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March 31, 2007
日本から飛んでくる電子メールの件名に【至急】とついたのがやた
ら飛び回ることがある。オリジナルに返信するものだから Re:【至
急】 Re: Re: Re:【至急】 となり、至急という文字がメールソフ
トの上から下まで占領することになる。この極太の括弧を大量に見
させられるのは、どうにも耐えられない。
英国人から [Urgent]とついたメールを受け取ることは、スパム以
外にはまずありえないし、僕もそのようなメールは少なくともここ
5,6年は送った記憶が無い。日本人は至急という単語が好きなの
だろうか。
至急なのであれば、電話や即時打ち合わせにて解決せしめるべき一
件なのを、メールでやるものだから、こうなってしまうのだろう。
CC:を複数に出したいのであれば、To:の当事者と電話で話して決め
た、その結果だけを流せば事は足りるはずである。そもそもCC:で
送られてきたメールは即ごみ箱、という人を僕は何人か知っている。
気持ちはわからないではない。
あまりに読み手の感性を無視するメールが増えてくると、こっちも
おちょくってみたくなる。【すでに至急ではなくなったよね】とか、
【以前は【重要】だったが今では些細なことになった】とか、【こ
いつはひとつ、まったりとやってくれい】とか。
メールソフトによっては(殆どそうだが)、重要度 (Priority)の
設定ができるようになっている。受け手には一々重要フラグがつい
ているが、内容が殆ど無いに等しいものも多数ある。更に救われな
いのは、メールソフトの設定により、全てのメールの既定値を最重
要に指定している人も僕は何人か知っている。
以下は好みの問題といわれればその通りなのだが、当社社員には、
なるべく HTML等のような色をつけたり文字サイズを指定できるよ
うなフォーマットではなく、Plane Text でメールを送るように勧
めている。事実、HTMLフォーマットで送ってくるメールで装飾がさ
れているものや、その必要があると認められるものは僅かだ。なの
でPlane Textで十分。サイズは最小だし、環境にやさしい。
通信技術屋としてProfessionalな香りもする。仮に【至急】なんぞ
つけたメールを送った社員がいたら大体は説教部屋に連れて行かれ
ることになるだろう。今のところ、これで説教くらった社員はいな
いが。
March 29, 2007
怒りのキティちゃん
キティちゃんから思わぬ襲撃を受けたので報告しておく。
先日のブログのコメントで 「眉毛つきの偽キティも見慣れれば、まー、いいか、笑えるし」と、つい 「容認」とも取れる発言をしたところ、キティちゃんより抗議行動があった。
真夜中、チリリンと鈴の音。
(ん? 鈴の音?)とぼんやりと薄目を開ける。
経験してみないとわからないと思うが、真夜中に部屋の暗がりのどこかから、ひそやかな鈴の音がするというのは相当コワイ。
まるで怪談 「牡丹灯篭」の下駄の音が 「カラン、コロン」と聞こえてくるようなノリである。
と、突然、頭の上にキティちゃんが落ちてきた。
心臓が一瞬止まる。夜中に大声で叫ばなかったのはラッキーだった。
このキティちゃんは90cmx50cmx50cmくらいの結構大きなビニール人形である。日本の友人が 「夏祭りの夜店」で購入してプレゼントしてくれた。
純正のキティで サンxオ製、メイド・イン・ジャパンと書いてある。
大きさからいって 「ドサッ」と落ちてくるところが、ビニール製で軽いので、どちらからというと 「パサッ」という感じだったが。
ベット脇のクロゼットの上に何年も置いてあったのに、なぜ、急に???
それから二日後、また、「チリリン」と鈴の音。
(あ、また来た!)と思う間もなく、キティちゃんの巨大な顔が私の顔の上に乗っている。
もうこうなると 「地縛霊」が部屋に住み着いているような状態である。
まあ、「来る」瞬間に 「金縛り」がないところはキティちゃんの優しい性格の成せる業か。
さらにもう一度、1週間に3度もこれがあった (しかも、全部が真夜中)さすがの私も考える。
―――キティちゃんは何か言いたいことがあるのではないだろうか。
で、上記の 「容認発言」が彼女の神経を逆なでしたのではと思い浮かんだ。
「眉毛つきの偽キティもOKって、一体どういうつもり? 許せないわ。あたしはね、悲しいときも寂しいときも女の子の永遠のお友達、
日本のスーパースター 『ワン・アンド・オンリー・キティ』なのよ!」
ということであろう。他には考えられない。
ごめん、キティちゃん、私が悪かった。
ここに訂正します。私は眉毛つきの偽キティは認めません。
(これでいいかしら、キティちゃん?)
原因不明の心臓発作により死亡。傍らにキティのビニール人形がころがっている。という状態で発見されるのを防ぐため、この場を借りて 「お清め」をしておく。
やっとこれで安心して眠ることができる。
・・・待てよ。
うちのキティに 「鈴」なんかついていたっけ?
家に帰ってから確かめるのが怖いんですけど。
March 27, 2007
英国生活に馴れ過ぎた結果、、、、
先週は、歌舞伎を観るためにパリへと旅立った。
前日の晩に「9時30分頃にウォータールーに着けばいいね。」ダーリンと出掛ける時間を打ち合わせして寝た。
朝早く起きたものだから、いろいろ用事を済ましているうちに、なぜか9時30分に家を出ればいいと勘違いしていた私。
8時30分になったので、ダーリンをおこし、悠々とシャワーを浴びていると
ダーリンが「大変だ!!もう、出掛ける時間だよー。」と珍しく慌てている。
「えっ?。だって9時30分に出掛ければいいんでしょう?」とまだ、気づかない私。
「あのね。ユーロスターは10時10分に発車だよ!!」とダーリン。
大変だ!!!!!!
