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December 21, 2010

イギリスのサービス業 (配達編) その1

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前回、長々と授業料値上げについて語ったが、なぜ選挙権もない一介の外国人の私がそんなに熱くなっているかというと、愛する大英帝国の行く末を危惧し憂いている訳では勿論なく、フェアな競争により選ばれた人達が国や役所や企業の要所についたり、起業したりして、優秀な頭でいろいろ考えてくれれば、イギリスのサービスの質が改善され効率的になり、私も少しは暮らしやすくなるのでは、という極めて私的な理由からである。
もちろん「ウチの息子がオックスフォードに行く機会が奪われたから」とかでもありません。(経済力以前に学力がアレですから)

(素敵なイギリスのサービス業についてはここここをご覧下さい)

1ヶ月程前の話になりますが、また一つそんなイギリスのサービスに接する機会があったのでご報告します。

家の冷蔵庫があまり冷えなくなってしまったので、買い替え時かと新しい冷蔵庫を買おうと思った。

オックスフォードストリートに本店のあるデパート、JLに行き気に入ったモデルがあったのでこれが欲しいと言うと、ネクタイを締めた店員は
「これはメーカーから直接配達することになります・・・・配達日は一番早くて11月19日です」
と言う。

その日は10月の中旬だった。なぜ冷蔵庫1つ届けてもらうのに1ヶ月もかかるのか謎だが、ここはイギリス、1ヶ月かかると言われれば1ヶ月かかる。現役の冷蔵庫が全く壊れてしまった訳ではないので了解した。
配達の際に、古い冷蔵庫を引き取ってもらう事も確認し、冷蔵庫の代金と引き取り代金をその場で支払った。

それとは別に、愛用しているパソコンも老朽化し、いつ逝ってもおかしくない状態になりつつあった。
こちらも買い替え時かと色々検討した結果、とても気に入ったモデルがあったのでインターネットで注文した。
パソコン関連製品の大手、PCワー○○のサイトだ。
別料金を支払えば配達日を指定できるそうなので、冷蔵庫の届く11月19日に指定した。

イギリスでは「時間指定」と言っても「9時から1時の間」とか4~5時間のタイムスロットは当たり前。
待っている時間は身動きがとれず結構なストレスになるので、冷蔵庫とパソコンの配達日を同日にまとめるのは良いアイデアだと思った。

配達日の前日の11月18日、冷蔵庫のメーカーから連絡があり

「明日、朝7時から11時の間に届けます」

と言われた。

朝7時?随分早いなと思ったが、普段より早起きして冷蔵庫を待った。
途中、息子を9時に学校に送り届けるために家を20分程空けなければならなかった。その間に配達が来たときのために、玄関のベルに「ちょっと外出してます。すぐに戻ります」とポストイットを貼って行った。

イギリスでは配達の際、家が留守なら待ってくれるなんてことはありえない。「約束通りに来たのにお前がいなかった」と次回の配達をまた1ヶ月先にされかねない。家を空けている間は気が気でなく、急いで戻ったが配達はまだのようだった。

結局4時間半が経過し、冷蔵庫が届いたのは11時半だった。タイムスロットを30分遅れたが、まあそれでも約束通り配達されたのだから良かったと思った。

しかし配達の兄ちゃん二人は、いきなり冷蔵庫をキッチンに運び込もうとしている。

「古い冷蔵庫がキッチンにあるから、それをまず外に運んでからの方がいいと思うけど」

と親切のつもりでアドバイスすると、

「古い冷蔵庫?聞いてないな」

と言う。

「冷蔵庫を買ったとき、回収も頼んだのだけど」

「聞いていない。冷蔵庫を配達する様に頼まれただけだ」

の一点張りだ。

「ちょっと待って。JLに確認するから」

電話をとろうとする私に兄ちゃんは

「JL?JLには何の関係もないよ。」

と言い放った。

私はJLで冷蔵庫を買い、その冷蔵庫を兄ちゃんは届けているのだから、JLが「何の関係もない」筈はないのだが、私とJLと配達の兄ちゃんの関係を図で表すと、

私    →     JL   →      メーカー   →    配達会社   →  兄ちゃん
  冷蔵庫を注文     冷蔵庫を注文      配達を注文       配達を注文

