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May 28, 2009

別れの季節。

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今週はハーフターム。学期の中休みです。

今年はイースター休暇から4週間でハーフタームとあっという間でした。このハーフタームが終われば、夏学期の終わりまで8週間あります。

さて、毎年この季節になると今学期いっぱいで学校をやめていく教師もいるので、新しい教員を雇うために面接があちこちの学科でおこなわれます。

先日もArt&DesignとMathsで面接があったようで、朝から志望者たちが受け付け付近で待つ姿が多く見られました。

そして、、、私の学部Humanitiesでも二人の同僚が学校をやめることになりました。

そのうちの一人は地理教師E。彼女は私が知るイギリス人の中でも驚くくらい真面目で働き者。一昨年、教育実習で初めてうちの学校に来て、翌年にそのまま就職しました。

二年目の今年は地理の学科主任が学校内の他のポジションに移ったため、彼女が学科主任代理を務めていました。

ところが、彼女以外の地理教師が一年契約の臨時教師であったり、副校長を兼任していたりと、授業計画や教材作りを協力できる教師は皆無。そして、地理だけでなく、Travel and TourismというVocational course(職業訓練コース)の主任も実質務めており、学科主任の事務も含めてほとんどの仕事を彼女が一人でこなす状況でした。

私と同僚Eは歳も同じ、お互い学校が閉まる6時まで仕事をして帰ることが多いので、帰り道でお互いの仕事の愚痴を言うこともしばしばでした。

それでも、5年目で少しは要領も得て、集中してきっちり仕事をこなすところと手を抜く部分のバランスが分かってきた私と、二年目でなんでも一生懸命やろうとする(しかも私の二年目よりも仕事はたぶん二倍以上)彼女とでは大変さが違うのはわかっていました、、、。

この状況でも学校は予算の都合からもっと学科運営の経験のある教師をパーマネント契約で雇うこともなく、他の人文系の学科の教師に地理を教えさせるという有様。

これでは来年か、再来年か、彼女は教師を辞めてしまうのではないかと私は思っていましたし、実際彼女も今の学校のあり方に疑問を持っていることを常日頃話していました。

そして先週、違う学校での仕事を見つけた彼女は見事面接で受かり、その学校での就職を決めたのです。そんな彼女が選んだのは「学科主任」ではなく「普通の教師」のポジション。雑務に追われてまともに「教えること」に集中できない今の状況を限界に感じたのです。

こんなに努力家で生徒の学びのことを第一に考えていた教師をサポートせずに追いやった代償は大きいと思います。

この間の教員組合のミーティングでも、Ofstedの学校監査以降の上層部の対応、特に教員をまるで「監視」するかのような体制に不満が噴出していることは明らかでした。

私もここ数ヶ月はOfstedがらみで色々あり、精神的にきつい思いをしていたこともあったので、他にも似たような経験をしている教師が多数いたことに驚きました。

この今年に入ってからの経験で、私自身成長したことは間違いないし、やっと前向きに捉えて自分のやっていることに自信を取り戻しつつあるものの、学校全体が暗い雰囲気に包まれていることへの不安はぬぐえません。

私はまだ今の学校でチャレンジし続けたいと思っていますが、他の学校に行きたいと思ったときに自分の長所、自分が学科のために今までやってきたことをアピールできる自分でありたいなと正直思いました。

それにしても、9月から帰り道が淋しくなります。でも、同僚Eには新天地でのびのび頑張って欲しい。そして、お互いそれぞれの場所でまた良い出会いがあることを祈って、、、。

投稿者 lib : 05:53 PM | コメント (0)

ああ、殺人事件。(その2)

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ここで上の住人を説明しよう。 我が家は、その昔は2階建ての1軒屋だった。それを3階にし、3つの住宅に改造したようだ。このようなフラットはコンバーティブ・フラットといい、一番の問題は音が漏れる事。
3人のオーナーがそれぞれの階をもっており、我々以外の2人は投資として他人に貸し出している。
この事件のあった部屋(日本でいう3階)のオーナーは、絶え間なくテナントが欲しいためにカウンシル(市役所みないなもの)に貸している。この国は、なんと行っても困っている人に優しい。(優しすぎて、私の税金をかなり無駄にしているといつも思っている。) カウンシルは必要な人に部屋をあてがう。この必要な人とは、生活保護を受けているか、公から住処のサポートを必要としている人が多い。そのため、ここに来る住人は、何か問題を抱えていることが多い。
始めは、コソボから逃げて来た家族だった。彼らは、私が同じように外国人として、この国に生活しているので、境遇も同様とおもったのかとても親切にしてくれた。家に遊びに来いと招かれ、行けばビール、お菓子を出してくれ,仕事はあるかい?なんて心配された。彼らの境遇に比べれば、私の国なんて平和ボケしているので、申訳けなかった。今はもっと広い家に移ったが、とてもいいご近所さんだった。2番目は、以前にも書いたが、この家に来た時にはすでのお腹が大きい10代のシングルマザー。兄とボーイフレンドが問題児で、 警察が来た事も度々あった。そして、今回の住人であり、殺人犯はアルコール依存症だった。

