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September 30, 2008

Border Agency

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以前本ブログで、外国人労働者のUK受け入れ審査に関して多少文句
を書いた。即ち、労働者本人だけではなく、雇用する企業側を審査し、
合格した企業にはそれなりの便宜を、というものであった。

実にその監査を今週受けた。UKでは今年11月から、 Work Permitと
いう長年続いてきた外国人労働許可のしくみが無くなり、代わりに
Point Base System という新しいシステムが登場する。このシステム
では、雇用主側の企業をより厳しく審査することとなった。企業は申
請書と各種証明を提出し、書類審査を経て、実際に審査官の訪問をう
ける。担当は UK Border Agency という、なかなか、いかつい名前の
政府機関だ。審査の結果は、A、B、失格という3つのクラスに分け
られ、Aは花丸、Bは要改善、失格はバツ。Aか、少なくともBを取
らねば、 11月からはEU圏以外からの人材を雇用することができなく
なる。日系企業顧客からの売上が殆どを占める当社にとって、良質な
日本人技術者の確保は生命線である。早速、手続きを進めてみた。

こうした審査には妙に気合が入る。コンサルを雇うという手もあるが、
一度は全て自力でやってみないと、その後、後進にやって見せること
が出来ない、などという大層なものではなく、どうも単に自分でやっ
てみたいという欲求が強いらしい。近頃は引退したが、従来のWork
Permitも最初の数年間は自身で雇用広告を出して、申請し、許可書を
貰ってきた。今度も社員の皆さんの力を借りながら自分で準備した。
審査官は帰り際に小声で当社のHR(人事)システムを褒めてくれた。
最終結果は数週間後にならないと分からぬので、ぬか喜びは控えよう。

合格した企業に便宜、とまでは行かないが、お墨付きが付くというこ
とで、この新しい制度は歓迎する。腕に自慢のIT技術者の皆さん、
当社の仲間達がお待ちしています。こんな宣伝していいのかしらん。

最近、社員数が30名を超えた。ひとつの目標としてきたことなので、
多少の喜びは隠せない。同時に、このサイズはひとつの壁であること
を理解しているつもりである。壁を越えるには知恵が必要だ。これも
我ら自力でやるしかない。

投稿者 lib : 10:04 PM | コメント (1)

September 25, 2008

珍入者

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今日は闖入者ならぬ珍入者について。

授業をしていると度々クラスに人が訪ねて来ることがあります。

教室に椅子が足りないといって借りに来る生徒、授業をさぼった前歴がある子の出欠をチェックしに来るスタッフ、教室においてある教材を取りにくる先生、、、。

でも、今日の訪問者は一味違いました。

それは7年生の授業中の出来事。

今日の課題の説明をしていると、窓際に座っている生徒が困った顔で「先生!」と助けを求めてきました。

なんと、床に「巨大な」蜘蛛がいるというではありませんか。

それを聞いた他の子の顔が引きつります。

実物が見えない私はまた生徒が大げさに「巨大」なんて言ってるんだなと思い、「蜘蛛は噛み付かないし、何にも悪いことしないよ。授業に集中しましょう」と生徒の意識を授業に戻そうとしました。

でも、蜘蛛の真隣りに座っている生徒は床に足を付けることすら怖くて出来ません。

「え、そんなに大きいの?」と思い、実際見てみたら、、、確かに大きい。全長3センチ以上あるでしょうか。

私もひとりで自宅で遭遇していたら驚いて叫びそうなサイズでした。

子供たちが何とかしてくれという顔で私を見つめます、、、!

これが9年生だったらここぞとばかり騒ぎ立てることでしょう(ほんと、一度、蜂が教室に入ってきて大騒ぎになったことが、、、)。

でも、まだまだ学校に慣れない7年生たちはどう反応すればいいのかも分からず、かといって授業に集中することも出来ず、固まってます(苦笑)。

こうなったら、私も躊躇う気持ちを押し殺してなんとか蜘蛛に退場してもらうしかありません。

実は、私、蜘蛛が苦手です。家にも場所柄、数匹入ってくることがありますが、いつも目撃してしまうと数秒固まります。

「蜘蛛を殺してはいけない」という親からの教えでゴキブリみたいに叩いて殺せない私(それに蜘蛛は虫を採ってくれますしね)。

そんな私がとった行動。机にあったA4サイズの紙を手に持ち、蜘蛛のいる列に座っている生徒全員に退避を促しました。

そして、おもむろに蜘蛛と対峙(内心どきどき)。

手に持った紙で内心「頼むから手に乗ってこないでー、あんまり動かないでおくれー」と叫びながら蜘蛛をすくう作戦に出ました。

でも蜘蛛はすばしっこいのでなかなか乗ってくれません。私の足の周りを逃げ回る、逃げ回る(涙)周りの生徒も失敗するたびに「あーーーーっ」と半ば恐怖の声を上げて反応。

4回目くらい試みてやっと乗ってくれました。火事場のクソ力ならぬクソ根性全開にしてそのまますかさず、窓からぽいっ(ごめんね)。

その直後に生徒から「わぁぁぁ」という歓声(そして安堵の声)。

うーん、不思議と教師という立場にいると人は恐怖に勝てるんですねぇ。全然誇るようなことじゃないくせにちょっと誇らしい気持ちになってしまった私。

それにしてもあの場で一番怖かったのはきっと、あの蜘蛛本人だったことでしょう(笑)なにせ30人もの(蜘蛛から見たら)巨大な生徒があんな小さな小さな生き物を見つめていたわけですから。