という事になる。(おそらく兄ちゃんは配達会社の社員ではなく、契約で働いている)

この関係図のどこかで連絡ミスが起きた事は明白であり、日本人なら、瞬時に関係を遡って考えるのが普通だ。しかしイギリスでは自分と、自分に業務命令した人の関係までしか考えられない人が多い(この場合は 配達会社 → 兄ちゃん)
                                 
「でも、JLに確かに引き取りも頼んでお金も払ったの。レシートもあるよ。ちょっと待って、電話すればはっきりするから」

「JLには何の関係もないんだよ。この後も何件も配達が入っていて俺は忙しいんだ。冷蔵庫を置いていって欲しいのか欲しくないのか。YOU MUST MAKE A DECISION NOW.」

思い切り迷惑そうな顔をされ、これはまた随分と大きく出られた。

朝の7時から4時間半も待たされた挙句、店に電話する時間も与えられず、配達人に「冷蔵庫が欲しいのか、欲しくないのか、さあ、さあ、さあ」と決断をせまられる消費者の私。

JLに電話したところで、「開店時間のお問い合わせは1、商品についてのお問い合わせは2をお選びください・・・・」と録音テープに従い、空しく何十分も呼び出し音を聞かされた後、「オペレーターは現在大変込み合っております、後でお掛け直しください」と言われるのが関の山である。

奇跡的にオペレーターと話せたとしても、たらい回しにされるのは目に見えている。

JLに電話をかけたとしても、超多忙(らしい)配達兄ちゃんの迷惑にならない程度の短時間で問題が解決する訳がない事は在英12年の経験から火を見るより明らかだ。

兄ちゃんが、「JLと俺は何の関係もない」と信じているのなら、それ以上議論をしても無駄なだけだろう。(確かにJLと配達人とは契約関係はないだろうから、厳密に言えば兄ちゃんの言っていることは正しいとも言える)

しかたない。私は戦略を変えた。

「じゃあさ、お金は払うから、せめて玄関先にまで古い冷蔵庫を運んでくれないかしら。」

古い冷蔵庫があった場所に新しい冷蔵庫が入るわけで、新しい冷蔵庫の入った後は古い冷蔵庫の置き場所など我が家にはない。とりあえず家の外に運び出してもらわなくては。

我が家のフラットは1階(日本で言う2階)なので、冷蔵庫を運ぶ階段の上り下りはプロに頼むしかない。

しかし兄ちゃんは
「仕事で怪我をしたときの保険が、冷蔵庫を運び入れるときしかカバーしないんだ。」

とつれない。まあこれは理解できる。イギリスの保険屋も難癖つけてそりゃー払わないからな。

お情けでキッチンを出たところの廊下までは古い冷蔵庫を運んでもらい、配達人達はそのまま去った。

古い冷蔵庫は持って行ってもらえなかったが、少なくとも新しい冷蔵庫は手に入った。
気をとりなおして、次はパソコンを待たなければ。

パソコンは無事に届くのか?! つづきます

投稿者 lib : December 21, 2010 01:29 AM

コメント

はじめまして。

JLとは、緑に白字のデパートでしょうか。
だったら、絶対苦情を言ってください。
イギリスでは珍しくお客様々な会社です。

今までJLに苦情を入れて、何らかの保障がなかったことは一度もないです。
まあ、最終的にはお金がかからなかったみたいなので、丁寧な謝罪で終わりかもしれませんが。

投稿者 JLS : January 8, 2011 01:07 PM

はい、JLは白地に緑のデパートです。
一般的にはJLは評判いいんですよねー。でもなぜか私はヘンな経験が多くて。相性が悪いんですかね。

あの後、電話を入れてオペレーターに事情を伝えて、担当者から折り返しかかってきたのはいいけれど、
”Yes, we have not arranged any disposable service, sorry for any inconvenience"

とだけメッセージが入っていて、目が二度点になりました。(だからどうするんだよ、って聞いているのに)
まあ最終的には引き取りに来てくれましたけどね(当たり前だっ)


投稿者 子育てママ : January 25, 2011 07:52 PM

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