この男性、英国人で静か。そう、アルコール依存症でも静かな人もいるんだ。この事件の起こる少し前までは、なんの問題もなかった。彼には時々ボーイフレンドが訪ねてきた。
数週間前、夜遅くに我が家の玄関のベルがなった。だいたい知り合いなら電話してから来るし、予定以外の訪問者は勧誘か宗教に決まっているし、夜なんてぜったいに出ない事にしている。
すると我が家の窓をノックするではないか、仕方がなく玄関を開けると3階の住人のBFだった。
「僕の犬が上にいるの。だけど彼はいないみたいなので、心配だからここで待ちたいから中に入れて。」という。しかし、我々は彼の事をよく知らないし、住人がいないのに、入れる訳にはいかない。「悪いけど、」と言うと、スーっと入ってきて、「お願いだから、、」と泣きつく。
優しい物言いだが、自分勝手。そして、階段に座ったまま動かない。
「出て行ってくれないなら、悪いけど警察を呼ぶよ。」とダーリンが行っても動かない。しかたがなく警察に電話すると警察は,シリアスな問題もないとわかり面倒ないい方で「うーん。そこに行けるのは2時間ぐらいかかるよ。」とつれない返事。そして2時間たった後、やってきてくれた警察のお陰で、彼を外に出してくれた。そして、その後、彼が殺されるはめになった。(つづく)

投稿者 lib : 09:44 AM | コメント (0)

May 26, 2009

私をフットボールに連れてって その2

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フットボールの試合を見に行った。

一度は見てみたいと思ってはいたものの、チケット入手は難しく、しかも100ポンドもするとか。ファンでもないのに興味本位で行くには手間ひまがかかるし高すぎる。

・・・と友人が 「フットボールゲームのチケットがあるんだけど、明日の土曜日ひま?」 と電話をしてきた。翌日の予定は 「庭仕事」だけだ。 ガーデニングは来週に延期しよう。芝には悪いが、もう1週間は勝手に伸びてもらうことにする。

「チェルシーのホームゲームで相手はフラムだよ」
チェルシーといえば、有名なチーム、のはず。相方はフラム(フルハム?)両方ともロンドンの地元チームだそうだ。どうせ行くなら有名チームが見たいと思っていたのでよかった。3丁目かもめ商店街チームなんてよりは、チェルシーとか、マンチェスター・ユナイテッドとか、アースナルとか、えーと、他にもあったっけ? ニューヨーク・ヤンキース? 

さて、重要な質問だ。

「何を着ていけばいいの?」
「何でもいいよ」

ほーら、出た。 「何でもいいよ」って、何でもいいわけないじゃない。
スポーツイベントでも、アスコット競馬とウィンブルドンテニスと着ていくものは違うし、アスコットだって、メンバーズクロージャーなら、一般席とは違うでしょうに。

「で、他のメンバーは?」
それがわかれば、なんとなく着ていくものが決まる。 
「えーとね、ロンドンのクラブのオーナーとファッションハウスの人だよ」
・・・何でそんな派手な商売の人たちと私を一緒の席にするの?
どうしよう、何を着ていこう? 