果たしてこれが巨大ゴキブリだったら私は同じことが出来ていたのか、、、。ゴキブリの滅多にいない国にいて良かったと心底思う私です。

投稿者 lib : 11:04 PM | コメント (0)

September 19, 2008

ハラハラドキドキ。

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新学期が始まって3週間目も終わりに近づきました。

私の「天敵」である「採点」作業はまだほとんどありませんが、授業計画、教材作りにかなり追われている毎日です。

なにせ、今年は7年生から新しい学習指導要領が導入されて、より「学ぶためのスキル向上」に焦点を当てた、より「子供が授業内の活動の中心となる」ような授業作りが推進されているため、授業で子供に与える課題、そのための教材も工夫がなされたものでなくてはいけないのです。

一昔前ならイギリスでも教科書や情報を載せたプリントを使う授業があったようですが、歴史教育の現場、特に私の学校ではそういうものから離れて授業をおこなう傾向が強いです。

また、新しい指導要領では教科間の垣根をなくして幅広い知識とスキルを身につけさせようという考えが根底にあり、歴史を学びながら地理、宗教などの同じ人文学系の科目のみならず、英語、美術など他の分野との関連性を強調した授業案作りがおこなわれています。

私も今年は学科主任として7年生の学習指導案を書いているわけですが、何か新しいことを始めようと思い、同僚の地理教師であるEと一緒に歴史科と地理科の共同プロジェクトとして7レッスンを一緒に計画しました。

テーマは「自分のルーツ探し、そして自分の生活基盤である地域を知る」。具体的には自分史を書くところからスタートし、私の学校のある東ロンドンの過去、現在、未来について学び考えようというテーマで、歴史の授業では特にユグノー、ユダヤ人、ベンガル人など、その時代時代でBrick Laneという場所に移り住んできた移民たちの歴史や、現在再開発が進んだDocklandsの過去、Dock(造船所、波止場)の過去、重要性などを考えさせるというもの。

同僚Eが担当する地理では、歴史でカバーした内容をふまえて、今、移民の街だったBrick Lane一帯がどうなっているか、昔工業地帯、船着場としてにぎわっていたDocklandsが今、どのようになったのか、なぜ変わったのかに焦点にあて、その上でその両地域のこれからを考えるという内容で授業をおこなうことにしました。

なおかつ実際に両方の地域を生徒が実際に訪れるというFieldwork(現場訪問)も加えたのですが、この計画、実行のための手続きがなかなかの大作業。

まずは人文学部の主任である同僚Oへの打診のために大体の構想をまとめて文書作り。今年は歴史、地理、両教科ともに4-5名の教師が7年生の授業を教えているため、それぞれの先生が何月何日に、何時から何時まで生徒を連れて行くのかを全てチェックする作業からはじまりました。

それから現地までの行き帰りにかかる時間の想定、現地到着後の課題の計画、教材作り、そして実際うまくいくか確かめるために放課後にTest drive(試乗運転)ならぬTest Tripをおこなうなど、ここ数週間はこの諸々の作業でへとへとでした。

それでも、私も同僚Eも作りたい授業のビジョンが似ていて、一緒に働いていても苦にならず、彼女もどんどんアイディアを出していってくれたので、教材を作り上げる作業は大変やりがいのあるものでした。

さて、ここまでやっても校長から最終的に実行してもよいという許可が下りなければ駄目なのですが、学校もこういった教科間同士の連携を奨励しているわけですからNoとは言えまいと信じています(でも、内心かなり心配しています)。

実行まであと二週間ちょっと。成功するのか、計画に携わらなかった先生たちにも明確にFieldtripの内容を伝えられるか、そしてそれをしっかり実行してもらえるか。生徒たちは学ぶ喜びを見出してくれるか。今から心配はつきません。

でも、例え大成功に終わらないとしてもこれだけ時間をかけて準備したのですから後悔はない、そう大胆にも思っている私です。

結果はそのうちまたブログでお伝えしたいと思います。

投稿者 lib : 07:39 AM | コメント (0)

