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February 22, 2009
ダブル不倫 その3
社内恋愛ダブル不倫も7年目になっていた。 その間にA男とB子それぞれはさらに一児をもうけ、家庭生活もそれなりに安定していると見た。
が、その二人もついに破局を迎えたのか?
その事情はA男の友人C太郎に聞こう。えーっと、この人もイギリス人なので当然 「太郎」なんて名前ではないのですが。
「B子に新しい彼ができたんだよ。それでA男はふられちゃったんだ」とC太郎。
・・・夫の元に戻ったのではないわけね。
「A男はがっかりしてるんだ。ちょっと彼女を恨んでいるのも仕方ないね」
「でも、つき合う前から彼女は人妻だし、彼だって妻子持ちじゃないの。ふられて恨むような立場にはないと思うけど」
「男って、そんなもんじゃないんだよ」
・・・じゃ、どんなもんなんだ?
「B子は少し・・・浮気性なのかもしれないね」
「そりゃ、浮気性でしょうよ。だって、現にA男と不倫してるじゃないの」
「いや、実は・・・」
とC太郎が告白したのはなんと彼女からフラート(誘惑)を受けたというのだ。
ええー!?
C太郎は同僚ではない。他の会社で働く人だが、A男と仲良しなので、よくパブで一緒になる。彼はすごーーーーーーーーくハンサムなので、初めて彼を見たとき、私なんぞはうっとりとしてしまったものだ。
「きゃー、C太郎ってカッコいい」と私が騒いでいるとA男はすっと寄ってきて、
「誘ってみれば? 彼の家庭は冷え切っていて、奥さんとはほとんど口もきかないみたいだし・・・」と囁く。お前が斡旋してどうする?
チッ、妻子持ちか。 「絵に描いた餅」というのは彼のような男のことを言うんですね。
「きっとチャンスがあると思うよ。仲を取り持ってあげようか?」
「いいえ、結構です。妻子持ちと聞いて、すっかり熱が醒めました」と私。
さて、C太郎によるとA男、B子、C太郎と三人で飲んでいて、A男がトイレに立った際、B子にはっきりした誘いを受けたというのだ。
「友人の彼を好きになってしまいました。気のせいか彼も私に興味を持っているような感じです。私はどうしたらいいのでしょうか? 告白するべきでしょうか?」
「友情にひびを入れるようなことは止めましょう。彼のことはすっきりと諦め、スポーツに打ち込むなどして、気をそらしましょう」
と、よく日本の女子中学生が相談しているが、三児の母親で社内ダブル不倫をしているB子にも浮気相手の友人を口説いたりせずに、 「スポーツに打ち込むなどして」もらいたいものだ。夫の元に戻るという選択も、是非、お勧めしたい。
そういえば、何年も前の話になるが、私の当時の彼と彼のイタリア人の友人、その彼女というメンバーでミュージカルを観にいったことがある。ダブルデートというやつですね。
で、彼女、彼の友人、私、当時の彼という並び方で観劇中、彼の友人の膝が私の太ももに擦り寄ってくる。 (席がくっつきすぎているのかな?)と少し足を離したのだが、また、しばらくするとスリスリと膝が動く。
(うーむ・・・、自分の彼女が隣に座っているのに友人のガールフレンドに誘いをかけるとは、さすがはイタリア人。あっぱれだ)と思った。
・・・思ったが、休憩で席をかわってもらい、イタリア人の野望は敗れた。
友人のパートナーに恋心を抱くというプロットは日本の小説でもあるが、そこでは 「熱い思いを隠したまま、誰にも話さずに悶々とする」というのが小説のキモとなっている。
西洋人はあっさりと行動に移すようだ。 参りました! でも、日本人である私はこのままポリシーは変えないことにしておこう。
だって・・・面倒だもん。
February 18, 2009
SNOW SNOW SNOW 2 人々編
多くの人が会社を休んだ18年ぶりの大雪の日、うちのダンナは悪天候に挑戦する「燃える勤労者」と化した。
マンチェスターへ、どうしても外せない日帰り出張が入っていた彼、列車が動いているかも分からなかったが、とりあえず列車の出るユーストン駅めざして6時半に自宅を出発した。
自宅からユーストンまではバスで15分程だが、もちろんバスは動いていない。
最悪の場合はユーストンまで徒歩で行く覚悟で降りしきる雪の中を歩いていると、奇跡的に1台のタクシーが止まったと言う。ドライバーによると、
「君は運がいいよ。いままでに何人も止めようとしたお客がいたけど、雪が深すぎて歩道につけることができなかった」
との事。
奇跡的にユーストンに到着した夫は、これまた奇跡的に遅れも無く動いていた列車に乗ることができ、無事にマンチェスターでの仕事を終えてロンドンに戻ってきた。
ロンドンでは大雪の影響で仕事にならないと、家に3時頃には生還した彼、
「ハムステッドヒースにソリ(Sledge)をしに行こう」
と言う。
