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November 15, 2010

ローマ法王

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ローマ法王がやってきた。 イギリスへ来るのは28年ぶりだそうだ。

友人にカソリックがいて、ローマ法王の訪問をワクワクして待っていた。 お気に入りのロックスターを待つ熱狂的ファンのようなノリである。

先代のローマ法王は温和な顔をしていたが、今のは目元がきつい感じで、ちょっと怖い。 知り合いの息子の高校時代の同級生がオックスフォードで神学を学び、現在、バチカンで研修中だそうだ。 で、その授業の科目には現ローマ法王が教壇に立つクラスもあるらしい。 なかなかアカデミックな法王だという話である。

ハイドパークでは8万人を前に演説、ではなくて、説教? 祝福? の予定であった。 各地のカソリック教会では、ハイドパーク式典の招待券が割り当てられ、くじびきの後、配られたそうである。 友人は残念ながら、 「はずれ」。 日ごろの信心が足らないと見た。

「ハイドパークに入れないなら、ロンドンの市内を通るのを見に行こうかな。 でも、たとえ見られてもほんの一瞬だろうし。 テレビの方が全部の式典が見られるけど、実物の法王を見るのも捨てがたいし。 ああ、どうしよう」 と、ウジウジ悩んでいる。

そんなに面白いものなら、私も見よう、とテレビをつけた。

教会内での式典が始まった。 テレビ中継されているのに、座席でウトウトしている神父もいる。 お年寄りだからねえ、しかたないか。 でも、教区の信徒もテレビは見ているはず。 「あ、ジョンソン神父が映ってる。 なんだよ、法王の前なのに居眠りなんかしちゃって、みっともない」とか言われているかも。

100人もの聖職者の入場。赤や白の長い法衣をまとっているのがほとんどだが、ボディガードらしい黒服の男たちも法王の周りを囲んでいる。なんだか、その軍団だけ雰囲気がトゲトゲしいねえ。 今ひとつ、天国からは遠い感じ。

カソリックの神父は妻帯を許されない。 で、非カソリック教徒の友人は 「80歳の童貞男に人生を説かれても、ピンとこないよね」 とのたまい、みんなの爆笑を誘ったのだった。

法王のすぐ横にふたりの従者がいるのだけれど、40歳くらいのこのふたり、 「生まれてこの方、女に縁のない人生」 というにぴったりの顔つきで、つい、友人のジョークを思い出して笑ってしまった。 階段の昇り降りには法王の裾を持ち上げ、式典中は被り物 (冠? 法王帽子?) を着けさせたり、はずしたり、と大活躍だったが、何度も 「中年の童貞男」の文字が頭に浮かび、不謹慎な笑いをこらえられなかった。 すみませんね、不真面目で。

今回の法王訪問は、あちこちの神父が少年達への性的虐待のスキャンダルを起こしていることもあり、賛否両論だった。 やっぱり、妻帯禁止っていうのがまずいんですかね? 
どこかの神父が信者の人妻と駆け落ちしたという話もあった。 プロフェッショナルな信仰を捨てさせるほど、色っぽい人妻だったのか? それとも、人妻の方が 「中年の童貞男」の純粋さにくらっと来たのか? 童貞男に妻を寝取られた夫の驚愕はいかに?  「姦淫はいけない」 って本当ですね。

テレビの式典は着々と進んだ。 バチカンから来たから、イタリア語でやっているのだろうな、と思っていたが、ラテン語なんだって。 ラテン語は死に絶えた言語と思ってたけど、バリバリに使われていた。 関係者以外は誰も理解できないのが、残念だが。(私はわかった。字幕が出てたから) 法王のスピーチはこの式典のキモだったかもしれないが、日ごろ、「イタリア語」で生活している 「ドイツ人」 の「英語のスピーチ」で聞き取りにくかったので、ここで私は休憩して洗濯物を干しに行った。

煙の出る金ぴか箱を振り回したり、パン(煎餅みたい)を食べたり、ワインを飲んだり、といろいろな儀式を見せてもらった。 パンは本来、神父さんから信徒の口に直接入れてもらうのだが、鳥インフルエンザが流行ってから、手に渡すことも増えたらしい。 (友人よりの情報) テレビでも手で受け取る人が結構いたし。

と、式典はつつがなく終わり、法王は教会を出て、「イギリスの若者達」 に挨拶。 カソリックのティーンエージャーの代表者は 「下町イーストエンドの黒人の青年」だ。 ここで、貴族階級の金髪碧眼の白人青年を出さないところが、いかにも計算づくの人選である。 その黒人青年がモデルなみにハンサムだったのはテレビ映りを考えてのことだろう。 外で待っていたのは 「そろいのTシャツ」 を着たティーンエイジャーが200人くらい。 法王にキャーキャーと歓声をあげ、「ベネディクス、チャチャチャ」みたいな掛け声までかかった。 さすがの鉄仮面ドイツ人法王も心から嬉しそうな顔をしている。 うまい! こんな演出をするのがイギリスのあざとさである。 それとも、ヘンリー8世がローマ教会に喧嘩を売って袂を分けたときの罪滅ぼしか?

なかなか金ぴかで仰々しい演出で楽しめた。 友人に 「カソリックにならない?」と誘われたが、私はとりあえず仏教でいいです。 実家には仏壇もあることだしね。 

投稿者 lib : November 15, 2010 09:40 AM

コメント

lib 様、始めまして、こんにちわ。
lib さまのこちらのブログが更新された時には楽しく拝読させていただいております。
今回のブログネタは非カソリックの方から見れば笑える内容でして、いつもの lib 様のユーモア精神も満載なのですが、カソリックの私にとってはちょっと笑うに笑えない内容でしたので、コメントさせていただきました。
イギリスに長年お住まいかとは存じますが、だからこそ今後は宗教のことに関しましては余りお触れにならない方が宜しいかと存じます。
他のネタでの lib 様のユーモアあふれる内容を楽しみにいたしております。

投稿者 洗礼名カテリーナ : November 17, 2010 11:21 PM

カソリック教徒の方でしたか、失礼しました。 友人にも 「誰だって、水の上なんか歩けるわけないでしょ」 と言って、大変怒られました。 宗教ネタはダメですか・・・? イスラム教の楽しいネタもあるのですがねえ。 もちろん、仏教ネタも・・・。 とりあえず、ゴメンナサイ! 

投稿者 十貴川 洋子 : November 22, 2010 02:21 PM

そんな不躾なコメントに返答する必要性もないと思います。
宗教を笑いのタネにするくらいしないとね。
宗教だから不可侵なんてのはそれこそ悪い風潮ですよ。

フリーダム オブ スピーチを侵害するようなコメントこそ、無知を超えた愚かなるものでしょうに。
それに屈しないでください。

投稿者 シティOL007 : December 6, 2010 02:59 PM

いやいや、申し訳ございませんな、ご両人様。 カトリーナ嬢が不快にお感じになったのには素直に謝りますし、シティOL007 (007って、お仕事はスパイ関係っすか?) のお考えも正論と思います。 実は宗教って好きなんですよ。 クリスチャンでもないのにモルモン教で神秘体験をしたり、親族があの世に行くと、数週間後に必ず 「訪問」 を受けます。 それなのに、なぜ宗教を茶化すかって? 宗教はあの世や霊魂や奇跡の話をするわりに、ものすごく人間臭いからかな?  

投稿者 十貴川 洋子 : December 12, 2010 08:11 PM

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