ドタバタ、ドタバタ、ドタバタ、ドタバタ、ドタバタ、、、と出掛けた2人。
家から、ウォータールーまでは最短でも40分はかかる。
計算上では、間に合いそうだが、その間に乗り換え1回がある。その上、チケットの発券もある。
こんな時に限って、乗り換えがスムーズにいかない。
イライラ、イライラ、イライラ、、、、、、
駅に着いた時に、普段めったに走らないダーリンにチケットの発券を頼み、私は荷物を持って後を追った。
チケットの発券が終わり、時計を見ると発車15分前。
改札も混んで人々が並んでいる。
こんな時は、女性はずうずうしい。
係員を見つけ、あと15分で発車するの。と言って、新しい改札を開けてもらった。
次は、セキュリティの荷物検査だ。
ここも並んでいるが前に行き事情を話すと、無言で荷物を載せてくれた。
ダーリンは??と振り返ると、律儀に並んでいるではないか。
こんなときに紳士をしても始まらないのに、、、。とダーリンを手招きして呼び、また、横は入りをさせてもらった。
ふー。やっと難関通過だ。
そして、イミグレーションも無事通過。
7分前に電車へ乗り込んだ。危機一発。
「でも、並んでも間に合ったかもね。」というダーリン。
「かもね。でも保障はないわよ。」と私の一言に反撃はもちろんできないダーリンだ。
しかし、ああ、疲れたー。でも、間に合ってよかった。
そして、3月25日(日曜日)の朝。
歌舞伎の公演日。
着物を着ていこうと決めていた私は 着替えに時間がかかるので、
前日ホテルに事情を話し、 チェックアウトを1時間延ばしてもらった。
ちょっと早めだったが、さっそく着替えにかかり、しばらくするとフロントからの電話。
「あの、チェックアウトの時間が過ぎましたので、部屋を掃除したいのですが、、、」との内容。
ダーリンは昨日の我々のお願いが伝達されていないと思い、
「昨日、チェックアウトを1時間延ばしてもらったんだが、伝言されているのかな?」と返答した。
すると「はい、聞いております。ですので、そのお時間が過ぎたので、お電話いたしました。」
ダーリン「?????」
フロント「本日よりサマータイムが始まりましたから、1時間早くなっている事はご存知ですよね?」
ダーリン「そうだった。・・・・・・・」
側で聞いていた私は、ドタバタ、ドタバタ、ドタバタ、ドタバタ、ドタバタ、、、、、
幸い友人が同じホテルでもう1泊するので、そこへ逃げ込み、着付けを無事終えた。
ふー、 疲れたー。でも、気がついてよかった。
だって、もし、その日も宿泊していたなら、フロントからの電話もなく、1時間遅れて会場に着いただろうね。
ああ、恐い。
そうそう、英国生活が長くなると緊張感がなくなりこんなことを起こしてしまうこともある。
パスポートを忘れ、ユーロスターに乗れなかったり、飛行機に乗れなかった 友人の話も聞く。
気をつけないとね。だんだん、海外旅行が国内旅行みたいな気がして、緩んでくるんだよね。
月曜日に出社して、同僚に私のストーリーを話したら、「えっ?サマータイムっていつからだっけ?」と聞く始末。
そういえば彼女、この日は1時間遅れて出社してきた。
そう、私が話すまでサマータイムで1時間早くなったことに気づかなかった彼女は、私よりも在英生活が長い。
息子 近況 3
先日キッチンにいると、息子がふざけて、椅子から飛び降り始めた。
我が家の狭いキッチンでそんなことをされては非常に危険なので、少しきつく叱った。
居間に退散した息子は少し泣いていたようだが、しばらくするとキッチンに戻ってきた。
手にはその日、幼稚園から配られた「レッドノーズデーのお知らせ」(イギリスのチャリティーの日、レッドノーズデーへの寄付のお願いとか、その日は仮装してきましょう、とかそんな事が書いてあった)のプリントが握りしめられている。
何事かと思って息子を見ていると、プリントを両手で目の高さまで持っていき、おもむろに歌い始めた。
♪ I love you mummy
You make me happy
When I am sad
I want to tell you
I love you mummy……..♪
ぐわーん。晴天の霹靂とはこの事だ。
未だに言葉があまりはっきり話せない息子だが、この歌詞はすべて聞き取れた。
その週末に控えていた「母の日」(イギリスでは3月)に向けて、幼稚園で習ったのであろうことは容易に想像できたが、こんな歌を歌ってくれるなんて想像してもいなかった。
ふと昔のことを思い出した。
仕事をしていた頃、「家族愛」をテーマにした広告の企画があった。
会議で
「ああ、家族が幸せそうに食事していたり、犬連れて公園を散歩したりするイメージですよね~。ああいうのって、好感度高いんですよねー。安易で私は大ッ嫌いですけど。」
と発言すると、同じ席上にいた人に
「世の中の人は山口さんみたいに心がすさんでないんですよ・・・」
と申し訳なさそうに言われた事があった。
「心のすさんだ女」の烙印を押されてまで自分の意見を主張した私が、息子のこのような安易な手法に易々と心を動かされてよいものか・・・という葛藤が一瞬、体中を駆け巡ったが、4歳児を相手に意地になるのも大人気ないと思い直し、ここは素直に感動する事にした。
「わ~!ありがとう!いい歌だね~!マミー嬉しい!」
と息子を抱きしめたものの、彼は予想以上の私の「熱烈歓迎」なリアクションにおじけついたのか、
「もう一度歌って」
とリクエストしても、頑として歌ってくれなかった。
(ちなみに息子の性格を知る私としては、叱られた後にこの歌を歌い出したのは別に仲直りしようとした訳ではなく、たまたまそのプリントを見て、脳内が「歌うモード」にカチッと変換されただけだと思う)
あの歌をもう一度聞きたい、もう一度聞きたい・・・
しかし、元「心のすさんだ女」の人並みの親の願いは受け入れられなかった。
しかし数時間後、無造作にテーブルの上に置かれたプリントを見た息子は両手でそれを持ち上げ、突如としてまた歌い始めた。
♪ I love you mummy……♪
このプリントは保護者への連絡事項で、もちろん歌詞は書いてないのだが、どうやら歌を習った日とプリントを配られた日が同じだった事から、このプリントを見ると息子は、パブロフの犬の様に反射的に歌い出す仕組みらしい。
となれば話は早い。
プリントのコピーをとりまくり、居間のテーブル、キッチンの椅子の上、おもちゃ箱の上、冷蔵庫の中など、家中の息子の目につきそうな場所に「さりげなく」置いた。
「さりげなく」置いたつもりだったが敵もさる物、母親の姑息な作戦をすぐに感じ取ったらしく、易々と歌ってはくれない。
素晴らしいと(思われた)心理作戦も徒労に終わり、再び歌を聞けたのは、その週末の金曜日だった。
息子を幼稚園に迎えに行くと、先生が
「今日はサプライズがあります」
と言って、子供達が皆で
♪I love you mummy…..♪
と例の歌を歌い始めたのだ。
ここで初めて、この歌が“You are my sunshine”の替え歌だったことが判明した。
(息子が歌ってくれた時は歌詞は分かったがリズムは判別不明だった)
元「心のすさんだ女」の心も溶かした天使の歌声、(実際には強制的に歌わされる子供達はダレきっていたが)先生&子供達、ありがとう。
(こんな歌を教えてくれる幼稚園はいい所だ。息子がキッチンで始めて歌ってくれたのは本当のサプライズだった。感動しましたよ~!)
March 23, 2007
電話やっと開通
先日、我が家の電話がやっと繋がるようになった。
実に1ヶ月ぶりである。
我が家は、どうも電話に関しては「ハズレ」の物件のようである。
電話が本格的に通じなくなったのは、この1年足らずの間にこれで2度目である。
(本格的でない一時的な不通は、何度もあったが。)
1度目は、自宅前道路の一斉街灯工事の際に、
地中の電話ケーブルを誤って切られてしまった。
(うちのだけ。)
そして今回。数ヶ月前から雨の日には電話が通じないという状態が続いていた。
日本の家族も仕舞いにはこれに慣れて
「あ、繋がらない。ロンドンは雨かぁ」などと、天気予報代わりに使われる始末である。
それがある日、天候に関係なく全く繋がらなくなってしまった。
電話会社に連絡するも、なかなかすんなりエンジニアをよこすと言ってくれない。
「ここは担当の部署ではない」と散々たらい回しにされた挙句
「ちょっと確認します」と20分以上も待たされることもしばしば。
仕方が無いので、直るまでの間 受信した電話は
妻の携帯に転送するよう依頼した。
もはやライフワークのように修理依頼の電話をかけ続けた甲斐あって(?)
