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July 11, 2011

ローマの休日 その1

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ローマに行ってきた。 2度目だが、前回はうんと昔で、確かシーザーの治世だった(嘘)。

インターネット専用の安エアラインで、何ヶ月も前に予約すれば、さらにお得。 「春、夏の予約すれば、この値段!」 という広告につられた友人のお誘いである。 二人でロンドン、ローマの往復で保険込み、123ポンドとは驚きだが、行きは朝4時起き、帰りは真夜中着のフライトという、へビィな日程だ。

ホテルもインターネットで、 「ミステリーホテル」 を半額でしとめた。 これは空室つぶしのための予約方法で、正規の宿泊料で客が集まりにくい時期のディールで、予約して初めてホテル名と住所が知らされるというギャンブル性の高いものだ。 だいたいが4スターか、5スターだが、中心地から離れていることが多い。

ホテル名はわからないものの、大体の位置とホテルの設備紹介から、そのあたりにある4スターホテルを選び出し、ホテルの目星をつける。 送迎バスありなら、たぶんこのホテル、プールつきなら、きっとこのホテルといった具合だ。 予約が成立して知らされたホテルは推測した通りだった。バチカンに近い4スターホテルが一泊あたり朝食付きで64ポンドと激安。

プールつきホテルなので、 「これを機会にビキニボディを目指しますか?」 と無謀な計画を立てた。 友人はなんと7kgの減量に成功。しかも、甘いものと炭酸飲料を止め、スポーツジムに通うという立派なダイエットだ。 私のほうは、今週はサラダだけ、で、意志弱く次の週はカツカレーを食べ、その次の週は心を入れ替えてサラダだけ、で、その次の週はついフレンチを食べに行き、デザートまで平らげ・・・と週替わりで、 「ダイエット」 「リバウンド」 を繰り返し、やっと2kgの減量だ。

ホテルに着くとプールは写真で見たとおり・・・の形だが、サイズは3分の1。どこをどうやったら、3倍もの大きさのプールに写るのか? カメラマンの手腕に感心する。 

ビキニボディというよりはポテポテのルネッサンス・ボディ(あちこちの教会や美術館の絵画にある裸の女のたいへんに 「女らしい」 体型) レベルにしか到達できず、サンベッドからプールに入るまでの数メートルは、爪先立ちし、息を吸い込んで止め、お腹を凹まして歩くという技を取ることにした。 が、周りを見渡すとトド体型のおばちゃま方が体内脂肪を太陽で溶かさんばかりに日光浴している。 気にすることはないか・・・。

7月のローマは暑い。 何を着ていくかで大いに悩んだ。 薄着が基本だが、教会に入るには肩のむき出しやミニスカートは禁止。 白いコットンのワンピースなどは最高だが、下着が透けて見えるのが難点。透けないようにするにはペチコートを履く必要があり、逆に暑くなるし・・・。 と、街を見渡せば白ワンピースで闊歩する観光客でいっぱい。 当然、ブラもパンツも影絵のようにきっちり透けて見えている。 (ああ、着てこなくて良かった) と思うと同時に、どう見ても、気にしている風でもない大らかな態度に (別に見えてもいいのかも・・・)と気にしすぎる自分がバカのようでもあった。

服装はタンクトップで教会入館用にカーディガンを持ち歩いた。 さんざん、日焼け止めクリームを塗ったものの、ローマの太陽は強く、肩はタンクトップ(数種類)の紐、ショルダーバックのストラップの位置だけが白く残ったシマウマ状態となってしまった。 まるで胸元から光があふれ出ているようであり、宗教的である (わけないか)。

友人はカソリックなのでバチカン市国へ。 長時間並ばなくてもいいようにオンライン予約していった。 と、バチカンに一歩足を踏み入れた瞬間、怒号のような音とともにどしゃぶりとなった。 おまけに稲光はピカピカ、雷も鳴り響く。 (あらら、傘を持ってきてないし、予約の時間に遅れたらどうしよう?)と思っている私の横で、友人は 「カソリックとしてきちんとした生活をしていないことに神の怒りが・・・」 などと言っている。 あのね、信仰心の弱い信者が来るたびに雷雨を起こしているはずはないって。

今回の旅では新しい試みをした。 Rick Stevens というガイドブックを出しているアメリカ人のオーディオガイドをIpodに入れてきたのだ。 コロシアム、ローマンフォーラム、パンセノン、そして、もちろんバチカン市国。 日本人の常として、「あー、これが有名なシスティーナですか。りっぱですね」 と5分で通り過ぎることができなかった。 なんせ、それぞれ20-30分もあるオーディオガイド。 (しかも、2回繰り返して聞いた。・・・聞く羽目となった。カソリックの友人のために) が、これがなかなかおもしろかった。天井絵は天地の創造、アダムの誕生、ノアの箱舟に、と有名なシーンが続いている。 で、イブの誕生だ。 アダムの肋骨から生まれたというあれだが、本当にイブはアダムの背中からにゅっと出てきているのだ。キノコみたいに。アダム、痛かった? 

祭壇の後ろの壁画は 「最後の審判」。 キリスト教徒にとっては重要なシーンだ。 エセ宗教家もこのネタはよく使う。 要するに信じる者は救われ、信じない者は地獄に落ちると脅して、エセ宗教家はお布施を集める。 で、世界の最後の日を予言するのだが、予言した日に世界は終わらず、苦し紛れに半年ずつ延期したりする。 

キリストは十字架にかけられ、やせ細りぐったりした姿がなじみだが、天国での栄養がよかったのか、この壁画では隆々とした筋肉の持ち主になっている。腕のこぶなんか、ポパイなみだ。 キリストの後ろで聖母マリアはオロオロしている様子。 「坊や、そこまでする必要あるの・・・?」と言いたげ。 右側は地獄に落ちる人の群れ、左は天国に引き上げられる善人たち。 

ここではミケランジェロ自身も 「さて、そういう自分はどちらへ?」と皮だけの姿になってベロリと垂れ下がっている。 が、おかしいのは彼の作品に批判的だった人が右側の一番下、つまり地獄側で蛇に巻きつかれた状態で描かれている。 当時は彼のおXXXXも極端に小さく描かれていたそうだが、それは後にぼかされたらしい。 芸術家を非難するのはやめましょうね。 何世紀にも渡って恥をかかされることになるもんね。

続く

投稿者 lib : 01:26 PM | コメント (0)