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October 12, 2008
M-Word 再び
今年も始まりました。
M-word連発の日々(過去ブログ「M-Word」参照)、つまり怒涛のマーキングの日々が(泣)
このマーキング日本語だと「採点」と訳されますが、実際、7年生から9年生までの 歴史では課題やテストを数字で評価をする場面は少ないです。
歴史を教えれば教えるほど、点数を付けることが困難な教科だと痛感します。
今、最優先でやらなくてはいけないのは9年生の生徒のノートのマーキングですが、授業で与えた課題、宿題として与えた課題を含めて全部いわゆる記述式の解答です。
生徒に課題を出す際にはあらかじめ生徒が目指すべき到達目標、教師が評価する際の基準を示しておきます。例えば、エッセイならばどのくらいの史資料を使わなければならないのか、どういった語彙を使わなければならないのか、史資料はやみむもに丸写しせずに、自分できちんと理解し、情報を選択した上でしっかりと生徒の文章の中に表現されているかなど、明確に示しておきます。
これは教師にとって注目すべきポイントがあると客観的にしっかり評価できるので重要ですし、課題をやる生徒にとっても含めなければいけないポイント、注意すべきポイントがわかるのです。
今回、9年生に出した課題は、奴隷制・三角貿易に関連し、アフリカ人がどのように奴隷となりアメリカに渡ったのか、奴隷船の様子はどんなものだったかなどを史料を使って、まるで奴隷自身が書いているかのように手紙式に生徒が表現するというものでした。
もちろん、当時奴隷となったアフリカ人たちが実際にこのような手紙を書いたはずも無く(元奴隷の書いた伝記はありますが)、ましてやアメリカへ向かう奴隷船の中で自分たちの体験をその場で直接表現する機会はなかったので、こういった課題を出すには生徒が間違った認識をしないように注意が必要ですが。
それでも生徒はこういった形(手紙形式や日記形式、もしくは実際に自分たちで演じてみるDrama形式の課題など)で自分たちの理解・知識を表現するのが好きなのでよく歴史の時間ではこういった課題が出されます。
さて、この課題はそれぞれの生徒がノートに2ページ近く書いているのでそれを一つ一つ読んで評価をつけるとなると一冊のノートをチェックするのに最低10分から15分ほどかかります(大体ノートチェックは6週間ごとにされます)。
課題の評価にはよくイギリスのナショナルカリキュラム(学習指導要領)に基づいて作成された「Level descriptor」と呼ばれる到達可能レベル表が使われます。例えば、あまり史料を用いずに書かれたものは到達レベルが3や4、もっと積極的に多様な史料が効果的に使われ、なおかつ明確に説明されていればレベル6や7など、生徒の課題をレベルで評価するのです。
ただレベルだけを記すだけでは生徒がなぜそのレベルしかもらえないのか、上のレベルに到達するにはどんなところを頑張ればよいのかがわかりませんから、レベル表にはそれぞれのレベルの特徴が明示されており、教師もそれをもとに生徒にアドバイスとしてコメントを書きます。
初めはこのレベル付けが私の苦手な分野で、1つ上のレベルを上げるべきか否かなど、判断に迷うこともしばしばありましたが、最近はその作業も早く自信を持ってできるようになってきたとは思います。
なんとも骨の折れる作業なのですが、生徒がどのように課題の目的を理解して取り組んでいるか、このレベル表を使うと手に取るように分かります。忠実にやっている子、自分の知識(と想像力)だけを使って到底歴史的事実と合わないことを書き連ねてしまう子、実に様々です。
ところで、本日採点したノート冊数20冊。再来週の水曜日までに採点するノート、約100冊。
100冊×(かける)15分、、、思考停止。
うーん、長い道のりに気が遠のきそうです。
投稿者 lib : October 12, 2008 11:39 PM