ようやくBTのエンジニアが来てくれた。
原因は外壁に取り付けられた配線のボックスの中にあったらしい。
配線を雨風から守るために取り付けられたはずのこのボックス、
しかし蓋を開けてみれば、中は埃だらけで 枯葉なんかもくっついている。
配線はボロボロだ。
我が家のライフラインが こんなにお粗末だったとは。
何はともあれ、自由に電話を使えるというのは
本当にありがたい!
(日常生活に求めるレベルがだんだん低くなっていく・・・)
先月は電話が使えなかったから 電話代はタダかもね
なんて話しながら請求書を見て驚いた。
いつもよりも高いじゃないか!なぜだ?!
そしてその通話履歴はすべて 妻の携帯あてだった。どういうことだ?!
ここに「転送」の落とし穴があった。
「転送」= 自宅に電話がかかってくる
↓
うちの電話から妻の携帯に電話をかける状態になり
↓
妻の携帯で相手と話せる
というからくりになっていたのだ。
闇に葬ったはずの敵に、最後に復讐された気分である。
こんなに電話に呪われた家も そう無いかとは思いますが
皆さんも「転送」にはくれぐれもご注意を!
March 22, 2007
サクラ咲く
桜が咲き始めた。
家の近くの駅のそばに桜の木が数本あり、そろそろ薄ピンクの花が見られるようになった。
日差しも明るくなって、日照時間も増え、春らしくなった証拠なのだが、桜を見る気分は複雑である。
というのも、イギリスの桜は日本に比べて華やぎと情緒がないからだ。
まず、数週間もずーーーーと咲いているのが気に食わない。3月の中旬から咲くとして5月でもまだぐずぐずと咲いていたりする。日本の桜のように、ほんの数日だけ満開の姿を見せ、さっと風や雨に散っていく、あの 「いさぎよさ」や 「はかなさ」に欠ける。
これでは木に咲く「ただの春の花」ではないか。安い、安すぎる。
最初から 「葉桜」の木があるのも、物事の順番を無視した行動と言える。
チャイナタウンあたりのバッタ屋 (安物のコピー商品を売る店)でキティちゃんの財布があった、なんて思って、近づいてみるとこれが偽物。われらのキティちゃんが 「眉毛」のあるマヌケな顔をしているのを見て、許せない気分になるのと似ている。
数年前、イギリス人の取引先、ミスター Mと一緒に日本に出張した。
うちの会社のクライアントと日本で一緒にミーティングをしましょうというのが目的だったが、実際はミスターMが 「抜け駆け」しないようにと 「お目付け役」としてボスから送り込まれたのだ。
(彼はビジネスクラスで飛び、私はエコノミーだった。まー、しかたないけど)
彼があるとき、
「ミーティングに行くたびに 『いやー、良い季節に来られましたね。いかがですか、日本の桜は』 『どうです? みごとな桜でしょう。イギリスにもありますか?』とみんなが桜の話ばかりするんだけど、どうしてなんだ?」と聞かれた。
「桜といえば、まさに日本の美なのよ」
「ふん、ふん、それで?」
「で、日本の美といえば桜なの」
「だから?」
「桜といえば、日本の美、日本の美といえば桜。わかる?」
「・・・・全然、わからないけど」
「もちろん富士山もあるけどね。そうそう、秋の紅葉も忘れちゃダメ。これも目で見る日本の美だけではなくて、心の面での日本の美。わかる?」
「????」
彼をますます混乱させてしまった。
日本の桜、あるいは 「大和なでしこ」と言えば、イギリスならイングリッシュ・ローズだろう。故ダイアナ妃なんかがよくそう呼ばれていた気がする。
しかし、日本の土でのバラの栽培はけっこう大変だが、イギリスではまるで 「雑草」のようにそこらじゅうに生えている。まあ、特別なバラならばそれなりに手間もかかるのだろうが、その辺のバラは何もしなくても好き勝手に花をつける。
何を血迷ったのか、12月ごろポンと咲いているバラを見かけることもあって、
(・・・節操のない花だ。季節というものを知らないのか?)と思わずなじってやりたくなる。
自国の花だって、季節感のないこの調子だから、日本の桜のように、この数日に生命のすべてをかけて咲き乱れる、ようなノリは理解できないのだろう。
こんなことなら、ミスターMを日本酒の匂いとカラオケが怒涛のように渦巻く、上野公園の花見に連れて行き、「桜フィーバーの極致」を見せてやればよかったと思っている。
イギリスの郊外電車に乗って線路脇を見ていると 「スギナ」に似た草があった。スギナがあるなら、 「つくし」もあるのだろうと、翌年、目をこらして探したら、確かにつくしも生えていた。しかし、これが巨大で直径1cm、高さは15cmくらいあるつくしだ。
これではおひたしにできない。
これもまた 「眉毛つきのキティ」だな。
March 21, 2007
英国で恐い体験<その2>
スチーミングという犯罪を知っていますか?
数人から数十人の若者が、人数の多さを武器に金品を強奪することなんですが、
その現場にいたんです。
あれは、ダーリンと夕飯を食べ終え、最寄りの駅まで歩いていた10時ぐらいだったと思う。
交通量の多い道路の両側には、すでに閉まってしまってしまったけど、
おしゃれな店が並んでいるので、ウィンドーショッピングをしていた。
遠くでワーッという歓声が聞こえた。
ああ、またサッカーでもあって騒いでいるのだろうと思っていると、その声が段々近くなってきた。
見ると大勢のティーンエージャー(13〜15才ぐらいかな?)がこちらに向かって走ってくるではないか。
何? 何?と思っていると、我々の方にも1人、2人と向かって駆けてくる。
我々のすぐ側で止まった。えっ?!何??