September 17, 2008

クリスマスとホリデーとスーパーマーケット

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最近は、ダイエットにでもなれば、また夫婦の絆?を深めるためにと、我々は夜の散歩が習慣になっている。近所といっても、歩いて20分にある大きなスーパーが24時間開いているので、大概はそこへ向かう。不足した物を買い足したり、普段は見ない売り場を探検したり、それは結構おもしろい時間を過ごしている。
そう、いつものように探検しているとパン売り場に変化があった。なんで??と見渡すと、そこにはおびただしいクリスマスのケーキやパントーネなどの食べ物が並べてあった。9月中旬にクリスマス商品ですよ!? 驚きです。
今から誰が買うのかと思うだが、これもしっかり者のスーパーでは、リサーチされているのだろうから、ビジネスとして当然の時期なのだろう。
英国のスーパーと言えば、悪評が高い。何て言ったって、その店舗数の多さを見ても販売力はすごい。だから、ウチのスーパーに置きたいならね、、、、といろいろ注文を付けるらしい。 商品をスーパーに卸している人が教えてくれたが、よくあるBuy one get one free !! (1個買うと1個無料)などは、スーパーからメーカーへの圧力で実現している企画だそうだ。年にどのくらいこのようなプロモーションができるかによって、販売スペースが獲保できるという仕組み。だから小さい企業は大変だよね。まあ、お客に取ってはお得感がある嬉しい企画ですので、どんどんしてほしいですが。
しかし、お客もしっかりしないといけない事がある。それは、offの価格に惑わされてはいけない。このoff、前日に比べて安ければ使用できる言葉だそうで、例えば通常は82ペンスで売られている物が、ある時、約2週間90ペンスで販売された。その後「この商品はただいま20%offの82ペンスです。お買い得ですよ!!」とする事はなんら問題ないそうだ。たしかに安くなっているからね。
しかし、間の悪い2週間にその商品を購入したとしたら、アホな消費者になってしましますので、ご注意を。

さて、この国は9月からクリスマス商品が売られているけど、各家庭では今年のクリスマスの過ごし方をどうするのかという話は、すでに終わっているだろう。我が家では、8月頃に話が決まった。毎年義理ママの家に行くのだが、今年は義妹の家に集合となった。そして飛行機のチケットの手配と、ここでもクリスマスために出費が始まっている。そして、クリスマスが終わると、いやクリスマスの間の話題の1つは、今度の夏はどうするの?とホリデーの話になる。そう、この国では2つの大事な事(クリスマスとホリデー)さえ抑えておけばいい。

世間では、クリスマスが始まっているのに、我々はやっと夏休みを取ります。(こんなに寒いと“夏”という言葉が合わないぞー!!)ということで、次回のブログはお休みをさせてください。

投稿者 lib : 05:54 PM | コメント (0)

September 12, 2008

コーンビーフよ、さようなら。

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今回のキーワードである「コーンビーフ」、実は私にとってはこの学校で働き始めてから起こった様々な出来事のなかでも忘れられない記憶を呼び起こすモノです。

私の学校、教員も利用できる生徒用の食堂があるのですが、我々が利用することは滅多にありません。なにせ、お昼時は忙しいので生徒と一緒に列に並んでお昼を買って、一緒に座って食べる余裕がありません。

そのため、大抵のスタッフは自分で家からお昼を持ってくるか、外のお店に買いに行くか、スタッフルームで売られているサンドイッチなどの軽食類を買って食べています。

私は朝に弱い性質でして、朝起きてサンドイッチやおにぎりを作ることが一年に数回あれば良いほう。

外に買いに行くのも面倒な私は、いつもはスタッフルームでサンドイッチやサラダを買うことがほとんどです。

ですが、そのサンドイッチ、とってもイケてません(笑)

巷のカフェのサンドイッチの味が私が7年前に始めてロンドンに来た頃と比べると格段に向上したように思える昨今、私の学校のサンドイッチは時代を逆流するかのような代物です。

使ってあるパンも耳が異様に硬い、お世辞にも美味しくないものなのですが、特にサンドイッチの中身がすごい、、、。

4年前に初めて見たときはそのラインナップを見てかなり引きました。

ツナマヨとコーン、ツナマヨとキュウリ、ハムとサラダ、、、とこのへんは至って普通(でも味は普通以下)なのですが—

チーズとサラダ。

まぁ、ベジタリアンの人は食べたいかもね。でも、なんでチーズがピザ用のみたいに細かく切ってあるわけ?

サラダだけ。

、、、えっと、ダイエット中だったらいいかも?

ソーセージとケチャップ。

ボ、ボリュームを求めている人にはいいのかな?でも、冷たいソーセージって、、、。

そして、

コーンビーフとオニオン。

えっ?

サンドイッチにコーンビーフ?

しかもオニオンは薄いスライスではなく、かなり大雑把に切っていかにも水にさらしてなさそうな生オニオン。

コーンビーフも味付けしてあるわけでなく、缶詰からそのままGO!といった感じ。

そんなサンドイッチ、見たことの無かった私には衝撃でした。

そしてある日、お昼ご飯を買いそびれていて、昼休みの最後のほうになってからスタッフルームへ行ってみると、食べ物はほとんど売り切れ状態。

そこにぽつりと残されたサンドイッチが目に入り、(大げさではなく)祈るような気持ちで中身を確かめるとそれは、、、

コーンビーフとオニオン。

「物は試し。お昼食べないよりはまし!」

と、そのサンドイッチを買いました。

そして、すぐに激しく後悔。

コーンビーフはぽそぽそ(あたりまえですが)、オニオンはからいはオニオンくさいは、そして胃にもたれるはで泣きそうでした。

特に水にさらしていない生のオニオンがあんなに強烈であったとは。

一生懸命うがいを試みたものの、あのオニオン臭さは口の中に強烈に残りました。それは今でも記憶と嗅覚に焼きついているほど。誰も何も言わなかったけど、あの時の私は相当オニオン臭かったに違いありません。

、、、となると一番の被害者はあの後、私の授業を受けた生徒たち。ごめんなさい。

さて、そんなコーンビーフ事件から数年たち、何と今学期からあの恐ろしいサンドイッチ達とさようならをすることが出来ました。

何とあまりの評判の悪さに痺れを切らした用務員のおじさんたちが、新しいサンドイッチ売りの女性を学校に招いて、その彼女が新鮮なパンと中身でその場でサンドイッチを作ってくれるようになったのです。

あぁ、学校でこんなに美味しいサンドイッチを食べれるようになるなんて。

コーンビーフ&オニオンよ、永遠にさようなら!

