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June 21, 2005

クロイドンへの道 LIBホームページへ

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クロイドン(Croydon)-それは駐在員にとって忌むべき地名です。最近、お洒落な街として急速に発展しているようですが、外国人にとっては、Lunar Houseの殺伐としたイメージしか思い浮かばないでしょう。この地こそは、Home Officeの入国管理局の牙城であり、古より滞在許可を巡る苦労話に事欠きません。英国のダーク・サイドを象徴する場所といってもよいでしょう(ちょっと言い過ぎでしょうか)。

本日の午前中に、ヴィザの延長のためにクロイドンに行ってきました。多くの駐在員は、赴任時に滞在期間を完全にカバーするワーク・パーミットとヴィザを取得し、帰国まで安泰なのでしょうが、私の場合、派遣期間が徐々に延長されたこともあり、ヴィザの関係では分不相応に苦労してきました。

2003年の夏に赴任した際、一年分のヴィザしか持っていなかったため、2004年の夏に一度延長したのですが、丁度その間に制度の抜本的な変更があったことが不運でした。ご存知のように、2003年までは、有効なワーク・パーミットさえあれば、空港の入国審査ですぐにヴィザがもらえました。そのため、もし延長することになっても、どこか旅行にでも行って帰ってきたついでにすればよい、と気軽に考えていたところ、2003年末から空港ではヴィザを発給しないことになり、Home Officeへの申請が必要となってしまったわけです。昨年は、Home Officeの「指示」通り、郵送でヴィザ延長の申請を行ったのですが、これは平均8週間かかるという(そして実際本当に8週間かかりました)とんでもないものでした。その間、パスポートが手元にないので、夏休みのシーズンに丸々2ヶ月も国内に足止めです(そのおかげで、Peak DistrictやYorkshire Daleなど国内の名所を再発見することができましたが)。しかも、その途中、状況が全く分らないので、非常に不安でした。通常は、申請して2週間ぐらいで、費用の支払いの確認がなされ(これ自体に2週間もかかるのが理解できませんが)、とりあえずその通知が来た後、本審査に回される(これに6週間かかるのはもっと理解できない)のですが、私の場合、何か手違いがあり、その最初の通知すら来ませんでした。Royal MailのSpecial Deliveryを使っていたので、これで追跡してみたところ、何と行方が確認できないというのです。このままでは、パスポートが無くなり、しかも不法滞在になってしまうという最悪の状況です。Home Officeにメールを送ったりいろいろして(電話はほぼ絶対につながらない)、ようやくちゃんと審査に回っていたことが確認できました。どうやら、Royal MailがHome Officeに大量の文書を届けて一括してサインをもらっていたので、個別の文書について送達が確認できなかったようです(だったらSpecial Deliveryの意味が全くない!)。

さて、思わず昨年の話が長くなりましたが、今年は去年の経験に鑑みて、クロイドンで即日ヴィザが取れるという「Premium Service」を迷わず利用しました。なお、人の話を聞くと、このプレミアム・サービスに相当するものは以前も存在していたようなのですが、昨年の申請時に参照したHome Officeのホームページのガイダンスには一切そのような記述はなく、郵送による方法しか書いてありませんでした。
このプレミアム・サービス、500ポンドもするので確かに「プレミアム」です(本来はこのぐらいやって当然のところを「プレミアム・サービス」と呼ぶのは若干おこがましいようにも思いますが・・・)。もっとも、ヴィザの費用が急に値上がりした背景には、政府全体で財政的な締付けが厳しくなったこともあり、英国財務省に勤務する私としては若干責任の一端?も感じます。

いざクロイドンに行ってみると、案外手続は簡単で、職員の対応も悪くなく、また待合室などはそれなりに印象を良くするよう配慮しているようにも思われました(行列待ち用の吹きさらしのスペースは相変わらずですが)。もちろん、ワーク・パーミットのある私は恵まれている方で、例えば学生ヴィザなどの場合はもっと苦労されているのかもしれませんが。

英国の入国管理は厳しいという印象がありますが、実際には、最近のアメリカほどではないかもしれませんし、あるいは日本の方がもっと厳しいのかもしれません(我々は日本人であるため実感しませんが)。いずれにせよ英国は、黙っていても世界中から人が集まってくることが最大の強みであり、人の流入がなくなれば英国の繁栄も終わることは、政府も(おそらく)認識しているだろうと思われます。

ただ、うっとうしいのは旅行して帰ってくるたびに空港で質問されることです。シェンゲン協定に加盟している大陸ヨーロッパの国々の間では入国管理は全くありませんが、英国では、何十回入国しても必ずチェックされます。別に大した質問ではないのですが、何となくこれが待っていると思うと、旅行帰りの飛行機の中で心置きなく酔っ払えないような気がしてしまいます。ただ最近は、以前に比べて、入国審査で意地悪な係官の割合が減り、フレンドリーな人が多くなったように思うのですが、いかがでしょうか? スタンステッドなどではたまに面白い人に出くわします。以前ケンブリッジの留学中に、スタンステッド空港で、自分が所属するカレッジの名前を聞かれた後、「オリバー・クロムウェルの首はどこに埋められているか?」という質問をされたことがありました。私が、「わからない」と答えると、彼は、「その通り。その本当の位置は誰にもわからないのだ。」と言って通してくれました。これまで会った中で最も奇特な係官です。(注:私が所属していたSidney Sussex Collegeには、チャペルの床の下にクロムウェルの首が埋められているという言い伝えがある。)

こういう入国審査をも楽しむ域にまで達すれば(そんな日はいつまでたっても来ないような気がしますが)、真のイギリス通といえるのかもしれません。

投稿者 lib : June 21, 2005 10:06 PM

コメント

私は英国の地方都市に在住しております。

今回、ビザ延長などの費用が改訂されたというのはつい最近まで知りませんでした。
日本語のブログを読んでいなかったら、たぶん一生!?知らなかったかもしれません。
英国内務省はそういう告知を無期限滞在許可証保持者に連絡する気はなかったんでしょうね。
もちろん、連絡するすべもないでしょうが。

興味深いので、しばらく新しいパスポートにビザをトランスファーせず、旧パスポートを同時に提示するという方法を試してみようかと思います。
いずれにしてもこの国にこれ以上「寄付」したくありません。
ウワサでは来年あたり手数料が£1000になるとも聞きましたが。本当でしょうか?

投稿者 ジャスパー : June 23, 2005 11:19 PM

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