しかし、また走っていく。
どんどんと若者が走ってくる。その数は100人いただろう。
特になんて言う事もない普通の子供だ。
しかし、その雰囲気がちょっとおかしい。
こんな時は、身体がうまく動けない。フリーズしてしまった状態だ。
何かヘン!?と思っていると、その後ろからパトカーが彼らを追ってきている。
蜂の巣をつっついたような騒ぎになり、彼らが小道にバラバラに散って逃げていく。
それも真剣に逃げるというより、遊び感覚だ。
その後をパトカーが追っていくがまったく効果がない。
その瞬間に、ダーリンが言った。
「ああ、これがスチーミングだ!」
そう、彼らの誰かがターゲットを見つけたら、そこへ仲間が集まり金品を奪うのだ。
1、2人に囲まれる訳ではない。これが4、5人、いや10人となったら、どう防げるのだろう。
何もできやしない。
騒いでも盗られるだけだろう。
ああ、恐い。
今回だって、彼らは逃げる途中だったが、我々がカモとみなされたらやられていただろう。(冷や汗)
防衛は、逃げる事だろうな。今回もこの事を知っていたら、すぐに開いている店に入ったと思う。
しかし、その後の電車の中でもこのスチーミングがあったとも聞いた。こんな時は、防げないなぁ。
スチーミング(蒸気)というネーミングは、
どうもあのお湯が沸いたときにシャッーとでる蒸気の勢いと大勢の人がワーッと動くのが、
同じように見えるからでは?とダーリンの講釈でした。
March 20, 2007
息子 近況 2
息子は最近、「海の生物」にハマっている。
海の中がテーマなら何でも良いらしく、「ファインディング・ニモ」や「リトル・マーメイド」などのアニメからBBCの自然番組「プラネット・アース」、人食い鮫の映画「シャーク・アタック」まで、各種DVDをとり付かれた様に観ている。
特に鯨、イルカ、鮫などが大好きだ。
中国人が半分入っている彼らしく、彼らの食生活に特に興味があるらしい。
「シャーク・アタック」を観た後で、
「ねえねえ、鮫は人間を食べるんだよね」と言う。
(別に鮫だって人間を主食にしているわけではないけど・・・)「うーん、人間を食べる事もあるかもしれないけど、普段は魚を食べるんじゃないかなあ」と答えておく。
「イルカは?イルカは人間を食べる?」
「イルカ?イルカはフレンドリーだから人間は食べないよ」(ステレオタイプのイメージだが仕方ない)
「ふーん・・・・じゃあ、鯨は?鯨は大きいから人間を食べる?」
(だんだん答えるのが面倒くさくなってくる)
「鯨?鯨は海水を一気に飲んでその中にあるものを食べるから、もし人間がたまたま近くを泳いでたら食べられちゃうこともあるかもねー。」
「ほんと?鯨は人間を食べるの?」
「だからあー。(なんでそんなに食べられたがるんだよ)普段は人間を食べないよ・・・・まてよ。」
はたと気付いた。
「それどころか逆に、日本人は昔、鯨を食べていたんだよ」
予想外の展開に目を丸くする息子。
「え・・・・?」
「マミーは昔、スクールディナー(給食)でよく鯨を食べたものさー」(遠い目)
「ス、スクールディナア~!?」
「そうだよ。そういえばじーじは、ビールを飲みながらよく鯨ベーコンをつまんでいたなあ。くっくっく。懐かしい昭和の風景だわ~」
驚愕の事実を知り、息子は言葉を失った。
「日本人が鯨を食べる・・・・マミーも・・・・じーじも・・・ばーばも・・・」
目は宙を泳ぎ、独り言の様に繰り返している。
お陰で静かになったけど、ちょっと可哀相だったかも。
小さいうちは、鯨やイルカ=人間の友達、鮫=悪役 というステレオタイプのイメージを植えつけとけばいいのかな、と少し反省した。
が、さすが適応性の高い幼児。「日本人は鯨を食べる」という事実をすぐに受け入れたようだった。
「ジャパニーズは鯨を食べるんだよね、ジャパニーズは鯨をベーコンにするんだよね?ね?ね?」
と、所構わず聞いてくる。
息子よ、お願いだから人通りの多い場所と、幼稚園ではこの話題に触れないでね。
(特に先週書いたアリスのママは、タイムズ紙のジャーナリストだ)
地元で日本人排斥運動が起こったら困るし。
とりあえず、「中国人はフカひれスープが好き」という事実を、どのタイミングで告白したらよいか悩む今日この頃である。
March 15, 2007
フリーメイソン
フリーメイソンのパーティに行ってきた。
元同僚から 「友人が今年の会頭を勤めるのでお披露目のパーティにペアで招待されたけど、一緒に行く女性がいないので来てくれない?」と頼まれたのだった。
パーティの 「パートナー代行業務」といえる。
この手のお誘いはときどきある。正式なパーティはパートナー同伴が多いのだが、離婚率の高いイギリス人のこと、連れて行くべき妻がいない人もいる。
でも、イギリス人の女性に頼むと 「どんな関係?」 と面倒な憶測を呼ぶ。
で、 「妻とは別れたし、ちょうどガールフレンドもいないので、文化紹介がてら外国人女性 (私のことだ)を連れてきた」ということにするらしい。
代行してもお金を貰えるわけではないが、タダ酒が飲める上、50ポンド程度の食事も出るので、物見遊山も兼ねてお誘いに乗る。パーティは基本的に好きだし、11月、12月のパーティラッシュシーズンを除けば、仕事がらみでないパーティに出かけるのはいいものだ。
(ついでに言うと、「スピードデート」(2006年3月9日のブログ)の主催者からも、ときどき、「女性の人数が足らないから来て」と頼まれる。これは完璧に 「サクラ」だな。ただし、これもお金は貰えない。ネタにはなるが)
しかし、この招待を受けるときには少しもめた。
「フリーメイソンのパーティなんだけど、来てくれない?」
「ええ? ちょっとまずくない? 私、白人じゃないわよ」
「白人じゃないとまずいってどういうこと?」
「リンチされたりして」
「・・・もしかして、KKK団と間違えてない?」
「あ・・・」
・・・失礼しました。アメリカ南部の白人至上主義、人種差別ハードコア集団、秘密組織のKKK団と混乱してました。
リンチの心配がなくなったので参加することにする。
某地方都市のホールにフリーメイソンのメンバーが集まる。白人の中年男性が中心で奥さん連れのブラックタイ、ロングドレスのフォーマルディナーである。
「あれが友達なんだ。今年の会頭」
見れば彼の友人はなんと黒人のおじさんで奥さんは白人だった。
なーんだ。有色人種の人が会頭じゃないの。心配して損しちゃったよ。
(と、まだイメージはKKK団の呪縛からのがれていなかった)
「こいつさー、フリーメイソンとKKK団をごっちゃにして・・・」と私の無知をばらされそうになったのを何とかごまかした。