投稿者 lib : 01:14 AM | コメント (2)

September 11, 2008

The Exorcist

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映画をボーっと見るのは好きだ。最新のものはまず見ない。DVDにな
って随分経ってから手を出す。フラガールズは最近見て泣いた。酒席
でたまたま映画の話になり、言いたい俳優さんの名前を思い出せなく
て胸が苦しく、その他のことは考えたくなく話題から一人離れてワイ
ンをちびちび考え込み、急に思い出して顔を明るくし酒席を一瞬沈黙
に陥れるようなことが、年に一度位あるかもしれない。

オカルト映画も好きなほうであろう。ただし映像の汚くないやつが良
い。一番好きなのは名作エクソシストで、今でも年に2,3度は見る。
これは汚いシーンも出てくるが、イントロが素晴らしく、ストーリー
はシンプルながら十分引き込むし、エンディングの余韻も素晴らしい。
35年も前の映画なので若い人は知らぬだろうが、単なる怖い映画で
はないのでお勧め。そういえば、数ヶ月前、瀕死のアリタリア航空
(イタリアのフラグキャリア)のCEOが、組合との交渉が決裂となり、
「この会社を救えるのはエクソシストしかいない」と捨て台詞を残し
て辞任した。日本のフラグキャリアも経営が大変そうだが、「イタコ
しかいない」などとならぬよう頑張って欲しい。

数年前にリングという映画が流行った。僕は米国版の映画を最初に見
たが、これは面白かった。ついでに小説を読んだら、これも面白かっ
たが、気をよくして2作目3作目と読んだら腹が立った。その後、日
本版の映画を見たら、こちらはまあまあだが、主演の松嶋さんは、ち
いとハマッてなかったかも。

最近、物に触れることなしに、気合でもって動かしてみようと思い始
めた。ゴーストという映画があったが、成仏できない仏が練習して空
き缶を蹴れる様になるというあれだ。テーブルの上のアップルとか、
床の上のスピーカーとか、勿論、動かなかった。練習を続けた。そし
て3晩目に突然動いた。何度か失敗するが動く。こうして今では、水
月に力を貯めてエイッ、確実に10センチ程動かせるようになった。
これは大変気持ちがよく楽しい。

無論、夢の中の話である。なぜ最近になって、このような無駄な努力
を夢の中で開始したものか、本人にも一向に分からぬ。そろそろヤキ
が回ってきたということか。読者の皆様で、このような訳の分からぬ
夢を見る方がいらしたら、是非ご一報頂き枕を高くして眠りたいと思
う。

投稿者 lib : 06:31 AM | コメント (0)

September 09, 2008

社会勉強と言えばそうですが、、、。(2)(COCO)

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レスキューに来てくれたオジさんは、ボンネットを開けて水を足した。
「よくあるのは、空気が入ってしまってうまく水が廻らない事があるからね。」といい、
エンジンをかけ、アクセルを踏んで、水温計の上がるのを眺めていた。
そして、「問題ない。このまま運転できるよ。」と言った。
我々は、なんだか納得がいかないが、プロがいうのだから、ということで
エンジンをかけ、我が家へと走り出した。
たった5分の修理のために、我々が待っていた1時間半は何だったのだろうか?

それから10分程走っていたら、水温計が上がり始めた。
どんどん上がっている。また同じ現象が起きているではないか。
ヤバい!!ああ、また赤く点滅し始めた。すばやく車を端に寄せ、車を止めた。
さっきのレスキューがまだ近くにいるだろうからと、レスキュー会社に電話をした。
すると夜の12時を過ぎているせいか、誰も電話にでてくれない。
まさか、営業時間が終わった??いやいや、そんなことはない。24時間のサービスだから、と心を沈めて、しばらく電話を鳴らしていたら、やっと出てくれた。そして、事情を話し、さっきのレスキューが近くにいるだろうから、こんまま車を自宅迄、運んでくれるとように頼んだ。
するとあのオジさんは、次なる場所へ向かってしまったので、別な車を出すと言われた。
ああ、また待つのか。
私は、急に疲れが出て来たので、シートを倒してちょっと眠ってしまった。
レスキューはまだこない。1時間も経っているのにまだこない。再び電話をすると「ちょっと時間がかかっている。代替えの車を出すから、君たちはそれに乗って家に帰らないかい?我々は、君たちの車をクロイドンのガレージに持って行き、修理をするよ」とオッファーをしてきた。クロイドン、そこは我が家とは反対の南。それも遠い。すぐに帰れる代車は魅力的だが、その代わりに遠い南へ車を取りに行くのは嫌だ。ダーリンは「いや、我々は自宅に送り届けてほしい。」ときっぱりと言った。よし、よく言った。なかなかいいぞ。
しかし、ちょっと待って。こんなことを今頃聞いてくるなんて、もしかしたら、我々のレスキュー車はまだこっちに向かっていないのでは?? あーあ、またまた待ちの試練っていうこと??

