エリザベス女王崩御…。一般国民ですら実感がわかず戸惑っている間に、息子のチャールズ皇太子がチャールズ三世王として即位された。その直後から、イギリス国歌が「God Save The Queen」から「God Save The King」に変わったのには軽いショックを覚えた方もいるかもしれない。

多くのイギリス国民は70年続いたエリザベス女王の治世しか知らないが、新国王の誕生によって、コアな伝統は守られつつも時代に合わせて王室も大きく変化していくだろうと言われている。王位継承順位も変わり、新国王の意向で王室は縮小され、戴冠式も簡素化されるという話さえある。

というわけで、ここしばらくはイギリス王室のこれからについてマスコミも賑わい、それにともなってイギリス上流階級や中流階級上位層の生活を覗き見できる機会も増えそうだ。庶民の自分には関係ない世界と思われるかもしれないが、実は、土地や財産がなくとも、そして日本人であっても!彼らの仲間入りができる方法がある。


イギリス南東部沖合のシーランド公国をご存知?

第二次世界大戦中にイギリスが要塞として利用していた公海に浮かぶ建物跡が、シーランド公国。つまり、島ですらない。今年9月に建国55周年を迎えた同公国の国土(と呼べるのかはともかく)面積はわずか207平方メートルで、その全域が首都だという。

大戦終了後に放棄されたその要塞を、元イギリス陸軍少佐のパディ・ロイ・ベーツ氏が不法占拠をした上で独立宣言をし、なんの承認も得ないまま「公国」となった。地理的に領有権を主張する国がなく、どの国にとっても司法管轄外であったことが幸いし、独立国としての主張をしても訴えられることはなかった。

また、同国の首相に就任していたドイツ人を、政治とビジネスのゴタゴタを理由に投獄した際、西ドイツの在英外交官が解放交渉にあたったことが、シーランドが「国」であることの証明であるとした。実際には、国際法上、正式な独立国家とは見なされていないが、1975年には憲法・国旗・国歌が制定された。

2012年に初代シーランド公ロイ・ベーツ氏が亡くなると、彼の息子であるマイケル・ベーツ氏が跡を継いだ。現在、マイケル公の主な仕事は漁業だという。

公国の詳細はこちらのウェブサイトで紹介されている:


シーランド公国の経済

公国公が漁業を営んでいるというそんな国の財政はどのようにまかなわれているのか。

シーランド公国では、独自の切手やコインを発行しており、オンラインショップではそれらが記念品として販売されている他、1967年9月に制定されたシーランド公国憲法の写し、国旗、Tシャツ各種、公国の紋章なども売られている。現在の公国公が自ら筆を取り、当公国の歴史を綴った「Holding The Fort」という著書も貴重な “国” の収入源といえるかもしれない。この本自体は£9.99だが、マイケル公の直筆のサイン入りのオプションを選ぶと値段は£19.98に跳ね上がる。


シーランド公国の一番の収入源?

これら土産物や記念品の域を超える売り物が、同公国にはある。

それが貴族の称号だ。

LordとLadyが各£39.99、BaronとBaronessが各£64.99、Count とCountessが各£199.99と、各種揃っており、予算に応じて選べるのが庶民には嬉しい。しかもデジタル版の証明書は割引価格という気配りも!

ウィリアム皇太子やキャサリン皇太子妃と肩を並べたいという方には、もちろんDukeやDutchessの称号もあるが、こちらは£499.99と少々値が張る。

公国を守る「騎士」と呼ばれることを好む方は、£99.99のSirやDameの称号はいかがだろう。

それぞれご丁寧に、IDカードも別売りで用意されている。どこで使えるかはまったくの謎だが!

貴族なんてガラじゃないけれど、なんだか興味が湧いてきた…という方は、£29.99で約30平方センチメートルの土地の所有者にもなれる。有効期限は10年だが、こちらもシーランド公国の貴重な収入源であると同時に、同公国の独立を守る助けにもなるという。

ご興味のある方は、下記アドレスから今すぐ貴族の称号をゲット!貴族になると、シーランド公国のウェブサイトでも発表される。

Sealand E Mare Ligertas Online Shop: https://sealandgov.org/shop/