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July 25, 2008

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火曜日で無事に今年度が終了しました。

午前中は終業式で学習態度、生活態度など様々な条件に照らし合わせて各教科や学年から選ばれた生徒たちを賞を授与するセレモニーがあり、生徒は終了後帰宅。午後はスタッフのお別れ会、そしてその後、校庭でスタッフの食事会がありました。

ロンドンの都市部の学校では普通かと思いますが、毎年、というか毎学期、スタッフの入れ替わりがかなり頻繁にあります。

産休・育休に入る教師、戻ってくる教師、そして新しい職を得て去っていく教師、新しく採用されて働き始める教師(常勤・非常勤を含め)など、常に人の動きがあります。

特に学年度の終わりに合わせて学校を離れる教師は毎年多く、今年も少なくとも常勤教師5人、短期の契約で働いていた教師も数人、去ることになりました。

そのうちの3人が実は私のFaculty(学部)からで、1人は今までも何度も私のブログに登場してきたHead of Facultyである同僚Kです。

同僚Kは過去ブログ「嬉しくも悲しいニュース」で書いたとおり、私の直属の上司であり、私がこの学校に採用されてからの4年間、常に私の一番身近な指導員そして同僚でした。

その彼女が結婚してロンドンを離れるため、それを機に退職することになったのです。

それを知ったのが3月の初め、それから約5ヶ月、実感の涌かないまま時は過ぎ、気がつけば今年度も残りわずか。そして、ついに同僚Kが私の学校から去る時が来たのでした。

スタッフの送別会では離職する教師に向けて校長がひとりひとりの功績や功労を称えた後、各学部・学科の同僚たちがスピーチを行い、プレゼントやカードが手渡されます。

同僚Kには同僚M(同じく歴史教師で私と一緒に学科主任をしている)と同僚L(宗教、社会学の教師)が合同でスピーチをおこない、その後、同僚Kもスピーチをおこないました。

実は彼女、今回離職する先生の中では一番勤続年数が多く、7年でした。ロンドンでは1,2年で違う学校に自ら移る先生が多いので彼女は長いほうなのです。

その7年間の思い出を語りつつ、彼女はHumanities Facultyの一人ひとりに向けてメッセージをくれました。

彼女のいった言葉、一生忘れられない本当に嬉しいものでした。

「Mと月子(←もちろん実際は本名で)、あなたたちは教師暦は二人合わせても私のより短いけれど、私に歴史教育って本当は何なのか、よい歴史教員になるってどういうことなのか、たくさん教えてくれたのはあなたたちです」

歴史教育はここ5-6年でも教育理念そのものやITなどの技術面の変化に影響され、大きく変わった部分がありました。私もMも割りと最近教職トレーニングを受けた方なので、同僚Kよりもこの流れに乗りやすかったのだと思います。

同僚Kはいつも私の教材や授業案を高く評価してくれていたのでそれが私の励みでもありました。なにせ、生徒指導の面ではいつも威厳に満ちた同僚Kには頭が上がらず、彼女に相談したりして頼ることが多かったのです。

歴史科は教師がもともと少ないので常に私たち3人は上司と部下、先輩と後輩の枠を超えて新しいアイディアを出し合ったりしながら進んできました。一方通行ではない対等な関係が築けたことは本当に幸いでした。そして彼女のスピーチは私を教師というプロフェッショナルとしてそして一個人としても評価してくれたようで嬉しかったのです。

木曜日、学期は終了し夏休みに入ったものの、同僚Kが自分の机や教室を片付けに出てくるというので、私も9月からの準備をしに学校に出ることにしました。これが彼女の契約上での最後の日なのです。

どんどん彼女の机から物が消え、目の前に貼っていた色とりどりのポストカードも剥がされ、しまいには後任者であるOへ引き継ぐファイルだけが寂しく机に残されました。

そして学校が閉められる午後5時、本当に彼女にお別れを言う時がやってきました。笑って「幸せにね。さようなら。また会おうね」と言おうと思っていたのに、ハグした瞬間にやっぱり感情がこみ上げてきて涙が出てしまいました。

思えば、仕事でつらかった時、私の日本にいる身内の病気が分かって動揺していた時など様々な場面で話を聞いてくれてアドバイスをくれたのは彼女でした。

普段はあまり感情を表に出さない同僚Kは周りにわりとクールだと見られがちなのですが、本当はとても温かい人なのだと私は知っていました。その時々のことがいっぺんに頭の中をめぐり胸が熱くなりました。

「やぁねぇ、あなたに泣かせられちゃったわ」と見ると彼女の目にも涙が。

感動的な別れでした。

またいつか会える日があるとは思いますが、もう彼女が学校に来ることは無いのです。

、、、本当に寂しくなります。

投稿者 lib : July 25, 2008 03:06 PM

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