« June 2007 | メイン | August 2007 »

July 31, 2007

ロンドンの理容室 (2)

mama.gif

すたすたと店に入っていく息子の後に続いて、床屋さんに足を踏み入れた。
考えてみれば、日本だろうがイギリスだろうが「美容室」でなくて「理容室」に入るのは始めての体験だ。

ヘアドレッサーは二人。(推定アルジェリア人)
先客の仕事中の彼らに、
「予約していないんだけど、この子お願いできますか?」
と聞くと、一人が黙って椅子を指差した。
予約制ではなく、来た順番に椅子に座って待つシステムらしい。

既に待っている客がひとり。
その隣に座り、改めて店内を見回すと、壁のペンキは剥げ落ちてるし、ソファにも穴が開いているし、「場末感」が非常に漂ってくる。
「タオルはちゃんと洗ってあるのだろうか、ハサミを通じてシラミが移ったりはしないだろうか」
とだんだん不安になってくるが、隣に座っている息子は初の床屋体験にやる気満々の様子。
ここは彼の意思を尊重することにする。

彼の順番が来て、椅子に座る。
「どういう風にする?」
とヘアドレッサーA。

そういえば、自分以外の、それも男の子の髪型を注文するなんてこれも初めてだ。
漠然と、短くすっきりしてもらおうと思っていたが、なんと言って良いのか分からず、
「み・・・短くしてもらえる?」
と言ってみた。
(床屋で髪を短くするのは当たり前だと心の中で自分に突っ込みをいれつつ、これ以外の表現が見つからなかった。)
「どの位短く?」と聞き返され、
「う・・・なんて説明したらいいのか分からない」
と答えると、A氏は
「彼くらい?」(同僚のヘアドレッサーBを指差す。彼は殆どスキンヘッドの上に後頭部が禿げ上がっている)
「それとも僕くらい?」(A氏の髪は2,3センチの長さに刈ってある)
「それか彼くらい?」(同僚B氏が切っている、筑紫哲也風の長めのロマンスグレーの客を指差す)

写真などではなく、「生きた人間サンプル」を目の前に提示され、一瞬たじろいだが
どうやらここでは、「長・中・短」の3種類のメニューしかないらしい。
「うーん、じゃああなたくらい」
と無難な「中」を注文。

A氏はうなずくと、おもむろにバリカンを取り上げ、慣れた手つきで息子の襟足から思い切りよく刈って言った。

今まで「ヘアカット」というものは、その人の頭の形や髪質に合わせて切っていくものだと思っていたが、私の常識を覆すようなバリカンさばきだった。
がんがんがんがん、後ろから、横から何のためらい無く刈って行く。
その姿、芝刈りのごとし。
トップは少し長めに残し、ハサミで処理して終了。

近所でよく見かけるフットボールシャツを着ている男の子のヘアスタイル、一丁上がりである。
なんとなくその足で、アーセナルのシャツを購入しに行きたい衝動にかられた。

途中から様子を見に来た夫がB氏のハサミ捌きをじっと見ていたかと思うと
「彼、いい仕事してるな。僕も切ってもらおうかな・・・」
と言い出した。

「そうね、やってもらえば」
と投げやりな気持ちで勧める。

B氏は夫の髪も基本はバリカン、トップはハサミで仕上げていた。
普段は彼も日系の美容室に行っているが、驚いたことに仕上がりは普段と何の変わりもなかった。

料金は2人で15ポンド。驚きの安さである。大人8ポンド、子供7ポンドの内訳だろうか。
夫は普段は35ポンド払っているはずだが、4分の1以下の値段。
日系サロンではハサミを中心に、1時間程かけてカットしてもらっているらしいが、工程がどうあれ仕上がりは同じという結果となった。
頭髪がかなり寂しくなってきている夫、お金や時間をかけても限界があるらしい。
薄々感づいてはいたが今回、それが図らずも証明された形となった。

しかし息子は印象が随分変わってしまった。
「ハンサムね」とか「将来はジャニーズ?」とお世辞でもたまには言ってもらえた彼だが、坊主頭寸前にされ、「フットボールファンのオヤジの息子」というより、「中国の農村地帯の子供」みたいになってしまった。
まあ本人は気にいっていて、ご満悦の様子だが。

今後は息子は引きずってでも、もう少しまともなヘアサロンへ、夫はこのバーバーに送り込み、家計の均衡を保つこととする。
バリカン刈りの父と子、そして金髪まじりの母は家路についたのだった。

投稿者 lib : 11:31 AM | コメント (6)

July 28, 2007

Arbeit

shacho.gif

いまだと児童保護法かなんかでパクられるかもしれないが、僕は小
学4年生の時に、仕事をして対価を得るという楽しみを覚えた。当
時はこのあたり、おおらかだったのだろうが、さすがにおおっぴら
にはできないので、新聞配達の中学生か高校生の兄ちゃんの子分に
してもらい、集配所に入ってひたすらチラシの折込をする、という
バイトを続けた。対価は忘れたが、驚くほど安かったと思う。それ
でも小学生には大きな魅力であった。中学に入ると部活動を始めた
が永続きせず、結局その新聞配達集配所に戻り、こちらの方がはる
かに長くなった。毎日1時間強、重い新聞を120件程配達して、
月収が3,4千円だったと記憶している。田舎の中学生には、こん
な割の合わないバイトしか選択肢がなかった。今でも風邪などをひ
いて多少熱がでると、夢の中で、どの家に配達してどの家に配達し
てはいけないのか判断がつかず、汗をかくあたりで目が覚めて、あー
夢でよかったとなる。

以来、様々なアルバイトで稼いだ。高校生、というか僕は高専とい
う毛色の変わった学校へ行ったのだが、普段はサッカーとバンドで
忙しくバイトが出来ない。夏や冬の休暇中に稼ぐことになる。

XXコーラのルート・セールスのトラックに乗りこみ小売店を訪ね、
1ダースの木箱を4つ同時に持って移動する術を覚えたのは嬉しか
ったが、これは体力的・時間的に大変きつく、僕の中では今でもこ
の会社はバイトをこき使うNo1に位置している。日給3,500円。

旧国鉄の設備保守のバイトを近所のオジサンのコネで貰ったが、実
際には仕事が無い。精々列車の車軸に紙やすりを当てる程度。昼に
弁当食べて夕方風呂に入って帰ってくるようなものである。すなわ
ち単なる員数合わせなのである。組織体質がそうだったのか組合が
強かったのか知らんが、そういう社会の一面も見させてもらった。
これは一日3千円位だったろうか。

北海道らしいバイトとしては、当時活躍していた青函連絡船のキッ
チンがある。キ**クが雇用主であり、社員腕章を貰うと、青函連
絡船に自由に乗り降りできる(これはバイトをやめてからも暫く役
に立った)。往復で10時間の間に、レストランが6時間程開店し
ている。この間に皿を洗う、グラスを磨く、子供のゲロを処理する
というものである。この往復を1日に2回行う時と、3回行うとき
がある。3往復だと30時間となるわけで、当然仮眠はするものの、
さすがに陸が恋しくなる。そして、今でも謎だが、2回往復しても
3回往復しても、なぜか対価は5,800円固定なのであった。