「そり?そりなんて無いよ」
と私が答える間もなく、彼はキッチンや押入れからプラスティック製のお盆や、衣装ケースの蓋、空気を入れて膨らませるゴムボートなど「滑りそうなものなら何でも」ゴソゴソと取り出している。
「ええ~?そんなんでやるの?貧乏くさいなあ」
と思いつつ、息子と息子の友達を連れてハムステッドヒースにたどり着くと、いるわいるわ、みんな手に手にそり(の代用品)を持って丘を目指している。
商品として売られている「そり」を持っている人は極少数派で、大多数の人は
「ダンボール」
「不動産屋の立て札」(”To let”とか書いてあるアレです)
「黒いビン(ゴミ箱)の蓋」
など、「家の中や外にあった滑りそうなもの」
なら何でも持参して来ていた。
私達の「プラスティック製のお盆」などはそこではポッシュな部類だった。
初めのうちは下の方でちょこちょこと滑っていて子供達もそれなりに喜んでいたが、夫が
「もっと上に行こう」
というので丘の頂上まで登ると、そこには狂喜乱舞するイギリス人たち(主に大人)が思い思いのソリの代用品で滑降していた。
なんだかよく分からない大きな板の上に10人位乗って歓声とも叫び声とも聞こえる奇声を上げながら落ちていくグループや(滑っていくうちに他人もどんどん乗っかって行った)、止まらなくて木に激突している人など、積雪を見慣れない人々がはしゃぐ姿はまさにカオス。
「危ないなあ・・・」と思ってみていると、夫が
「20年くらい前までは毎年、これくらい雪が積もったんだ。ここへ来て友達と遊んだものさ」
と言う。
私がイギリスに来てからはこんな大雪が無かったので知らなかったが、「そこらにある適当なものですべるソリ遊び」どうやらイギリス人のトラディションらしかった。
家に戻ってニュースを見ると、各地でソリ遊びに興じる子供達の映像が流れていたが、ハムステッドヒースはそれよりもかなり激しかった。怪我がなくて良かったわ。
バレンタイン
今年のバレンタインは土曜日だったので、いろんな光景が見られた。
14日、午後3時。たまたま、日本食レストランにいた。 電話や来店で、今晩のディナーの予約をする人が後を絶たない。しかし、テーブル席は満席。カウンターなら空いているけど、、というと誰もがテーブル席を希望する。残念!!と言って帰って行く。
へー、当日のこの時間になっても予約を入れようとするのは、駆け込み恋人でも見つけたのか、うっかりと予約を忘れていたのか、街のムードに染まってやっぱりバレンタインは、ディナーよね?と思ったのか、その心境を聞いてみたいものだ。
レストランのオーナーが言うには、一番忙しい日という。全部が2人のオーダーだから、そのサービスも大変だ。常に2つが同時に出していくのは、大変だろう。この日は通常よりもスタッフが多いそうだ。
午後5時、街でバラを売る人は、今日中に売り切りたいので、さっきまで1本4ポンドで売ってバラを2本で4ポンドと叫んでいた。
花束を持つ男、バラの1輪を持つ女。この日はどちらもプレゼントを上げたり、もらったりと、クリスマスの次に出費のかかる日だな。
さて、我が家ですが、結婚生活も10年も経つと、バレンタインねー。という感じで初々しさはない。カード文化に慣れていない私は、ついつい買い忘れてしまうので、今年は早々に買っておいた。プレゼントは小さなチョコとクタクタになったベルトを新調しておいた。よーし、準備万端。
と思っていたが、14日の朝起きてきて、ダーリンが「バレンタインおめでとう!!」と言ってカードとチョコをくれた。うっ、まずい、私は、すべて用意してあったが、渡すのはディナーの時と決めていたので、ラッピングもしていないし、カードにも何も書いていなかった。慌てて用意して取り繕ったが、またくスマートではないなー。ああ、またしてもドジった。
つき合いだした当初は、花束ももらったし、ディナーでレストランも行った。しかし、バレンタインデーは、何処もセットメニューしか選べず、高いし、忙しいレストランの都合でムードなんてないよなー。ある時は、うっかりバレンタインの日にレストランに行き、頼んだデザートがでてくる前に帰らないと電車がなくなる!!と言って断念した思い出もある。だから、我々はこの日にレストランに出かけるのを好まない。だから、いつも14日前後に、出かける事にしている。
そうだ、ある年は、会社に花束が届いたときもあったなー。何を思ったのかダーリンが、名のあるフラワーショプに頼んでいたのだ。同僚には、恥ずかしいがなかなかいい気分だった。しかし、これもたった1回だけだった。今年は、我々のバレンタインデーとしてレストランにいく予定はまだ決まっていない。
こうして、バレンタインの日は、我々夫婦から消えていくのでしょうか??(涙)
February 16, 2009
ダブル不倫 その2
日本の会社で社員同士の不倫がバレたら、どうなるだろう?
