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August 16, 2007
LIB 私をフットボールに連れていって その1
フットボールの試合に行ってみようと考えている。スポーツ観戦にはさほど興味はないが、せっかくイギリスにいるのだから、 「国技」のひとつを一度くらい見ておきたい。
そこで、予習だ。 「オペラファン」ならともかく、 「フットボールファン」と自分の間に 「共通項」は見つからないので、それなりの準備をしてから臨みたい。
この 「準備本能」は日本人の血のなせる業か?
イギリス人の友人に 「フットボール観戦の正式作法」を聞いてみた。
彼は週末に男4人でバーミンガムまで出かけたという。ロンドンでの試合ではなく、わざわざバーミンガムまで出かけるのは、 「近所の寺でお参りするよりも、遠くの寺まで巡礼に出かけるほうが信心深い」 みたいなノリと思われる。
以下は当日のスケジュールだ。
土曜日の朝10時、ユーストン駅に集合。
ロンドンからバーミンガムまでは鉄道会社が2社あるのだが、1社はトラブルのために運休。そこで乗客は全員バージントレインに詰め込まれる。
「不確実な鉄道の旅」と、いかにもイギリスらしいスタートだ。
ギュウギュウ詰めの電車の通路に立つこと3時間。いつもなら2時間のところ、運休した電車の代わりにあちこちで停車して、余計に時間がかかったらしい。
この間、ビールを飲みながら仲間と談笑。・・・ってことは、いつも混んだパブで立ちっぱなしで飲んでおしゃべりしているイギリス男には、パブが電車になっただけ。
1時過ぎにバーミンガムに到着。
試合は5時からだ。当然、その前にパブで一杯。
この 「XXをする前に、まず、一杯」というのはシティでもよく聞く。
「長距離ドライブの前に、まず、ガソリン」
みたいな感じなのだろうか? 酒が弱い人だとそのまま寝てしまうと思うのだが。
さて、スタジアムで他のパブ経由で来たと思われる観客と合流する。
何かの本に 「フットボールファンとは、妻やガールフレンドを捨ておいて、赤の他人の男たちがボールを追いかけるのを必死の形相で応援して、一緒に怒鳴ったり、泣いたり、笑ったりする男たち」という定義が書いてあった。
喜ぶのはいいとして、泣くのはなぜだ?
ファン心理というよりは酒のせいなのかもしれないな。泣き上戸ってやつ?
友人は狂乱の試合観戦を終え、ロンドン行きの電車に乗りこんだ。
さすがに疲れていたので、10ポンドを上乗せして、ファーストクラスのチケットを買ったらしい。 ところが、イギリス人は金も払わずにファーストクラスにちゃっかり入ることがある。検札が来れば移動。そうでなければそのまま座ってしまう。 (私も時々やるが、必ず検札が来てお金を取られる。検札運の悪い私) 途中で検札の人が中を覗き込んだのだが、車内の状況に恐れをなして、そのまま行ってしまったとか。
ま、フットボール帰りの酔っ払いに検札を要求するのは、猛獣の檻に指をつっこんでみるのと同じ。びびるのも無理ない。
勝利に盛り上がっているファンはビールをケースごと持ち込み、さらに酒盛り。そして、チームソングを歌って大騒ぎ。
イギリス人とカラオケをしたことがある人は知っているだろうが、彼らはものすごーく音痴である。日頃はシャイなので人前で歌うことはないが、酒と興奮でそんな羞恥心はすっかり山の向こうに行ってしまっている。
ああ、その場にいなくてよかった。耳が腐る。
敵チームのファンと一緒になると乱闘になりかねないが、同じチームのサポーターだと、即、擬似友情が発生する。見知らぬ男たちが肩を組み合い、 「歌うフットボール列車」と化したバージントレインはロンドンへと走った。
「で、ビールをどれくらい飲んだの?」と聞いたら、
「6パイントまでは数えたが、その後はもうわからない」
「その6パイントを数えたのは何時?」
「たぶん、3時ごろ。そうだな、全部で10パイントは飲んだかな?」
フットボールを楽しく観るには6リットルものビールを消費する必要があるのか・・・。
フットボール観戦への道は遠い。
投稿者 lib : August 16, 2007 12:33 AM