更に北海道らしいのは芋掘りだろうか。これはカ*ビーが雇い主で
あったが、冷夏にてジャガイモの確保が難しかった年である。学生
バイトを雇って農協・農家に無料で送りこむ見返りに、ジャガイモ
の供給を確保するものであった。朝5時半にバイクに乗り、集合場
所の農協・事務所へ向う。ここでランダムに行き先の農家が決めら
れ車に押し込まれる。慣れてくると場所もわかって農家にバイクを
飛ばす。そして朝6時から夜6時まで、ひたすら芋を拾うのである。
日給6千円、すげえバイトだったなあ。我々の掘った芋が、ひそか
に農協以外に向けて出荷されていったのを目撃したこともある。し
たたかなものだなあと思った。

函館は港町ということで、倉庫商売も盛んだ。マイナス20度の冷
凍庫に入って、烏賊の冷凍塊を入出させる。寒いなんてもんじゃな
いが、その1時間後には外に出て、今度はトラックの荷台の中で大
汗かいて作業する。2週間も続けただろうか、とうとう風邪ひいて
ぶっ倒れた。さすがに親に、このバイトだけはやめてくれろ、と言
われたのでやめといた。

その他、場末のスナックでキャンディーズを演奏させられたり、こ
こには書けない数々のバイトもこなしたが、学生生活も終りに近づ
くと、多少知恵が出てくるものである。

僕のバイト人生はパチンコ屋で完結する。高専も卒業年になると自
由時間が多い。いや、本来は卒業研究に没頭することになっている
のだが、勘違いしてパチンコに没頭した。平日の朝から晩まで、毎
日同じパチンコ屋に通えば、当時のパチンコ屋のシカケだと、どう
しても勝ってしまうのだ。今はデジタルやら777とかなんとか、
店のコントロールが強いのだろうが、当時は毎日通って多少の予知
能力があれば大体勝てるのであった。万単位で勝つこともあった。
こうして平日はパチンコ屋に通い、気が向けば学校にタクシーで通
い、週末は優雅にバイクと遊ぶ(週末は素人衆が多く商売しずらい)。

今思えば夢のような学生生活の日々が過ぎ、卒業し、東京に出て社
会人となり、初めて手にした月給は、パチンコ人生の2週間分程度
のものであった。

投稿者 lib : 01:28 PM | コメント (9)

July 25, 2007

Think about it

darling.gif
友人が英国人ボーイフレンドと住んで2年になるが、結婚の話がでないそうだ。
彼女は、そろそろちゃんと結婚をして夫婦として落ち着きたい。
「私たちそろそろ一緒に家でも買わない?。」と彼女が提案すると、
「Ok, think about it. (ok.考えておくよ。)」と彼が答える。
しかし、待てどもその回答はない。

一方、我が家では、
「家をちょっと改善したいわね。」
ダーリン「どういう風に?」
私「ああして、こうして、、、、、、、、、、、、、、。どう?やってもいいかしら?」
ダーリン「Ok, think about it.(ok.考えておくよ。)」と

そして、6年経った今年、ペンキなどの最低レベルで家は更新されたが、大きなことは何も起こっていない。
しびれを切らした。
私「そろそろ売るか、手を入れるかしないとまずいんじゃないの?
あれだって、これだって、、、、、、、、、、、、、。ねえ、このまま売りましょうよ。」と私。
ダーリン「Ok, think about it.(ok.考えておくよ。)」と。

しかし、私はもう騙されませんよー。
このままでいったら、また何にも変わらないで6年なんて過ぎてしまう。

万国共通で男性は変化を好まないときくが、
英国男性の場合は、かなりのレイジーかシャイなのか変化がお好きではないようだ。
これに対抗する手段を、、、と策は練ってみるが、
私の焦った気持ちだけで、前に進まない。
暗礁に乗り上げてしまった。
こんな英国人の対策について、何かいい方がありましたらお教えください。

投稿者 lib : 09:28 AM | コメント (0)

July 24, 2007

ロンドンの理容室 (1)

mama.gif

4歳と9ヶ月にして息子が床屋さんデビューした。

3歳位までは一瞬たりともじっとしていなかった息子、床屋さんで椅子にじっと座っているなんて不可能だったので、彼が生まれてから約5年間、私が散髪していた。

彼の髪は直毛で、ごまかしのきかない髪質である。
量もあるので、梳いて毛量調整もしなければならない。
ビデオなどを観ているすきにすばやくカットするが、そうは言っても頭は動くし、彼の集中力もそう長くは続かない。
限られた条件の中で、いかに迅速にハサミを動かすか、時間との戦いでもある。
大抵、時間切れになってしまい、翌日、翌々日に持ち越すのは当たり前。
クリケットの試合のように、数日間にわたって結果を出す長期戦であった。

このような過酷な条件下でも、私のヘアカットは好評で、「ありがちなザンギリになっていない」とママ友にはよくお褒めの言葉をいただいた。
「しまった・・・道を間違えたかも・・・カリスマ美容師(死語?)になれたかもしれないのに・・・」
と歯ぎしりしても後の祭りである。

息子も、ものがだんだん分かるようになり、4歳半のころから大人は「ヘアサロン」へ行って髪を切るものだということが分かり、興味を持ち始めたようだった。
「床屋さんごっこしよう」と誘うと息子も乗り、家のバスルームの鏡の前にケープをつけて座らせ、初めて20分程で仕事が完了した。
4年半のヘアカット歴で大きな転機だった。

そして先日、彼の髪の毛が伸びてきたのでまた切らないとなあ・・・と思っていると、なんと息子の方から
「ヘアサロンに行きたい」
と言い出すではないか。

今まで何度こちらから誘っても嫌だと言っていたので、彼の気が変わらないうちに連れて行くことにする。

「マミーの行っているジャパニーズ・サロンに行こうか。格好よくしてもらおう」
と提案すると
「そこじゃ嫌だ。」
と言う。

ならば近所に中国系の美容師さんが経営しているサロンがあるので、(息子がもっと小さくて時間が無い頃、私も切ってもらった事があった)そこではどうかと言うと
「あそこも嫌だ。」
と言う。

「じゃあどこに行きたいの」
と聞くと、息子の胸にはすでに心に決めた店があるらしい。

言われるがまま息子に着いて5分ほど歩くと、いつも行くニュースエージェントの隣にある、
「場末の」
「地元のビルダーやプラマーの皆様に愛される」
「バーバー」
といった風情の「床屋さん」の前で彼の足が止まった。

つづく

投稿者 lib : 10:47 AM | コメント (2)

