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April 01, 2009

ニナガワ歌舞伎

career2.gif
ニナガワ(と呼び捨て)演出の歌舞伎を見に行った。作品はシェイクスピアの十二夜が原作だ。

場所はバービカンセンターである。この複合施設は迷宮のようで、ちゃんと会場へ行き着けるのか、終電に間に合うように家に帰れるのかといつも余計な心配をさせられる。おまけに今回いっしょに行く友人は 「シティはあまり慣れてなくて」という人。 バービカンをシティと見るかどうかはともかく、 「バービカンもよく知らない」とのこと。 私がこの邪悪な迷宮の案内役?  やだなあ。

そのため、 「じゃ、バービカンで待ち合わせね」というわけにもいかず。 近くの駅のマクドナルドに集合。 ちぇっ、プリ・シアター・ミールはマクドナルドか・・・。
と思ったが、気の効く友人は幕間につまめるスナックを準備してきていた。 
えらいっ! このこまめさ!

ニナガワ(と呼び捨て)といえば、イギリスでの評価も高く、観客も演劇人が多く知名度が高い。今回は歌舞伎ということで外人率もすごく高い。が、席も、ぐっと高い・・・位置にあった。

これを予約したのは2週間ばかり前で、その時点ですでに数席しか残っていなかった。席を選べるような状態ではなかったのだ。
最後尾の端っこの席では英語の字幕も見えない。わたしはともかくイギリス人の友人は3時間の間、一言のセリフも理解できずに観劇した。ごめんね。

そう、210分あったのだ。ワーグナーほどではないが、オペラなみの長さと言える。
のんびりとお弁当でも食べながら一日がかりの歌舞伎鑑賞なら優雅でも、仕事帰りの勤め人には途中で居眠りしたらどうしようという長丁場である。実際、字幕が読めなかった友人はときどきウトウトしていたようである。
いびきをかくか、見せ場になったら起こすね、と約束したが、字幕なしの3時間はきつかったかも。

いやー、豪華絢爛な舞台だった。

出だしから大きな船がどーんとせり出してくる。荒れ狂う波は巨大な布で表現。さすがは 「匠の国の伝統芸能」だわ。シェイクスピアをグローブ座で見たことがあるけど、こんなスペシャルエフェクトはなかったもんね。 グローブ座破れたり、松竹歌舞伎の勝ちですわ! おほほほ、かかってらっしゃい! (私は部外者だが)

目も覚めるようにあでやかな衣装だし、お姫様のキラキラとしたゴージャスな髪飾りはライトを反射して、外人の憧れる歌舞伎町のネオンサインのよう。歌舞伎町ってネーミングはこの髪飾りから来たらしい。 って嘘だけど。

ひさびさに聞いた歌舞伎チックなセリフの数々。

「主善之助殿、かたじけのうござる」とか
「わらわの気持ちをわかってたもれ」だの

いいなあ、 「たもれ」だって。今度使ってみようかしらん。
「そこのホッチキスを取ってたもれ」なんてね。
電車で席を譲られたら、
「かたじけのうござる」とか。あ、これは男言葉か。

私は一緒にいる人の言葉使いがうつってしまうことがある。 大阪弁の人と話していると、ついイントネーションが同じようになって、
「あれ? 大阪出身でしたっけ?」なんて言われることもしばしばだ。 (いいえ、違います)

英語のほうはラッキーだ。ボスは良家出のボンボン(と言っても60歳を過ぎているが)なので、きれいな英語を話す。おかげで私にもいい影響があるようだ。
「ポッシュな発音の・・・・英語を話すね」と言われる。
(・・・の部分はたぶん英文法についてのネガティブな意見だと思う)

女形独特の頭のてっぺんから出るような声にもしびれるなあ。

家に帰って、こっそりと女形風に発声してみた。 
「わらわはワインを飲みとうござりまするー」
・・・ウケル。
なんかの機会に使ってみたいが、日本人には苦笑され、イギリス人には気味悪がられるだろうな。人前でやるのはやめておこう。

また、ロンドンに来てね、ニナガワ (と呼び捨て)

投稿者 lib : April 1, 2009 07:56 PM

コメント

ブログ読ませて頂きました。
バービカンでの公演を見られたのですネ!
私は先日、大阪の舞台を観てきました。
日本での蜷川さんの舞台はその時々で結構手を抜いていることがありますし、納得のいかない演出の時もあります。
でも、今回の「NINAGAWA十二夜』は本当に感動しました!洋子さんも書かれているように、衣装は豪華で舞台装置も美しく、歌舞伎の所作とシェイクスピアがうまく絡み合ってましたね。
パンフを読み返すと、ロンドン現地での劇評は、星4から星2まで評価が分かれたと書かれていました。詳しい内容までは書いていなかったので、イギリス人がどのように感じているのかがとても興味あります。もし、何か情報があれば教えていただけませんか?

投稿者 yoshimi : July 16, 2009 12:55 PM

「納得のいかない演出の時も・・・」 なんて演劇に詳しい方には申し訳ないのですが、 「いやー、きれいだね、キラキラしてて。 ええ? あのお姫様、男なの? すっごーい」 と友人は言っておりました。 低レベルですみません。 確かに新聞ではいつもニナガワ(呼び捨て)はべた褒めなのに今回はいろいろ。早変わりとかの技術が理解されてないと見ました。それとも、鯨が浜に上がったのが気に食わなかった? あれって、ニナガワ流、反「反捕鯨キャンペーン」だったのでしょうかね?

投稿者 十貴川 洋子 : July 24, 2009 02:18 PM

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