルウルしていることであろう。 のんびりと日本にいる人なら、こう言うだろう 「ボイラーが壊れた? 修理すればいいじゃない」 それはもう、「パンがないなら、お菓子をお食べ」という発言にも等しい。この国での庶民の苦労を知らないのだ。

とりあえず先進国と称されるイギリスである。サミットなんかにも堂々と参加しちゃう国だ。飲み水の確保に数キロ先の井戸まで歩かなければならない土地ではないのだ。それなのに、物の修理に関しては国の格付け ZZZ- (S&P) である。

ボイラーはタイマーで作動する。それによって、セントラルヒーティングが入ったり、タンクの水が温められてお湯が使えるというのが私の家の、そしてほとんどのイギリスの家庭のシステムである。ついでに言うと、タンクの湯は日本人なら一回のお風呂で使い切る。で、次に風呂に入る人は1時間くらい待たされる。

ここ数ヶ月、ときどき時間になってもボイラーに点火しないことがあった。しかし、翌日には大丈夫だったりする。 うまく作動しなくなったので、数年前にこのボイラーを設置した配管工のおじさんに電話を入れ、修理に来てもらった。 と、なぜかそのときに限ってボイラーは問題なく動いている。

「ちゃんと作動してるじゃない。修理できないよ」
「今は動いてるけど、調子が悪いから見てくれる?」
おじさんは形だけボイラーのカバーのねじに工具を当てたが、面倒くさいと思ったらしく、
「壊れてないものを直せないよ」と主張。 結局、 ボイラーの外回りをちょっと眺めただけで「訪問検査費」として70ポンドふんだくって、そのまま帰ってしまった。

納得いかないが反論できないまま、数週間が経った。と、今度は完璧に作動しなくなった。
(今度はやる気のないおやじに頼むのはやめよう)と、大手のガス会社に電話を入れる。

イギリスの会社のコールセンターはインドか北イギリスあたりと相場が決まっている。
日頃、 「ガスボイラーの機械的不調」などという 「特殊な状況」を 「英語で説明する」ことは少ない。 おまけに電話の向こうは 「強烈なインドなまりの英語でマニュアルを読むインド人」 か 「強烈な北なまり英語を話す不親切なイギリス人」である。
さすがの私の頭の中にも 「躊躇」という言葉が浮かんだ。 が、ボイラー不調のままで冬を迎えるわけにはいかない。
「夏の間にボイラー点検」などとお気軽な宣伝を新聞でしているが、果たして私の役に立ってくれるのか?

「ボイラーの修理のためにエンジニアを寄こしてくれ」という簡単なメッセージを伝える前に 「ボイラー故障のための保険」の説明を延々と聞かされる。 なんとかそれを振り切った。 で、ハウマッチ?
「エンジニアの訪問は一回で192ポンドです。税金を入れると210ポンド」

脳内の為替機構が一瞬にして、 1ポンド200円として4万2000円という数字をたたき出した。 ボイラーの修理に4万2000円だとー?
「・・・そんなにするの? 新しくボイラーをつけたほうがいいかしら?」
「新しいボイラーは2000ポンド以上しますよ」

2000ポンド = 40万円以上? それで家庭用かい? 
いっそのことボイラー修理を頼まずに自分で見てみようと思った。しかし、
「イギリス在住の日本人女性、ガス爆発死。修理代をケチったため」なんて、新聞の見出しが目に浮かぶ。

「新しいボイラーは必要ありません。ともかくエンジニアを・・・」
と、ここでまたオペレーターが 「ボイラー故障のための保険」の売込みを始めた。
「エンジニアが直した後は12ヶ月の保証期間があるけど、また、壊れたときには210ポンドかかります。保険に入っていたほうがいいですよ」
「ボイラー修理から12ヶ月以降ね?」
「いいえ、12ヶ月以内でも、210ポンドかかりますよ」
「・・・? 12ヶ月の保証期間はあるのよね?」
「はい」
「でも、12ヶ月以内でもエンジニアを頼むと210ポンドかかるの?」
「はい」
―――それでは保証期間とは呼べないのでは?
「保険はいくらですか?」
「1ヶ月39ポンドです」 
                            続く

投稿者 lib : September 7, 2008 06:15 PM

コメント

久々の投稿!とってもうれしいです。

私は夏休みで日本に帰っていましたが、改めて日本の生活って便利~と実感いたしました。

英国生活で当たり前のことが当たり前
にならず、途方にくれたり、たすけてー、となったり、も~やだ~、となったりするのは自分だけではないと知るのは、心の救いです。

ボイラーが一日もはやく直ることを心よりお祈りいたしております。

投稿者 hear me : September 8, 2008 09:47 AM

本当にイギリスで物を修理するのは大変です。 「シベリアの永久凍土で畑を耕す」 のと 「イギリスでボイラー修理を依頼する」 のどちらかを選べと言われたら、(シベリアの方が楽かも・・・)と思う今日この頃です。
ちなみにブログの更新ができないのも、自宅に3台もあるコンピューターのどれもが・・・。 (以下想像にまかせます)

投稿者 十貴川 洋子 : October 31, 2008 01:43 PM

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