July 21, 2007

Smoking Ban

shacho.gif

吸う人も吸わない人もご存知であろうが、英国では7月1日に
Smoking Banが施行となった。

イタリアやアイルランドでは昨年に施行を終えており、いつかは来
ると思っていたが、本当に来てしまった。僕はタバコを嗜む、なん
てえもんじゃなくて、言ってしまえば女房役のようなものである。
例えば物事を考えたり作ったりするとき、熟考一番、ひらめいたも
のを文章や図面にするなりプログラム言語に表現し推敲する。もう
良いぞ、というところでライターをカチッとつけ一服、頭を冷やし
てからまた次のステップに進む、という作業を20数年続けてきた。
アイスクリームで言えばウエハー役である。僕に何らかの仕事上の
作品があったとすれば、それは全てタバコと共に創作してきたもの
である。なので、10年前にオフィスでタバコが吸えなくなった時に
は驚いた。そんな環境で仕事なんて出来るのだろうかと思ったが、
当時は喫煙部屋を作ってくれたり、ビルの外に出て一服、なんとか
その習慣に切り替えた。それでも週末に自宅のPCの前に陣取って、
タバコを燻らせながら進める仕事効率の抜群の良さは否めなかった。

今回は、公衆の集まる場所からの全面禁煙である。レストランは良
い。これは明らかに人様に迷惑のかかる場であり、文句を言うほう
が無理であろう。しかしパブは困る。パブは、喰うという人間の原
始的、生理的欲求を満たす為のレストランとは明らかに違う場であ
り、もっと高尚な場なのである。難しい仕事の話もたまにはするし、
どうやって人を笑わせるか常に考えているし、大変に知的な場なの
である。こういう知的作業が必要な場からタバコを法律で追い出す
のは実に情け容赦の無い殿様のやることであり、これを決めた奉行
たちはきっと良い死に方はせんだろう。英国では施行にあたって様
々な案があった。例えば、食事を出すパブとそうでないパブに仕分
けし、後者はオーナーの一存で禁煙・喫煙が決められる、という英
国人らしい処理案があった。メンバー制のクラブでは、メンバーの
同意で喫煙OKにするという、これまた英国らしい処理法も意見さ
れた。結局は全て却下、全面禁煙となったのである。90年前半に道
路にスピードカメラが取り付けられ始めたとき、英国文化の良さが
また一つ消滅したと残念に思ったが、同様の感がある。

更に追い討ちをかけるように、我が家も7月1日からSmoking Banが
施行された。これには驚愕した。そんなことは全く考えていなかっ
たので一瞬頭が白紙になった。禁煙奉行は無論同居人であり、猛烈
な抗議を試みた。せめて2nd bed room で、と小さな声で最後の抗
議を試みるも一蹴、かくて我が家は全面禁煙となり、英国的良質文
化がまたひとつ消滅したのである。これを決めた人はきっと・・・や
めとこ;

ところで私の顔は真っ黒である。いや、タバコのヤニではなく、一
週間のビーチ・ホリデーの結果である(先週の投稿さぼりました、
ごめんなさい)。もともと地黒であり、更に日焼けしやすく、かつ
また赤くならずに当日そのまま黒くなる、という函館人にも相当珍
しい特異な体質なので、ちょっと日本人に見えなくなってしまった。
そんな顔が真っ黒の白髪のオヤジが自宅の前のストリートでぶらぶ
らタバコを吸っていると、通行人が嫌がる、いや、嫌がっているよ
うに僕が感じる。

ということで、大変肩身の狭い寂しい思いをしておる。いっそのこ
と止めてしまえと人は言う。言わば言え、30年も連れ添った女房役
をそう簡単には捨てらんわい。

投稿者 lib : 10:00 AM | コメント (0)

July 19, 2007

警察ざた (その1)

career2.gif
ある朝、出勤すると社内がザワザワしている。

このざわめきぶりはミセス Tが2ヶ月も早く子供を産んだとき以来だ。
「ゆうべ食べたチャイニーズのテイクアウェイが胃にもたれているわ」と同僚に電話している内に産気づいた。 「エビチリソース」が 「胃」にもたれていたのではなく、「男の未熟児」が 「子宮」にもたれていたらしい、という話で盛り上がったことがある。

さて、今回は?

何事かと思うと泥棒が入ったらしい。

新しく購入した数台のコンピューターが積み上げてあったのが、すべて盗まれたというのだ。前日の午後、運び込まれて置かれていたのが消えている。

泥棒はなんでここに新品のコンピューターがあったことを知っていたのか?

ここで 「内部の犯行」説が浮かび上がってくる。内部といってもうちの社員じゃないけどね。というのも、盗品を売買するには 「蛇の道は蛇」のルートとマーケットがないと無理だろう。素人さんでは換金できないと思う。

「運送会社で働いていれば、ここに搬入されたのを知っている」
「オフィスに来る掃除の人の目つきが悪いのが、日頃から気になっていた」
「コピー機の修理に来たのは、きのうの午前だっけ、午後だっけ? 午後なら、箱があったのを見てるはず」
など、同僚はそれぞれシャーロック・ホームズになって、
「内部の事情に通じていた関係者の犯行」として推理を働かせてる。

・・・あの・・・そろそろ仕事に取りかかったほうがいいのでは? 
始業時間もとっくに過ぎてるし・・・。

しばらくすると警察がやってきた。

通用口のドアのノブに銀色の粉をまぶしているのは 「指紋」を取っているのか?

(テレビで見るのと一緒だ)と、ジロジロ眺める。
うーむ、これでは私も仕事にならないではないか。でも、こんな現場が見られるのは一生に一度かもしれないし。

と、ボスが出勤してきた。
「モーニング! ん? いったい何事なんだ?」
「泥棒が入ったのよ。で、コンピューターを盗んでいったの!」 
(ちょっとだけ、うれしそうに聞こえたかもしれない)
「ええ? あ、ここに置いていたラップトップがない!」

ボスのデスクにあった日本語専用のラップトップもやられていた。日本に出張の折に秋葉原で買ったもの。箱からは出してあったが、新品同様 (購入後、2日目)なので、ついでに盗んでいったらしい。

箱入りの新品はそのまま売りさばいたとして、ラップトップの電源を入れると、わけのわからない文字が浮かび上がってきて、泥棒も動揺したのでは?
「日本語」の盗品コンピューターを扱うマーケットも持っているのか? 
・・・たぶん、ないだろう。

ふん、お気の毒にね。せっかく盗んだのに。

突然の出来事によるオフィスの 「興奮状態」も午後にはすっかりおさまってしまった。

この被害も、
「全部、保険がかかっているから平気」
だそうである。

盗まれた日本語コンピューター、今はいったいどこで何をしているやら。
売り飛ばすこともできずに、どこかの倉庫で新品同様のまま寂しい一生を終えるのだろうか・・・?

