« July 2008 | メイン | September 2008 »

August 28, 2008

それぞれの結果 其の弐

teacher.gif
先週に引き続き、GCSEの結果について。

私のクラスの他の生徒たちの結果はどうだったのか。

ほぼ予測したとおり、もしくは数人が私の予想を超えて良い結果に終わっていました。大体、私の学校ですとA-Cを取ることが目標なのですが、最後まで授業を受けていた大半がその目標を到達したので嬉しかったです。

でも、途中から諦めてしまってやる気をなくしてしまった生徒、最後の一ヶ月半、引き抜かれた生徒の結果はやはり良いとは言えないものでした。これに関しても予想とそれほど外れたわけではなかったので驚くこともあまり無かったのですが。

それでも心残りなことはありました。なんとかCを取りたいと言っていた生徒の一人がその目標に到達できなかったことです。

その子は読解や暗記など歴史に必要なスキルがなかなか伸びず、試験が不得意で一年目は授業中もあまり積極的ではありませんでした。それが二年目である11年生に入ってからは態度も落ち着き、目覚めたように歴史が好きになり頑張っていました。

明るくて、冗談が好きで、たまに素っ頓狂なことを言ってはクラスを笑わせるH。他の教科でも勉強はそんなに得意ではない彼女は、なんと昨年の夏学期のSchool production(生徒でおこなう舞台)であったミュージカルGreaseでは主役を務めたくらい演劇の才能があるのでした。

彼女は歴史を続けたい、せめてCを取りたいと思う反面、自分の能力に自信が無く、母親に「不得意ならやめて他の科目に集中しろ」といわれて益々落ち込んだり、一時は数学の補修クラスのほうに行ってしまって最後だけ歴史クラスに戻ってきたりと落ち着きませんでした。私は「ここ一年でたくさん成長した。努力は報われるはず。最後まで信じて続けるべき」と言い続けてきましたが、彼女自身、最後まで不安で迷っていたようでした。

教師として冷静に見たとき、確かに彼女は理解力、筆記力などCを取るのは難しいレベルにいました。私はそれでも彼女に歴史の勉強を続けて欲しいと願っていました。「あなたならCは絶対とれる」と確たる根拠も無いのに安易に言うことはできませんから、授業中にとにかく良いところを褒めて、試験問題のアドバイスも丁寧にやるくらいしか出来ませんでしたが。

なんとか復習を頑張って試験を受けた彼女。試験後に会った時に、彼女は思ったよりも出来た感触のあった自分にほっとしたと言っていたのですが。

この国の歴史試験では単純な選択式の問題は1つもありませんから、生徒の理解・読解力、暗記力、説明力、筆記力などの総合的な力が結果としてはっきりでてしまいます。まぐれが通用しないようになっているのです。

そして、いったん結果が出れば他の教科とあわせてAやA*がいくつ取れたかで結局のところ判断されてしまう厳しい現実が待っています。

それじゃあ、成績はなかなか伸びないけれど人一倍歴史が好きで理解しようと頑張る生徒はどうなるのか。もともとの能力はあるのに教科に積極的に取り組まず、努力しない生徒と向き合う授業よりHのような生徒たちがいてくれる授業のほうがどれほどやりがいのあるものか、、、。

でも、これが結局試験というものなのですね。なんというか、私自身、中高時代に歴史は大好きなのに暗記が不得意でテストの成績はいつもいまいちだったこともあり、彼女に自分の昔の姿を少し重ねていたこともあったのかもしれません。

さぁ、様々な生徒と出会い、喜び、葛藤した一年が今年も終わりました。私がもっといい教師、力のある教師であったのなら生徒たちももっと努力して、試験の結果も違っていたのではないか。そう思ってしまいそうな瞬間がありました。これは教師として人間として非常に怖い問いかけです。自分自身の教師としての自信を常に揺るがす可能性のある恐ろしい想像、、、。答えは誰にも分からない、でも完全に打ち消すことは難しい問いであります。

だからこそ、このときたま恐怖とも思える緊張感を頭の片隅に持ちながらこれからも前に進んで努力していかなくてはならないのだと思います。だって、ひとりひとりの可能性を最大限に伸ばす、生徒の興味を惹く力のある授業、やっぱりやりたいですから。そして、最後に満足そうな生徒の笑顔を見たいですから。

長い長い教師の道のり。これからもずっとこれが私の課題です。

投稿者 lib : 11:53 PM | コメント (2)

August 27, 2008

ハイメンテナンスな女

darling.gif
「ハイメンテナンスな女」とは、お金がかかる女のこと。ダーリンのファミリーでこの言葉に匹敵するのは、弟の嫁のジェマと言われている。彼女は、態度と胸がでかいので、派手に見られ目立つ。
それに、名のあるブランド品のバックも持っているので、そう思われてもしかたがない。
しかし、私が彼女のもっているバックを見て「これ本物?」ときいたら、「そんなことないわよ。」と笑って答えたけど、誰もそんな事聞かないから、本物だと思っている。
義弟は、彼女が「ハイメンテナンスな女」だと思っているから、連れて行くレストランやスパもそこそこいいレベルに連れて行く。こうなると女の欲は高まるばかり。きっと彼女のリクエストもあるのだろう、最近はこれに輪をかけて、泊まるホテルやゴルフをするのもなんだか有名な場所ばかりだそうだ。先日はついに海外勤務を終えて、英国に帰国。その際には小さな子供が2人いるからかもしれないが、ファーストクラスでご帰国されたそうだ。まあ、会社が払ったのか、個人が負担したのかは知らないが。
そりゃー、収入と関係するからそれだけ義弟も給与をもらっているのだろう。
おっと、こうして書いていると私の嫉妬と勘違いされるが、 彼女は本当に「ハイメンテナンスな女」だったかというと、始めはそうではなかった。
人間の思い込みは怖い。みんながそう、思って、そう扱うから、どんどんエスカレートして行くような気がする。
それに比べて、私は「ハイメンテナンスな女」とは、家族の誰もが思っていない。しかし、言えない事もある。日本にいた時は、着物に凝り、新品、中古と気に入ったものがあれば、友人と争って買いまくっていた。その金額といったら、、、。
ダーリンの家族は、着物がいったいいくらするのか知らないから、何も言わないが、これで値段のことを知ったら、私のことを浪費家の嫁とレッテルと貼るだろう。
しかし、「浪費家」と「ハイメンテナンスな女」何かが違うぞ。
そうだ、浪費家であってもそれは自分のお金を使用しているのであって、決して人からされているのではない。自分の財布で勝負しているんだぞ。っと威張って気づいた。
「ハイメンテナンスな女」は、 人からされる。これほどいい事はないではないかー。
ああ、私も「ハイメンテナンスな女」になりたいなーと思い始めて隣を見ると、そうか、そんな女には、高給取りのパートナーが必要なのだ。うーん、これが一番難しい問題かもしれないよね。ダーリン。