(うわー、去年のシーズンの服を着てる、この女)とか 
(15センチ以下のヒールとストッキング履いた女なんか、久しぶりに見た。ダッセー。僕のクラブに足を踏み入れて欲しくないね)とか思われたらどうしよう? 
すみませんねえ、ウエストエンドのトレンディでファッショナブルな皆様に比べて、シティの勤め人なんて、スーツに中ヒールとかが定番なんですけど。 

と、心配したが、結局はオーナーの親戚の男の子、とファッションハウスの経理担当の人が来るらしい。よかった。

1時にフルハム・ブロードウェイの駅で待ち合わせる。
他の人たちも思ったよりは地味で胸をなでおろした。「経理担当」の人はいかにも 「経理担当です」という真面目そうな感じで、職業上のキャラは万国共通かも。チェルシーファンという男の子は19歳 「チェルシーが勝つといいな」と興奮している。

駅を出てスタジアムに向かう。ほんの2,3分の距離だ。
選手の名前と背番号のシャツを着てワクワクした顔の少年が父親に手を引かれている。
XX選手が彼のヒーローか。 坊や、将来はフットボール選手ね、とお母さんに言われているんだろうな、と、ほほえましい感じだが。
腹の出た中年男がチームシャツでなく、選手のシャツを着てウキウキしているのは
XX選手が彼のヒーローか。 あんた、フットボールもいい加減してよ、と奥さんに言われているんだろうなあ、と見ているほうが困った気持ちになってしまう。

「・・・チケットあるよ」
「メイト (おにいさん、という感じの呼びかけ)チケット余ってたら買うよ・・・」
とダフ屋のささやき声があちこちからかかる。
なんだか武道館のロックコンサートに向かっている気分である。

「チケット買わない?」というのと、
「お兄さん、遊んでいかない?」というのは、その気のない通行人にとってはドギマギさせられるものだ。(後者は言われたことはないが・・・)

「いくら位で売ってるものなの」と聞くと、
「40-50ポンドで買いとって、80-150ポンドで転売かな。席によるけど」ということらしい。高いのね、フットボールって。オペラより高いなんて。

と、この日はゲストルームへのご招待だ。
15-16人用の部屋代は1ゲームが4000ポンド。年間でホームゲームは約20試合だそうだから、シーズンで8万ポンド? ゲストルームもシーズン契約だそうだ。この階には16部屋ある(つい、数えてしまった)。上の2フロアもゲストルームがあり、スタジアム向かい側にも同じようにあるようだ(これも数えた)。42000人入れるスタジアムで、もし1席を50ポンドとすると・・・(貧乏人はこうやって必ず掛け算したり、日割り計算したりする。私のように)

ビジネスモデルとしてのフットボールはすごい・・・。完全にオペラの負けだ。

投稿者 lib : 04:09 PM | コメント (0)

May 19, 2009

ああ、殺人事件。(その1)

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(ブログが不定期で本当に申し訳ありません。忙しいのをいい訳に出来ませんので、今後、真面目に(たとえ、短くても)毎週定期的に書くように努力しますので、今後とも宜しくお願いします!!COCO)

先週の金曜日の明け方4時頃、私の眠りを妨げる音がした。以前2階に住んでいた若い女の子がクラブ帰りに男を連れ込んできたのを思い出す。そうだ。今では彼女達もいないなー、じゃあ、この音は?っと、寝ぼけていると数人が階段を上がったり、下がったりとしている。なんで上下するのかな??それに、時々小声で話し声が聞こえる。あれ?もしかして、警察?救急車?と思った。横を見るとダーリンは、こんなにうるさいのに寝ている。凄いなー。図太いなー。
起き上がってフロントの窓から道路を見えれば一目瞭然だが、ベッドからなかなか抜け出せなかった。すると我が家のドアを誰かがノックした。さすがにダーリンも起きて来た。恐る恐るドアを開けて見ると警察官が立っていた。「一番上のフラットで、シリアスな事件がありました。何か音を聞きましたか?」と聞かれた。緊張感のある警官の態度に感心しながらも何も聞いていないことを告げた。彼は、我々の名前と生年月日(なんで?)、そして、電話番号を聞いた。
ベッドに戻り「シリアスな事件って、だれか怪我しているんだね。でも、フロントのドアは壊された音がしなかったので、内側からだれが開けたんだよね?!ということは、誰が開けたの??」いろいろ想像しながら話しているうちに寝ってしまった。私も結構図太いな。