投稿者 lib : 02:28 PM | コメント (2)

July 18, 2007

英国の運転事情

darling.gif
いつかは事故を起こすと確信できるドライバーたちがゴロゴロ運転しているのがロンドンだ。
ウインカーは出さないのは、当たり前。
歩行者は止まるものと信じているのか、いまだに車を持っているのが偉いと思っているのか、
曲がり角で止りたくない、できるだけブレーキを踏まないのがカッコいいドライバーと信じている奴もいる。
だから、歩行者の皆様、道の角は気をつけて!!必ず左右の暴走してくる車に注意です。

おまけに街中で、反対車線にでて特に遅くもない車を追い抜き、
結局信号待ちで追いつかれる光景もよく見かける。
これらが、たまにならいいのだか、毎回車を運転するたびに見るのだから困ったもんだ。

先日見た光景は、いきなり出て来た車にぶつかりそうになったドライバーが頭にきて、
その止まらせた車を追いかけて行ったこと。
気持ちはわかる。しかし、追いついてどうするのだろう。突っ込むつもりか??

またあるときは、渋滞のときに、アクセルを踏みすぎて前の車にぶつかった車がいきなり逃げた。
もちろん、ぶつけられた車は、たいしたダメージもなかったが追いかけていった。
たまたま、その後ろにいたので野次馬根性で、我々もついていきたい衝動があったがアホらしいのでやめた。

車の運転をすると性格が変わるというけど、英国の場合は本性がむき出しになっているような気がする。
私が運転していたときに、老人か道を渡っていたので、止まってあげた。
また、バスが動き出したので、道を譲ってあげた。
そんなトロトロの私の運転に頭にきたのだろう、いきなり追い抜いて行ったエンジのBMWがあった。
今でも覚えている、黒人でサッカーのアースナルのファンだ。
結局、赤信号で彼の車の後ろにつくと、なんと、後ろについた私に向かって、中指をたてているではないか!!!!!
それって、Fワード?!!

ムカつく!!と鼻息が荒い。

アクセルをふかしている私の興奮状態を察して、ダーリンが「アホを相手にしないことだよ。」と。
うーむ。ダーリンが止めなかったら、後ろから突っ込んでいたかもしれない。

しかし、私もすっかりロンドン流運転になってきているではないか。
やはい、染まってきているぞー。
挑発させるドライバーもいれば、挑発に乗るドライバーもいるが、
ここはそんな手に乗らない事と、気持ちを落ちかせる修行もロンドンのドライブテクニックなようだ。

投稿者 lib : 09:51 AM | コメント (0)

July 17, 2007

ロンドンの美容室

mama.gif

髪を切るのが好きである。

イギリスに来てから、いまいち気に入った美容師さんが見つからないが、それもあって、日系の美容室がオープンすると「今度こそ運命の美容師さんに会えるかも・・・」と淡い期待を抱き門をたたく。
数回通ったところで、「まあ悪くはないんだけど・・・・運命の人ではないわ」と他の美容室に乗り換える、というサイクルをここ数年繰り返している。

私は短い方が好きで、セミロングにしたこともあるものの、この10年程は基本的にショートボブにしている。
若い頃は色々試し、失敗もしたが、それなりに経験を重ね、どのスタイルが自分に似合うか、どういう風に注文すれば良いかも分かっているつもりでいる。
そのせいか、大人になってからは美容室に行って「失敗した」と思った記憶はない。

先日、セントラルに新しくオープンした美容室に行ってみた。
日本人の美容師さんは1時間半もかけて、注意深くカットしてくれた。
仕上がりは上々で、我ながら「おっ。いいねえ」と気に入った。
カラーもお願いしていたのだが、カラーで今まで失敗したことはなかったので、カットを気に入った事で、今回は限りなく100%に近く成功したと思ってしまった。

この慢心(?)が悲劇を招いた。
日本人の美容師さんが、「カラーは日本人でなくてもいいですか?」と聞いてきた。
日本の美容室でもカットはメインの美容師さんがして、カラーはアシスタント(?)の人がすることは良くあることなので、「いいですよー」と深く考えずに答えた。

「カラー担当の者です」と紹介され、女性の美容師さんにバトンタッチした。
私は基本的に地毛の色を残し、ポイント的にハイライトを入れるのが好きなのだが、日本人の美容師さんだと、すぐに分かってくれるので、ここでもまだ余裕でいた。

「どういう風にしたい?ナチュラルな感じがいい?」と聞かれた。
日本人にカラーを入れてもらうと、「全然変わってないやん・・・」と思うことが多いので、「うーん、ハイライトを入れて少し明るめにしたいかな」と答えた。
前回のハイライトがまだ残っていたので、「これくらい?」と聞かれる。
「もうちょっと明るめかな。」
彼女は少し考えて、「あなたの目はブラウンよね。(確かに私の目は日本人にしては茶色い)でも髪の毛は黒よ、黒。(まあそうなんだけど、日本人にしては茶っぽい)だから、あなたの目の色に合わせたらどうかしら?地毛を残しつつ、ライトブラウンとダークブロンドを入れるのはどう?」

彼女は「カラー専門」ということで自分の仕事に自信をもっていそうだったし、私ももともとがアバウトな性格だし、髪の毛はカット98%、カラー2%と思っているので「良さそうね。それでお願い」と適当に答えた。

彼女の話す英語はとてもロンドンアクセントだったので、「イギリス人?」と聞くと、「トルコ人だけど、2歳の時からロンドンに住んでるの」と言う。
彼女がカラーを入れている間、美味いケバブ屋の話などで盛り上がり、仕事完了。

髪を洗い流して鏡の前に座ると、そこには
「限りなくブロンドに憧れているが、顔はどう見ても東洋人の女」
がいた。

誤算だった。
カットが成功したのですっかり安心していたが、「ロンドン育ちのトルコ人」にはやはり日本人の感覚は伝わらないのだということを痛感した。

「ちょっと明るくしたいの」 → 「ブロンドにしたいの。だってその方が可愛く見えるし、男にはもてるし。これが終わったら青いコンタクトレンズを買いにいくつもりよ」
と彼女の中で脳内変換されていたらしい。

日本人の髪は「黒」だとは言っても、私たちから見れば「赤味がかった黒」「緑がかった黒」「漆黒」「マットな黒」「シアーな黒」「天使の輪ができる黒」(後半は何のことか私もよく分かりませんが)など微妙な違いがあるのが分かるが、そのような日本人の繊細な感覚を理解してもらえる訳もなく。彼女から見れば「黒」は「黒」。それ以外のなにものでもないのだろう。
文化的差異をなめていた。

どうみても不自然だが、だからと言って暗い色に染め直すのももったいないし(貧乏性)悔しいので(面倒くさい)、とりあえず人々の反応を見てみることにした。

まず家に戻って息子の第一声。
「ワ~オ!モンスターヘア!」
はいはい、やっぱり子供は正直だな。

その後、近所のニュースエージェントの娘(7歳)に会う。
「オー!Your hair is fantastic!」
子供だが、営業トークも入っているかもしれないので当てにならない。

夫の意見を聞くと
「人にはいろいろ好みがあって、良いと思う人もいれば良くないと思う人もいるよ」
「あなたの意見を聞いているのよ」
「・・・・君には黒髪の方がよく似合う・・・・」

息子の幼稚園の友達のお母さん達やママ友は
「髪の毛切ったのね!いいわね!」
と髪の「長さ」を褒めてくれるが、「色」に触れる人はいない。

という訳で、美容室にはやはり「以心伝心」などは期待せず、雑誌の切り抜きなどを持っていくのが良いでしょう。

投稿者 lib : 12:01 PM | コメント (7)

保留サギ?

tophum.gif
やった!やっとだ!!
やっと我が家のインターネットが「(概ね)常時接続状態」になった!