厳しい会社なら、 女はクビ、あるいは自分から辞めた形で会社から追い出される。 男は左遷、しかも本州まで手漕ぎボートで10時間、なんて離島に飛ばされるかもしれない。
あまり社員の色恋沙汰にゴタゴタ言わない会社でも、何となく居心地のわるーい雰囲気がかもしだされるのではないだろうか?
さて、うちの会社では・・・。
なんと、あっさりと 「公認カップル」として認可されてしまった。
あのー、いいのでしょうか? 昔なら 「不義」だの 「密通」などと糾弾されるのでは?(時代劇の見過ぎ)
会社の飲み会ならふたりでニコニコと参加。 クライアントの接待も当たり前のように一緒。クリスマスパーティの正式な着席式のディナーでも隣同士で食事。
「結婚」 のモラルはいずこに?
明るいダブル不倫のふたりだったが、A男と話す機会があったとき、
「実はふたりとも真剣なんだ。離婚して一緒になろうかという相談もしたんだけど、子供たちのことを考えると踏み切れなかった」
と、真面目に言っていた。
・・・だのに、A男の奥さんが妊娠した。あれ?
「妻との間は冷え切っている。寝室も別々だ」くらいのことを言って口説いただろうに。
やっぱり、既婚者の男の言うことと行動は一致しないというゴールデンルールを証明しましたね。
と、数ヶ月もしない間にB子が妊娠。
さすがにみんなは動揺した。いったい父親は誰?
が、どうやら子供の父親は夫らしい。 これって、既婚者の女の言うことと行動も一致しないという事実の発見であった。
(男と女の関係は謎だらけ。特に既婚者同士の男女関係は理解不能)と小娘の私はしみじみと思いました。
それぞれ三児の親となったA男とB子。さすがに関係を見直すのかと思いきや、そのまま 「社内ダブル不倫公認カップル」としてお天道様の当たる道を何ひとつ問題なく歩いてきた、と思っていたら・・・。
ある日の飲み会でふたりは別々のグループに入っている。 で、お互いを何となく避けているような微妙な空気が流れている。そのときはケンカでもしたのかな、と思っていたのだが、その次のパーティでもふたりはバラバラに行動。
いったいふたりに何が起こったのか?
「B子と一緒じゃないの? どうしたの?」とA男に声をかけた。すると、
「B子? あんな女の名前なんか聞きたくないね」 というとペッと唾を吐き捨てるようなジェスチャーをする。
おまけに彼女を充分に意識しながら、当てつけるように、
「ねえ、それより、素敵なレストランを見つけたんだ。一緒に行かない?」と誘いをかけてくる。
あのねえ、社内恋愛、不倫、なんてことだけでも充分に避けたいのに、 何が悲しくて「社内恋愛でダブル不倫をしているふたり」と 「三角関係」なんて、面倒事のフルコースに巻き込まれなくちゃいけないんだ?
