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August 30, 2007

LIB サマー・エキシビション

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「イギリスの夏の文化行事」のひとつ、ロイヤル・アカデミー・オブ・アートでのサマー・エキシビション。去年は行かなかったので、今年は押さえておこうと出かけた。押さえておこうといっても、ただ、鑑賞するだけだけど。

ロイヤル・アカデミーの中庭には金属でできた巨大な怪獣の像、しかも、おもちゃみたいなやつ、がデーンと立っている。こんこんと水なんかも湧いちゃって、なかなか楽しい。こんな非日常を経験させてくれるので美術展は好きだ。

チケットは7ポンド。売り場に並んでいると、イギリス系白人中年婦人がにこやかにアプローチしてきた。
(来た、来た、来た!)と思っていると、やっぱり、
「ねえ、あなた、会員になりませんこと? 年会費さえ払えば何度も美術展に来るのに、とってもお得ですのよ」の口上である。
ナショナルトラストのマナーハウスや庭園で、必ず声をかけてくるのが、これ。

この人たち、 「世界で一番、お品のいいセールスレディ」ではないだろうか?

「年にほんの数10ポンドで、文化遺産の保護者、文化施設のパトロンになれますのよ。会員はあたくしのように上品な有閑マダムが中心ですわ。いかが?」
(後半は私だけに聞こえる声なき声だ)

粗野な外国人の私はいつも、 
「ちょっと考えさせてくださいね」と断るのだが、
「帰りにでもよろしいのよ。今日のチケットから有効になりますしね」
と、これまた、あっさり離れていく。
思わず後姿に、
「奥様、ごきげんよろしゅう」という声をかけたくなるくらいだ。

やれやれ、最初の難関は突破したわい。

さーて、会場だ。
どう移動すれば効率よく、かつ、展示物を見逃さずにすむのか、といつも頭を悩ませる。
博物館や美術館は 「順路」というものをあまり重要視していないらしいな。
大きな部屋の横に小部屋がある。まず、大きな部屋の中を見て、それから小部屋に行き、そこを見てから大部屋に戻り、そのまま素通りして次の大部屋に行くのか。
それとも、まず小部屋を制覇してから、大部屋をゆっくり見て、それから次の大部屋に行くのか?
部屋が混んでいたりして、後にしようと思って進んでいき、そのまま、その部屋のことを忘れて会場を出てしまい、後悔したり・・・。

みなさん、どうしてます?
(それとも、こんなことで悩んでいるのは私だけかい?)

チケットと共に渡された文庫本大のカタログには作品の番号、作者名と値段が書いてある。ちょっと気に入った作品があると、つい、プライスチェックしたくなるのは人情というものだろう。
(ふーん、小さいのにけっこう高いな)とか (これだけ大きな絵なら、このくらいの値段はするだろうな)とか、考える。
金じゃないのだから、大きさで価格が決まるわけではないのだが。

壁面にぎっしりと小さ目の絵が並んでいて、異常に混雑している部屋がある。どうやら、「買えそうな価格の絵」がたくさんあるらしい。
「美術愛好家」なのか、 「投機熱に浮かされた人たち」なのか?

私が気に入ったのは2メートル x 5メートルくらいの大きな絵だ。
2万ポンドという値がついている。絵画として高いのか安いのか見当もつかないが、
(3年くらい所有していると、アーティストがブレークして、10倍も価値が上がったりして・・・)という想像をしてみる。20万ポンドか、・・・いいねえ。

が、値段もともかく、この大きさの絵を家の中に運び込めるか? 置くだけの空間が家にあるのか? という問題がある。もちろん、答えは 「否」だ。
と、金持ち風のカップル (まだ若い)が来て、 「これ、いいね」みたいなことを言っている。かるーく、クレジットカードでも取り出しそうな雰囲気だ。
(私が先に目をつけたのよー)とは思ったものの、貧乏人の私はすごすごと引き下がるしかない。

絵画のかわりに向かいのフォートナムメイソンでケーキを買って帰った。あのアーティストがブレークしないことを祈るばかりだ。

投稿者 lib : August 30, 2007 12:40 AM

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