投稿者 lib : 12:05 AM | コメント (2)

August 26, 2008

Olympics 2012

shacho.gif

ロンドンの自宅で観るオリンピックは今回で5回目となるわけだが、
様々なドラマを楽しませてもらった。次回のオリンピックはロンドン
で開催されることもあり、BBCは気合が入っていた。デジタル放送
では常時5、6種類の競技からどれか選んで観戦することができた。
無論、日本人選手の活躍は、決勝に残った選手ぐらいしか見ることが
できないが、チームGBが勝ってもチームJPが勝っても、どちらも
手を叩いて大喜び。2チーム足して金が28個も取れた。大したもの
である。それにしてもチームGBの活躍は凄かった。

日曜はテニス遊びをしていたので、閉会式はTVでは観なかったが、
BBCのサイトに動画があった。ジミー・ペイジが出てきてギターを
弾いていたので相当ビックリした。通常は、ギターで行くのであれば、
庶民派 Queenのブライアン・メイであるべきだろう。僕のZepplin
好きは並大抵のものではないことは以前にも書いたが、やはりTVの
前で立ち上がって、手を叩いて喜んでしまった。が、そのうち、はて
この白髪の、ギターが妙に巧い爺さんを知る人は視聴者のうちいった
い何%いるのだろうかと、心配になってきた。実際、ベッカムが出て
きたときには何ともなしに安心を覚えてしまった。

好みの分かれるセレモニーであったかもしれない。

BBCのサイトでは、五輪旗を受け取った後の、ロンドン市長・ボリ
ス氏のスピーチが観られるが、これが目茶面白いのでお勧め。ボリス
氏は今年の5月に市長となった。僕より3つほど若い。このスピーチ
を見ても思うが、若い政治家はまったく元気が良くて良い。前回の東
京出張時に日本では内閣改造があったが、新キャビネットの平均年齢
が62歳だそうである。英国の内閣はもっと若いだろうと思って調べ
てみたら、現在49歳であり、60歳以上は一人しかいないという。
この違いはどのあたりにあるのだろうと思うなあ。インテルという超
一流会社の社是には、常に若返りを図る、というのが何十年も前から
あるそうだ。若返らなくてもうまくやっている会社もあるし、若返っ
てから芳しくなく元に戻す企業もあるが、いずれにしても若返りを常
に念頭に置いてきた会社の方が、永続するようにも思う。

オリンピックに出場すべき選手を選ぶ方も、その判断は大変だろうと、
気の毒にさえ思える。新旧、どうすべきか実に悩むのだろうなあ、と
思いつつ、ビールを片手にTVを観て手を叩いてよろこんでいる僕は
単純に4年後が楽しみだ。もしかして、生で選手のプレーを観ること
が出来るかもしれない。テニスは、Wimbledonが会場になるのだろう
か?

投稿者 lib : 08:27 PM | コメント (0)

それぞれの結果 其の壱

teacher.gif
8月21日はセカンダリースクールで教えている教師たちにとって特別な日でした。

6月・7月に11年生が受けたGCSE試験の結果発表の日だったのです。

もちろん、ここはイギリス。ホリデーでどこかに行っている同僚も多いでしょうし、わざわざ学校に出向いて結果を確認する教師はそんなにいないのですが。かくいう私も去年は日本にいて、結果を知ったのは9月に入ってからでした。

でも今年の夏はロンドンで過ごしたこともあり、この日が近づくにつれ気になること気になること。今年のクラスは人数も例年より少なかったので一人一人に思い入れがあるというか、彼らの成長(または退化?)をつぶさに見てきたこともあり、結果は非常に気になるところでした。

また、試験の一ヶ月半前には今年の11年生の模擬試験の主要科目である数学の成績の悪さ、夏の本試験への影響を懸念した学校の上層部が急遽、私の歴史クラスや他の非主要科目の授業から数人を引き抜いて数学の補修クラスへの参加を強制するなど、ごたごたのあった年でもありました。

それなのに最後はほとんど無勉強な状態にもかかわらず、彼女らは結局歴史の試験を受けさせられる形になり、なんというか上層部のお粗末な対応を見たのでした。

主要科目の成績は学校のランキングに直接影響を与えるので彼らが焦った気持ちはわかりますが、もうちょっと早くからのフォローは出来なかったのでしょうか。

このような歴史科目を非常に下に見るような扱いに私たち歴史教員は相当な不満であり、生徒からもこの対応に疑問を持つ声があったのですが結局は上層部の決断が通りました。

すごく正直に言って、選ばれた数人のほとんどが普段も素行が悪く、授業態度も他の生徒に悪影響を与える側面もあったので彼女らのいない授業は格段にやりやすかったのは事実なのですが、、、。

否が応でも結果は出てしまう訳で、不安な思いを持ちつつ私は当日に学校に向かったのでした。そしたら、学校まであと3分というところで遠くから「Miss ○○○(私の名前)」と呼ぶ声が。