続く
February 07, 2009
Here comes the girls
昨日の放課後、学校内の劇場で開かれた生徒のダンスショーを観てきました。
GCSEという試験コースの生徒(10年生と11年生)を中心に、中学生も何人か出演していました。
実はこのショー、年末に開かれる予定だったらしいのですが、諸事情で延期になっていました。昼休みを利用した小さな公演はクリスマスのあたりにあったものの、100人くらいの生徒が次々とダンスを披露する大規模なショーは私も見たのは今回が初めてでした。
放課後、しかも6時からなので同僚は教頭・副教頭たちを除くとほとんど残っていませんでしたが、出演する生徒の父母、兄弟姉妹、友人らが200人ほど集まり、劇場は人でいっぱい。
私は自分が担任として持っているクラスの生徒が何人もいるし、彼女らが自分たちの踊りを披露することをすごく楽しみにしていることを知っていたので、疲れてはいましたがぜひみたいと思っていました。
6時15分、少し遅れての開演。
最初の演目に出てきたのは私のクラスの生徒たちを含む10年生達。振り付けの面白い、とっても面白いナンバーでした。嬉しかったのは生徒Kが最後に重要なパートを踊ったこと。彼女は去年から色々な事情で情緒不安定で一時は普通授業に参加せずに、RUという学校内に併設された特別な施設でセッションを受けていました。
そんな彼女が周りの生徒と息を合わせて、そして最後は堂々とソロで締めた姿はとても頼もしく見えました。
それからもう1つ嬉しかったこと。私のクラスにはEAL(English as an additional language)、つまり母国語が英語ではない生徒が3人いるのですが、彼女らの成長振りを目の当たりにできたことでした。
初めは片言しかしゃべれず、何か説明するにもベンガル語でクラスの子に説明し訳してもらわなければならないこともありました。それがここ一年で彼女らの英語力は飛躍的に伸び、たぶんそのうち何の不自由もなくしゃべれるようになりました。
そして意思の疎通が英語できちんとできるようになってからは前よりも活発な姿を見せてくれるようになり、今回のダンスショーでは他の生徒との見事な連携プレー。
この子達にはこんなに光り輝く才能があるんだなぁときれいに踊る姿を見て、本当に感動しました。子供のパワーに圧倒されました。
そして、クラスではグループで固まりがちな彼女らが、一緒に息を合わせて踊る姿は新鮮でした。まぁ、担任としては「普段もこのくらい自然に協力し合えたらいいのに」と正直思ってしまいましたが。
イギリスの公立校では日本の運動会や文化祭のように全校生徒が参加する大規模なイベントが皆無なので、教室の外で頑張る生徒の姿を見る機会はあまりありません。だからこそ、このショーは貴重な体験でした。
それにしても、このショーを作り上げるのに一番苦労したのは他ならぬダンス教師である同僚達、そして音楽や照明を担当していたテクニシャンのスタッフでしょう。
100人の生徒をまとめ、指導するのはどんなに大変なことだったでしょう。昼休み、放課後とリハーサルに一体、どれだけ時間をかけたのか、、、。頭が下がります。
でも、これからもこういうショーを度々見せて欲しいなと思いました。
来年は11年生になる彼女達。担任を持つのは初めてだった私と7年生のときから一緒に成長してきた彼女達。
彼女らの担任でいるのも考えたらあと一年半です。あの子達はこれからもっともっと成長していく。そして、いつか離れて行ってしまう。それが嬉しいような悲しいような。ちょっと複雑な気持ちになった私でした。
February 04, 2009
SNOW SNOW SNOW ニュース編
皆さんご存知の通り、2月2日の月曜日は18年ぶりの大雪で、ロンドン(だけじゃないけど)は大混乱だった。
混乱振りは大変だけど面白く、2日は家で大雪情報を見たり外に出て人々の様子を偵察したりした。(日本でも台風が来るとわくわくして、一晩中台風情報を見ていた私なもので)
前日の夜から降り始めた雪。
天気予報通り、みるみるうちに積もっていく。
朝、カーテンを開けると一面の銀世界。
「おおっ」と心が弾むが、喜んでばかりもいられない。
息子の学校には車で送り迎えしているのだ。
スタッドレスタイヤもないし、運転はかなり危なそう。
TVのニュースをつけると、かなりの学校が休校を決定したらしい。息子の学校にも電話してみると、やはりお休みとの事。
息子も私も急にホリデー気分になり、雪を見ながらへらへらしていると、近所の友達のお母さんから電話。
「学校はどこも休みよ。うちの庭で雪合戦をしに来ない?」
というありがたいお誘いだ。息子を置いてきて、私は家に戻って暖かいココアを飲みながら大雪情報の鑑賞(?)をする。
ロンドンの交通機関の混乱はひどく、特にバスは全休となった。
ロンドン市長のボリス・ジョンソンが、
