June 07, 2007
お仕立てシャツ
オーダーメイド Made to measure でシャツを作ってみた。
シティにはビジネスマン向けの紳士服の店がいくつかある。
「スーツができたから取ってきてくれない?」
とボスに頼まれることもある。タダではお使いを引き受けないのだが、私はワイングラス1杯のお駄賃で気軽に雇える 「低賃金労働者」なので、ときどき使い走りをさせられる。(私はシティのワインバー価格でラージグラスの7ポンドをお駄賃として設定している)
紳士服店では女性客が珍しいのか、やたらとチヤホヤしてくれるのもうれしい。
そんな紳士服のオーダーメードの店のひとつに 「女性用のシャツもお任せください」とサンプルがショーウィンドーに飾ってあった。
私はちょっと 「くせのある体型」をしているので、日本製、イギリス製に限らず既製服のシャツが身体に合わない。この店のシャツは49ポンドから99ポンド。オースティンリードの既製品シャツが60ポンドと思えば高くない。ちょっと聞いてみようか。
マネージャーがにこやかにやって来た。イタリア系か、スペイン系の女性だ。
うーむ、アングロサクソン系に囲まれているとラテン系の女の色っぽさが際立つねえ。
(おやじ風のコメント)
紳士服の店に美人の女性マネージャーを置くとはうまいビジネス戦略だな。
さて、オーダーメードの方法だ。
1.生地を選ぶ。ここで値段が決まる。この店では49ポンドから99ポンドまで数種類。当然だがカッコいい生地は99ポンドである。サンプルの生地を身体に当てて鏡うつりを見てみた。どうせなら白よりはシティ風に 「フラムボヤント」つまり 「伊達男風」 (私は女だが)の派手な色合いがいいよね。
2.サイズを測る。胸囲、肩幅、袖丈、胴回りなどだ。 「もうすぐ、やせる予定なんです」と言ってみたが、その手のたわごとは聞きなれているらしく相手にされなかった。
3.襟の生地を選ぶ。私はここで別の色の生地にした。
4.襟の形を選ぶ。5、6種類の実物大のものを並べてくれる。
5.袖口の生地を選ぶ。ここでは襟と同じものにしてみる。
6.袖口の形を選ぶ。カフリンクスをつけるタイプにした。
7.ボタンを選ぶ。
8.前金の支払いをする。
いつもは仏頂面のおねえさんが働いている安物の服の店にしか行かないのだが、オーダーメイドの店だけあって、客扱いが丁寧だし、好みを尊重しながらも上手にアドバイスしてくれる。
なんだか自分が 「素敵なシャツを着る、素敵な私」という気分になるから不思議だ。
うふふ、スーツも作っちゃおうかしらん。
(商売上手なマネージャーにすっかり手玉に取られている)
2週間かかるということだったが、1週間後にはできたという連絡が店から電話が入った。
1週間と言いながらも、実際は2週間かかるイギリスでは 「前倒し」の連絡はうれしい。
さて、試着だ。
おおっと、自分で選んだとはいえ、マジでフラムボヤント (別名、派手)なシャツだ。
ちょっとうろたえる。シティ以外では着れないだろうな、これ。
首の部分のボタンを2つにしたので襟がもたつく気がするなあ。
襟の形は失敗したかな、と思っているとマネージャーがササッと手を加える。
「こう着こなしてね」
あーら、不思議。ジャケットにすっきりと収まった。さすがはプロ。
会社にもどってボスや同僚に見せ、そこそこの評価を受け、ご満悦であった。
ま、似合わなくても、そうは言える状況ではなかっただろう。相手は私だし。
「これからは私を 『フラムボヤントな女』とお呼び」と、たった一枚の派手シャツを作っただけで有頂天になる私であった。
貧乏人は褒めるとすぐにつけあがるから始末が悪い。(自分のことだが)
いつ、お披露目しようと思いつつも、新しい靴を履いて雨が降ったりするとキィーッとなる性格である。
ビジネスランチで、レッドワイン、トマトソース、コーヒー、チョコレートムース、その他の 「邪悪な色物」がおろしたてのシャツに飛び散るのを想像しないわけにはいかない。
クライアントをテーブルに残したままでレディスに駆け込むのもなあ。
で、いまだに着る機会をつかめずに家のハンガーにかかったままになっている。
・・・早く着なくちゃ。季節が変わってしまう。
投稿者 lib : June 7, 2007 09:23 AM
コメント
私も興味がありました。オーダーメイドのシャツ。シミなど気にせず、バンバンきてください。今度見せてくださいね。
投稿者 ケロ子 : June 10, 2007 03:21 AM
シミはともかく、非常に 「フラムボヤント」なのが気になります。着物でいえば、ほとんど 「桃太郎侍」のノリ。鬼のお面はついてきませんが。
くよくよするタイプではないのですが、こんな派手シャツをわざわざお仕立てした自分のお調子者ぶりをときどき 「・・・・・」と思うことはあります。
・・・・内はその日の気分によって変わります。
投稿者 十貴川 洋子 : June 11, 2007 01:51 PM
フラムボヤントなシャツはいったい何色なんですか?気になります。ショッキングピンクならお似合いになりそうですが。
投稿者 Keiko : June 12, 2007 10:57 PM
私はショッキングピンクの服を1、2枚持っていますが、その程度では 「フラムボヤント」のカテゴリーに入れていません。 (きっぱり)
コンピューター自由自在の方々なら、 「シャツの写真が見たい人はココ」 とリンクを貼り付けたりするのでしょうが、文学少女で本ばかり読んでいた私にはそんなむずかしいことはできません。 (きっぱり)
では、文学的に説明しましょう。 「イギリスの繁栄と衰退を金庫番として冷静に見つめてきた金融街シティ。この街での文化と慣習を思い起こさせるようなシャツ」です。 え? 全然イメージがわかない? 変ねえ。
投稿者 十貴川 洋子 : June 13, 2007 02:16 PM