« スポーツジム その2 | メイン | ハイテクたんけんぼくのまち »
July 03, 2008
オペラ座の夜
久しぶりにオペラに出かけた。
まずその前に、夏の恒例行事、ロイヤル・アカデミーでのサマーエクスビションに寄る。
今年はトレイシー・エミンが出展していて、一日キュレーターなんかもしたらしい。
いいなあ、トレイシー・エミン。顔がピカソしてるとこも好きだ。(すごい失礼)
さて、ずいぶんオペラに行っていなかった。というのも、オペラ友達の一人はド田舎に引っ越してしまい、もうひとりはボーイフレンドができて、私を誘う代わりに彼と出かけるようになったからである。
彼女は 「コベントガーデン 友の会」のメンバーで、シーズンが始まる前に演目のご案内があり、一般客よりも前に予約が取れるという特典を持っている。めぼしいのを選んで私に声をかけてくれていたのだが、最近は彼をお供にしていている。
ま、結構なことである。友達としては喜んであげたい。ただし、彼はあまり嬉しそうではないらしい。長いしね、オペラ。
今回のプリ・シアター・ミールはなんとカレー屋だ。今までもよく、安中華、安イタめし等を食べてから出かけていったが、10ポンドというセットメニューであった。
後で大変なことになるとも知らずに・・・。
久しぶりのロイヤル・オペラ・ハウス。もちろん上の方の安い席だ。
このあたりの席でも37ポンド。なんだか値上がりしてるなあ。原油価格のせいかしらん。
見回すとゲイのカップルがものすごく多い。
女の二人連れは 「ただの友達」という感じだが、男の二人連れは 「いかにも」のカップルだ。
幕が開くまで 「どちらが男役で、どちらが女役か。また、そう思った理由を述べよ」というゲームをして過ごした。
裕福そうなおじさんとサロンのマダムのような奥方が隣に座った。
「この人たち、常連さんよ。よく見かけるもん」と友達。
奥方はとても素人さんには見えない格好である。凝った雰囲気のドレス、どでかい指輪はパコンと蓋が開くような造りで、かのメディチ家秘伝の毒薬が仕込んであるような感じ。鉱山から掘り出したばかりの原石のようなネックレスは総重量が3キロはありそう。極めつけは直径7センチばかりの 「額飾り」
「額飾り」なんか着けて外を出歩いている人、生まれて初めて見た。
肩の凝り、指の凝り、額の凝り、が心配になるような着飾り方である。
「画廊の女主人」「宝石デザイナー」「ダンススクールの経営者」といった芸術方面のお仕事と見受けられる。 「税理士」「パン屋」「なまず養殖業」といった雰囲気ではない。
「ドン・カルロ」が始まった。スペインの王子と父王の後妻となった女の悲劇・・・に集中できない。というのも、脳天を打つような強烈な香水が漂うせいだ。その元は隣のマダム。なんだかデパートの化粧品売り場で深呼吸をしているような気分。
・・・が、そういう私もカレー屋経由でオペラハウスに来た身。
(隣の東洋人の女、滅茶苦茶、カレー臭いしー)とマダムも思っているかもしれない。
香水 vs カレー。 迷惑度としては同等か?
さて、3幕目のこと。胃が鳴った。
しかも、 「クー、グルルー、キュルルルー」という、いかにも 「胃が鳴ってます」という音なら良かったのだが、カレーのせいか、
「バフッ、ボッスーン、パスー」といった、まるで XXX のような音だ。
隣の香水マダムが身を硬くするのがわかった。まずい。もしかして、私が XXX をしたと思っているのでは?
(この東洋人の女。カレー臭いだけでは飽き足らず、XXX まで・・・)
違う、違うのよ! 私は XXX なんかしていません! 舞台の上のソプラノのように叫びたい気分だった。が、誤解を解こうにもオペラ中に私語は禁止。
濡れ衣を晴らせぬわが身の不幸に嘆き悲しむ、オペラ座の夜であった。無念。
投稿者 lib : July 3, 2008 12:34 PM