そして、女性の話し声、それも弾丸のように話している声でまた目が覚めた。おそらく 警察官だろう。私は昨日、いや正確には、数時間前に起こされたのでまだ寝ていたい。意を決して、静にしてくれるように頼もうと思いドアを開けた。すると笑顔いっぱいの女性警察官が「おはよう。昨日この上のフラットで殺人事件があったのを知っている?」となんだか楽しそうに、まるでゴシップを話すオバさんのように話しかけて来た。
私は文句を言うのはなんだか場違いになっている状況なので諦めた。1人がまた名前と生年月日と連絡先を聞いてきた。(うーん。警察内部の伝言がうまく言っていないのだろう。まあ、いっか。)
そして、死体がまだあるので、我々は暫くここにいるから。と言った。死体?? 誰が死んだの?と聞いても、警察では、まだ、死んだ人間の名前がわからないという。
窓から外を見ると、 我が家の出入り口には、ニュースとかでよく見る立ち入り禁止用の警察のテープが 付けられているではないか。ギョギョッ。だんだんここで殺人事件が起きて来たことを実感し始めた。
この2人の警察官は、仕事とはいえ朝早くから、誰も入らないように現場を見張っているのだろう。なんだか気の毒になって、「お茶でも飲む? 」と聞くと「大丈夫。これがあるから。」と携帯用ポットを指差した。自分用のポット持参とは、なんだか慣れているなー。それだけ頻繁にこんなことがあるのかな?
「じゃあ、トイレが必要だったら、ノックしてね。」といったら喜んでいた。私は、なんだか警察官に話しているという感じがしない。だって、殺人事件があったのに、なんだか緊張感がまったくないんだもの。
さて、殺人現場になった住人の話をしないとね。あれ?私もだんだんゴシップ好きのオバさんになっているかしら??(来週につづく)

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投稿者 lib : 10:53 PM | コメント (0)

May 17, 2009

にほんごビギナー

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息子が日本語の学校に通い始めて1ヶ月が過ぎた。
1ヶ月といっても週に一度だけなので授業は4回受けただけ。

話には聞いていたが、日本の学校で一週間で習う内容を、土曜日の午前中だけでカバーするということなのでなかなかハード。1年生の初めから宿題を沢山もらってくる。

まずはひらがなの練習ということで、「あいうえお」「かきくけこ」のひらがなの書き取りの宿題。
懐かしの「こくごノート」(四角の中に点線で十字が入っているアレ)で文字の始まる位置、とめ、はね、はらいなどに気をつけながらお手本の様に書かせていく。

実を言うと私は、文字なんて読み手が認識できればいいのではないか。皆が皆、ペン字の様な字を書く必要があるのか、加えて今はワープロの時代、手書きする機会自体が少ないのだから、お手本にこだわって綺麗な文字を書くことにどれだけの意味があるのだろう・・・・と思っていた。

しかし私の意見なんぞ聞かれちゃいないし、とりあえず先生の指示通りにお手本にならって(もちろんお手本の通りとは程遠いが、少しでも近づくように)書けるように息子の隣で指導しながら宿題をこなさせる。

すると、私自身に変化がおきてきた。
まず、ひらがなの美しさに気がついた。
息子に練習させるため、嫌でもひとつひとつの文字をよく見ると、あら不思議、それ自体が芸術作品に見える。
平仮名ってなんて繊細で柔らかくって表情豊かなんだろう。

そして、息子がアルファベットを書き始めたときや英語の単語を読み始めたときも勿論嬉しかったが、息子が「日本語」を読み書きできるようになりつつある、それを見守る嬉しさは、心に温かいものが流れ込んでくるような、英語の時よりもずっと格別な喜びだった。
自分自身、あまり「日本人」であることにこだわっていない方だと思っていたので、これは我ながら驚きだった。

平仮名はアルファベットに比べてかなり複雑だが、アルファベットでさえミミズの這ったような字を書く息子が、それなりに「人が読める」ひらがなを書いている。
・・・・・不器用な息子が平仮名を練習することで、少しは手先の器用さを得られるかもしれない。

今まで私が日本語をあまり教えていなかったので、息子にとっては学校の日本語環境にもプレッシャーを感じるらしい。
「マミー、学校で先生の言っていることよく分からないよ。学校行きたくない」(←In English)
と言い出した。

実は私は今、大学に通っている。
うんうん、「先生の言っていることがよく分からない」気持ちは私にもよーく分かるよ。
まあ言語以前に内容が分からない、って話でもあるんですけど(涙)

「そうかー、でもね、マミーも学校で先生の言ってることなんかよく分からないんだよ」

目をまるくする息子。

「ええ?そんなの嘘だ。だってマミーは大人だし、英語も話せるじゃないか」(←In English)

ああそうか。これくらいの年の子供って、大人は困ったりしないし悩み事なんて何にもないと思ってるんだよな。

「マミーは大人だし英語も話せるけど、マミーにとっては日本語がもともとの言葉で、英語は習った言葉だからよく分からないことも多いんだよ」

親子で傷を舐めあう私たち。
ともあれ、これを聞いて彼も少しは気持ちが軽くなったようだった。

ちなみに息子に「マミーの学校」について質問されるトップ3。

1.マミーの学校にプレイグラウンドある? ← ないよ!
2.マミーの学校のプレイグラウンドは大きい? ← ないんだってば!
3.マミーの学校のプレイタイムは何分? ← だからないっつーの!