試験結果を貰った帰り道であるらしい生徒Fです。彼女は本当に努力家。でもその努力を苦労ととらえず常に積極的なのが彼女の素晴らしさ。

でも同時に教師への要求は高く、授業中にわからないところはすぐに聞いてくるし、試験問題を授業中に出せばすぐにチェックするように私に頼んでくる子です。まさに生徒の鑑なのですが私をなかなか休ませてくれません(笑)

クラスで一番模擬試験の結果もよく、間違いなくグレードA(最高はA*-エイスター)は取れると思っていたのですが、、、。そんな彼女、私のところへ駆け寄ってきて、なんと開口一番に「信じられない、Bを取ってしまった!」と。

試験の感触も良かったと言っていただけに私も驚き、彼女が「納得できない。再採点してもらいたい」と言うので一緒に試験関係の事務を総括する同僚Mのもとへ。

一緒に試験結果を分析してみると、なんと、彼女は少しの差でグレードAを逃していたことがわかりました。

グレード(A*からGまで)は、二つの歴史試験(一つは史料解釈、もう一つは主に自己の知識を基にエッセーを書く問題)、そして二つのコースワーク(学習課題)のそれぞれの結果を基に特殊な方法で算出された点数によって決まるのですが、彼女の場合、それがAを貰うには1点足りなかったのです。

史料解釈の試験で点数が伸びなかったのが明らかな原因ですが、何しろ全て筆記試験。採点基準は同じものの試験管によって点数のばらつきがあるのは事実です。もし、最採点をリクエストすれば4-5点でも伸びることはあります。もちろん、点を減らされる危険性もあるのですが。

話し合った結果、彼女もそのリスクを理解した上で、それでも点が増えることに賭けたいというのでこの試験だけ彼女の解答の再採点を申請しました。

さぁ、これが吉とでるか凶とでるか、、、それでもBを取れることはまず間違いないのですが、なんとか彼女の努力が報われるような良い結果を祈るばかりです。

(他の子たちの結果については次週のブログで)

投稿者 lib : 09:51 AM | コメント (2)

August 19, 2008

歯痛 その2 (COCO)

darling.gif
実は、始めはセカンドオピニオンをもらいにいった歯医者に予約を入れていた。
そしたら、この歯医者から電話があり、倫理上の問題があるので、いままで行っていた歯医者にいくように勧められた。
だって、その歯医者がちょっと心配だから、あなたを選んだのに。まったく。
医者の倫理ってなに?患者の気持ちや心配はどうするの?と思いつつも
この歯医者のメンタルに疑問を持ったので、新たな医者探しとなったのだ。

それでやっと見つけた歯医者に行くと、まあ、ここでは医者だけでなく、助手までが名前を名乗り、握手をしてきた。なんかプロフェッショナルな感じだ。
思い起せば、いままでいっていた歯科医院、助手は気が利かずに、いつも医者から、「ニコラ、ほら、あれして。これ用意して。」と言われて、始めて助手が動いていたっけ。
患者である私でさえ、気の効かない歯科助手をもって医者が気の毒だった。
それがここでは、テキパキと事が進んでいき、なんだか気持ちがいい。こうなるとなんだか腕もいいような気がする。
そして、医者の診断は私の歯には、やはり根の治療が必要だという。根の治療は専門のドクターが担当するという。へー、専門の医者ね?と思っていたら、これが普通らしい。
それと気になっていた以前の治療について、訊ねてみた。
すると「そうですね。まあ、よく出来ているほうではないですか?」とは切れが悪い。ダーリン曰く、同じ医者として相手の医者の立場を守るいい方であるけど、いい出来とはいっていない。
そうか、どうやらいい治療がされていないようだ。

そして、根の治療の始めの日、女性のドクターは「 念のために確認させてね。」と言って私の問題の歯をチェックした。歯を軽く叩くのだが、これが痛————いのなんのって。医者はゴメンなさいね。といって、この歯である事を確認し、治療に入った。
なんだか手際のいいこの医者にすっかり安心して、治療をまかせ1時間ほど口を開けていた。

「はい、終わりね。あとの治療はあなたのドクターにしてもらってね。」とテキパキ。
また懲りずに、前回の私の根の治療についてプロの意見を聞いてみた。すると「うーん。完璧ではないわね。」と厳しい意見。「いずれ再治療が必要なのね?」と聞くと「そんなに難しくないから。またいらっしゃい。」と軽くいう先生だ。
根の治療、保険の利かないプライベートでは結構な金額となる。
それなのに、前回の治療が完璧ではない。じゃあ、私がその治療に払ったのは無駄金?思うと、涙がでてくる。トホホ。

受付で治療費を支払っていると、その女性医者が白衣を脱いで、着替えみんなに挨拶をして帰っていく。フーム。どうやら彼女の本日の仕事はこれで終わりのようだ。この日は私を入れて2人の治療だけ?!。そして、彼女はたった2時間で数百ポンドを稼いだようだ。
そうか、私はネギを背負った鴨だったのかしら??

ああ、こうして歯医者通いが始まり、財布が軽くなる。
歯もどんどん生えてくればいいのに。

投稿者 lib : 11:18 PM | コメント (0)

August 15, 2008

再挑戦。

teacher.gif
8月も半ばになり、夏休みに入って少しずつ進めていた9月からの新しいカリキュラムの準備も本腰を入れて取り掛からなければと思う日々。

教師になってから4度目の夏休み。毎回夏休みが来るたびに「この時間を上手に使わなければ」と思いつつ、どうも自分が向上しているように思えません、、、。

普段は学校のタイムテーブルに沿って日中を過ごしているせいか、休日になるとその反動で全く区切りのない生活になってしまうのです。まぁ、これは言い訳に過ぎず、元来のぐーたらな性格が出てしまうのでしょうね。

今年は日本から来た身内が私のフラットに泊まっていたりといつもと違う夏休みではあるのですが、毎日一緒に出かけることはないので予定の無い日はついついだらだらしてしまいます。