「これは20年に一度の大雪だ。できる限りの対応をするがそれにも限度がある。20年に一度の事のために、大雪に対応するインフラを整えるのも税金の無駄遣いだ」
と強風の中、必死で交通麻痺の言い訳をしていた。
(部屋の中でインタビューに答えても良さそうなものだったが、わざわざ屋外で髪を振り乱しながら話していた。『悪天候の中で頑張る市長』を演出したのだろうか。それにしては場所がどこかのテラスの様な所で、一歩先には暖かい部屋がありそうな場所だったが。)
それに対して、BBCはわざわざ前市長のケン・リビングストンの電話インタビューもとっていた。
「金曜日から雪が降ることは予報されていたのに何も策をとらないで、この様な交通麻痺に陥るとはなんたる無能。私が在職中だった2001年にも大雪があったが、交通機関ははスムースに回っていた」
と、鬼の首をとったようにボリスの無能ぶりを批判していたケンだが、繰り返し言われている「18年ぶりの大雪」という箇所は無視し、ひたすら己の在職中の2001年の大雪を引き合いに出していた。
それに2001年だってかなり混乱した記憶が・・・・。まあ新旧ロンドン市長のパフォーマンス合戦で笑わせてもらったのでいいのだが。
雪のために仕事を休んだ人は600万人以上だったらしい。
(学校が休みになれば親も自動的に仕事を休まなければならないし)
夜のニュースでは、
「この程度の雪のために、今日1日で経済損失は10億ポンドだ。」
と、キーキーしている人がいたが、18年に一度の悪天候による経済損失を嘆くならば、
「同僚とのお喋りが忙しすぎて接客するヒマのないショップアシスタント」や、
「実働時間よりティータイムの方が長いビルダー」や、
「インターネットばかりして家事をおろそかにする主婦(あたしだよ!)」
などによる、人災ともいえる日々の経済損失を心配した方がいいと思うのだがいかがなものか。
(次回は、実際に見た『大雪に見舞われたイギリス人の狂喜乱舞ぶり』をご報告します)
ダブル不倫
面倒ごとはなるべく避けたいと思っている。
いつもという訳にはいかないが、充分な注意を払ってさえいれば、余計な苦労を背負い込まずにすむというものだ。
が、世の中にはわざわざ面倒なことに首を突っ込んでいく人々がいる。
例えば、不倫、社内恋愛、ピースの数が多いジクソーパズルに取り組むとか・・・。
うちの会社の A男とB子がそうだ。えーっと、イギリス人なので名前に 「男」とか 「子」とかはついてはいないが。ま、仮名ということで。
A男はバツ歴ありの再婚者、息子が2人。 B子も娘が2人いる人妻である。何となくつり合わない感じなのは、A男は40代半ばで平凡な風貌。B子は20代後半の美人というところか。あ、そうでした。 つりあう云々の以前に二人とも既婚者でしたね。
実はこの二人がくっつく以前に私もA男から口説かれたことがある。 仕事がらみのパーティの帰り、会社持ちのタクシーで一緒になった。 「同じ方面に帰る社員が数人で利用」というものだが、なぜか彼と私しか乗っていなかった。
酔っ払ってフニャフニャになっていたA男は 「いつも君のことが気になっていた」だの、 「本当にきれいだよ」といった戯言を言い始めた。 ブラックキャブの中、当然、ドライバーもいるわけで恥ずかしいことこの上ない。
「貴様、いったい誰に向かってボケたことをぬかしているんだ。目を覚まさんかい!」 とビンタのひとつも張ってやりたかったのだが、ま、そこは私も大人。
「まあ、ご冗談を。ところで息子さんはお元気ですか?」と質問。
面白いもので、酔っ払って他の女を口説いていても、家族の話題、しかも子供の話題になると急にシラフになるらしく、
「いや、先週、学芸会があったんだ。僕の息子は羊の役。いや、かわいいのなんのって」と父親の顔になる。
が、しばらくすると、また酒が頭を侵食してくるようで、「手を握っていい?」などと、(ナイフで手首を切り落としたろか?)と思わせる発言。
が、そこは冷静さを失わず、
「下の息子さんが初めてカレー食べたって言ってたよね?」 と、すかさず家族ネタをふる。
「そうなんだ。最初は顔をしかめてたけど、そのうち、カレーが気に入ったらしくてね」と、また父親の顔に戻る。
相手がモヤモヤしてくると、あれこれと家族ネタで気を逸らせ、やっとのことで口説き落とされず、手を握られもせず、無事に家にたどりついたのであった。
翌日は殊勝な顔をして、「ゆうべは、からんで申し訳ございませんでした。二度といたしません」と、きっちり侘びが入ったので、
「まあ、まあ、酒の上でのことで、こちらも気にはしておりません。たくさん水を飲んで二日酔いをお直しくださいませ」と、こちらも鷹揚なところを見せたのだった。
が、その後まもなくA男は同僚のB子とできてしまった。
・・・浮気がしたくてたまらず、誰でも良かったのだろうか? 調べてみると私のほかにも口説かれた女が社内にいるかもしれないな。
しかし、結構美人なB子。 なぜ、それほど取り柄があるとも思えないA男とつき合う気になったのか?