私は本当に大人だと思われているのか。

投稿者 lib : 11:24 AM | コメント (0)

May 16, 2009

ESの力。

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今日の5時間目と6時間目は私のES Duty(Emergency Support Duty)がありました。

授業時間中に学校内で色々な問題が起こったときに呼ばれて,その場を収め、事後処理をするのがESの教師の役目です(詳しくは23 October 2008の記事「ES」を参照)。

私の場合、二週間に一回、ES Dutyをまかされています。ただ、いつもは本校舎があるキャンパスから10分ほど歩いたところにある高学年用のキャンパスでの任務なのですが、今回は本校舎のほうでした。

実は、前回の自分のDutyを他の先生に代わってもらったので今回はお返しに彼女が普段やってる任務を引き受けたのです。

今日は、金曜の午後ということもあり、週末に向けて生徒も浮き足立っているでしょうから、ES Duty中に携帯してなければいならない専用の電話機も鳴りっぱなしになるのではないかと予想していました。

重大な事件がおこらないで欲しいなぁと願いつつ任務スタート。

、、、開始後15分くらいでまず、1件目の対応。

9年生の生徒が男性と歩いていちゃいちゃしているところを見てしまったがために(イスラム教家庭では男女交際を厳しく禁じる親も多い)、その日からその生徒に登校中に付けまわされたり、昼休みに汚い言葉でののしられたり、背中を押されたりしたという11年生の生徒二人と事務室の受付前で遭遇。

彼女らが自分たちの学年主任に報告したところ、その生徒の名前を確認するように言われたらしく、顔写真のリストを見たいと私に依頼してきました。

実は苛めている側の生徒の友達と私が5分ほど前に別件で廊下で話しているのを見ていたらしく、彼女らは私を見た瞬間に「先生、さっき先生と一緒にいたあの子の友達に苛められている。どの子か見当つかないか?」と懇願してきました。

「すごく攻撃的。怖い。汚い言葉を使ってくる(いわゆるSwear words-罵り言葉。有名なのはFxxkとかBixxhとかですね)」生徒。そして、さっき私と一緒にいた生徒の友達。

それらの特徴を聞いて、ほぼ一瞬でどの生徒かわかりました。

それは生徒T。学校内でも5-6人でギャングのように行動するグループのリーダー格の生徒。その11年生の彼女達に写真を確認してもらうと一発で「この子だ!」と。

すぐに学年主任に名前を報告してこの件はひとまず終了。それにしても9年生が11年生を脅すとは。

そして、再び受付に行くと、「先生、お昼休みの監視員に暴言(これまたBixxh)を吐いた生徒がいたので対処してください」とIncident Report(事件報告書)を差し出されました。この生徒も9年生。しかも、私が歴史を教えているクラスの生徒の一人です。この生徒もすぐに攻撃的になりやすく、こういう事件をよく起こす生徒です、、、。

基本的に教職員に対して暴言を吐いた場合はすぐにIsolation Unit(隔離部屋というと怖いですが、処罰として問題をおこした生徒を連れて行く場所です)に送られます。今回もことがことなだけに、生徒側からの話を聞いた上で、Isolation Unit送りになることが決まり、この生徒を副校長のところまで連行。

これも滞りなく終わり、さぁ、ちょっとは座って休めるかなと思っていたら、、、。私の学部のオフィスがある廊下に9年生の2人の生徒の姿が。そうやら授業態度が悪くて教室から追い出されたようです。追い出したのは同僚A。

このクラスは私も教えていますが、かなりのツワモノ揃い。100分授業をした日にはエネルギーがかなり消費されます。しかも、金曜の最後の授業。正直、同僚が気の毒になります。