こういう会が主催のパーティはやたらと乾杯がある。まず、女王陛下に乾杯 (この国で一番えらい人だから当然か)それから創立者に乾杯、去年の会頭に乾杯、今年の新会頭に乾杯・・・と延々と続く。女王陛下以外は誰も知らないけど、まあいいか。
やはり、地方都市では「イギリス系白人」が多い。
あまり東洋人なんか見たことがないイギリス人のおばちゃんたちに色々と質問をされ、
「今度、お寿司の作り方を教えてね」という依頼をたくさん受けた。
イギリスの一般的な主婦は、米をとがず、水につけおくこともせず、たっぷりの水で、鍋にふたもせず、強火で 「ゆがく」。火が通ったら 「ざるで水切り」しておしまいだ。
そんな人たちに高度なお寿司の調理法など、というか、それ以前に 「米の炊き方」なんかを説明しようと思うと気が遠くなりそうだ。
はいはい、いいわよー、と安請け合いはしたが、実行する気はない。
(一夜の戯れ言だと思って、私のことなんか忘れてね)
メンバーのおじさんたちは何かのビジネスをしている自営業がほとんどで、現代のフリーメイソンは 「中小企業社長の寄り合い友愛会」であることが判明した。
こんなパーティも目的は 「奥さんにロングのパーティドレスを着せる機会を年に一回ぐらいは作らないと機嫌が悪くなるので」開かれているようだ。
目の部分だけ開いたとんがり帽子の白い被り物をして、パジャマのような服を着たKKK団に火あぶりにされたりしなくて本当に良かった。
リンチと火あぶりがないなら、また行きたい。イギリス人のおばちゃんたちにもかわいがられたし。次回までに彼女ができなかったらまた呼んでね。
March 14, 2007
英国での恐い体験<その1>
夜に後ろから人が近づいてくるといまでも驚く。
実は、3年前にバックをひったくられた。
その日は、自宅のある駅に着いたのは夜の12時を過ぎていた。 家は駅から徒歩10分程度かかる。
私の住んでいる場所は、 エリアとしてはラフなので
そんな時は、 ダーリンが 駅まで向いに来てくれる。
その日も2人で、家路に向かっていた。
私は、ちょっとビールを飲んでいたので、緊張感がなくプラプラしながら歩いていたと思う。
道のりの半分程度を過ぎた頃だろうか,手に握っていたバックの取っ手を後ろからいきなり引っ張られた。
無防備とは、こんなものだろう。そのまま後ろに尻餅をつくように倒れた。
よくスローモーションで見えるというけど、本当にそうだ。
若い、そう、13、4才程度の黒人の子供がバックを引っ張り、奪い、逃げている姿が見える。
自分に何が起こったのか、やっとわかった。
すぐに起き上がり、後を追ったが、ああ、普段の運動不足がここで影響する。足が遅い。口惜しい。
あっ!と言う間に走り去っていく少年の足では勝てないので、思わず叫んだ。「Murder!! (人殺し)」って。
ああ、情けない。ここでも英語力がない。
しかし、「人殺し!!」と叫んでも誰も家から出て来てくれなかった。悲しい。
闘争心がまったくないダーリンもこの時は、ひったくりを追いかけようとした。が、
無惨にもゴミ箱につまずき大きく転んでしまった。そして、ズボンに穴があいてしまった。
若者の駆け足には、かなわない2人だった。
さっそく家に帰り、
カード関係や携帯電話の会社に連絡をして、すべて使用不可にしてもらった。
そして、警察に電話をしたら、巡回の警察官が近くにいるので送ると言われた。
5分か、10分程度で来た。意外に早い感じがあった。
怪我をしていないか、そして、どんな犯人像だったかと聞かれ、これで捜査が始まると思いきや、
「まあ、何も戻って来ないと思うよ。」とまるでやる気なし。
まあ、よく言われているのは、犯罪が多過ぎて捜査する警官が不足しているので、
人が怪我をしないこのような小さな?犯罪に対しては、何もしないと聞く。
しかし、穏やかだが注意もされた。口惜しくても、ぜったいに犯人を追ってはダメって。
もし、ナイフを持っていたら、銃を持っていたらどうするの?と転んで穴があいたダーリンのズボンを見て、
警察官が言った。
興味深いことに、もし、ショックを受けていて、メンタルケアがしたいなら手配するよ。とも言われた。
生憎、メンタルよりも許せない気持ちで興奮しているので、鎮静剤が欲しいくらいだった。
だって、丁度日本から戻って来たばかりで、バックの中見には、財布、化粧品といろいろ新調した物が入っていた。
その上、決してブランド品ではないが、バックもパリで買ったお気に入りだった。ああ、口惜しい!! 口惜しい!!
実は、翌朝、バックなどの諸々はすぐに捨てられたと思うので、
盗られた周辺のゴミ箱や公園を探してみたが無駄だった。
がっかり。
その後、分かった被害は、クレジットカードを使い海外に電話したのが2ポンド、携帯電話の使用が1.5ポンドだけ。
現金は、15ポンド程度しか入っていなかった。被害は、多分捨てられた諸々の方が高いだろう。
あのさ、こんなことの為に人のバックを盗らないでほしいよ。とまた怒り出した事件だった。
しかし、その後、昼間でも人が自分の背後に近づくとドキッとする。走ってくる人なんて恐い。
トラウマになっているのだろう。
聞けばダーリンも同じだと言う。
随分たった今では、だんだんその感覚は無くなって来ているが、いまだにハッとするときがある。
色々想像するが、もし、あの子供を捕まえていたら、その後はどうなっていたのだろう。
ちょっと恐い。
最近、遅くなって帰る時は、
ポケットや他のバックに鍵やカード類など無くなって困る物を分散して持つようにしている。
ああ、いやな出来事でした。
<警察官のアドバイス>
1.歩道を歩く時は、車の走る側は男性が歩き、女性は中側を歩く。バック類は、2人の間に持つ。
これでだいぶ盗りにくいそうです。
2.盗られても、決して追跡してはいけない。欲しいと思われるものを投げ、自分は反対側を走り無事で逃げる事が大切。
March 13, 2007
息子 近況
「子育てママ」という属性?を頂いておきながら、このところ、日英のゴシップに気をとられ子供のことを書くのをすっかり忘れていた。
ゴシップ記事を読む合間に(?)子育てもそれなりにしていたが、息子はそんな母親にもめげずスクスク育ち、幼稚園で友達も沢山できたようだ。
ある日、幼稚園にお迎えに行くと、イギリス人のお母さんが「ハロー!」と息子の名前を呼び、親しげに話しかけてきた。
彼女の娘のアリスは栗色の巻き毛が可愛い女の子だ。
お母さんは、
“Alice always talks about him, she loves him!”