JSTVに加入していない我が家にとって、インターネットは日本からの情報を得る
唯一の手段であり、また日本の家族・友人と連絡を取るのに欠かせない
大切な手段である。
それが、この数ヶ月、繋がっていたのは合わせてほんの数時間だった。

我が家の電話回線のプロバイダーは安さが売りの○alk○alkで、
インターネットはこれにおまけで付いてきたものなのだが
いや、それにしてもこの接続状況の悪さは尋常ではない。

これではさすがに辛いので、主に妻が、まるで日課のように
繰り返し繰り返しカスタマーサービスに電話をするも
全く埒があかない。
英語が達者でない上に電話での会話、しかもルーターがどうしたの
モデムがどうだのと専門用語が飛び出し、なかなか思うように
こちらの状況が伝わらない。
伝わっても「転送しまーす」と言われて10分、20分平気で待たされたり
「今、担当のテクニカルサポートが混んでるからかけ直してー」と言われて切られたり
「別の番号へかけ直してー」と言われてかけてみれば
「この番号は現在使われておりません・・・」と言われたり・・・

気分はさながら、賽の河原での石積みだ。

ただし、そんな中、まさに「地獄に仏」のように
20回の電話に1回くらいは さばけた(普通に仕事が出来る)オペレーターもいて
「今、生憎テクニカルサポートは混んでるけど後でかけなおさせます」と言われて
本当にエンジニアからかかってきたり、運良くオペレーターから転送してもらえて
そこのエンジニアが ちゃちゃっとものの2、3秒で直してくれたりすることもある。
(ただし、こんなラッキーはこの数ヶ月で1、2度だ。)

そんな時には 妻もテンションが上がり、すかさず「あなたの部署の外線番号を教えて!」とか
「エンジニアに電話が繋がったら、どう頼めば今のようにちゃちゃっと直してくれるの?!」とか
勢いあまって「あなたお名前は?!素晴らしいわよあなた!」などと
尋ねまくって次回につなげていたようだ。

そう、次回に繋げねばならないのだ。

なぜなら直してもらっても、3~4日でまたもとの状態に戻ってしまうからだ。
なぜだ?!なぜ4日しか持たないのだ?!と
本当に(特に妻が)ストレスフルな生活を強いられていたのだが
どうやらそれも終わったらしいのだ。
前回繋がってから、4日以上が経っている。
何事も起きていない。
これはもしかして・・・常時接続の実現か?!

まだまだ油断は禁物だが、とりあえずは一安心、と
妻とこれまでの苦労を労い合っていたら、そこに○alk○alkから電話代の請求書が届いた。

金額を見てビックリ!
いつもの倍近い額だ。

そして通話履歴を見て2度ビックリ!!
通話先にはびっしりと「○alk○alk」の文字が並んでいたのだ。

ふざけるなー!!
お前のところのインターネットが繋がらないから仕方なく電話したんじゃないかー!
耳にタコが出来るほど保留音聞かされて なぜお金を払わなければいけないんだー!!
と夫婦で吠えていると、ふと妻が
「でも、最初はフリーダイヤルにかけるんだけど、音声ガイダンスに従っていったら
いつも途中から『ここからの通話は1分10pの通話料がかかります』って言われていたのよね・・・」
とポツリ。

こんな場合、
「そうは言っても、そもそもそちらの不具合のせいでかけた電話なのだから
私が料金を払うのはおかしい!」
とクレームレターを書くべきなのか。
一難去ってまた一難、新たな問題に直面している我が家であった。

投稿者 lib : 01:21 AM | コメント (2)

July 12, 2007

ウィンブルドン

career2.gif 
ウィンブルドンのテニストーナメントが終わった。

チャンピオンになったのは女性では 「おなじみ」ウィリアムスで男性はヘデラーだ。一度くらいは試合を見に行こうと思っているのだが、予約するのが面倒だし、炎天下、あるいは雨の中を何時間も観戦すると思うと腰が引ける。

がんばる人を見るのは好きだが、自分ががんばるのは嫌いだ。

うちの会社の接待のお供でアスコットやニューマーケットの競馬に出かけたことはあるが、テニスでの接待は聞いたことがない。それぞれの会社で 「好み」があるらしく、友人の会社はクリケットのスポンサーになっていて、試合にクライアントを招待するらしい。昔の貴族なら有り余る時間をつぶすのに絶好の機会だったかもしれないが、あんな長い試合に喜んで行く人がどのくらいいるのだろう? 疑問。

ま、ヘンリーレガッタのボートレースにしろ、アスコット競馬にしろ、ウィンブルドンのテニストーナメントにしろ、接待は飲み食いのほうが中心 (特に 「飲み」のほう)だから、試合は二の次かもね。
アスコットに行って、どの馬とジョッキーが勝ったというより、誰それが酔っ払って、みんなに引きずられて帰宅した、みたいな話しか聞かないし。

「で、勝ったのは誰?」
「ええっと、誰だっけ? 試合はあまり見てないんだ、正直なところ・・・。そうだ、アランが酔っ払ってミーナの帽子を払い落としたって、聞いた?」

酒を飲むばかりで 「観戦」なんかしていないのだ。

これでは選手も真面目に試合に臨むのがバカみたいだな。

試合の裏方として選手とトーナメントをサポートする人もいることを聞いた。
「ボールガール」というのは、試合中の「玉拾い」の役だ。男の子もいる。
ネット際にかがんだ姿勢で待機しているのと、壁を背に足を肩の幅に開いて立っている若い子たちだ。
歌舞伎の黒子のように 「見えているのに存在に気がつかない」連中である。

これを「ボールガーリング」という。・・・なんか、バカみたいな英語だな。INGをつけただけかい。
腹を立てて、ドリンクの容器をコートに叩きつけるような選手もいて、そのボトルを拾うこともあるとか。これは 「ボトルガーリング」か?

