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January 11, 2010
大雪で大騒ぎ
イギリスに大寒波がやってきた。
激しく降り続ける雪が見る間にうず高く積もっていく。 電車は止まり、高速道路は混乱というのはいつもの冬の光景である・・・スコットランドあたりでは。
なんでロンドンまで、こんなことに。
「週の半ばから寒くなるんだって」
「へえ、そうなの」
と、お気楽な会話をしていたところ、ある朝、目覚めると、雪のせいで交通網がめちゃくちゃになっていた。 BBCの朝のニュースではお天気お姉さんが、北イギリスではなく、ロンドン郊外の雪模様を話している。カーテンを開ければ窓の外には確かに積雪が。 ゲゲ、電車はどうなる?
1. とりあえず早めに家を出て、駅に向かう。
2. 電車情報を確認してから、家を出る。
3. 良い機会なので、これを理由に会社を休み、できればセールに出かけて服を買う。
上記 3つの選択がある。 選択肢 3番 は特に魅力的ではあるが、とりあえず、ぐっと堪えて 2番 にすべく、出勤の用意をしながら、情報確認をすることにした。 というのも、以前、大雪が降ったとき、路面のものすごいコンディションに必死の形相で、なんとか駅までたどり着いたところ、全部の電車がキャンセルとなっていることを発見したことがあるからだ。
線路は美しくも深い雪で覆われ、ひと筋の乱れもない白雪の様子で、前夜から電車は通っていないことは明白。 珍しい風景に携帯で写真を撮っている通勤客がたくさんいたが、私は腰から下の力が抜ける空しさに、その場で泣き崩れそうになったくらいだ。 本来10分もかからない駅から家までが、シベリアの大平原のように感じられた。
今回はあんなミスはしない。 電車が動いていることを確認してから駅に向かうんだ。確実なのは電車情報のオペレーターである。しかし、こんな日には大量の問い合わせがあり、繋がりにくいだろう。 ホームページもあるが、これは曲者。 「時間通り」なんて表示されていても、 「時間(は、その場の状況次第の)通り」だったりして、 「別にタイムテーブルの時間通りって言ってないじゃん」だったりする。
そこで間を取って、電話での録音情報にかけてみる。 これは音声で反応してくれるもので、ホームページよりは情報が新しい気がするからだ (気がするだけだが)
「どこの駅から出発ですか?」 「いつの日ですか?」 「行き先はどこですか?」 といった質問に答えると、 「ビクトリア駅ですね」 とか 「今日の9時ですね」と確認がある。 もちろん、全部録音された声だ。
時々音声の認識がうまくいかず、
「パディントン駅」
「エディンバラ駅ですね。 正しいと Yes 違うと Noと言ってください」
「No」
「どこの駅ですか?」
「パディントン駅」
「マンチェスター駅ですね。 正しいと Yes 違うと Noと言ってください」
という会話が延々と続き、機械を相手に真剣に話しかけ、腹を立てる自分の人生って、いったい・・・と、生きていく自信を失いそうになってくる。
この日は何度電話しても、 「テクニカルエラー」か 「次の電車」を聞いているのに 「翌日の朝一番の電車」を答えるために、結局あきらめてしまった。 ごく一部の電車は動いていたようだが、 「どうしても重要な用事がない場合にはなるべく外出を控えてください」とのテレビでの呼びかけに、「出勤」が 「重要な用事」であるかどうかという大きな疑問にぶち当たった。 だが、そこで 「出勤」の後には 「帰宅」がセットでやってくる事実を重視。 この日は 「自宅待機」とした。
飛行機はキャンセルされるわ、ユーロスターは止まるわ、動かなくなった車は道路わきに乗り捨てられるわ、と大騒ぎである。
といっても積雪はせいぜい2-30センチ。 大雪に慣れているヨーロッパ大陸の人から見れば、 「あれくらいの雪ですべてがストップするイギリスって・・・」と笑われているのではないだろうか。 すみませんねえ。 でも、さぼって遊びに行ったわけではない。 セールに行きたくても交通手段がなく、家にこもって、わずかな食料で一日を食いつなぐはめになったし。
この後は路面が凍って、滑る人が続出だろうなあ。 その一人になりたくないと心から願っている。 すでに足首をひねった、腰を打った、あざになった等の報告が入っている。 危ない、危ない。 雪慣れしていないから怖いよね。
投稿者 lib : January 11, 2010 11:47 AM
コメント
はじめまして、以前偶然こちらのブログにお邪魔してから、時々足を運ばせて頂いています。この、録音の電話情報、ひどいですよね、それとnational expressの時刻表サービスもひどかったです。5−10分掛けて、結局思った通りの情報が手に入らない、というケースも多いですし、うんうん、分かります、と思いながら読んでいました。本当、イギリスって雪となると異常に大騒ぎしますよね(笑)
投稿者 kitsch-en : January 23, 2010 11:51 PM
イギリスの電車って、 「禅の精神」 を刺激しますよね。 電話の録音音声に向かい延々と話し掛ける空しさ。 来ない電車をプラットフォームで待ちながら、ふと見上げる空の青さ。 「人間って、人生って・・・」 と宇宙に存在するちっぽけな自分を省みるいい機会となります。 合掌
投稿者 十貴川 洋子 : February 3, 2010 02:45 PM