時間の制限も無いとどうも仕事もはかどらず。逆に一回仕事をやりだすと7時間でも8時間でもご飯も食べずに座りっぱなし、、、。規律もなにもあったものではありません。

実はそんなだらだら生活を送る自分が嫌でこの夏始めたことがあります。

それはピアノ。

ただ、ピアノを習うのは初めてではありません。幼稚園のころから6年ほど習っていました。ところが始めてから数年後、当時習っていた先生が結婚を機に個人の教室をやめてしまったのです。

その先生のレッスンはピアノの練習だけでなく、連弾をしたり歌も歌わせてくれて、子供心に非常に楽しいものでした。

その後、某チェーンのピアノ教室に通うことになり、そのあたりから私の「ピアノ嫌々やる病」がでたように思います。

思えばその時の先生にとって私はいかにもやる気のない、教えがいのない生徒No.1だったことでしょう。だって、練習がつらくても上達しよう、頑張ろうという前向きな気持ちがなかったのですから。

自分も今は教師だからわかりますが、子供って自分の興味があることに本当に情熱を持って取り組めるものなんです。目の輝きや好奇心が違います。ほんとに飛びついてくる感じなのです。

逆に興味を持てないものは苦痛以外の何物でもないんですね、、、。7年生ですともともと好奇心旺盛なのですが、思春期真っ盛りの9年生くらいになると興味が無いと面白いほど態度にでるというか。

まぁ、興味がそれほど無くてもじっとこらえて学ぶか、教室で自分のやりたい放題やるかはその子次第なのですが。特に私の学校の子供は真っ正直というか。とはいえ、最初は興味の無い子を引き込むような授業をするのが私の役目で教師の力量が出る部分なのですが。これについてはまだ私は恥ずかしながら試行錯誤状態であります。

さて、本題のピアノ。

以前書いたコーラスのように長年やりたくてもやる機会にめぐり合わなかった分野でありました。

それがやっと出張ではなく自宅で教えていただける先生を見つけ、ついこの間初めてのレッスンに行ってきたのです。

住んでいるフラットにピアノがない私にとって自宅でやってくださる人は貴重です。ロンドンでもセンターからアクセスできる場所ですと住宅事情で自宅でのレッスンが出来る先生はそういませんので。

ほぼ18年ぶりのピアノレッスン。自分で驚くほどかちこちに緊張していましたが、これほど楽譜を眺めて自分で鍵盤を叩くのが面白いものなのかと感動しました。弾ける曲はきっと小学生レベルなのですが。

指練習もひとつひとつの記号も今見ると非常に意味のあるもの、大切なこととして捉えられるのです。当時は嫌々練習し覚えていたのに。不思議ですね。

ピアノに向かいながら私は一生懸命小学校の頃の自分と向き合おうとしていたように思います。どんな気持ちだったか、どんな風に弾いていたのか、、、。

レッスンと自己練習を重ねると感覚も少しずつ戻ってきます。そして嬉しいことに昔は意識をしたことの無かった「曲を自分のものにしていく、感情をこめて、イメージを作り上げて弾いていく」喜びを感じています。先生は大人のピアノはこれが大切なのだといいます。

今までこんなにブランクを空けてしまった自分に後悔する気持ちがありましたが、こうして10何年も経って再挑戦できること、新鮮な気持ちで自発的にピアノに向き合うことができたことは本当に良かったと思います。

で、家にピアノが無い私がどうやって練習しているかというと、、、。

ここぞとばかりに学校に勤めている特権を活かして夏休みの音楽室に忍び込んでせっせと練習している次第です。

投稿者 lib : 02:32 PM | コメント (0)

August 13, 2008

歯痛 (COCO)

darling.gif
先週から歯痛に悩まされている。
この国にきていった幾つの歯医者にかかっただろか。7、8カ所、いやもっと??。
目は悪くない、ちょっと太めだけど健康、1つ悩まされているのが歯だ。丈夫な歯が欲しい。
黒人の人で笑うとピカッと光る強くてしっかりした白い歯をみると、ああ、なんて丈夫なんだろうか、うらやましい。といつも思う。

この国の NHS の歯医者で腕がいい歯医者は至難の業。もし、あなたがNHSのいい医者と出会えたのなら幸運だ。
私の右上の歯、1年前ぐらいから、違和感があり、私のかかりつけの歯医者に訴えていた。
しかしドクターは「うーん。多分センシティブになっているのだろう。」と言って取り合ってくれなかった。
その後も時々訴えていたが、処置はなかった。
この医者は、出来るだけ歯を残こそうとしてくれる処置をする、だから無駄な治療はしない。これはうれしい。その点は大好きだった。

しかし、先週からすごーく痛くなった問題の歯。
これは絶対にセンシティブな問題ではなく、多分カナルトリートメントといわれえる根の治療が必要だろう。これは、何て言ったって高い治療の1つだ。うっうっ。。。涙。
この問題で行きつけの歯医者にはいけない。いや行きたくないのだ。実は今年の始め、別の歯を同様のカナルトリートメントの治療をしたが、いまだにすっきりしない。別の歯医者に診断してらったら、その歯の治療は完全ではないので、将来に再び悪くなるリスクが高いという。ガーーーン。ショック。
それに2週間前にも診察に行き、今回の痛い歯の隣を治療したのだ。その時にもどちらの歯か分からないが、痛いと訴えていたのに今回の痛くなった歯にもなんらしかの治療が必要になのに見逃しているのだ。だから、行きたくないのだ。

しかし、他のいい医者は思い当たらない。その日は会う人 、会う人に「いい歯医者知りませんか?」「いい歯医者知りませんか?」と呪文の用に聞いていた。
そして、いつもならそんなことを聞かない人に何気なく聞いたのだ。
すると自分もリコメンドされてから、その医者にお願いしているが悪くないという。さらに値段もロンドンのセンターに比べれば安いと言う。これはいいサウンズだ。
さっそく電話をして予約をとった。(つづく。今日は根の治療があったため痛みがあります。短いですが、この辺で失礼します。次回にその成り行きをご説明しましょう)

投稿者 lib : 01:18 AM | コメント (0)

August 12, 2008

イギリスの情報操作 オリンピック編

mama.gif

今週はホリデー休みのはずでしたが、どーしても言いたいことがあって、書くことにしました。

オリンピックが始まった。
英国生活が長くなると、よく友達から
「日本とイギリス、どっちを応援するの?」
と聞かれることがあるが、そんなものは決まってる。日本に決まってるでしょうが!