こんな時に心配な事がある。それはトイレだ。私はトイレが近い。
自慢ではないが、ロンドンのセンターでトイレに行きたくなったら、大概何処にいけばいいか、慌てなくてもいいぐらいトイレの場所に精通している。
しかし、今は夜中で知らない街にいる。日本みたいに24時間やっているファミレスやコンビニもないし、ガソリンスタンドは、危ないから人を店の中にいれずに、窓口だけで営業している。
実は、レスキューを待っていたこの1時間半の間、パブを見つけ2回ほどトイレを拝借していた。
あれからもうすでに1時間が過ぎている。 考えるとさらにトイレに行きたくなる。それに今日は友人宅でお酒を飲んで来ている。うーん。どうしよう。
この周りには、ミニキャブ屋とテイクアウトの店しか見えない。
うーん。こんなときは、どうするべきか。
男は何処でもできていいなーと真剣にうらやましいと思った。

酔っぱらった人々が立ち寄るテイクアウトの1つのカレー屋をよく見ていると、入って行った客がなかなか出て来ない。もしかしたら、そこは食べるところもあるのかもしれないなーと期待をかけて覗いてみたら、食堂のようにテーブルがあり、奥にトイレを発見した。
すぐさまトイレに直行する私をスタッフがみたので、「あとで買うから」と言いトイレに向かった。
しかし、すでに2人がトイレを待っている。その上酔っぱらっているのでアクションが遅い。
食堂内では、酔っぱらった若者達が、カレーを食べている。そう、飲んだあとにはラーメンを食べるが日本流なら、この国では飲んだあとは、カレーかケバブを食べるのが一般的。その理由は、どちらも遅くまで店が開いているからだろう。
ここで働いている人は、英国に働きに来た若い労働者。一方、酔ってだらしなくなっているのは英国の若者。

私は、用を済ませウキウキしながら、約束したようにコーラ2本を買った。何時迄営業するのか聞いたら、4時までだという。そうか、4時迄なら、またトイレが借りられる。と一安心した。
店を出て車を見ると、やったー。レスキュー車が来ている!!
車に戻り作業をしているレスキューの人を見たら、なんとさっきのオジさんではないか。そうか、きっと彼1人でこの辺を廻っているから、我々のレスキューが遅かったんじゃないの?それと、さっきの代車の件も、彼が遠くなる北へ我々を運ぶのを嫌がっていたのかなーとのいろいろ思い巡ったが、家に帰れると思うと、どうでもよくなっていた。
そして、 車をトラックの荷台に載せ、我々もトラックに乗り込んで出発した。

途中、南の繁華街、クラッパムを通ると、若者が道に溢れ、ファーストフード店やバーが沢山オープンしいて、街がとても明るい。
そうか。ここまで来て、レスキューを待っていればトイレの心配はまったくなかったなーと思いながらも、この実態もこんなことがなければ見なかった光景なんだなー。

家についたのは、午前3時20分。ああ。あのカレー屋もそろそろ店じまいだなー。
このオジさんの勤務は、夜の7時から朝の7時迄と言う。我が家に着く間での1時間、オジさんと我々の間では、あまり会話はなかった。オジさんの年齢ではこの仕事、辛いだろうなーとなんだか同情してしまった。
別れる際に、購入して飲まなかったコーラをあげると、一瞬ちょっと笑顔が見えた。
カレー屋で働く人、カレー屋に来る人、レスキューで働くオジさん、飲み疲れて道で正体不明になっている若者、まだまだ元気と騒いでいる若者。いろんな人々の生活を見た一晩だった。
さんざん待たされたことをもう忘れて、「 今日はいい社会勉強をしたということにしよう。」と言い出したのは、疲れて果てていたダーリンだった。

数日後、レスキュー会社から今回の受けたサービスの調査用紙が送られて来た。その中で、約束した時間にこなかった場合は、10ポンドのバウチャーをくれると書かれていた。我々は一晩で2回、約束以上に待たされたのだから20ポンドのバウチャーがもらえるってこと?
でも、こんなものより、やはりもっと早く来てほしかったな。

投稿者 lib : 07:19 PM | コメント (0)

September 07, 2008

ボイラーの修理

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ボイラーが壊れた。暖房とお湯が我が家から消えた。

もうこの時点で、イギリス在住の方は同情心から目が涙でウルウルしていることであろう。 のんびりと日本にいる人なら、こう言うだろう 「ボイラーが壊れた? 修理すればいいじゃない」 それはもう、「パンがないなら、お菓子をお食べ」という発言にも等しい。この国での庶民の苦労を知らないのだ。

とりあえず先進国と称されるイギリスである。サミットなんかにも堂々と参加しちゃう国だ。飲み水の確保に数キロ先の井戸まで歩かなければならない土地ではないのだ。それなのに、物の修理に関しては国の格付け ZZZ- (S&P) である。

ボイラーはタイマーで作動する。それによって、セントラルヒーティングが入ったり、タンクの水が温められてお湯が使えるというのが私の家の、そしてほとんどのイギリスの家庭のシステムである。ついでに言うと、タンクの湯は日本人なら一回のお風呂で使い切る。で、次に風呂に入る人は1時間くらい待たされる。