と言ってくれた。
男の子の友達の話は息子からよく聞いていたが、女の子の話題は聞いた事が無かったので、「へー、そうなのか。」と思った。家に帰ってから
「アリスと仲いいの?アリスが君のこと好きだって言ってたよ」
というと、心なしか照れながら、
「・・・・イエス」
と答えていた。
その日を境に、息子の関心はアリス一色となり、彼の脳内は「ザ・アリス祭」の様相を呈してきた。
大人でも、誰かが自分に好意を持っていると分かると、その人を好ましく思えてくる事があると思うが、息子も「好き」と言われて突如として意識しだしたらしい。
家族で海辺に行ったときにも、
「ああ、アリスも一緒に来られたら良かったのに」
とかつぶやきながら、砂浜に自分の名前を書き、その横にアリスの名前を書いてくれという。
その真ん中にハートか相合傘(死語?)でも書き出して、打ち寄せる波がザッパーンと二人の名前を消してゆく・・・と言うようなオチを想像してひやひやしたが、まあそこまでの知恵はないようだった。
ある晩、ベッドに入ると、急に「クスクス」と思い出し笑いを始めた。
「どうしたの?」と聞くと、
「アリスがね・・・・」と言う。
「アリスがどうしたの?」
息子は「ククク・・・」と笑いをかみ殺し、
「アリスがね・・・お風呂に入っている時、おしっこしちゃうんだって・・・」
と衝撃の事実を告白した。
再び声にならないような声で「クック・・・」と苦笑する表情が、
「参っちゃうよなあー、オレにそんな事言われてもなあー」
と言っているようで、息子にちょっと「男」を感じた。(一瞬です)
ナーサリーでそんなキワどい事を話していたなんて、恐るべし幼稚園児。
「秘密」を共有する事で、親密度はますます増したようだった。(とはいえマミーにすぐにばらしている息子だが)
そんなこんなでアリスと息子の蜜月の時はしばらく続いたが、気がつくと最近はまた男の子の友達の話ばかりで、彼女の話を聞かなくなった。
「アリスは元気?仲良くやってる?」
と聞くと、浮かぬ顔をして
「・・・・ノー」
と答える。
「どうしたの?アリスのこと好きなんでしょ?」
と言うと、しばらく考えた後で、息子は堰を切ったように話し始めた。
「だってね、アリスったらいつも僕の隣に座るんだ。いつも、いつもだよ」
真剣な表情で私に訴えてくる。
「どうして?アリスの事好きなんでしょ?いいじゃない」と言うと、彼はうつむき、絞りだすような声でつぶやいた。
「・・・・・Too much だよ・・・・・」
・・・・・存在が重くなったか・・・・。
息子よ、女の子の方から寄って来てくれることなんて、人生のうちで何回あるか分からないのだから、有難く気持ちを受け取った方がいいと思うんですけど。
そんな母の含蓄あふれた助言を人生経験の浅い(4歳児)彼が理解するはずもなく、彼らのラブラブ期は終焉を迎えたようであった。
今日もアリスママは
“Oh~~!Alice loves you!!”
と声をかけてくれたが、聞こえないフリをして無言で立ち去る息子であった。君、もったいないよ。
March 12, 2007
ロンドン進学事情 ~我が家の場合~
日に日に暖かくなって日もずいぶん長くなり
ロンドンももうすっかり春だ。
日本のものとはやはり風情が異なるが、ここロンドンでも
あちこちで桜の花が咲いている。
日本人にとって春は入学・進級・卒業・就職・転勤(我が家も
ちょうど1年前の今頃だったなぁ・・・)など、人生の節目の
何か特別な季節だ。
しかしここではそんな趣はあまり感じられない。
日本と違って学校が9月に新学期を迎えるせいもあるが
その時にも入園式や卒園式のようなものは無く、
クラス替えも無く、淡々と新学期が始まった。
そんなナーサリーに昨年9月に入園したばかりであるが、今年の9月から
現地小学校のレセプションに移ることになった。
レセプションというのは、小学校入学前の1年間通うところで
それぞれの小学校に付属している。
ナーサリーに通っている同級生たちもそのコースが一般的らしい。
しかし我が家の場合は紆余曲折の末の決定といった感じであった。
レセプションからはもう読み書きや簡単な算数が始まるという。
日本で言えば幼稚園の子供にそんなことが必要か?
それよりも今はまだ遊びの中から色んなことを学ぶ時期ではないのか?
渡英前は「英国=教育システム天下一品」というイメージであったが
先頃のユニセフの「欧米の子供幸福度ランキング」の最悪な結果も頭をよぎり
何となく英国の教育システムにも懐疑的になっている。
いずれ日本へ帰るのだから、小学校は日本人学校がいいのではないか?
それなら入学までこのままナーサリーに居座るか?
(そんな子は居ないのだが。)
そんなことを話し合っていた矢先に息子が突然
「えーっと、ファイブ プラース フォー イクォール・・・」などとつぶやき始めた。
何だそれは?!尋ねてみればナーサリーでもうそんな事をやっているらしい。
(現地校では参観日が無いため、ナーサリーで何をやっているのか
息子の自己申告で知るところが大きい。)
なんだ、レセプションで算数が始まるどころでは無いではないか。
また、このままナーサリーに通っても中心メンバーは2~4歳であり
同級生も居ない中では寂しいだろう、ということもあって
結局レセプション行きを決めた。
日本ならば地域によっては幼稚園にはいくつかの選択肢があるものの
小学校は公立ならば学区が決められており、迷うことは無い。
また幼稚園でも、保育時間は当然全員一律だ。
そこへいくと英国のナーサリーでは、この子は月・水・金だけ一日保育で
あとは午前保育、あの子はいつも一日保育、という具合に各自バラバラである。
親が、習い事との兼ね合いや本人の体力、家庭の方針などに沿って
マネージメントしなければならない。
小学校も私立校の数は日本よりも多く、また現地校か日本人学校かの
選択もあり、幅広い。
決められる、与えられることに慣れてしまっている日本人はなかなか
頭を悩ませるところである。
我が家の場合、レセプション以降は未定だ。
きっとまたその時に家族で悩むのだろう。
そしてきっとこれは、多かれ少なかれ駐在員家族共通の悩みだろう。
親はその時々で悩んだ末に、今の時点ではこれがベストだ!と信じた道を選ぶのだが
その時の選択が正しかったのかどうか(正誤なんか無いのかもしれないが)は
子供たちが大人になってからしか、あるいは一生分からないのかもしれない。
しかし、苦労があったとしても後で振り返ってみて
「あの時は本当に大変だったなー」と子供たちが笑って話せるような
そんな人生であって欲しいと願ってやまない。
March 11, 2007
Q1 2007
今週末は、昨年から10ヶ月間程仕込んできたプロジェクトの総仕
上げで。なかなかの結果となり、明日月曜はまずまずお客様に喜ん
でいただける作品ができあがったと胸をなでおろし、後片付けのメー
ルを出したりして、余韻を感じています。とはいえ、明日は朝7時
には現場に出かけ、山のように発生するご要望(PCの位置が悪い、
プリンターをあっちに移動してくれ等々)に当社社員は走り回され
ます。なのでまだ気は抜けませんが、勝負は見えました。熱い風呂
とワインの1,2杯位は許してもらえるでしょう。
このプロジェクトはお客様のオフィス移転。今日は仕上げとして、
導入したサーバーのダンボールやら、古い機器やケーブル等、相当
