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チェルシーオーナー、アブラモビッチに制裁措置

ロシア・ウクライナ戦争の余波が、プレミアリーグを直撃している。

3月上旬、チェルシーのオーナーであるアブラモビッチがロシアの新興財閥オリガルヒの一人であるとして、英国政府が資産凍結等の制裁措置を発動。チェルシーが危機的状況に追い込まれている。

クラブへの制裁内容は以下の通りだ。

・チケット販売も凍結。観戦可能なのはシーズンチケットホルダーのみ
・グッズ販売も凍結
・新たな選手の契約、契約更新も不可
・アウェイで行われる1試合につき予算は£20,000(約300万円)以内

この制裁でチェルシーはどうなるのか?

これらの制裁で、チェルシーは今後どのような状況になるのか?

まずチケット販売が禁止のため、アウェイの試合にはアウェイサポの参戦が出来なくなる。相手スタジアムでの試合は「アウェイ」という名の通り、圧倒的疎外感の中で戦うことになるわけで、アウェイサポの声援は勝利の大きな原動力だ。しかし自チームのサポーターがいないことで、一方的にホームサポに叩かれながら戦うこととなる。現在3位のチェルシーではあるが、順位に大きく響いてくることも考えられる。

また収入面においては、グッズ販売の凍結も大きなダメージだ。全世界的に販売されているユニフォームやマーチャンダイズの収入もゼロとなり、貴重な収入源が絶たれれることとなる。

以上が収入面によるもの。ただこの辺はこれまでの資産を食いつぶせば物理的に乗り越えることは可能だが、選手契約の凍結ともなれば話は別、クラブの存続を脅かすものとなる。

補強が出来ないとなると、現在の所属選手のみで戦う必要がマストとなる。チェルシーというクラブは、これまでアブラモビッチの札束交渉による大型補強でのし上がってきたクラブだ。「金の切れ目は縁の切れ目」という言葉があるように、クラブへの忠誠心がある選手がどれだけ残ってくれるのかが鍵となる。

またアウェイで行われる予算の限度額については、現在欧州チャンピオンズリーグで戦うチェルシーにとっては大きな痛手だ。しかし現在のところ欧州での試合が無事行えているところを見ると、この辺の制裁は緩められている可能性があるが…。

以上のように茨の道が待っているチェルシー。これらの制裁を回避するには早々の売却が必須となるが、どうやらこれも一筋縄ではいかないようだ。

「クラブ売却は可能だが、その際政府の特別な許可が必要。また売却で得た利益は、1ペンスもアブラモビッチが受け取ってはならない」という縛り。

19年前のオーナー就任から、オイルマネーを武器にチェルシーを世界的な名門クラブまで押し上げたアブラモビッチ。その後プレミアリーグは莫大なマネーが飛び交う世界一のリーグへと変貌を遂げるわけだが、そのきっかけを作った男が、こうして国を追われるというのは実に皮肉なものだ。

チェルシーの今後に注目しつつも、1日も早い終戦を願ってやまない。