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May 26, 2008
イギリスのバブル その2
シティの夕暮れ。
お下劣なまでに長い長い車体の白いリムジンが停車する。
と、中から人工的なブロンドをなびかせた巨大な女たちが降りてきた。
雲を突くような巨人に見えたのは高下駄のようなプラットフォームブーツのせいだ。胸を半分以上はみださせたトップにへそ下3センチ(嘘)くらいしかないミニスカートを履いている。幅3ミリもあろうかという太いアイラインは黒々と目を隈取り、テカテカと光るリップグロスはまるで焼肉を食べた直後の油ぎった唇のよう。
あっけにとられているシティの勤め人の中に散らばると、ブロンドのジャイアント女たちはチラシを配り始めた。
その中のひとりと目が合ったのだが、軽く無視された。女にはチラシをくれないらしい。
どうやら、アダルトエンタテーメントのPR。 ポールダンスのクラブだろう。テーブル(ステージ?)の上に消防署にあるような鉄棒が設えてあって、その棒につかまりながらセクシーなダンスをするアレだ。
男たちは興味なさそうな顔をしているものの、 「レストラン新装開店」のチラシと違って、シカトもせずに受け取って、さりげなくポケットに入れている。
――後でこっそりと見るつもりだな。
ポールダンスクラブは後学のために(何の後学?)一度くらいは行ってみないといけないと思っていたのだが、なかなか機会がない。
誘われたことはあるのだが、そいつは評判の悪い男だったので断った。なんせ、ポールダンスクラブに連れて行った女をヘロヘロに酔っぱらわせたため、その女はテーブルの上に上がり自分も服を脱いで踊ったそうである。(実話。ふたりとも私の同僚)
えーっと、評判が悪いのはその男だったっけ? その女の方だっけ?
「で、殿方たちが好んでお出かけになるポールダンスクラブというのは、どのような場所ざますの?」と男の友人に聞いてみた。
「僕は別に興味はないけど、後輩が見てみたいというので」と前置きをしながら、とある場末のポールダンスクラブに出かけたときの話をしてくれた。
時間は平日の午後(おい、仕事しろよ、仕事)、某会員制のクラブらしい。といっても 「厳密に」は会員制でないようだ。ま、場末の店で会員制って言われたってねえ。
若くてきれいなおねえさんが順番に出てきて一曲ずつ音楽に合わせて「たいへん小さな衣装を身に着けて踊る」のを飲みながら「横目で見る」 一曲ごとにビールのパイントグラスが回ってきて、そこにチップとしてひとりが1ポンドずつ入れることになっている。次のおねえさんが出てくるとまた新しいグラスが回ってくる。
一曲3分として、半時間もいれば10ポンドばかり使う勘定だ。
20-100ポンド(店の格による)も出せば、ご指名のおねえさんが個室で 「あなただけのために」ダンスを踊ってくれるらしい。 「踊り子さんに触れてはいけない」かどうかは、これまた 「店の格」によるとのことである。
朝の4時にダンナがご帰宅。
ポケットにはポールダンスクラブのカード、で夫婦げんかもよくあるらしい。
「接待だったんだー。僕は嫌だったけど、クライアントのお供をしないと首にするってボスに言われたんだよー。本当だってばー」などと言い訳をする姿が見えるようだ。
もっとも、請求書は 「スィートキャットクラブ」なんて店の名前ではなく、「有限会社ジョーンズ・アンド・サンズ」みたいな会社名で出してくれるらしい。
さて、湯水のように使えた接待費にもさようなら。
アダルトエンターティメントでの接待も禁止にした会社も多いらしい。
バブルがはじけた今、ブロンドジャイアント女のおねえさんたちの将来はいかに?
そういえば、日本のバブルでも 「XXXXしゃぶしゃぶ」なんてありませんでしたっけ?
接待にかこつけて、そっち方面に走る男の心理は万国共通。バブルでの行動も万国共通ってことですね。
PS. ポールダンスはセクシーなエクソサイズの一種として、女性向けのクラスが開かれている。サイズ16のおねえさんに脂肪をプルプルさせながら目の前で踊られると、見ている方が食欲をなくして痩せてしまいそうだ。
投稿者 lib : May 26, 2008 04:58 PM
コメント
前にモロッコに行った時、ベリーダンスのショーを見に行きました。
入場料を払っているにも関わらず、ダンサーのお姉さんたち(推定サイズ18)が、チップ目当てで各テーブルを回り、音楽に合わせて3段腹をぶるぶる震わせながら目の前で踊るので、確かに食欲も消え去りました。
チップを払うまで場所を動かないので、怖いのと立ち去ってもらいたい一心でチップを大判振る舞いしてしまった覚えがあります。
投稿者 子育てママ : May 30, 2008 05:05 PM