彼らは地元の中学生と高校生のボランティアで半年間もトレーニングを受ける。テニスのルールから、座り方、立ち方、手の上げ方、選手への接し方などを習うという。その中から何人かが選ばれて、晴れ舞台 (の黒子)としてテニスコートに立てるらしい。

ウィンブルドンの前哨戦ともいえるクィーンズのテニストーナメントでボールガールを務めた子の話では、バイト料は出ないが、控え室では毎日ランチやスナックが用意され、スポンサーのスポーツウエアメーカーから、ポロシャツが2枚、トレーナーが1枚、ショーツが2枚、トレーニングパンツが1枚、ソックスが数足にスニーカーが1足と帽子が支給され、トーナメントが終わればそれら一式を貰える。
クィーンズでは赤を基調としたエレッセのウエアで、もし買えば全部で200ポンド以上はするだろう。

おまけにトーナメント中の一週間は学校に行かなくてもいいのだそうだ。 (ここがポイント)

有名選手を間近に見ることができるのも役得のひとつ。一緒に写真を撮ったり、サインを貰ったり、話しかけることもできる。
時間が空けば、センターコートでトッププレーヤーの試合も見られる。

半年間のトレーニングの甲斐あって、というところだが、トーナメントが進むと、当然、試合数も減ってくる。で、同数のボールガールは必要でなくなる。
セミファイナルやファイナルの試合に出られるのは 「少数の優秀なボールガール」だけ。ここでも 「競争の原理」は働く。接待のシャンペンでヘロヘロになりながら観客席にいる連中を前にコートではボールガールも含めて激しい戦いが行われているのだ。

コートにすら行かずにテレビの前でラーメンなどをすすりながら試合を見ていた私の 「ふぬけぶり」が恥ずかしいほどである。

ま、いいや。私は 「体育系」じゃないし。 

体力の限界に挑戦して戦う、なんて言葉は私の辞書にはありません。

投稿者 lib : 12:05 AM | コメント (0)

July 11, 2007

英国のドライブインで。

darling.gif
英国の高速道路はほとんど無料でどこまでも行ける。
そう、カーディフに行くため長い橋を渡る時に、確か5ポンド支払った。高いな!!と思ったけど、
基本無料の高速道路は、何もかも高いこの国でのささやかな恩恵だな。

最近は、ドライブインにスーパーやコーヒーションプが入り、昔よりは格段に施設がよくなった。
昔は、トイレとレストランだけ。
何の選択もできずに、しかもあのまずい食事をしたかと思うと、いまはまだまし。
しかし、ダーリンは今のドライブインに寄ると、「ああ、暗い。ああ、つまらない。」と嘆く。
そこに集まってくる人々は、英国の縮図みたいで嫌なんだそうだ。

朝は、イングシッリュ・ブレックファーストの食事やファーストフードに長い列ができる。
これは味音痴な英国人を示しているそうだ。
それもどこも代わり映えしない。
食べる人間も嫌いだし、金太郎あめみたいにどこでも特徴のない同じ顔を持つ店が並ぶ商業化されたこの状況に
「日本のように、峠の釜飯や特別ラーメンなど、もっと地域の産物を販売すればいいのに、、、。」と嘆く。
着ている洋服は、親子で、しかも女の子にも上下サッカーチームのロゴが入ったスポーツウェアーや
朝そのままベットからそのまま来ました的なスウェットの上下で見ているだけで寂しいそうだ。

まあ、日本も同じようだけどね。。。

そして、トイレから帰ってくると、トイレに張られていたポスターを見てますます暗くなった。
そこには「あなたの子供は本当にあなたの子供?あなたの子供のDNAテストをします。」
と書かれたポスターが張ってあったそうだ。

聞けば、英国、結構自分の子供でない子を育てているそうだ。
つまり、自分の子として育てている子供が、実は奥さん(彼女)と他の男性との間にできた子供っていうこと。
女性は、だいたい生まれてくる子が誰との子供か知っているからねー。
まあ、たまにどっちかな?という場合もあるだろうけどさ。

ふーん、これが英国事情か。

一方、女性のトイレには「借金で困っていませんか?そんなあなたはここで相談して。」
という連絡先が書かれたポスターが貼ってあった。
ふーん。女性は、借金問題か。

そう、英国は欧州で一番個人の借金が多い国だそうだ。それは女性が原因だったのか。

男は自分の子供かどうかを悩み、女は買いすぎた買い物のつけ、借金をどう払うのか悩んでいる。
その間に生まれた子供は、どんな気持ちだろうか。

悩んでいるから、悩まなくてもいいサッカーのロゴ入り洋服を着せて、食べる物も定番を選ぶ。
女は、借金を返すため金持ちの男がいたら乗り換えたいと思い、気がつけばいつもの彼以外の子供を産んでしまった。
男は、女の尻軽さを心配して、どうも自分に似ていない子供のDNA検査をしたほうがいいかなーと悩む。
子供は..........


ドライブインは、ダーリンがいうように英国の縮図かもしれないなーとドライブに行きながら、
社会勉強をした貴重な一日だった。

投稿者 lib : 09:31 AM | コメント (0)

July 07, 2007

Freelander

shacho.gif

僕の父親は国語の教諭をしていた。いわゆる文系であるが、当時ワー
プロを仕事に取り入れたり、今でもそこそこパソコンを使いこなしており、
多少は技術っ気があるのかもしれない。僕は根っからの技術系なの
だと思う。結局電気屋になったが、機械屋になってもいいかなと思
う時期があった。

中学に入って自転車に興味を持った。サイクリスト?名前は忘れた
が月間雑誌をせっせと読み、新聞配達で稼いだ金をパーツにつぎ込
み、親に買ってもらったごくふつうの黒い自転車が、見た目は軽快
なイエローのスポーツタイプに変身した。高校では無論バイクにな
る。今時のバイクはコンピューター制御されているのであろうが、
昔は機械のみの塊であり、そこそこ単純なもので、少年の技術心を
十分に満足させてくれた。

カワサキのTR250というオフロード・バイクのエンジンをばらばら
にしてシリンダーヘッドを磨いたりして楽しんだ。このバイクは月
に一度はポイントを磨いてタイミングをとってあげないと機嫌が悪
くなるしろものであったし、ケッチンがひどく何度も足に痣を作っ
た。機嫌がよいとその加速はすばらしいものがあった。可愛いバイ
クだった。その後ホンダの良心と呼ばれた CB 400 Fourという素敵
なバイクが愛機となった。函館から1時間弱で大沼公園という観光
場所に着くが、ここの湖畔が格好の私レース場となった。今思えば
実に危なっかしいことをしていたもんだが、していないよりはよかっ
たと今思う。男の子はなんでも体験すべきだ。

自動車の免許をとったあたりから、機械熱はさめ、ただの乗り物に
なってきた。とはいえ今でも車の運転は好きなほうだろう。何時間
乗っていても苦にならないし、天気がよいとドライブも良いもんだ
なあと思う。