ここ数ヶ月、ときどき時間になってもボイラーに点火しないことがあった。しかし、翌日には大丈夫だったりする。 うまく作動しなくなったので、数年前にこのボイラーを設置した配管工のおじさんに電話を入れ、修理に来てもらった。 と、なぜかそのときに限ってボイラーは問題なく動いている。

「ちゃんと作動してるじゃない。修理できないよ」
「今は動いてるけど、調子が悪いから見てくれる?」
おじさんは形だけボイラーのカバーのねじに工具を当てたが、面倒くさいと思ったらしく、
「壊れてないものを直せないよ」と主張。 結局、 ボイラーの外回りをちょっと眺めただけで「訪問検査費」として70ポンドふんだくって、そのまま帰ってしまった。

納得いかないが反論できないまま、数週間が経った。と、今度は完璧に作動しなくなった。
(今度はやる気のないおやじに頼むのはやめよう)と、大手のガス会社に電話を入れる。

イギリスの会社のコールセンターはインドか北イギリスあたりと相場が決まっている。
日頃、 「ガスボイラーの機械的不調」などという 「特殊な状況」を 「英語で説明する」ことは少ない。 おまけに電話の向こうは 「強烈なインドなまりの英語でマニュアルを読むインド人」 か 「強烈な北なまり英語を話す不親切なイギリス人」である。
さすがの私の頭の中にも 「躊躇」という言葉が浮かんだ。 が、ボイラー不調のままで冬を迎えるわけにはいかない。
「夏の間にボイラー点検」などとお気軽な宣伝を新聞でしているが、果たして私の役に立ってくれるのか?

「ボイラーの修理のためにエンジニアを寄こしてくれ」という簡単なメッセージを伝える前に 「ボイラー故障のための保険」の説明を延々と聞かされる。 なんとかそれを振り切った。 で、ハウマッチ?
「エンジニアの訪問は一回で192ポンドです。税金を入れると210ポンド」

脳内の為替機構が一瞬にして、 1ポンド200円として4万2000円という数字をたたき出した。 ボイラーの修理に4万2000円だとー?
「・・・そんなにするの? 新しくボイラーをつけたほうがいいかしら?」
「新しいボイラーは2000ポンド以上しますよ」

2000ポンド = 40万円以上? それで家庭用かい? 
いっそのことボイラー修理を頼まずに自分で見てみようと思った。しかし、
「イギリス在住の日本人女性、ガス爆発死。修理代をケチったため」なんて、新聞の見出しが目に浮かぶ。

「新しいボイラーは必要ありません。ともかくエンジニアを・・・」
と、ここでまたオペレーターが 「ボイラー故障のための保険」の売込みを始めた。
「エンジニアが直した後は12ヶ月の保証期間があるけど、また、壊れたときには210ポンドかかります。保険に入っていたほうがいいですよ」
「ボイラー修理から12ヶ月以降ね?」
「いいえ、12ヶ月以内でも、210ポンドかかりますよ」
「・・・? 12ヶ月の保証期間はあるのよね?」
「はい」
「でも、12ヶ月以内でもエンジニアを頼むと210ポンドかかるの?」
「はい」
―――それでは保証期間とは呼べないのでは?
「保険はいくらですか?」
「1ヶ月39ポンドです」 
                            続く

投稿者 lib : 06:15 PM | コメント (2)

September 05, 2008

Humid

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前々回の東京出張時に一人の社員が本社を去って行った。前回には、
また別の社員が一人去り、秋葉原では悲惨な殺人事件が起き、内閣は
改造となった。本社では今度の僕の出張時には何事が起こるかと噂し
ていたそうだ。そんなことあるはずが無いだろう、と笑い飛ばしてい
たら、福田内閣がいきなり蒸発してしまった。多少変な気持ちになっ
た。

都内の電車に乗っていると、否応なしに週間XX等の雑誌の派手な宣伝
が、福田総理がどうだ星野ジャパンがこうだと、たくさん目に付く。
僕は星野ジャパンの4位を予想していたので、残念という程ではなかっ
た。TV番組によく出てくる星野さんを何度か見ていたら、メダルは逃
すやろな、と直感した。そのようなことはミニ同居人にさえ伝えてい
なかったので誰も信じてくれないだろうが、この場を借りてとりあえ
ず自慢しておく。しかし、福田さんの蒸発は全く予想できなかった。
雑誌の宣伝は、おぼっちゃまは駄目だとか二世だから無責任だとか書
いている。この蒸発に肩入れする意思は毛頭持たないが、福田さんの
視点からすれば、これだけ支持率が低迷し、リーダーシップ欠如と馬
鹿にされ、折角辞めてやったのに今度は無責任かい、と言いたくなる
かもしれない。いずれにせよ、政治のことは全くわからんが、与党も
野党も、もう少々リアリティを持って仕事をすべきではないかしらん。

東京は9月に入ってもジメジメと不快な気候が続いている。20年前
は真夏でもタイしてジャケット着ていた覚えがあるから、加齢による
弱体化なのか、欧州に長く居すぎた為か、東京の気温が上昇し続けて
きたのか知らぬが、クールビズのお陰でなんとか持ちこたえている。
とは言え、やはりタイが無いと、どうも収まりが悪い。というのは、
タイを締めるべくデザインされているシャツしか持たぬので、どうも
ダサい。僕はおしゃれからは程遠いオヤジだが、これだけはどうにも
しっくりこない。初めてシンガポールに出張した時は意地でタイとジャ
ケットを通した。3日目に頭がふらふらしていたので、これは断念せ
ざるを得なかったが。カラッと乾燥した欧州の空気がそろそろ欲しく
なってきたが、来週早々帰国。