で、開催中はオリンピック漬けになりたいのに、どうしてこ~もTVのCoverageが少ないの?イギリスは!!!

日本みたいに、猫も杓子も一斉に同じ方向を向く過熱報道も行き過ぎだとは思うが、それにしても放送が少ない。
確か日本では民放も放送していたと思うが、イギリスではBBCだけ。
そのBBCでもごく限られた競技しか放送しないし、民放にいたっては「オリンピックなどこの世には存在しません」とでも言うように、黙々と普段通りの放送を流す不気味な静けさである。
BBCのオリンピック放送では自分の国がメダルをとったら最後、延々とその場面を何度も再放送し、他の競技には触れようともしない。
ああ、今まさにヤワラさんが柔道をやってるのにい~!見せて~!!

イギリスがメダルをとらなかった日は、何故か「過去のオリンピック名場面集」とか「過去のメダリストインタビュー」などを放送している。
まさにこの瞬間、2008年のオリンピック競技が行われているのに、「なつかしのオリンピック」をなぜ今ここで放送する必要がある?
いいから北島の水泳見せて~!見せろったら見せろ~!

オリンピックチャンネルをつけると、60%の確率で乗馬ばかりやっているのも気に入らない。
乗馬はイギリスが強い、数少ない競技だものな。

4年前のオリンピックの時から思っていたが、そもそも「乗馬」と「100メートル走」のメダルの重さが同じって、どう考えてもおかしくないか?
乗馬はごく限られた国の、ごく限られた階級のみ(最近は裾野が広がったとはいえ、まだまだやっている人は少ないぞ)ができる競技、片や100メートル走(200メートルでも400メートルでもいいが)は健康な2本の足さえあれば世界中の誰もが参加できる。
この競技人口の差を考慮せず、メダルが同じ意味を持つって、どう考えても不公平だとは思いませんか?
「西洋式乗馬」が認められるなら、日本の「流鏑馬」だってオリンピック競技に加えるべきである。アン王女も流鏑馬に種目替えするかもしれないぞ。
競技者はもちろん、戦国武将の格好をしなければならない。
他国の選手が着替えに手間取っている間に、日本がメダルをかっさらうと言う算段だ。うーん、完璧。

という訳で、日本に比べてオリンピックに対する温度が非常~に低いイギリスである。
(フットボールのヨーロピアンカップの方が皆がエキサイトしているように見えるのは気のせいか?)
自国が勝てないものには「興味ないもんねー」とあえて目を向けず、無関心を装っていることで大英帝国の面目を保っているのだろうか。

イギリスの勝った競技だけ放送し、その他は「無かったこと」にするようなメディアによる情報操作により、誇り高いイギリス人の皆さんは
「オ~、ブリタニア♪、イギリスってグレートだなあ♪」
と今日もパブでご満悦なのであった。

(と、悪口を書いた後でニュースを見たら、イギリス人がメダルを取った日なのにグルジアのニュースがトップだった。そういえば、ロンドンテロの時も、騒いだのは当日だけで、翌日はTVも新聞も他のニュースがトップに来てたな。日本だったら何日間も延々と、怪しげなコメンテーターの皆さんがあーでもない、こーでもないと引きずるだろうに…。こういった冷静な報道姿勢は、日本のメディアも見習うべきかもね)

と考える、自国贔屓にならないとっても公正な私でした。


投稿者 lib : 10:44 PM | コメント (0)

August 08, 2008

You either see it or you don't

teacher.gif
今日は不思議な体験をしてきました。

9月から東ロンドンの歴史を授業のカリキュラムに大幅に取り入れることにしたので、ここ数ヶ月私も色々と勉強しているのですが、たまたま日本から訪ねてきた親戚に「昔をそのまま再現した家がロンドンのLiverpool Street駅の近くにある」と聞き、一緒に行くことにしたのです。

Liverpool Streetといえば、現在はオフィスが立ち並ぶビジネスマンの街。隣のエリアであるOld StreetやShoreditchは若者に人気のナイトスポットですが、Liverpool StreetというとSpitalfieldsマーケット以外には観光客が特に訪れるような場所もないと思っていました。

訪れた場所の名前はDennis Severs’ House。Dennis Seversはアメリカからロンドンに渡ってきた芸術家で、1960-70年代にはかなり荒廃していたSpitalfieldsエリアの一角、Folgate Streetにある家を買って移り住みました。

やがて彼はその家の一つ一つの部屋を18世紀から19世紀の各時代の特徴を忠実に再現するように調度をそろえて改築していったのです。

現在、前もって予約をして月曜の夜にこの家を訪れると、ろうそくの光だけで家の中を自由に歩き回ることが出来ます。ただし、いったん家に入ったら誰とも口を利いてはいけません。そして、家の中にあるものに絶対に触ってはいけないのです。

この家を1つの作品とみなしていたSeversは、フランスから宗教迫害を逃れてやってきたプロテスタント(ユグノー)であるJervisという架空の家族を創り上げてその家に住まわせました。つまり、まるで各部屋にそのJervisファミリーが今でも住んでいるかのように表現したのです。

まず、家に入ると一階の居間に入ります。ろうそくに照らされた薄暗い部屋の中で、鳥かごには本物の鳥が羽を休ませており、テーブルには直前まで人がいたような跡が、、、。どこからともなく、床がきしむ音、人がしゃべっている音まで聞こえてきます。

