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December 11, 2010

イギリスの大学、授業料が2~3倍に

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一昨日イギリス議会では、連立政権による大学の授業料値上げ法案が可決された。

これにより、講義を休んで抗議する(オヤジギャグです)学生のデモ隊が大暴れ。

たまたま通りかかったチャールズ皇太子とカミラさんの乗った車もペンキを投げかけられ、とばっちりを受けるなど大変な騒ぎとなった。

一夜明け、騒動の原因をつくった張本人のキャメロン首相は
「デモをする権利はあるが、器物を破損したりすることは許しがたい」
と学生を叱る先生の様な顔をして憤慨していた。

デモの権利は認められているが、あくまでも「ピースフル(平和的に)」しなくてはならないそうで、それでは皆でにこやかに談笑しながらプラカードを持って行進すれば良かったのだろうか。それじゃあ怒りが伝わらないよなあ。

もちろん、何の関係もないTop Shopのウィンドーを壊したり、通りすがりのチャールズ夫妻を攻撃したりしたことは良くないが、私はそれほどに怒る人たちの気持ちも分かるような気がする。

5月の連立政権発足以来、彼らの福祉や公的機関への予算削減案は非常に効率的なものに思え、「いいぞ、いいぞー」と思っていた私だったが、大学の授業料を最大3倍にまで値上げする法案が出たときには「え・・・ちょっと待てよ???」とクエスチョンマークが何重にもなった。

現在の授業料は年間3千ポンド強(約45万円)だが、2012年からは6千ポンドを上限として各大学で設定してもよく、オックスフォードやケンブリッジの「優良」大学に至っては9千ポンドが上限になるという。
イギリスの大学は1校を除いて全部国立だが、9千ポンドといえば135万円だ。(今は円高なので135万円になるが、10年近く1ポンド=200円で換算していた私には180万円くらいの感覚)

なぜオックスブリッジの上限が高いかというと、
「よりよい教育(サービス)を提供するのだから、それなりの値段の差があって当然」
とのことで、市場原理に乗っ取っているということか。事実上の、大学の私立化である。

イギリスにも私立大学があって別に悪いとは思わないが、ひっかかるのは、連立与党のキャメロン首相もクレッグ副首相も、とってもお高~い「パブリック・スクール」出身だということ。(キャメロン首相の卒業したイートン校は授業料が年間3万ポンド=1ポンド150円として450万円)
ちなみにクレッグ副首相は選挙前に授業料は値上げしないと公約していたにも関わらず、それを反故にする形となった。
(この人、副首相となってからの苦労を物語るように半年の間にかなり老けた。なんてことはどうでもいいのだが)

キャメロン首相はオックスフォード卒、クレッグ副首相はケンブリッジ卒だ。彼らの学んだ「パブリック・スクール」では、オックスブリッジへ長年、多数の卒業生を送り込んでいる。イートンからは3分の1がオックスブリッジに進学するそうだ。

大学が「限られた人の行く場所」であった時代から続いており歴史も長い。

イギリスの受験制度は日本のそれと全く違うが、オックスブリッジでは長年の批判にも関わらず面接重視。ペーパー試験の成績が良いだけでは入れない。
しかし面接点なんて極めて主観的なもので、パブリック・スクールでは「面接官に好まれる」議論の仕方を徹底的に指導されるらしい。

ちなみにこの様な指導は、公立校では行われない。

当然これらの学校からは、オックスブリッジへの入学者が多数出るが、金にモノをいわせた(笑)少人数制授業や受験テクニックのトレーニング、大学との長年の繋がりを考えれば、当然だという気がする。
パブリック・スクールで学んでいる生徒達が他と比べて特別優秀なのかと言えば、疑問が残る。

最近は、パブリックスクールもイギリス人だけでなく、中国やアフリカ諸国や石油の出る国の(金持ち)外国人の子弟も積極的に受け入れており、「国の将来を担うエリート養成期間」なんてコンセプト自体が古い事は学校自体も承知していると思う。
まあ、有名なイートン校に息子を入れれば知り合いに見栄をはれるとか、本気で学校の教育方針が好きな親達の需要がある限り「文化」や「観光名所」としてパブリックスクールは存続すれば良いだろうと思うが、これらの学校に国の将来を担うような、選りすぐりの頭脳が集まっているなんて本気で信じている人は誰もいないのではなかろうか。
(実際、日本から旅行に来た私の友達は喜んで生徒たちの写真を隠し撮りしていた。生徒たちもこの様な不躾観光客には慣れているらしく、私達を見るなりそそくさと足早に過ぎ去った)

書きたいのはパブリックスクールのことではなかった。長くなったので続きます。

投稿者 lib : December 11, 2010 02:02 PM

コメント

>学生を叱る先生の様な顔をして憤慨
アハハ、私もそう思った!座布団3枚!

しかしチャールズ&カミラはロイヤルバラエティーショーに行く途中にデモ隊の中に突っ込むなんて、なんてお気楽なというか、国民の怒りに興味ないのか?学生が怒るのも無理ない気がする。あれはやり過ぎだけどねー指名手配出ちゃったね。

じゃあ、学費の設定は各大学に委ねられるってことなんですか?ブログの続き、待ってますよー。

投稿者 Haruko : December 12, 2010 02:30 PM

まあチャールズ&カミラもロイヤルバラエティーショーは公務の一つでしょうからねえ(笑)
お付の人というのか護衛の人がUselessですよね。警察が責められてるけどね。

授業料は現在も上限を3,290ポンドとして各大学で設定していいんだけど、実際は横並びでどこも3,290ポンドにしているようです。でも留学生やパートタイムの授業料は各大学で違いが出てます。

今度の決議で殆どの大学は6,000ポンド、オックスブリッジは9,000ポンドまでチャージしていいことになったんだけど、例えば不人気大学は学生を集める為に学費を安くしても良いわけです。でもどこの大学も予算削られてひーひー言ってるから、上限までチャージすると予想されてます。

投稿者 子育てママ : December 14, 2010 10:17 AM

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