投稿者 lib : 06:07 AM | コメント (0)

5期生

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今日から新学年の授業が始まりました。

月曜からの3日間、様々な授業やプロジェクトの準備でてんてこ舞いになっていたので、結局今日の授業準備をまともに始められたのは昨日帰宅してから。

今日は9年生2クラスと10年生の授業だったのですが、特に10年生の授業はGCSE (The General Certificate of Secondary Educationという資格をもらうための試験コース)のクラスなので生徒たちが歴史への興味を持ちつつ、試験のための知識・技術を向上させることができる内容でなくてはいけません。

はじめの授業でどれくらい生徒を引き込めるかで今後の授業の雰囲気も決まってくるので準備にはかなり力が入りました。

今年の10年生クラスのメンバーのほとんどは7年生の時に私が歴史を教えていた生徒たちでそのうちの半分くらいは9年生までずっと私が受け持っていました。

彼女らの学年は8クラス中7クラス教えていた年もありましたし、私が担任を持つクラスと同じ学年ということもあり、ほとんどの生徒の顔と名前を覚えているという私にとってかなり馴染みの深いグループなのです。

7年生のときはあんなに幼顔だった子たちが本当に成長して、今年からGCSEだなんて、、、時が経つのは本当に早いものですね(どうりで私もこんなに歳をとるはずです)。

それにしてもこの今年歴史を選択した生徒達はしっかりと考える力を持ち、読み書き能力も高い頭の良い子ばかり。8年生、9年生のときはかなりおしゃべりでやんちゃな印象だった子、態度がかなり悪かった子も今日の授業では非常に落ち着いた様子。

選択科目のクラスのために同じ組の友達ばかりに囲まれているわけではないからか、それとも10年生になって精神的に大人になったのか。

とにかく、今日の授業は本当にスムーズに進行し、風刺画の解釈をする課題やディスカッション、その後にしたグループ課題も活気のあるものになりました。

教えているこちらも楽しみながらリズムで授業を進めることができて非常に嬉しかったです。生徒の反応も上々。久々に次の授業が待ち遠しくなるようなそんな達成感を味わいました。

思えば、私がGCSEを教え始めてから丸4年がたったわけで、この新しい10年生達はいわば私の5期生。

これから2年間、あきらめずに最後まで皆に頑張って欲しい、そう願っています。

投稿者 lib : 12:05 AM | コメント (0)

September 02, 2008

社会勉強と言えばそうですが、、、。(COCO)

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 本当に書くネタを提供してくれる英国です。(笑)
先週の土曜日は、天気もよく暑い日でしたね。最後の夏と思い多くの人が楽しんだのではないでしょうか?
我々は、知人のハウスウォーミングパティー(引越先をお披露目するパティー)に出掛けた。
北に住んでいる我々の行き先は南だった。
車を1時間20分程度走らせ、そろそろ着くと思ったら、なんと水温計が上がりだし、赤く点滅し始めた。やばい、これはオーバーヒートでは?
車の運転歴は長い我々だが、これまでに一度もこのような事に遭遇したことがなかったためダーリンも私も勝手が分からない。
運良く到着したので、ドアを開けて知人にそのことを伝えると、「エンジンは切ってはだめだよ。」と言われたが、まったく無知の我々はすでにエンジンを切り、ボンネットを開けていた。
知人は、水を持って出て来てくれたが、まだまだ熱くて何もできない。
「大丈夫だよ。冷める迄、食べて飲んでいればいいよ。」と言われた。
ボンネットを開けたままの車をそのままにしておく事にダーリンは心配顔だ。
「だって、バッテリーが盗まれてしまうかもしれないよ?」という。そう、 先日路上に止めていた車が夜にタイヤを盗まれたようで、「この車は違法駐車ではない。タイヤを盗まれたので、車を移動できないので、駐車違反のチケットを切らないで!!」という貼り紙のついた車を見ていたので、悪い想像しか浮ばない。
知人は、「この辺は治安がいいから、大丈夫。 大丈夫。」という。我々は諦めて家に入った。

 食べて、飲んで、さあ、早めに帰ろうということになった。車に水を補給し、万が一のために予備で水を持って行くように言われたので、それも詰め込み、家路にと向かったのは10時頃だった。
その後、15分ぐらいだろうか、なんだか水温計がまた上がり始めた。
「あ、やばい。赤くなった。」と直ぐに車を止めた。ここでもエンジンを切ってしまった。まったく学習ができない我々。ダーリンは、またボンネットを開けたが何もできずに手をこまねいている。
まったくの車音痴のくせにダーリンが何か触ろうと始めたので、「我々には無理だから、レスキューを呼んで。」となかば怒ったように頼んだ。だって本当に男って、プライドの生き物で、いつも道も聞きたがらないし、何とか自分でしようと挑戦したがる。しかし、もうこれは何かが問題と認識してプロを呼ぶべきなのに、分かっていない、いや分からない男になっている。