同僚Aは実は、教頭から授業観察を受けている最中で、放り出した生徒が廊下をうろうろしているのも良くないだろうと思い、彼女と話をしてその生徒二人を他のクラスへ移動させました(授業態度が悪い生徒に良く与える罰です)。

、、、そして時計を見ればもう3時近く。色々対処するためにあちこち歩き回っていたので気づいたらもうそんな時間でした。授業終了は3時20分。ちょっと時間があるのでオフィスに戻りました。

それから少し同僚とおしゃべりをして食べてなかったお昼を食べ終わると終業のベルが。

一斉に教室から飛び出していく生徒たちを眺めながら、ESで使った携帯を事務室に返しに行こうと廊下に出ると、ある教室の前で人だかりができているのに気づきました。

なんと、生徒の一人が意識を失ったというではないですか。どの生徒かは最初分かりませんでしたが、とにかくFirst Aider(応急手当の資格を持つ人。教職員の中で校内に数人います)を呼びに受付へ。

一緒に戻ると倒れていたのは9年生の生徒Iであることに気づきました。この生徒は前も私の授業でパニックアタックを起こし、保健室のスタッフを呼んだことがあります。今回も授業終了間際にパニックアタックで過呼吸をおこして床に倒れこんだようです。

彼女が保健室へ連れて行かれるのを見ていたその時、ふと違和感を感じました。何かおかしいのです。

、、、彼女はそのクラスでは授業を受けていなかったはずなのです。違うクラスの生徒ですから。じゃあ、何でそこで倒れていたのか。

その授業では本来の教師が病欠で、代理の教師が担当していました。私がその教師に話を聞くと、なんと生徒Iは授業中、ずっとそのクラスにいたそうです。どうも出欠を取った時点で彼女は嘘の名前(たまたま欠席していた生徒の名前)を言ったようなのです。もちろん、そのクラスを知らない彼女は生徒の言うことを鵜呑みにし、生徒の写真リストを持っていたものの、鮮明ではなく気づかないでいました。

このまま、誰も気づかなければ彼女は他人に成りすましたまま、自分の授業をさぼって友達がいる授業に居座っていても何の罰も受けないところでした。今回、私が見たことによって、彼女は何らかの処罰を受けることになります。Truancy(さぼり)は処罰として時に停学になることもあります。

彼女が今回どういう経緯でパニックアタックになったのかはわかりませんが、私は彼女の起こした行動にただただ驚くばかりです。平気でこういう嘘をつくとは。そして、それを指摘しなかったまわりの生徒たちも。実は、この生徒Iの友達の一人は何と、先ほどの苛め問題で出てきた生徒T。たぶん、他の生徒たちは触らぬ神に祟りなしという心境だったのでしょう、、、。

というわけで、これを最後にES終了。かなり校内を歩き回った100分でした。あぁ、疲れた。それにしても今日のESでわかったこと。やんちゃな9年生でも私がES Dutyを担当していることがわかるとえらーく素直に言うことを聞くこと聞くこと。なにせ、ES担当の教師に無礼を働くと生徒はすぐに処罰されますから。

これが権威ってヤツなのねと妙に実感してしまいました。生徒って本当に相手やその時の状況で態度をえらく変えるものなんです。普段は野獣のように(失礼)校内を駆け回る生徒も校長の前では借りてきた猫みたいに大人しくなりますから。

あぁ、ふだんもこのくらい私に反応してくれたらいいのに、と私は内心つぶやいていました。

投稿者 lib : 04:41 PM | コメント (0)

May 11, 2009

まるでファッションショー

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今日の放課後、いつものように自分の教室であれこれ来週の授業準備やらメールのチェックやらをしていると、窓の外から賑やかにおしゃべりをする声が聞こえてきました。

その声の主たちは11年生。

今日は一日中、11年生の式典がおこなわれていたのです。一応、彼女らの達成を祝う卒業式みたいなものなので、生徒はここぞとばかりに着飾ってくるのです。

その様子はファッションショー並み。色とりどりの服を着て、楽しそうに写真を撮ってはしゃいでいます。これから学校内の劇場(といってもたいしたことありませんが)で生徒たちが踊ったり歌ったりするディスコイベントが開かれるようで、そしてその後にはディナーパーティがあるようです。