数のゴミを出して、整理もしました。このゴミの量は10年前に比
べると比較にならないくらい多いように思います。なぜだかは分か
りません。モノが直ぐに古くなってしまうようにも思うし、梱包が
年々大げさなダンボールになってきているのか。
ゴミといえば、我が家のゴミも相当なもので、一人暮らしの割には
結構な頻度で重いゴミ袋を担いでフラット裏の大ゴミ箱まで持って
いかねばなりません。どうしてこうゴミが多いのだろうと考えてみ
たところ、
1. ワインの空瓶
2. クリーニング屋さんのビニールカバーと鉄線ハンガー
3. タバコの空箱
4. 宣伝メールなど、開けもしないエンベロープ、結構かさばる
大体上の順番のようです。今春には新同居人(つまりつまがやって
くる)ができあがる予定ですので、更に生ゴミ等が増え、ゴミ捨て
の頻度が増えるかと思うとこれはうんざりします。あれって結構重
く、たまに破れたりするとワインのビンが割れたりして大変なこと
になります。そこまで貯めないのが正解なことは分かっているんで
すが。
先週は Blog をサボってしまいましてごめんなさい。別に急性アル
コール中毒になったわけでもなく、インフルエンザにかかったわけ
でもなく、いたって元気です。経営者が忙しさを理由にすべきこと
を実行しないのは最悪、反省。
それにしても当社社員は先週・今週末と、背中から湯気を出しなが
ら、よくもまあと思うほど機敏な綺麗な現場仕事をみせてくれまし
た。僕もまた気が引き締まります。2007年Q1、株市場もばたばたし
ているようですが、当店もばたばた状態にてこちらは幸先は良し。
March 08, 2007
消防士
今日もまたオフィスの非常ベルが鳴る。
ロンドンでは法律で決まっているのか、やたらと避難訓練がある。仕事の途中でもビルから出なくてはならない。
以前はみんな面倒がって、ベルが鳴ってもそのままデスクに残ったりしたものだが、テロ事件が増えてからというもの、きちんと指示に従っている。
うちの会社のビルは地下鉄であったロンドンのテロ事件の現場のひとつに近い。
午前9時ごろに爆発があった頃、同僚のひとりはもう出社していて、爆音と揺れを感じたらしい。それほど衝撃は大きくなかったので爆弾だとは気がつかなかったという。
しばらくして、警察がやって来てビルを出るように言われた。
クライアントと電話中だったので「この電話が終わってからね」と追いやったが、消防士が来て避難勧告すると、すぐに従ったらしい。
そうか、警察官よりも消防士のほうが 「格が上」ということだな。
現場に近かったので2日間はビルに立ち入り禁止 (会社も休みだった)。2週間ばかりは立ち入り禁止の青と白のテープが張られて、警官のガードが立つ中で、会社の身分証明書を見せ、テープの下をくぐって出社。
「おっ、山さん、ご苦労」
そう言いながら、警察のテープで囲まれた現場に入るという経験を一度してみたいと思っていたが、こんなことでかなえられるのはちょっとね・・・。
おまけに、正面玄関は封鎖され、毎回ぐるりと裏口に回らなければならず、面倒だった。
去年、非常ベルに何か問題があったらしく、一度、間違って作動すると1日の間に何度も繰り返して鳴り響き、ビルの外に出なければならなかった。
で、そのたびに消防車が来るのである。
「もしも」を考えれば、非常ベルの装置を切るわけにもいかず、消防署もベルを無視してしまうわけにはいかないのだろう。
しかし、日に何度も呼び出される消防士はいやだろうな。
内心、「ちっ、また、あのビルか。どうせ、ガセネタだろうな。でも、行かないといけないし。一度、ボヤでいいから燃えてくれないかな」などと思われていたのではないか?
ベルが鳴るたびにビルの外に出されるのもたまらない。毎回、消防車が来るのを待ち、消防士によって内部の安全が確認されるまで中に入れないのだ。
で、つい 「パブやワインバー」に 「避難」する連中もいる。一度、何度目かに鳴ったとき、同僚に誘われてワインバーに行ったら、そこのおねえさんが、
「あら、また来たの?」と言っていた。
非常ベルごとに酒を飲んでいるのか、君たちは?
さて、「消防士」というのはイギリスでは「たくましい男」の代表格である。自らの危険も省みず、炎の中に飛び込んで人命救助するヒーローなのだ。また、消火活動を行うためにトレーニングをかかさず、鍛えられた身体をしていると思われているらしい。
で、消防車がやってくると女性はいっせいに彼らに注目する。
「ねえ、あの3番目の消防士、悪くないわよね?」
「そうかしら? ちょっと背が低いわよ」
「もう少し若いのを揃えればいいのに」
「この消防署、イマイチいいのがいないね」
といってガセネタで呼びつけられた上に、品定めまでされる。
悔しそうな男の同僚にこっそりと聞かれた。
「日本でも消防士はああやって女性に騒がれるの?」
江戸時代の 「火消し」は大人気だったと思うが、 「消防士」はどうなんだろう?
小さな男の子にはヒーローかもしれないが、日本女性の憧れナンバーワンの職業とは思えない。
「さあ・・・イギリスだけじゃないの」と言うと、
「ふーん、そうなの」とうれしそうだった。
しかし、一日中デスクについて、コンピューターを見ているような運動量のせいで 「丸い体型」をしている同僚と軽やかに階段を駆け上がって行った消防士では 「勝負は明白」。
女の子にもてたいのだったら、スポーツジムに通って筋肉でもつければ? と思ったが、ま、その辺の判断は本人にまかせることにする。
March 07, 2007
クィーン
会社で音楽の話をしていた。若者というか音楽に興味がない彼女が言った。
「クィーンって誰ですか?」
「えっ!?知らないの???」
ショック!!
あの不滅のロックグループを知らないで英国に住んでいるとは、、時代も変わった。
トッテナムコートロードにあるドミニオンシアターの入り口の像が、誰かなんて知りたくもないんだろうな。
ロングランになっている「We will rock you」は、何のミュージーカルかも知らないんだろうなー。
思えば、10代の時、クィーンの音楽は当たり前の用にラジオから流れていた。
テレビでみるフレディは、いつも奇抜で、でもいつも気になっていた。
ゲイという言葉も知らなかったので、彼の存在がよくわからなかったけど、
ただ者ではないという強烈な磁石で吸い寄せられていた。
でも、ただ、末端のファンとして音楽を聴いて楽しんでいただけ。
なぜか、いまでも落ち込んだとき、元気になりたい時の音楽は、クィーンの曲を聴く。
しかし、不純な動機で「We will rock you」のミュージーカルに、ハマっていた時期があった。
主役のガリレオ役 (初期の役者トニー・ビンセント)が、ちょっといい男だった。
クィーンの正真正銘のファンの友人Mさんと私は、1年間に6-8回も見ることになった。
それもいつも最前列の席のみ。
裏返る高音の声といいゲイぽい彼の魅力は、もう、ヨン様を慕うおばさまのよう。
ある日、意を決して花束を渡すことにした。
しかし、タイミングをはずした。
握手をしてもらおうとした計画は、見事にはずれたが、
花束を渡した瞬間、彼も握手のタイミングをはずしたことをわかり、ゴメンね。と目で言った。
たぶん。そう。(いまだに勝手にそう思っている)
まるで女子高生のような気分だった。いい時期だったな。うーん。
しかし、これも数年前のこと。
