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October 31, 2007

ケンブリッジ大学 学生寮

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紅葉の美しいケンブリッジに行った。友人の息子のM君が大学生活を送っているのだ。

シティという 「ビジネスマンのおやじの巣窟」で働く私には、賢そうな若者が青春しているケンブリッジ訪問はいい気分転換になる。

いいねえ、若い人は生き生きとしていて・・・(私のコメントのほうが余程おやじ臭い)

どのレストランも大学生とその親、というグループで一杯。
「ホホホホ、宅の子はデキが良くて、ケンブリッジ大学に行っておりますの。その辺を歩いているアホガキとは違うざます」と日頃は自慢していても、ここでは石を投げればケンブリッジの学生に当たるという土地柄だ。(注:本当に石を投げてはいけません)

M君のカレッジは創立されてから30年足らず。ケンブリッジのカレッジはどこも数百年もの歴史があると思い込んでいたけど。大金持ちがポーンと10ミリオンポンド (現在ではたいした金額ではないけど)を寄付して、このカレッジが誕生。
建物の雰囲気が何かに似ていると思ったら、バービカンセンターだ。なんだか、人を迷子にさせよう、という悪意が感じられる迷路チックな構造だ。同じ建築家の設計ではないだろうな。

さて、M君の学生寮に案内された。ベッドとデスクが置かれたシングルルームで、クロゼットがあり、コンパクトなバスルームがついている。日本なら、1泊1万円 (税込み)の中級ビジネスホテル、みたいな雰囲気だ。寮費は月に300ポンドだって。

しかし・・・さすがは男の大学生の部屋。想像を絶する汚さだ。ちょうど彼の友人ふたりが来ていて、サンドイッチとベークドポテトを食べている最中だったが、よく、食べられるわ、こんなゴミ溜め・・・いや、混乱した部屋で。
足の踏み場もないとはこのことだ。ベッドの上になぜかフライパンがあり、中にはひからびたチーズと変色したケチャップ、煙草の吸殻が。服は床に散乱し、椅子には不気味なシミのついたバスタオルがかかっている。

「その辺に座ってください。遠慮なく」って・・・ごめん、遠慮してもいい?
友人は頭から湯気をたてて、部屋の汚さを罵った。

大学の学生寮を見るのはこれで3ヶ所だと思う。
MITこと、マサチューセッツ工科大学に知り合いが通っていて、中を見せてもらったことがある。ふたり部屋だったが、広々としてきれいなので驚いた。さすがは高い授業料で有名なアメリカの大学。こうやって、資本主義のイロハを学生に叩きこむのね。

一方、私の大学の女子寮はしょぼかった。夏期講習で泊まってぞっとした。
数名の寮母さんも住み込みで、まるっきり男っ気なしの 「女の園」。
同じ「女の園」でも、 「宝塚」と違って、スパンコールや羽飾り、金ラメや舞台メイクがないので華やかさには無縁。古い木造の建物と寮母さんの油っけのないパサついた感じがなんともマッチしていて、いかにもくすんだ場所だった。
「親元を離れた。これで門限もなし。監視もない。よっしゃー、遊ぶぞー」と意気盛んだった私が断固として寮に入ることを拒否したのは当然だ。

部屋の汚さを怒られるのにうんざりしたM君は話題を変える。
「グラマースクールで一緒だったD君ね。休学して療養中なんだよ」
すごい教育ママだったD君の母親を友人は覚えていた。当時、まだ11歳の息子の将来を細かく計画していて、GCSEではどの科目、Aレベルではどの科目を履修し、オックスブリッジ (オックスフォード大とケンブリッジ大のこと)に進学し、弁護士になった後、家業を継ぐ、と、のんびりした友人を圧倒する 「猛烈ママ」だったらしい。
残念ながら、D君はオックスブリッジに合格できず、別の大学に入った。その大学も一流校だったが、親はがっかり。そんな親に罪悪感を持ったのか、それとも親から離れてタガがはずれたのか、D君はドラッグに走って身体をこわし、強制入院。

げに、恐ろしや、親のプレッシャー。

「ふーん、D君、大変そうだね」と友人は言ったものの、また部屋を整頓しろとガミガミ文句を言い出した。
「大学生が部屋の片付けなんか考えないよ。頭の中にはパーティとか、パブとか、ガールフレンドしかないって。それに、あまり叱りつけるとD君みたいになっちゃうよ」とからかった。
「うちの息子に限っては、そんなことはない」と言い切る友人。
なんで、と聞くと、
「ドラッグは金がかかる。ドラッグ漬になるには、さらに金がかかる。金持ちのD君の家と違い、サラリーマンのうちの家庭では、ギリギリの生活費しか息子に仕送りしていないから」とのことであった。

貧乏な学生生活のため、麻薬ジャンキーにならなくてすむM君。親の愛をとくと感じて欲しい。

投稿者 lib : October 31, 2007 08:03 PM

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