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April 14, 2010
ストーンヘンジ
ストーンヘンジに行ってきた。
在英10数年をして初めてのストーンヘンジ訪問である。 一度、行ってみたいと思っていたもののチャンスがなかったのだ。
日本にいたときには、外人の友達に頼まれて、くりかえし浅草や金閣寺に連れて行った。 イギリスでは、日本からの友人、親戚、うちの会社にロンドン出張してくるビジネスマンを連れ、ロンドン塔、ロンドン・アイ、マダムタッソーのわら人形館、じゃなくて、ろう人形館でした、に何度も案内させられている。
ストーンヘンジも希望訪問地として人気が高いが、何せ交通の便が悪い。 公共交通機関で行けなくもないとはいえ、乗換えが面倒だ。 旅行社主催の観光バスも勧めたが、イギリスに無料ガイド(注:私のことだ)がいると、わざわざ、お金を払って観光バスに乗る気にはならないらしい。
車で行くのが一番だが、私は運転ができない。 いや、免許はあるのだが、運転能力の著しい欠如が誰の目にも明らかなため、危険な行為として自戒している。
今回、また日本の親戚が来て、ストーンヘンジに行きたいという。 と、話の流れで友人から「連れてってあげるよ」 とのお言葉。 やったー。じゃ、私も一緒に。
イースター休暇にドライブという交通渋滞必至の無謀な計画だが、イギリス中、天気が悪いという予報で、遊びに行くのを控えた人が多かったのだろう。 道路はガラガラだ。 ロンドンから2時間足らずという近郊にありながら、初めてのストーンヘンジにわくわくする。
親戚の子はイギリスの田園風景に興奮している。
「わー、丘だ、草原だ、馬もいる。 あ、羊だ、羊がいる。羊だよー」
そういえば、私もイギリスに来て間もない頃、草原に羊が草をはむのを見て、 (羊だ、珍しー)と思ってたな。 草原に羊や馬がいるって、日本ではそう見られない風景だもんね。
「そうだ、明日はラムのローストディナーよ」と言ったら、いやな顔をしていたが。
さて、着いた。 ストーンヘンジと初めてのご対面だ。
横殴りの雨の中、広々とした草原にそそり立つ神聖なるストーンヘンジは、
・・・思ったより、小さい。
もっとドーンと大規模なものを期待していたのだが。 でも、最大の石は45トンもあり、トラックもクレーンもなかった時代に、これだけの大きさの石をウェールズから運び込み、積みあげている。やっとの思いで、これを建造し、そのあげくに、
「えー、思ったほど、大きくないじゃん」なんて言われたくないだろうな。
解説をしてくれるオーディオテープを借りた。
「なぜ、何100年もかけて、建設したのでしょうか? そして、何度も改修工事を行ったのでしょうか?」
わかる、わかる。 イギリスでは何を修理するにも、建設するにも異常に時間がかかり、無計画に何度もやり直すのよね。 2000年のミレニアム記念にロンドン・アイを作ったときも、元旦に間に合わなかったという、みっともない例もあるし。 ストーンヘンジ建設に数100年かかったのは、イギリスでは伝統的に工事が遅いという歴史的証明だ。 ロンドン・オリンピックのスタジアムも間に合うのか疑問である。
「どうやって、石を運んだのでしょうか? 謎です」
「建設の目的は何だったのでしょうか? 謎です」
「なぜ、建設を中止したのでしょうか? 謎です」
すべてが謎で終わるミステリアスな説明テープであった。
ま、人間の行動なんて説明がつかないものだ。 だって、ロンドンから2時間もかけ、たかが石を見るために、6ポンド90の入場料まで払っている私たちの行動だって、いったい何の意味があるのか? ただの石だよ、石。 ちょっと大きいけど。 (ついでに日本語のガイドブックも買いました。 こちらは4ポンド99)
天文台としての役目とか、宗教行事の祭壇というのが有力な説らしいが、
「作りたかっただけ。 だって、かっこいいと思ったから」 なんて、簡単な理由かもしれない。 当初は目的があったかもしれないが、100年たち、工事人も世代交代をしている内に、「何のために作っているのかはわからないけど、昔からこの地域の公共工事だから続けている。予算もずっと計上されてるし・・・」なんてね。
投稿者 lib : April 14, 2010 10:54 AM
コメント
す、すみません。
大笑いしてしまいました。
昔から公共工事に関してはのんびりした国だったんですね。
次回の渡英の際はぜひ
ストーンヘンジへ行ってみます。
投稿者 kaori : April 15, 2010 04:26 AM
我が家のガスボイラーは、2009年6月23日より、某大手ガス会社が修理に来ております。10月くらいまでに、23回来たところまでは数えましたが、今となっては修理訪問数は不明です。 微妙に動いてはいますが、微妙に快調でもない我が家のボイラー。 長期間かかったくせに、中途半端で建設が完了していないストーンヘンジ、なぜか親近感があります。この話はまた今度。
投稿者 十貴川 洋子 : April 20, 2010 02:19 PM
ロンドン・アイ、元旦に間に合わなかったんですね~。 知りませんでした。 英国らしいあらまあ~、おやまあ~、エピソードですね。
私がストーンヘンジに行った時も、横殴りの雨で、さ、寒かったです。寒かったことを一番よく覚えております。
投稿者 ひろみ : April 23, 2010 08:06 PM
イギリスの工事関係スキャンダルはたくさんありますね。 女王の馬車用に作った門が小さすぎて、他に追いやられた(マーブルアーチ)地下鉄のトンネルの形と地下鉄の車両の形が合わなかった、とか。 建物もろくに作れなくても、大英帝国を完成させたイギリス。 匠の国民、日本人の想像を越えたイギリスの国民性に腰が抜けます。
投稿者 十貴川 洋子 : May 11, 2010 02:22 PM