 渋々電話するダーリン。我々が入っているのは、グリーンフラッグというちょっとマイナーなレスキュー会社に変えたばかり。というのも、いままでメジャーな会社に加入していたが、使わなかったのにもかかわらず、毎年値上がっているのでということで、ダーリンがこの会社に変えていた。
携帯で電話をすると、まずは今の状況を聞くのではなく、あなたの会員番号は?登録の住所は?電話番号は?車のタイプは?と聞いてから、どうしたのですか?と聞かれた。もちろん交通事故ではないので、緊急性はないのだが、ちょっとイラついた。そう、私は短気なのです。

そのオペレーターがいうには、1時間程度でここにやってくるという。電話を切るとすぐに、携帯にテキストが入り30分程度で到着する。と連絡が来た。
「へぇー、なかなかサービスがしっかりしているね。凄いね。」と私が感心しているとダーリンは「でもね。ここは英国だからね。」と釘を刺した。
案の定、30分たっても誰も来ない。やはり1時間か。と我々は諦めて待っていた。
しかし、1時間たってもこなかった。再度、連絡をすると、向かっている車に連絡をしてくれて、
「近く迄来ております。あと2マイルです。」とのこと。これならあと5分程度でくるだろう。と待っていた。
ところが、こない。15分だってもこない。しかたがなくまた電話すると、またドライバーに聞いてくれて、「途中で何かあったらしく、パトカーが道をふさいでしまったため、迂回しているので、時間を取られていますが、もうすぐです。」という。その後、ドライバーからも電話があり、同じく遅れた理由を説明された。やはりここは英国。待ちの人生だと諦めて待っていた。
電話してから1時間30分後、ようやくレスキューの車がやって来てくれた。でかいトラックだ。ほお、万が一のために車も護送出来るんだ。これなら安心。よかった!!と安堵したのは、夜の12時だった。(つづく)

投稿者 lib : 10:39 PM | コメント (2)

こうもり親子

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このところバタバタしていて、何かと話題になった北京オリンピックの開会式も閉会式もリアルタイムで観る事ができなかったが、友人のmixi日記に閉会式のビデオがリンクされていたので、次回開催地ロンドンへバトンタッチするショーの模様を観ることができた。
見逃した方のために、私もリンク貼っておきます。こちらから。

赤いダブルデッカーを中心に、音とダンスと光によって構成されたショー。
ダブルデッカーの横を、サイクリストが疾走する。(サイクリストの一人が、初めボリス・ジョンソン市長に見えて目をこらしたが違った。ボリス、もうちょっと頑張って自転車こげば良かったのに。)
ダブルデッカーに、いろいろな肌の色をした人が乗り込もうとする。
車椅子の人もいる。子供もいる。
横断歩道を渡る子供を、ロリポップ・レディ(イギリス版緑のおばさん)が手を引いて助ける。

ああ、これがロンドンなんだよなあ。
日本の様に皆が一斉に同じ方向を向いている統一性はないが、それぞれが違う方を見ながらも、身障者や子供に優しい社会。(その分税金は高いけど)
それぞれが好き勝手な格好をし、好き勝手な主張をもつことをゆるされる社会。
(仕事をしていない人も楽しく暮らせるのでその分税金は高いけど)

見慣れたロンドンの風景を客観的に見せられることによって、ロンドンに住み始めたばかりの頃に持った感慨がよみがえってきた。

北京の開会式は観られなかったけど、評判をきくと非常にお金をかけて「非日常」的な世界を創り出したのかな、という気がする。
それに対して「日常」のロンドンをフィーチャーしたこのミニ・ショー、自分もロンドンにいて見ているのに、なんだかとても懐かしい様な気持ちになった。そうか、ロンドンは日常がドラマになる街なのかもしれない。
前回イギリスの悪口を書いた舌の根も乾かぬうちだが、なかなかやるな、とロンドンに住んでいることを誇りに思わせてくれる様な、良いショーだったと思う。

しかし、変わり身が早いのは私だけではなかった。

5歳の息子は最近、
「僕はチャイニーズでもジャパニーズでもないよ、イングリッシュだよ」
とよく言うようになっていた。

中国語や日本語を教えようとする時にこの台詞が出るので、単に言葉に対するアレルギー(他の友達が1ヶ国語だけでいいのに、一人で3ヶ国語覚えろと言われるのは確かにつらい)だと思ってはいたが、少し気になっていた。

それが、オリンピック終了後には
「僕はチャイニーズだよ」
と胸を張って言うではないか。

理由は簡単、中国が100個のメダルを取ったかららしい。

こんなコウモリ少年的な理由でも、息子が半分中国人であることに誇りを感じ始めてくれたことは喜ばしい。
先日、私が学校で日本の話をしたことで日本に対しての意識も良い方向に変わったようだし、英・中・日、彼を生み、育ててくれる3カ国を自然に愛することができるようになるといいなあ。

「ロンドンでオリンピックをやったら、もっと人や車が増えて混雑するし、物価も更に高くなりそうだしー」
と後ろ向きな要素ばかりを考えていた私だが、ビデオを見た後はちょっと明るい気分になった。

ロンドンオリンピックが開催される4年後には息子は9歳になっている。
少なくとも彼にとっては忘れがたい、素晴らしい経験になるんだろうな。

投稿者 lib : 01:03 PM | コメント (2)