そして、地下の部屋に下りると18世紀に時代設定されており、Jervisファミリーがユグノーとしてイギリスに渡ってきた当初の生活の様子がそのキッチンから垣間見られます。

暖炉には本物の火がはいっており、水周りには料理をしている跡が。テーブルにも新鮮な野菜や果物が置かれています。

そこから時代は19世紀へ。SeversのストーリーではJervisファミリーは絹織物のビジネスが軌道に乗り、生活もかなり豊かになります。2階付近の部屋はそんな19世紀の彼らの生活が反映され、地下と1階とは全く違う、立派な調度で部屋が調えられています。

私が部屋に入る直前までJervis夫人が朝ごはんを食べていたのでしょうか。ベッドの上のシーツは乱れ、ベッドサイドにはなんと食べかけのトーストと入れられてからそう時間の経っていないコーヒーが置かれたテーブルがありました。本当にコーヒーの香りが部屋に漂っているのです。

まぁ、これにはここの職員さんたちが直前までセッティングしていたのを私が一瞬見てしまったという残念な経緯があったのですが。

このような感じで、この家にあるものすべてがその家に生活する人々と繋がっており、普通の博物館と違ってそこら中に説明書きがあるのではないのです。テーブルにおいてある手紙、壁に張ってある写真、数あるアンティーク、360度、いたるところにヒントが隠されているのです。

訪れた人々は自分の想像力、視覚、そして嗅覚、すべての感覚を頼りに部屋の中を観察しながら当時の様子を探り、そしてそこにいた(Seversによると「今もいる」)人々と実際に会うことはないものの、ある意味コミュニケーションをとるわけなのです。

ですから、この家のモットーはタイトルに書いたように「You either see it or you don’t」。自分でこの家のストーリーに引き込まれなければ何も見えてこないわけです。まるで実物大のロールプレイングですね(まぁ、我々は傍観者ですが)。

残念ながらDennis Seversは1999年に亡くなりましたが、生前は彼自身がツアーのガイド役となってJervisファミリーの歴史を話していたようです。私も彼の案内で部屋をめぐりたかったです。

以前にも書いたとおり、このSpitalfieldsはユグノー、ユダヤ教徒、そしてバングラデッシュ人とロンドンの移民たちの玄関口となった地域で非常に歴史のある地域です。でも再開発が進む中、なかなか250年もの歴史をそのまま残す建物は少ないのです。

そんな時代だからこそ、その地域にこんな素晴らしいタイムカプセルを残してくれたSeversには本当に感謝したい気持ちでいっぱいです。

皆さんにも機会があったらぜひ訪れて欲しい、そんな不思議で素敵な場所でした。

投稿者 lib : 12:56 AM | コメント (0)

August 06, 2008

darling.gif

歯痛のため、今週はお休みとさせていただきます・・・(涙)。

投稿者 lib : 02:26 PM | コメント (0)

August 05, 2008

Keep Your Mouth Shut

mama.gif

2年ほど前は言葉の発達が遅れていて、望んでもいないスピーチセラピーやヒアリング・テストに送られてしまった息子だったが、最近は
「ちょっと黙ってくれない?」
と思うほど、一日中喋っている。

親も遣わないような自然なネイティブ表現を遣ったり、私の発音を直してくれることもある。
無料の発音矯正だと思って、有難く直していただく。

親としては嬉しい限りだが、口が達者になってくると、困ることもある。

息子はレセプションクラスの友達の影響で、「小さなフットボールファン」になっている。
特に友達の一人のお父さんが筋金入りのアーセナル・ファンで、彼の息子の私服はいつも「アーセナル・シャツ」だ。

ちなみにイギリスにおける、「フットボールシャツ」の位置づけだが、ある日本語のガイドブックには

「フットボールシャツを着ているのはワーキング・クラスの人です。ミドル・クラスはまず着ません」

と書いてあった。

この定義が100%正しいかどうかは別として、まあ大阪で虎キチの親父が息子にタイガースのユニフォームを着せているようなもので、微笑ましいと思うことはあっても、「お洒落」とか「トレンディ」とか「洗練」いう世界とは別物である。
確かにフットボールシャツを着ている大人には、パイントのビールと怒声がよく似合う。

とまあ、要するにそういうものだし、フットボールにまるで興味のない私としては、まさか自分の息子にフットボールシャツを着せようとは夢にも思わなかった。

「僕もA(友達の名前)みたいにアーセナルのシャツが欲しい」

と言われても、

「はいはい、じゃあ今度探しておくからね~」

「お店で探したんだけど、見つからなかったわ~」

といつも適当にあしらっていた。

しかし先日、久しぶりに息子とセンターのショッピング街を歩いていると、スポーツ用品店を見て息子の足が止まった。

「このお店、見たい」

と言う。まあいいかと思って中に入っていった。

店内を一通り見回して、特に欲しいものも見当たらなかったので帰ろうとすると、息子がはっと気づいたように言った。

「ここならアーセナルのシャツを売っているかも」

やばいっ。確かに売っていそう。

「え~、売ってないと思うよ、ほら、どこにも見あたらないし…」

といつものようにごまかそうとすると、息子は勝手に店員のところに歩み寄って

“Do you have Arsenal Tops?”

などと聞いている。

(売ってないように、売ってないように…)と祈っていると店員は、

“Basement”

と答えているではないか。

嬉々としている息子に引きずられるようにして地階に行くと、売り場の一角に子供用のフットボールシャツのコーナーがあった。

(あちゃ~)

と思いながらも見てみると、一番下のサイズで7才用だ。

しめたとばかりに、

「ほら、大きいサイズしかないよ、君のサイズは無いね、残念だね~」

さっさと退散しようとしたが敵もさる者、息子はまた近くの店員に歩み寄って、

“Do you have Arsenal Tops for me?”

