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June 15, 2005

いざ!NHS   LiBホームページへ

mama.gif 出産予定の病院からレターが届いた。初診とスキャンのために来院するように、とある。

今までにも友達の赤ちゃんのスキャン写真を何度か見たことがある。妊娠12週目位でも、頭や胴体や背骨が写っていて、きちんと人間の形をしているのに驚愕した覚えがあるが、いよいよ来たぞっという感じだ。弾む気持ちでレターを読んでいくと、そこには

「スキャンの1時間前には2パイントの液体を飲み膀胱を満タンにし、スキャンが終わるまで、膀胱は空にしないでください。」

と書いてあった。2パイント飲んでトイレに行くな、って、それって拷問じゃ・・・。

言われるがままに、当日たぷたぷのお腹をかかえスキャン室を訪れた。待合室で、他の人も同じように大量の水を飲んで来たのだろうか、と見渡すと、皆、余裕で雑誌など読んでいる。

ぐるりと一周して隣に目をやると、なんと座っていたのはロンドン市長のケン・リビングストンだった。妊娠した彼女の付き添いで来たらしい。きちんと膝をあわせ、ぴんと背筋をのばし、無言で膝の上の本に視線を落としている。本に熱中していたのか、周りに気づかれたくなかったのかは分からないが、名前を呼ばれるまで一度も顔を上げなかった。その姿は緊張している優等生の小学生の様で、なんだかとても微笑ましかった。(翌日のケン・リビングストンの彼女妊娠のニュースを、イブニングスタンダードに漏らしたのは私です、て、うそです)

他人のおめでたに和みながらも粗相もせず無事スキャンを終え、同じビルの地階の産婦人科検診に移動する。尿を採取し(こんな事もあろうかと、スキャンの後にトイレに駆け込みたい気持ちをぐっとおさえたもんね。)助産婦に見せると、限りなく透明に近いそれを見て、開口一番

「あなた、水を大量に飲んだの!?」

と叫ばれた。だって、それ、あなた達が・・・・・・。

こんな不条理にも気をとりなおして、問診に答える。家族の病歴や、生活習慣について聞かれるのは日本と同じだろう。

「タバコは吸う?」
「吸いません」

「アルコールは?」
「はあ・・・ちょっとだけ。」

助産婦の瞳の奥がきらりと光る。
「ちょっとだけって、どれくらい?」
「えっとお・・・。たまにビール半パイント位・・・・」

「・・・・・」
次の瞬間、診察室中に響き渡る大爆笑。隣にいた研修中の学生まで笑っている。
「あなたね、それ、飲むって言わないわよ。ソーシャライズね、ソーシャライズ!」

ソーシャライズっていうんですか・・・。「お付き合い程度」ってところかな。確かに、ここは水2パイントどころか、ビール5パイント位平気でいけるツワモノがごろごろしてるイギリスだった、私が馬鹿でした、はい。

次は血液検査。HIV検査や、胎児のダウン症の可能性を調べる検査も一緒に出来るとのことで、これらは自分の希望次第。どうしたいか、ひとつひとつ聞かれた。せっかくなので、全部調べてもらうことにした。

この血液検査をはじめ、イギリスでの妊娠から出産は、「あなた次第」と言われる場面が多かった。日本で出産したことがないので比較はできないが、少なくとも病気の時は、お医者さん主導型で患者の希望を聞かれることがあまりなかったような気がする。やはり、こちらの方がインフォームド・コンセントが普及しているということか。いいことなのだと思うが、患者であるこちら側に決定権を持たされるということは責任も感じる。「どうする?」と聞かれた時にすぐに答えられるように、ある程度の事前勉強も必要だな、と実感した。

ちなみに無料が前提のNHSも、スキャン写真の持ち帰りは有料だった。たしか2ポンド位だったか。モニターで見るのは医療行為だが、記念写真?はオプショナルサービス、または嗜好品といったところなのか。ちょっと笑えた。

技師の人が「今、指をくわえていい場面だわ・・あ、撮り損ねた、もう一度」などと言いながら、プリクラのノリで何度も撮りなおしてくれた。お陰さまでいいショット?が撮れました。

投稿者 lib : June 15, 2005 10:57 PM

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