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April 13, 2006
靴フェチ
イギリス人女性は平均して30足の靴を所有しているそうだ。
フィリピンの故マルコス大統領の妻だったイメルダ夫人がアメリカに亡命したとき、宮殿には3000足の靴が残されていたというのは有名な話だが、普通の女性で30足というのは多くないか?
同僚の男性がぼやいていた。
彼の奥さんは靴が大好きで、次々と買ってくるのだが、ほとんど履きもせずにベッドの下に並べておくという。(どうしてベッドの下なんだろう? 靴箱はすでに一杯なのか?)「うちの女房は足が2本しかないのに、どうして、あんなにたくさんの靴が必要なんだ?」
みんなで笑ったが、イギリス人の靴に対するマニアックな態度の片鱗を示す発言だった。
電車が「ストかもしれない。ストでないかもしれない」という微妙な日があった。
「確実にスト」というなら、「じゃ、会社には行かないね」と言い切ってしまうのだが、少し忙しい時期でもあり、間引き運転はあるようだったので、がんばって行くことにした。
駅で延々と待たされる可能性を考えて、ヒールのないカジュアルなぺたんこ靴を履き、会社に出かけた。
準備万端、用意周到の日本人としては当然の選択だろう。
と、会社の同僚(男)に、
「一体どうしたんだよ、その靴!」とびっくりされた。
「え? 今日はストかもしれなかったから、楽な靴を履いてきた」
「ふーん・・・」と不満そう。
また他の同僚(男)に、
「どうしたの? 今日の靴」
「・・・だから今日はストで・・・」
「そう・・・」 といやな顔。
それほどひどい靴だろうか? と自分の足元を見る。
おしゃれなデザインではないが、ひどく古いとか、うす汚れてはいない。
この調子で5人の同僚(全員が男)に詰問された。
人の意見には耳を貸さない私もさすがに不安になる。
シティでは女性もビジネススーツが多い。
で、それに合わせてヒールが高くて細い「スティレトゥ」を履いている。見た目は格好いいのだが、見ているだけでふくらはぎが「こむらがえし」を起こしそうなシロモノである。
それに、シティの裏通りはボコボコした石畳がたくさん残っていて、ハイヒールで歩き回るのはつらい。私は以前、足を痛めたことがあって、このごろは「弱気の中ヒール」を履いている。
それでも、パーティなどでスティレトゥにすると、「いいねえ、その靴」と褒められることが多い。(足を褒められているのではない)
女同士なら、靴とか服なんかを、
「買ったの? よく似合うわ」
「そう? 安かったのよ」
みたいなお気楽な会話はあるものだが、
男も同僚の女の靴をチェックしていたのか・・・。
ボスや同僚と行ったワインバーにブロンドのかわいい子がいた。
彼女に対する男性の評価は、
「せっかくきれいな顔なのに、お堅い雰囲気。あの子は靴が良くないな」
見てみれば、高さは10センチ近くあるのだが、太いヒールで「安定した」フォルム。ヒールの高さだけが問題ではないらしい。
もしかして・・・イギリス人男性は「靴フェチ」なのか?
うちの会社の連中を見ているとそんな気がしてくる。
そのせいで、イギリス人女性が30足も買い揃えているのでは?
職場においては中庸の精神をモットーとし、これからも私は「弱気の中ヒール」路線を死守したいと思っている。
投稿者 lib : April 13, 2006 09:33 AM