と勝手に聞いている。

(売ってないように、売ってないように…)とまたもや祈ったが、店員は息子のサイズの売り場に連れて行ってくれてしまった。

そこにはまさに、息子の捜し求めていた一品が…。
サイズもちょうど良さそうだ。

目を輝かせて私を見る息子。

うう…。フットボールシャツなんて着せたくないと思っていたが、息子が自分で店員に聞いて、探し当てた努力は買ってあげたい。
もう買わない言い訳も見つからないし逃げられそうにない。仕方ない、努力賞と思って買ってあげるか…


……と、シャツを手にとって、値札を見たとたんに気が変わった。

29.99ポンド?(約6千円)

自分の今来ているシャツより高いぞ。ワーキングクラス御用達(By日本語ガイドブック)のフットボールシャツってこんなに高いのか。いくらなんでもこんな金額を出したくない。

急に方針を変更して、息子に(半分)真実を伝えることにした。

「ちょっと高いね…マミー、今日お金持ってないから買えないわ。」

「カードは?」

(ちっ、小賢しくなりおって)「…カードも今日、忘れちゃったの、おほほ~」

と今度こそ本当に店から引き上げようとした。

出口に向かう途中、さっきフットボールシャツの場所を教えてくれた店員に会ってしまった。
手ぶらの息子を見て、

“You didn’t like it?”

と聞いてくる。

「サイズが合わなかったから~」と私が言うより先に、息子が

“Too expensive……”

と答えていた。言うなよ、おい!!!

明らかに失望した様子の息子、少し可愛そうかな、と思いつつ店を出て通りを歩いていたが、一難去ってまた一難。
フットボールシャツを売っている露店を息子が発見してしまった。
(あっ……)

と思った時には息子が

“Do you have Arsenal Tops?”

と聞いていた。

露天商は満面の微笑みで、息子のサイズを出してきた。
ハウマッチ?と聞くと、10ポンドだと言う。

“Mummy!!  It's Only 10pounds!!  It's Cheaper!!!!

オックスフォードストリートの真ん中で息子に叫ばれた。

…もう面倒くさくなって買いました…。

露店で買ったシャツのラベルには、大きく“UNOFFICIAL”と書いてあった。

「フットボールシャツ」しかも「バッタもん」という、考えられる限り最悪のアイテムを購入するという結果になってしまったが、息子は嬉々として着ている。
しかも友達や親戚に会う時には特に、
「このシャツ見せたい」
と着たがるので、20ポンド程度をケチったがために私は
「バッタもんのフットボールシャツを息子に着せている母親」
として人々の脳裏に深く刻み込まれるのだ。


…息子が言葉を話せなかった頃が、少しだけ懐かしい。


(次週からホリデーのため、2週間お休みさせていただきます)


投稿者 lib : 01:16 PM | コメント (0)

August 04, 2008

Quality

shacho.gif

若い頃、法に触れることはやらなんだが、こずるいことは随分して
きた。仕事はそこそここなしてきたが、それをいいことに、酒飲む、
女泣かせる、金つかう、嫌な奴だったと思う。そのしっぺ返しか、
四十になってようやくだが、他人様に迷惑かけず、まっとうにやっ
ていこう、という思いに至りはじめた頃にちょうど当店を創立した。

一流企業にしたいという夢はそんなところに因があるかもしれぬ。
それがかなわぬまでも、一流企業と同等の備えを持ちたいと思い続
けて多少の背伸びをしてきたように思う。当社はありがたいことに
設立当初から一流企業の皆様に大変お世話になり続けており、ご愛
顧を頂いているからであり、困ったときに助け続けられてきた。僕
にとって、会社というのはこうあるべきだというお手本を見せて頂
いてきたわけで、嫌な奴、の対極にある、一流というものを勉強さ
せてもらっている。

例えば、当社が請求書を送付する。本来はそこで全く安心できない
のが残念ながらビジネス世界の実態である。が、お客様が一流企業
だと、まず安心して寝られる。そして3週間後には果報が入る(現
金が銀行に入る)。毎回毎回3週後に入る。これはすばらしいこと
であり、真似すべきことだと思った。そして当社も一流企業のマネ
をして3週目には支払いを心がけている。業者のキャッシュがきつ
いというときは、こちらに余裕があるのであれば、即金でも払って
あげる、小企業の顧客が厳しいときは可能な限り待つ。そういう関
係が永く良いつきあいを構築できるのだとおもう。勿論業績がそこ
そこでなければこうはできまいが、できるうちはそうしようと思っ
ている。

時には当社が3週間さえ待てなくなることがある。そんな我侭をよ
しよし、と聞いてくれ、支払いをさらに早めてくれる!そんなこと
あるわけねーだろ、という声が聞こえるが、実際にそうなので、こ
うした一流企業のお客様達の会社名を挙げたいがここでは控える。
まったくこうしたお客様は文句なしにかっこいい。僕らもそうなり
たくなる所以である。

今の僕らができることは、こうしたお客様から頂戴する対価を超え
るサービスを提供し続け、お使いいただくことである。一流企業で
はないけれども、一流のサービスは提供することはできる。今回、
多少旅慣れしてきた東京出張中に、当社東京本店、飲み屋、レスト
ラン等でのサービスを楽しんで観察してきた。本屋で帝国ホテルの
サービスを書いたものを入手した。皆なかなか興味深く、僕が関心
を持ってきたことの一つ、サービス品質ということに、更に関心が
深まったように思う。

投稿者 lib : 04:24 PM | コメント (0)

August 02, 2008

昼の顔 夜の顔

teacher.gif
今回は教師生活に関係あるような無いような話をひとつ。

実は夏休み二週目に入った今日、南ロンドンのBrixtonというところへ行って来ました。

かつてはかなり治安の悪い地域として有名でしたが、ここ数年はだいぶ街も綺麗になり、犯罪率も以前よりは低くなったとのこと。とはいえ、東ロンドンに住んでいる私は普段全く行く機会の無い場所です。

では何で今日そんなところへ?しかも、夜の7時に、、、?