最近なにかの話で、ついダーリンに話したら、
「え、花束なんて僕はいまだにもらったことがないぞ。」とちょっとふくれていた。
あっ、いけない。ごめんね。ダーリン。でもこれは、違う気持ちなのよ。
彼は、スターだし、、、、といい訳がましい私。
どうも女は、口が軽いのだろうか、秘密を最後迄持ちきれないらしい。
最近のビンセント君は、何処で何をしているのでしょう。ご存知の方、お教えください。
March 06, 2007
ロイヤルファミリー
映画「クイーン」で主演を務めたヘレン・ミレンが、イギリスのオスカーと言われるBAFTAに続き、本家アメリカのオスカーでも主演女優賞を射止めた。
私はこの映画を観ていないが、英米で二冠に輝いたほどだから、きっと素晴らしい演技だったのでしょう。(←他力本願な言い方)
しかし、TVでヘレン・ミレン演じるクイーンの映像が部分的に出たりすると、ど~も違和感を覚えずにはいられない。
なんだか薄っぺらいのだ。
(普段、口先のみで世間を渡っている「薄っぺらさ紙のごとく」の私に言われるとは、ヘレンさんも心外であろうが)
勿論、ヘレン・ミレンは綺麗だし、実際に見たらオーラ出まくりの大女優なのだろうが、いざクイーンを演じるとなると、やはりニセモノ臭さが隠せない。
ニセモノなんだからニセモノ臭くて当たり前、と言われればその通りなのだが、彼女がドレスを着て王冠を被っても、本物の女王様が醸し出す、その風格とか気品とか、背負われている歴史とか、女王であるが為の苦悩はやはり伝わってこない気がする。先祖代々受け継がれた?これらのものは、一朝一夕では出せないのだろう。
本物の女王様の住居がバッキンガム宮殿ならば、へレン女王様はディズニーランドのシンデレラ城に住んでいる印象だ。
(フォローする訳ではないけれど、授賞式の彼女は彼女自身を演じていたので、本物感が漂っていた)
なんて事を考えていたら、奇しくも時を同じくして、日本でも同じ現象が起こっていた。
女優のF原N香さん(伏字にする必要性が全然見当たりませんが)が、ご成婚、いやご結婚されたというニュースを、日系新聞が伝えていた。
一面に大伸ばしされた写真を見て、思わず「コント?」と思ってしまった。
スタイルの良さで有名なN香さん、「究極の花嫁衣裳はこれよ!」とひらめかれたのか、なんと十二単をお召しになるというご狂乱、いやご英断を敢行されたのだ。
私が十二単をまじまじと見たのは、(割と長い)人生の中でも4回位しかない。
百人一首の絵札を初めて見た時、皇室の二人のお妃様のご成婚の時、そして今回のN香さんだ。
一般人が十二単を着てはいけないという決まりは無いだろうが、なんというか生地がペランペランのテロンテロンに見えるし、品のないけばけばしい発色。化粧も現代メークでちぐはぐだしカツラは(以下略)
N香さんのお着物もお高いのだろうが、どうしても「成田空港の土産物屋で見かける外国人向けの化繊キモノ(商品名Geisha Dress)」に見えてしまうのは、皇室の方々が着ていた「本物」の十二単を基準として比べてしまうからだろう。
普段は大変がさつな私だが、実はロイヤルウエディングの時だけは自分の中の「女の子」が目覚めるらしく、ダイアナ妃の豪華なウエディングドレスや、平安絵巻の様な日本のお妃様達をうっとりと眺めたものだ。息子の友達の女の子を見ていると思うが、女の子は皆、プリンセス好きなのだ。(カミラさんについてはあえて触れませんが)
紀香さんに恨みはないし、お二人の幸せを心から願うばかりだが(←白々しいですね)、たまに庶民に本物の皇室、王室の底力?を見せ付けてくれるだけでも、ロイヤルファミリーの存在意義ってあるのではないかなあ、と思った日英同時多発の出来事でした。
March 01, 2007
ランボルギーニ
シティAMという無料新聞紙がある。
その名の通り、シティで朝、配られている。ほとんどが経済記事で企業のトップの交代とか、株価とかが中心だが、 「成金 サラリーマン」つまり、ちょいとボーナスを貰って懐具合のいいシティの連中むけの商品情報も載っている。
私のようにシティ勤めをしながらも給料の安い女にとっては、たいへん苦々しく思えるページなのだが、時々おもしろい話を見つけることができる。
ランボルギーニの社長のインタビューが載っていた。
私は車にはまったく興味がない。
赤い車として、二階建てバスのダブルデッカーと消防車と赤いポルシェがあったなら、
「乗るときにお金を払うのがバス」で
「はしごとかホースがついているのが消防車」で
「乗るときにお金を払わなくても良くて、はしごもホースもついていないのがポルシェ」
という区別しかつかない。
ポルシェもミニもランドローバーもすべて 「乗用車」であり、違いは 「ドアの数」と 「色」しかわからない。
しかし、さすがの私でもランボルギーニの名前くらいは知っている。
この社長は 「ボーナスが出るとフェラーリを欲しがる男が多いが、ランボルギーニのほうが個性的でクール」みたいな話をしている。
で、その値段だが、10万ポンドから17万ポンドとある。(2300万円から3900万円)
ふーん、車ごときにねえ。ロンドンの移動なんて地下鉄に乗れば、初乗り料金がたったの4ポンドじゃないの。(・・・考えてみると公共交通機関のくせに、めちゃくちゃ高いな。日本のタクシーの初乗り料金のほうが安いってなんなのよ)
さて、この値段はロンドンのワンベッドルームのフラットくらいだと書いてあった。
10万ポンドでロンドンに不動産なんか買えないだろうと考えていて、ふと、ひらめく。
(と、いうことは、私にも買えるじゃないの)
こう見えても家はある。それを売ればランボルギーニが買えるのだ。
BMW、ベンツ、ポルシェ、ジャギュアくらいの車には乗ったことがある。バービー人形とケン人形が乗ったら、残りのスペースはゼロ、というイタリアの小さなスポーツカー(名前は覚えていない)にも乗った。
ただし、すべて助手席だ。助手席に乗せてもらうのと、所有して運転するのでは、
「えびの天ぷらを食べる」のと 「えびの養殖場を経営する」くらいの違いがある。
そうか、ランボルギーニか・・・。
あ、しまった。ミルクを買うのを忘れた、なんて時も、
「スーパーまで車を走らせてくれない? ランボルギーニの新車なんだけど」と言えば、
100人くらいの応募者があるだろうから、ショッピングも楽勝だ。
「お母さん。あのね、ランボルギーニを買っちゃったの」と日本に電話をする様子を想像してみた。どうだ、親戚の誰もランボルギーニなんか持っていないだろ。
しかし、
「そうなの。ランボルギーニを買ったの。よかったわね。それで、ロンドンの天気はどうなの?」
という会話になると思われる。まず第一に、ランボルギーニが何なのか知らないはずだ。
私の小説が出版されたときも、
「お母さん。あのね、小説が出版されることになったの」と電話したら、
「そうなの。小説が出版されるの。よかったわね。それで、ロンドンの天気はどうなの?」
と言われたことを思い出した。(実話)
うーむ、これでは全然、見栄を張れないではないか。
親にすら自慢できないランボルギーニなど、コストパーフォーマンスがいい車とは言えない。
それによく考えると 「ランボルギーニのオーナー」にはなれるものの、その代償として 「家なき子」になるのである。
この車の購入に関しては 「人生における優先順位」に関しての熟慮を要するようだ。