何度かこのブログに登場した真っ赤のアウディーがとうとう我が家
を去った。10年以上も僕に付き合ってくれたんだから、写真ぐらい
撮っておけばよかったかと多少後悔している。そして我が家に新た
に登場したのは、濃紺のランドローバーである。このような高い
(値段ではない、車高のこと)車に乗るなんて思ってもいなかった
が、車好きの社員が最近新車に乗り換え、売りに出ているところを、
さっと買ったものだ。社員の中古を社長が買うのは変人だという声
もあるが、そんなことには僕はまったく頓着しない。僕が尊敬する
伊藤忠会長の丹羽さんは、社長時代にも電車通勤し、マイカーはカ
ローラだったそうな。あっはっは、あっぱれ社長。

この車は少なくとも7、8年程度は動いてくれるだろう。実に安く
売ってくれて、ありがたいと思う。動けば良いと思っていたが、乗
ってみると、とっても楽しい車なのに気付いた。 Free Lander と
いう車だそうだが、エンジンがなんとV6で2.5リッターという強力
なもので、重い車体なのに加速が大変良い。オートマなんだけども
マニュアル・モードがあったりして、機械心も擽ってくれる。当面
ドライブが楽しくなりそうだが、天は二物を与えず。大食いなのだ。
ペットロールのゲージが目に見えて減る。まあ年に2千マイルも走
らないので良しとしよう。長生きしてくれよオ。

投稿者 lib : 04:33 PM | コメント (2)

July 04, 2007

薄着の季節

career2.gif 
初夏である。

薄着の季節がやってきた。私にとっては道徳的ジレンマに陥る時期でもある。

イギリスの女は私たちよりも大きい。骨格だけでなく 「肉づき」がいい。と、いうか、 「脂肪づき」がいい。肩幅が広くて身体に厚みがあるので、トレンチコートやスーツを着せるとパシッと決まるのだが、この 「脂肪づき」のせいで、ウエストが 「ダルマ」。
選挙に勝った政治家なら、思わず目に黒丸を入れたくなる体型だ。

冬のコートを脱ぎ、ジャケットも必要なくなると 「そのまんまダルマ」として歩き回る。
で、乗り物には突然 「妊娠5ヶ月の腹」をした女たちであふれかえるのだ。

私は思いやりのある性格ではないが、小学校の道徳の時間に 「お年寄りや身体の不自由な人には席を譲りましょう」と習っている。それに加えて、 「小さな子供づれやお腹の大きな女性」のために席を立つと、 「徳を積む」ことができて、パライソ(天国)に行けるかもという打算も働くようになった。

さて・・・。

妊娠7ヶ月くらいなら、間違うことはない。
「どうぞ、座ってね」
「あら、ありがとう」
と、席を譲ることができる。

が、5ヶ月くらいの腹は 「微妙な大きさ」である。
つまり、 「妊婦」なのか、 「デブ」なのか悩むのだ。

席を譲られる。
――ラッキー。でも、どうして?
妊婦だと思われたから。
――なんで?
デブだから。

という論理は明白だ。女としてショックだろうなあ。

私のほうも、
(あ、妊婦かな? 席を譲らなくちゃ)
と腰を浮かせながら、
(ちょっと待てよ、ただのデブだったらどうしよう。めちゃくちゃ、傷つくだろうな、彼女。でも、もし、本当に妊婦だったら、私のことを意地悪な女だと思うだろうし)

・・・しかたない、寝たふりをしよう。

と、寝たふりを強いられたりするのだ。

先日も目の前に 「腹デカ」な女の人が立った。腹だけではなくて、全体にしっかり 「大女」である。顔立ちはちょっとスラブ系で東ヨーロッパの出にも見える。
で、このお腹が、また、微妙な大きさ。
彼女はバッグからフルーツケーキを取り出すとパクパク食べ始めた。と、次はバナナを出し、ほおばる。で、今度はクリスプの袋。

妊婦だから 「ふたり分」食べているのか、たんに、 「大食い」で、だからこそデブなのか?

ああー、私には判断がつかないー!

隣に座っているイギリス人の男は紳士風で、さっと席を譲りそうなタイプだが、新聞のクリケットの記事を食い入るように読んでいて気がつかない。

(おやじ、顔を上げろ。君の判断が知りたい)と念力を送るが全然きかない。
(クリケットがそんなに大事なのか? 目の前の女を見るんだ! 見ろ!)

と、天の救いか、間違いようのないスイカ腹の妊婦が電車に乗り込んできて、私はその人に席を譲ったのだった。

この悩みから解放されるために、バッジかなんかをつけてくれないかなあ。
「妊婦です。席を譲ってくださいね」というメッセージのバッジ。
「ただのデブです。妊婦ではありません。運動がてら立っています」のバッジもあると、さらによろしい。

投稿者 lib : 10:58 PM | コメント (2)

July 03, 2007

英国の田舎の生活

darling.gif
ダーリンのパパの家に行った。
ロンドンから車で4時間は充分にかかるその村は、可愛らしいがすっかり田舎。
着くや否や、さあ遅くなる前に出掛けようと車で10分程度の広大な庭園に行った。
いつもは、ここの上の丘へ上がり、2時間程度は歩く。
本当に田舎の人は、アトラクションがないせいかよく歩く。
今日は、雨だったので庭園で許された。
ホッ!!

パパは我々のお腹がすいているだろうから、まずはティーハウスに行けば?とサッジェッションしてくれた。
先に訪れていた妹とパパの妻は、私たちはまずは散歩をしてくるわ。と雨の中を傘もささずに歩いて行った。
パパは、案の定我々とお茶と決め込んだ。
ティーハウスには、雨のせいか誰もいなかった。
小腹がすいていたので、お茶とケーキを我々は頼んだ。
しばらくして、パパも「僕も食べようかな?」とケーキを注文した。
パパは、大の甘党。しかし、甘い物を制限されているらしく、
妻のいないこのチャンスにと嬉しい顔で注文している。

いつものように、親戚の誰々が何をした、我々が何をしていたのか、これからどうするのか、という家族の話が続いた。
そろそろ我々も散歩に出掛けようとティーハウスを出ると、ずぶ濡れの妹たちが戻っていた。
結局我々は、散歩がなかった。ラッキー。

次の朝、朝食がすむと、散歩に出掛けることになった。
もう、慣れたけど、まあ、よくもこう、歩くのが好きだなーと思う。
今度は、家の裏の教会を通り、永遠と続く小道を歩くようだ。
小高い丘の上には、大きな家が見える。そこまで歩くことになった。
道々の会話は、たわいのないもの。
この村のゴシップやこの村の産物の話。

そこへ馬に乗った親子が通る。
子供は子馬に乗り、親は大きな馬に乗っている。「おはよう!!」とお互いに声をかけてすれ違う。
うーん。この家は、馬を最低2頭は持っていて、乗馬を子供から習えて、、、と想像すると
どうも酪農の家族ではなく、良家としての習い事か。
そして、小高い家にたどり着くと、そこは大きな家で庭も綺麗に手入れがされ、まるでマナーハウスだ。
うーん。ここにも良家がある。