バースディドリンクでその謎が解けた。 B子のダンナというのも来ていたのだが、つまり、その、あまり、パッとしない感じの男だった。
おまけにB子が彼と結婚したのは18歳のときだとか。世間知らずのまま、手近なボーイフレンドと一緒になったものの、同じ男と10年も生活していれば飽きも来る。どうやら、彼女のほうにも浮気願望があったらしい。
彼女のほうも誰でも良かったのかもしれない・・・。
しかし、二人の仲が公になった後、私が驚いたのは会社の対応だった。
続く
嫁、、、(その2)
実は、義理パパがクリスマスの前に大腸を摘出するという大きな手術を受けた。急なことで皆も驚いた。私は、日本から帰国した2日後の週末でちょっとゆっくりしたかったが、やはり嫁としてお見舞いに行かない訳には行かない。朝7時前にロンドンを出発した。パパは、田舎に住んでいるため、どこからもかなりの時間がかかる。我々が住むロンドンからは、車で4〜5時間はかかる。妹は、車で8時間もかけてやって来た。
パパは心臓がよくないので、さすがに手術の翌日は集中治療室にいた。随分と痩せてしまっていたが、そんなことは気にしない感じで少しだけ話をした。そこへ、パパの義理の息子(奥さんの子供)も子供を生んだばかりの妻とともに見舞いに来た。
そう、こうしてみんな何とかして見舞いにやって来ていたのに、義弟はその後、1ヶ月をたってもお見舞いにこなかったらしい。
妹が再びお見舞いに行った。今度は飛行機を使用したが、パパの村までは空港から車が必要で、空港からレンタカーを借りるため、その行程には時間とお金がかかった。
パパの所に着いた際、 まだ見舞いも来ない弟の話になり、その後すぐに電話をした。
「元気? ところで、何をしているの?」と聞くと、
「うーん、今IKEA(巨大家具店)にいるんだ。ちょっとテーブルがほしいから、家族皆で来ているんだ。」と言ったそうだ。弟の家族は最近引っ越した。いろいろと必要な物を揃えないといけないことは分かる。しかし、、、、買い物???パパの見舞いにもこないで?!
電話を切った後、妹は、何かを感じ、直ぐにママに電話をしたそうだ。
「ママ,どうしているの?」
「うーん、暇だから新聞のクロスワードをしているの。」
となんだか淋しそう。
「今日の予定は?」
「特にないわよ。いつもと同じゆっくりしているわ。」
ママは、仕事もリタイヤーしており、おばあちゃんが昨年亡くなってしまってからは、何もする事がない。そうか、弟は、ママに連絡をしていないんだ。ということがはっきりした。
というもの弟達が買い物に来ていたIKEAは、ママの家から20分ぐらいの場所にある。正月も会っていないのなら、こんな近くに来たのだから、会えばいいのに。何故,連絡をしないの??
もし、自分たちが行くのが大変なら、ママにそこまで来てもらってもいいのに。なんて気が利かない、愛情のない奴らだろうか。と妹は憤慨したそうだ。
そう、この話がダーリンの耳に入り、きっとパパにも話すだろう。ママには可愛そうだから、今すぐには言わないだろうが、いつかは耳にするだろう。
そして、この話の行き着く先は見えている。すべてが嫁のせいになるのだ。なんて嫁は、気がきかないのだろう。嫁の優しさが足りない。事実は見えないのにね。
嫁の1人して、これは気になるのだ。だって、いつかは今度は自分の番になりそうで。コワイのです。気の効かない黄色い嫁だ。なんて言われたくないしね。