うちの学校は女子校なので、男の子が女の子を誘って踊るプロムみたいなダンスパーティみたいなのはないのですが。まぁ、女の子だけでも相当楽しいようです。

中には太ももまで丸出しのタイトなワンピースを着て、10センチ以上もあるハイヒールシューズを穿いて、我々から見ると「何の職業?」と思ってしまうような出で立ちの子もいたのですが、、、。まぁ、(ちょっと間違えているにしても)みんな大人の格好をしたいのでしょうね。

でも、この式典、学年主任や担任たちにとっても嬉しいイベントですし、生徒の中には感動して泣いてしまう子もいるようですが、何とも奇妙なのは式典が開かれるタイミング。

今はまだ5月上旬。これから徐々に11年生が受けるGCSEの公式の試験(Public examsと通常呼ばれます)が始まるわけで、私の担当教科の歴史も6月の上旬に試験があります。

今日式典を迎えたからといって、彼女らの授業が終わるわけではなく、最後の教科の試験が終わるまで登校が義務付けられています。

実際、今日着飾っていた子達も何事もなかったかのように来週月曜日には普通に私の授業に来るわけなのです。

普通の感覚だと、全ての試験を終えた時点で卒業だと思うのですが、学校の方針なのか、自治体の方針なのか、式典だけ二ヶ月も前に終えてしまうわけです。

そして、もっと奇妙なのが、生徒には最後まで学校への最終登校日を知らせないこと。

これは、学校への最終登校日となる日に毎年といっていいほど一部の生徒が問題を起こすためです。例えば、Flour fight(小麦粉合戦?)。つまり小麦粉をそこら中に投げつけるのです。もちろん、標的は他の生徒たち、車、そして運が悪ければ教師自身にも被害が、、、。想像しただけで恐ろしい。どうか、粉だらけにされませんように。

なにはともあれ、この11年生たちを教えるのもあと一ヶ月となりました。今年の11年生は私がこの学校で働き始めた年に7年生だった生徒たちです。あんなに小さかった(そして素直だった。泣)子達が大きくなって育っていく。

大人だけがいる職場と学校という職場が大きく違うのは、人間の成長を目の当たりにするところですね。いろいろ紆余曲折がありながら、それでも最後は大きくなって巣立っていくんです。

来年は私の担任クラスの子達の番。うーん、あと一年もあるのに想像するだけでちょっぴり淋しくて切ない気持ちになりますね。

投稿者 lib : 09:41 AM | コメント (0)

May 05, 2009

シティの熱い戦い その2

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デモ隊が見えない。時おり、デモの参加者らしき人たちが警官にデモの集合場所を聞いているような姿が見える。なんだかねえ、もっと激しい動きを期待してたんだけど・・・。

台風の接近に備え、窓を補強し、食糧備蓄、ろうそくやマッチを買いそろえ・・・てたのに、台風の進路が逸れてしまった様な失望感が広がる。

日本のクライアントと電話で話していると、窓の外を見ていた同僚が声を上げた。
「あ、来たかも」
ううっ、タイミングが悪い。
受話器を持ったまま、背伸びをするが外の様子がわからない。相手の話も上の空で聞いているような状態だ。
なんとか話を早めに切り上げて、窓のそばに直行。・・・いないじゃないの。

「違ったかも」
ええい、人を惑わせるんじゃない。

社内中が窓際でウロウロしていたが、いっこうに動きがないので、だんだん興味を失ってきた。しばらくして、ふと外を見ると・・・いる。集まっている。しかし、集まっているだけだ。それだけ。

オフィスから見えるのはデモ隊の 「しっぽ」の部分。道を通行止めにして最後尾には黄色い蛍光色のベストを来た警官が並ぶ。・・・が、並んでいるだけだ。

デモ隊は集まっているだけ。
警官は並んでいるだけ。

・・・なんて芸のない奴らなんだろう。

インターネットでニュースのライブ中継をつけた (はい。この日、仕事はしませんでした。でも、私だけではありません、念のため)
と、そこには警官隊ともみあうデモ隊が。どうもシティの中でも数ヶ所でデモ行動があり、うちのオフィスのそばのデモは 「比較的地味なデモ行動」のようであった。

「この近くのデモは 『はずれ』だね」と同僚。私もそう思う。
というわけで、ランチタイムには私は同僚と一緒に 「デモ隊の見学」に出かけた。まあ、めったに見れるものではないので、一応、ライブで見ておきたい。