パパの家は、マナーハウスとはいかないが、趣のあるテラスドハウスだが庭も大きいし、一部屋ずつが大きい。
風の音が聞こえ、周りには放牧された馬や牛の声が聞こえる中を歩くのは、なかなかいいものだった。
なんだか、こんな暮らしのいいなーと思うが、銀行もない、店もパブも村には1件しかないこんな場所に、
都会に長く住んだ者にとってたまに来るから、いいのかなーと思いつつ、
ここまで田舎でなくてもいいから、ロンドンを離れてもいいかな?と思うこの頃だ。

投稿者 lib : 10:02 PM | コメント (0)

イギリスこの一週間

mama.gif

先週は忙しい一週間でした。(別に私が忙しかったわけではなく世間が、ですが)

ブラウン政権の発足で週が明けたと思ったら、翌日にはピカデリーで爆破未遂、続いてグラスゴー空港には車が突っ込み炎上。イギリス北部では大洪水。
そんな合間にもウインブルドンでは杉山愛ちゃんがシャラポワと、森上亜希子選手はヴィーナス・ウイリアムスと対戦。
そしてとどめは日曜日のダイアナ追悼コンサート、と、それぞれは何の繋がりも無い事ですが、普段あまりテレビを見ない私もテレビに釘付けの一週間でした。

グラスゴーはブラウン首相の出身地ということもあり、テロ未遂は暗雲ただようブラウン政権の前途を象徴するような事件だったといえるでしょう。

BBCを通じて国民に警戒を呼びかけたブラウン首相でしたが、テロ未遂以上に私に衝撃をもたらしたのは、紺色のスーツに白シャツ、結び目のひん曲がった紺のネクタイという、「ヨレたおっさん」そのものの、彼のいでたちでした。
V&Aミュージアムで「21世紀のBoring Fashion展」が開かれたら、そのまま展示できそうです。今時公務員でもこんな格好をしている人はいないでしょう。

メディア映りに細心の注意を払っていたブレア前首相にはスタイリストがついていたようですが、ブラウンさんにはいないのでしょうか。
国が苦難を抱えている時でも、前向きなイメージのブレア前首相に目玉が飛び出しそうになって語りかけられると、いかにそれが空々しい言葉の羅列であろうが「まあ明日はいいことあるかな・・・」と一筋の光が見えたような気がしましたが、ブラウン首相に辛気臭い顔で「英国民よ、一丸となって立ち向かおう」と励まされても、なんだかかえって落ち込みそうな気がします。
今の時代、政治家にとっていかに「ルックス」が重要な位置をしめるかを、改めて思い知らされた気がします。

そこで災難続きのブラウン首相に応援の意味をこめて、私なりに「ブラウン改造計画」をたててみました。
大きな顔のイメージの割には肩幅が狭いようなので、詰まって見える紺などの寒色系よりも、薄いブラウンやグレーの膨張色のスーツを選び、包容力あるイメージを演出されてはいかがでしょう。シャツは意外にピンクなどがお似合いになりそうです。
見ようによっては子供や女性に人気の「くまさん系」キャラにもなりうる素材なので、慎重なイメージを残しながらも大らかで柔らかい印象をアピールすると国民に幅広く訴求できるのではと老婆心ながらご忠告いたします。

話はがらりと変わってウインブルドン。森上選手は惜敗したものの、あの小さな体でウイリアムスから1セット奪う大善戦、日本の星です。
しかしなんなんでしょうあのフリフリウエアは。ブランドはフィラでしたが、まさかとは思いますが日本人のデザイナーが「メイド服」をイメージしてデザインしたのではないことを祈ります。
スポンサーが「ミキハウス」なのでラブリーなイメージを演出したのかもしれませんが、それにしても森上選手の凛々しいお顔に似つかわしくありませんでした。サンバイザーにはフリルがついていなかったことが、せめてもの救いです。
(そういえばシャラポワもフリルのウエアを着ていましたが、なんというか真剣な勝負の場に、フリルのようにスィートなものがそもそも似合わないような)

と言うわけで、一国の首相が交代しようがテロ未遂が起ろうが、結局は人の着ているものしか見ていないような気もする私ですが、「女ドン小西」の汚名をきせられる前に、このくらいで止めておこうと思います。

(あ、明日はシェリー・ブレアのインタビュー番組が控えてる。明日もテレビに釘付けになりそうです)

投稿者 lib : 02:22 PM | コメント (0)

Transfer pricing

shacho.gif

当社グループは4月に再編を行い、東京店が本社・親となり当店は
子となった。これを機会にちょいと勉強してみると、移転価格とい
うものがあることが分かった。

例えば、当社の本社である東京店が営業し、欧州での仕事を100円
で受注したとしよう。ごく当然ながら子会社である当社が実際の仕
事を欧州で担当する。わざわざ当店の競争相手に仕事を与える馬鹿
な親はおらんであろう。

さて当店ではこの仕事を70円で請け負ったとする。即ち東京本店は
30円の荒利となり、当店では売上げ70円からコストを差し引いたも
のが荒利となる。ここで、移転価格という概念では、はたしてこの
70円という請負い金額が、世間一般で取引されている価格とかけ
離れていないかどうかが問題となる。

仮に70円が世間一般と比較して大安売りだとすると、英国の税務
署が文句をつけてくる。もっと高く売れたはずだろう、その”はず”
の数字に対して企業税を払えと。

逆も真なりで、70円が世間相場よりも高かったとすると、今度は日
本の税務署が文句をつけてくる。子会社なので、高く買ってあげて
便宜を図っただろう、ついては高く買った分に対して企業税を払え
と。

上の例のような単純な売買のみならず、”技術”や”知的財産”に
も移転価格が適用される。親会社が開発した技術を使って、海外子
会社が製品を作って販売した場合、日本の税務署は黙っていない。
開発元である東京本社に対して、おまえはタダで技術を子会社に供
与した、ついては子会社がそこから得たであろう予想利益に対して
企業税を払えと。

親が我が子に愛情や教育や生きていくための食料や物資を無償であ
たえることは、ごくあたりまえの行為であろう。動物的な本能とい
える。そこに国家がしゃしゃりでて税金をとるのは何ゆえか。

さらに、移転価格の対象者は、国際的に活躍し既に企業税を各国で
納め、世界的な雇用機会を創造してきた企業であり、すでに十分な
社会的責任を果たしている。何ゆえ更なる税金、しかも世間一般と
いう実にあいまいな数字基準を持ったもので絞り上げる必要がある
のか。基準があまいために、この税務署調査には膨大な時間が費や
され(即ち税金が使われ)、膨大なディスピュートが発生するだろ
う。

僕は今のところ、この仕組みの本質が分かっていないのだろう。偉
い人たちが考えたものであろうから、様々な理由や利便もあるのだ
ろう、誰か教えてやってつかあさい。

投稿者 lib : 08:14 AM | コメント (0)