実は、同僚のTがBrixtonの駅の近くにある某チェーン系のジムでエクササイズクラスを教えていて、そのクラスに無料で参加させてもらえるというので行ってきたのです。

同僚Tは私の学校で心理学や宗教学を教える白人サウスアフリカ人。すごーくスタイルが良くて、無駄な脂肪が一切見当たりません。

それもそのはず、彼女の趣味は水泳。仕事が終わってからもしょっちゅう泳ぎに行っているようです。仕事帰りにチップス買っちゃう私とは大違いですね、、、。

そんな彼女がジムで教えていると私が知ると、私が今まで出会った教師で間違いなく一番心が綺麗で優しい同僚Tは「月子も今度ぜひいらっしゃい」とたぶん一年くらい度々誘ってくれていました。

でも実際、平日の仕事帰りに南ロンドンまで行く気力がなく、その好意に甘えることもなかったのですが、夏休みにも入って余裕が出来た私は今回思い切って行ってみることにしたのです。

「ヨガとストレッチを取り入れて音楽に合わせて体を動かす気持ちのいいプログラムよ」と言っていた彼女。

ヨガは好きだし、動きもゆっくりなので私でもいける、、、と思っていたのですが。

感想:スーパーハード。

最初の20分は体を温めて代謝を上げるためなのか、テンポの速い音楽に合わせてまるでエアロビのよう。そして、その後もヒップと腿にかなりくるつらーいつらーいエクササイズの連続。

体の硬い私はほんとに無駄のないしなやかな動きの彼女に合わせてついていこう必死だったのですが、鏡に映る自分は彼女の半分も体を伸ばせていないという情けなさ。1時間のエクササイズの後は足がへろへろで、明日が真剣に怖いです。

それにしても、同僚T、心理学という非常に難しい学問を教えられる上に、こんな才能(でもこれはもちろん彼女の努力の賜物でもあるのでしょうが)もあるなんて感動ひとしきりでした。

自分が汗だくになって必死になっているところを見られるのは相当に恥ずかしいものでしたが、それ以上に同僚の仕事以外での姿を見るのは本当に不思議で嬉しいものでした。

ちなみに面白いことに彼女が指導する姿はやっぱり学校で教壇に立つ彼女そのもの。なんというか、エクササイズに来ているのは全員大人なんですが、彼女の話しかけ方、声の調子が学校の生徒に話しかけている教師なんですね。

まぁ、彼女の場合、普段も物腰が柔らかで生徒に対しても本当に穏やかで丁寧なので余計にそう思えたのかもしれませんが。

私も趣味のグループの主催者として参加者に色々と指示を出すことがあるんですけど、「やっぱり教師だねぇ」と言われます。本人自覚は全く無いのですが、やっぱりそういうのあるんですね。

投稿者 lib : 12:43 AM | コメント (0)

August 01, 2008

友達自慢

darling.gif

bag.jpg

いやー、日本にいる友人が本を出版しました。うれしいです。

前々から趣味でコツコツとやっていた手芸関係の本です。いい本なので紹介させてください。

「ヨーヨーキルトで作るyoyo bag ヨーヨーキルトで作るyoyo bag 」 亘理 孝子著

じっくりと彼女の趣味について話した事がなかったので、こうして本になると、その頑張りぶりが分かりました。

今年の始めに日本で会ったときにもうすぐ出版されるからね。と言われ、先日、日本からロンドンに遊びに来た共通の友人がその本を持って来てくれました。

さすがデザイナーだけあって、手芸の本でありながらお洒落に仕上がっている出来栄えのいい書籍です。一般の読者になった気分でフムフムと本を眺めて、よし、これを作ろう!!なんて思わせてしまうのも凄いです。

仕事とは別のことを続けるのは、大変な事ですよね。さらにコンクールに応募して、入選や賞をもらうぐらいにコツコツと努力を続ける。エライ!!意外の言葉が見つかりません。脱帽です!!!

ということで、皆さんもぜひ、紹介したかったし、本を見ていただきそして、買ってくださいな。


この本を持って来てくれた友人は、一家でロンドンにやってきた。日本の休暇とあって実質4日間の滞在は短い!!うう、かわいそうだ。すまない。私たちロンドン組は、高い物価と格闘はしているが、休暇だけはもっと取れる人が多い。

10年以上も前に夫婦だけでロンドンに遊びに来て、今回は娘も一緒の家族旅行でやってきた。そう、1人増えているのだ。

友人とは、同じ職場での同僚だった。その会社は、出来てからまだ若かったので社員同士がとても仲良く、よく飲んだり遊んだりしていた。

よくあるように1人娘からは、オヤジと言われて、少し敬遠されてきているが、本人はまったく気にしていない。だんだん受験などで忙しくなり、家族旅行なんてしばらくできないだろうから、これが家族で来る最後の旅行になるかな?なんて淋しそうにしながらも、この短いステイでもニコニコしている。

彼とは、数十年以来の知り合いだが、私がロンドンに来てからは、一時帰国の際にたまに会う程度で、今回のように久しぶりに観光などを供にしてゆっくりと過ごしてみると、彼への印象が昔とは違っていた。まるでお気に入りの本を、歳を経て読み返した時に、前とは違った感想を持つのと似ているかも。そう、若いが故に見えていない部分ってあるのよね!?

また、奥さんから聞いた話では、寂しがり屋でなんでも一緒にしたいらしい。フフ。結構、可愛いくて素直な奴だったんだ。と見直した部分がいろいろあった。(ごめん!!)

こうしてロンドンにいると日本のことが恋しくなる1つに、友人と気軽に会えない事があるよねー。しかし、この距離感が着かず離れずの関係を保てて、ワインのように時間とともにいい感じに熟成してくれているのかもしれないなー。でも友達っていいよね。さあ、今年はいつ日本に帰ろうかな?

投稿者 lib : 06:35 PM | コメント (3)