道をはさんだ向こう側はデモ隊と端っこには警官、道のこちらはシティの勤め人が携帯で 「記念写真」を撮っている。ほとんど「見世物」状態である。夕食時の話題にするのかしらん。
ライブ感を求めてデモ隊に近寄って写真を撮っていた人がバスにひかれそうになっていた。こちらの道は交通規制はしていないらしい。デモよりバスが危険であった。

と何事もなく一日が終わった。 (揉め事があったと知ったのは後日テレビのニュース)一部の暴徒が資金注入を受けた銀行の窓から押し入ったが、
「税金を注入した銀行だから、実質、僕らの銀行だし、自分の持ち物を壊すのは・・・」ということで後に続く人もなし。

何年も前にも 「反資本主義」のデモがあった。そのときはオフィスの下を通ったので窓からよく見えた。
「社会革命を! 世の中をひっくり返そう」なんて叫んでいたので、
「そうだ、そうだ。現在のポジションを逆にして、お前らが働け! 私たちが家でダラダラ暮らす」と眺めていたものだ。あの時は結構あちこちが破壊されたっけ。

今回はオフィスの窓から20ポンド札をデモ隊にヒラヒラさせて、
「えーい、貧乏人め。これが欲しいか? 取りに来い!」
挑発する勤め人もいたらしい (うちの会社ではありません)

カジュアルウエアで目立たないように出勤。ターゲットにされないようになんて、メールが飛び交っていたのに、たいした態度じゃないの。

夕暮れ、パブに集うイギリス人。パイントを傾けるデモの帰りのカジュアルウエアのグループの横には 「変装したシティのビジネスマン」がやはりカジュアルウエアでビールを飲んでいる。違いはデモ参加者は遠出しているのでリュックサックが足元にあり、シティの勤め人はそれがないということだけ。
ただし、レデンホールのパブでは酔っ払ったシティの勤め人が、デモ参加者にビール瓶を投げつけたとの情報も。フットボールフリガンか、あんたたちは?

まったく仕事にならなかったけど、なかなかスパイシーな一日でした。
でも、また来てね、とは言わない。

投稿者 lib : 12:03 PM | コメント (2)

やっぱりNHS。

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今日の午後はイギリス生活7年目にして初めてNHS(イギリスの国民健康保険制度)の病院に行きました。

たまたま午後に授業がなかったので、昼休みに早退する許可を得て、診察後はそのまま帰宅するつもりでした。

で、なぜ私が学校を早退してまで病院に行く必要があったのかといいますと、、、。

巷では豚インフルエンザの感染拡大のニュースが連日報道されていますが、私の学校では去年から一部で別の病気の集団感染が懸念されていました。

実は生徒の中で一人、結核の診断を受けた生徒が去年いて、そして今年は別の生徒も感染経路は別のようですが、感染し発病したらしいのです。しばらく欠席が続いていたので、どうしたのだろうとは思っていましたが。

去年のケースよりも今回の生徒からの二次感染の確立は非常に低いと説明されたものの、私の教えるクラスの生徒の一人だったので、授業なので直接接触のあった教職員、生徒には手紙が配られ、接触者検診を促されました。

結核は以前のように感染して発病しても、正しい治療をすれば死にいたる病気ではなくなりましたが、潜伏期間が長い場合もあり、感染に気づかないと二次感染を引き起こす可能性もあります。

ここ十年でイギリスでも日本でも以前より、感染者数、死亡者数が増えているようですので全く安心できる病気ではありません。

私も初期の結核の症状など自覚症状は全くない状態のものの、万が一感染している場合もあるので、学校がアレンジしてくれた専門病院での検査を受けることにしたのでした。

と、こ、ろ、が!

やっぱりここはイギリス。スムーズに行くと思ったら大間違いでした。

勇んで病院の受付に来院を告げると、受付の女性が困った顔をしています。

嫌な予感がしました。

案の定、「あなたの予約は一昨日、キャンセルされてるわ。手紙を送ったはずだけど受け取ってない?」

って、受け取ってません。この国の郵便が次の日に届く確証はないのですから。

よく聞いてみると、金曜日の午後には外来の初診は受け付けていないとのこと。だからキャンセルされたとのこと。

そういうことは予約入れたときにお願いだから気づいて欲しい、、、。そして、そんな直前に変更するならお願いだから電話で直接教えて欲しい。

というわけで、私はまたしばらく、豚インフル、結核と複数の病気の心配をしなくてはならないようです。

投稿者 lib : 11:49 AM | コメント (0)