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May 16, 2009

ESの力。

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今日の5時間目と6時間目は私のES Duty(Emergency Support Duty)がありました。

授業時間中に学校内で色々な問題が起こったときに呼ばれて,その場を収め、事後処理をするのがESの教師の役目です(詳しくは23 October 2008の記事「ES」を参照)。

私の場合、二週間に一回、ES Dutyをまかされています。ただ、いつもは本校舎があるキャンパスから10分ほど歩いたところにある高学年用のキャンパスでの任務なのですが、今回は本校舎のほうでした。

実は、前回の自分のDutyを他の先生に代わってもらったので今回はお返しに彼女が普段やってる任務を引き受けたのです。

今日は、金曜の午後ということもあり、週末に向けて生徒も浮き足立っているでしょうから、ES Duty中に携帯してなければいならない専用の電話機も鳴りっぱなしになるのではないかと予想していました。

重大な事件がおこらないで欲しいなぁと願いつつ任務スタート。

、、、開始後15分くらいでまず、1件目の対応。

9年生の生徒が男性と歩いていちゃいちゃしているところを見てしまったがために(イスラム教家庭では男女交際を厳しく禁じる親も多い)、その日からその生徒に登校中に付けまわされたり、昼休みに汚い言葉でののしられたり、背中を押されたりしたという11年生の生徒二人と事務室の受付前で遭遇。

彼女らが自分たちの学年主任に報告したところ、その生徒の名前を確認するように言われたらしく、顔写真のリストを見たいと私に依頼してきました。

実は苛めている側の生徒の友達と私が5分ほど前に別件で廊下で話しているのを見ていたらしく、彼女らは私を見た瞬間に「先生、さっき先生と一緒にいたあの子の友達に苛められている。どの子か見当つかないか?」と懇願してきました。

「すごく攻撃的。怖い。汚い言葉を使ってくる(いわゆるSwear words-罵り言葉。有名なのはFxxkとかBixxhとかですね)」生徒。そして、さっき私と一緒にいた生徒の友達。

それらの特徴を聞いて、ほぼ一瞬でどの生徒かわかりました。

それは生徒T。学校内でも5-6人でギャングのように行動するグループのリーダー格の生徒。その11年生の彼女達に写真を確認してもらうと一発で「この子だ!」と。

すぐに学年主任に名前を報告してこの件はひとまず終了。それにしても9年生が11年生を脅すとは。

そして、再び受付に行くと、「先生、お昼休みの監視員に暴言(これまたBixxh)を吐いた生徒がいたので対処してください」とIncident Report(事件報告書)を差し出されました。この生徒も9年生。しかも、私が歴史を教えているクラスの生徒の一人です。この生徒もすぐに攻撃的になりやすく、こういう事件をよく起こす生徒です、、、。

基本的に教職員に対して暴言を吐いた場合はすぐにIsolation Unit(隔離部屋というと怖いですが、処罰として問題をおこした生徒を連れて行く場所です)に送られます。今回もことがことなだけに、生徒側からの話を聞いた上で、Isolation Unit送りになることが決まり、この生徒を副校長のところまで連行。

これも滞りなく終わり、さぁ、ちょっとは座って休めるかなと思っていたら、、、。私の学部のオフィスがある廊下に9年生の2人の生徒の姿が。そうやら授業態度が悪くて教室から追い出されたようです。追い出したのは同僚A。

このクラスは私も教えていますが、かなりのツワモノ揃い。100分授業をした日にはエネルギーがかなり消費されます。しかも、金曜の最後の授業。正直、同僚が気の毒になります。

同僚Aは実は、教頭から授業観察を受けている最中で、放り出した生徒が廊下をうろうろしているのも良くないだろうと思い、彼女と話をしてその生徒二人を他のクラスへ移動させました(授業態度が悪い生徒に良く与える罰です)。

、、、そして時計を見ればもう3時近く。色々対処するためにあちこち歩き回っていたので気づいたらもうそんな時間でした。授業終了は3時20分。ちょっと時間があるのでオフィスに戻りました。

それから少し同僚とおしゃべりをして食べてなかったお昼を食べ終わると終業のベルが。

一斉に教室から飛び出していく生徒たちを眺めながら、ESで使った携帯を事務室に返しに行こうと廊下に出ると、ある教室の前で人だかりができているのに気づきました。

なんと、生徒の一人が意識を失ったというではないですか。どの生徒かは最初分かりませんでしたが、とにかくFirst Aider(応急手当の資格を持つ人。教職員の中で校内に数人います)を呼びに受付へ。

一緒に戻ると倒れていたのは9年生の生徒Iであることに気づきました。この生徒は前も私の授業でパニックアタックを起こし、保健室のスタッフを呼んだことがあります。今回も授業終了間際にパニックアタックで過呼吸をおこして床に倒れこんだようです。

彼女が保健室へ連れて行かれるのを見ていたその時、ふと違和感を感じました。何かおかしいのです。

、、、彼女はそのクラスでは授業を受けていなかったはずなのです。違うクラスの生徒ですから。じゃあ、何でそこで倒れていたのか。

その授業では本来の教師が病欠で、代理の教師が担当していました。私がその教師に話を聞くと、なんと生徒Iは授業中、ずっとそのクラスにいたそうです。どうも出欠を取った時点で彼女は嘘の名前(たまたま欠席していた生徒の名前)を言ったようなのです。もちろん、そのクラスを知らない彼女は生徒の言うことを鵜呑みにし、生徒の写真リストを持っていたものの、鮮明ではなく気づかないでいました。

このまま、誰も気づかなければ彼女は他人に成りすましたまま、自分の授業をさぼって友達がいる授業に居座っていても何の罰も受けないところでした。今回、私が見たことによって、彼女は何らかの処罰を受けることになります。Truancy(さぼり)は処罰として時に停学になることもあります。

彼女が今回どういう経緯でパニックアタックになったのかはわかりませんが、私は彼女の起こした行動にただただ驚くばかりです。平気でこういう嘘をつくとは。そして、それを指摘しなかったまわりの生徒たちも。実は、この生徒Iの友達の一人は何と、先ほどの苛め問題で出てきた生徒T。たぶん、他の生徒たちは触らぬ神に祟りなしという心境だったのでしょう、、、。

というわけで、これを最後にES終了。かなり校内を歩き回った100分でした。あぁ、疲れた。それにしても今日のESでわかったこと。やんちゃな9年生でも私がES Dutyを担当していることがわかるとえらーく素直に言うことを聞くこと聞くこと。なにせ、ES担当の教師に無礼を働くと生徒はすぐに処罰されますから。

これが権威ってヤツなのねと妙に実感してしまいました。生徒って本当に相手やその時の状況で態度をえらく変えるものなんです。普段は野獣のように(失礼)校内を駆け回る生徒も校長の前では借りてきた猫みたいに大人しくなりますから。

あぁ、ふだんもこのくらい私に反応してくれたらいいのに、と私は内心つぶやいていました。

投稿者 lib : May 16, 2009 04:41 PM

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