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October 20, 2005
帝王切開の園
入院初日の朝を迎えると、他の人達と話をする機会があった。大仕事を終えて、それぞれのLittle one を抱き、皆、幸せで誇らしげな表情だ。
まずは同室の人。
「おめでとう!私はおとといこの子を産んだけど帝王切開だったから一週間入院するのよ。あなたもやっぱり帝王切開?」
「いいえ。自然分娩だったの。」
「Oh!Well done!!」
へへへ。褒められていい気分。
次に、朝食をとろうと廊下に出ると、やはり昨日産んだばかりという人が話しかけてきた。
「帝王切開だったから痛くて・・・歩くのも一苦労よ。私は途中まで自然分娩のつもりだったんだけど、Babyが5kgもあったから出てこなくて急遽、帝王切開になったのよ。あなたも帝王切開?」
「自然分娩だけど・・・」
「Brilliant!」
ブリリアントはいいのだが、胎児が5kgだったというのはいったい。一瞬、聞き違いかと思ったが、いくら私の英語力でも数字は間違えないだろう。そんなことが可能なのか。大体、そんなに育ってしまうまで、あんたも医者も何をしていたんだ・・・・と気が動転したが、Congratulationとだけ言っておいた。いやいや、無事に生まれて本当に良かった。
朝食をとるカンティーンには、既に何人かの人たちが、やはり出産話に花を咲かせていた。空いている席に座ると、その中のひとりが話しかけてきた。
「帝王切開の後って、きついわよねー。あなたは大丈夫?」
またもや、自然分娩だったと答えると、その場の一同が一斉に、はっとしたように私の方を向き、驚きと羨望の入り混じった表情で、
「すばらしい!」
「よく頑張ったわね!」
などと口々に褒め称えてくれた。更に、どのペインリリーフを使用したのか聞かれたので何も使わなかったと言うと、「はあっ」というため息とともに、彼らは、もはや神を見るような瞳で私を見つめた。
確かに私は頑張ったが、そんなに特別なことだったのか。イギリスでは帝王切開する人が多いとは聞いていたが、まさかこれほどとは。母体も胎児も自然分娩できる状態にあっても、出産時の痛みをおそれて、あえて帝王切開を選ぶ母親が多いと聞く。それに、出産の日時をあらかじめ決められるので日常生活に支障をきたさず便利でもある。病院の方でも、予定がたてやすいので希望を受け入れる、と何かで読んだことがある。確か記事のタイトルは、”Too posh to push"(!)だった。
複雑な気持ちで病室に戻ると、一晩明けてダンナがお見舞いに来た。息子を抱き、
“Welcome to the world” と話しかけている姿を見て、またジーンとする。
昨晩の話で盛り上がっていると、ナースが部屋に入ってきた。
「悪いけど、大部屋に移ってもらえるかしら。昨日は他の部屋が空いてなかったから入ってもらったけど、実はここ、帝王切開した人の病棟だから・・・。」
そりゃそうっすよね。
どうもお邪魔しました。
投稿者 lib : October 20, 2005 10:43 PM