イギリスが誇る老舗高級デパート、ハロッズ。ここではあらゆるものが揃っている(一番大きなものでは、かつてゾウを買うことも可能だったそう)反面、その多くの商品には一般庶民が手を出しにくい値段が付けられている。


最低賃金の3倍近い値段のサンドイッチとは!

2023年秋に、同デパートにて£28(£1=¥180換算でおよそ5,000円!)のサンドイッチが提供されるようになって以来、マスコミ各社が「果たしてその価値はあるのか!」と相次いで試食レビューを発表した。興味はあるが自分の財布からは払いたくないという、ジャーナリストたちの狡猾な作戦かもしれないが、高額サンドイッチの具が、今や世界中で話題の和牛となると、日本人としては評価が気になるところだ。

伝統的に庶民のランチタイムの味方であり、「サーニー」との可愛いらしい愛称さえ与えられているサンドイッチ。多くの人は、冷蔵庫にあるものを2枚のパンにささっと適当に挟んで仕事場に持参したり、スーパーマーケットのバラエティ豊かなサンドイッチ売り場を訪れる。今日はちょっと贅沢しちゃおうかな、という気分になったらPret a Mangerの「ポッシュ・チェダー&ピクルス・バゲット」を買ってみたりする(£7.15なり。これはさすがにぼったくりと騒がれた)。

しかし、高インフレですでに財布の紐をキツくしている一般市民に対して、このタイミングで「和牛ステーキ・サンドイッチ」と「和牛カツサンド」 を売り出したハロッズもかなり強気と言わざるをえない。知らずにその値段を見たら、メガネを買い換えなくては!と思うかもしれない。


世界一高額なサンドイッチの実態は?

サンドイッチ自体のサイズはおよそ4×3インチ(10×7.6センチメートル)程度。ステーキバージョンでは、スライスされたミディアムレアの和牛ステーキに高級感を高める香り高いポルチーニ&トリュフバターがかかっている。これら主役を支えるのはポートベロー茸、ゴールドのマスタードマヨネーズ、ロケットそしてタマネギのビール煮。気になるカロリーは、1,000キロカロリーをやや超える程度とのことだ。

和牛サンド(ちなみにアルファベットでも「sandwich」ではなく「sando」と書かれている)の方は、白キャベツのベッドにマッシュルームソースとBBQソースがかかったリブアイ和牛のカツが乗っているものだ。

いずれも£28で、パンはサワードウを使用。


さてそのお味のほどは?ネガティブな評価も

「辛い仕事だが(really?)、誰かがやらなくてはなるまい!」と、これまでに多くのジャーナリストやSNSのレビュー発信者がそれぞれの感想を述べてきた。中には手厳しいものもある。

オンラインマガジン「ビジネス・インサイダー」の記者、トムソン氏もこのサンドイッチについて同誌にレポートを載せている。高額を支払ったのにもかかわらずそこには座席が用意されておらず、持ち帰り専用ということに落胆した同氏。温めるオプションがあることも知らされなかったようで、せっかくの和牛ステーキは冷えきっており、さまざまな材料が不調和に混ざり合っている、たとえ5ドルでももう買わないと散々な評価を下した。

確かに£28払った後でダイニングホールに座席がないということを知るのはショックだろう。しかし、テーブル席があったらあったで、サンドイッチの値段はさらに高くなってしまうのかもしれない。


ポジティブな評価

「肉を挟むパンは柔らかく、その脇からはトリュフバターがうっすらと滲み出てくる…。パンを掴む手に少しギュッと力を入れると今度は肉汁が少し指に流れ出すが、それすら気にならない」と、実際に口にする前から前向きな評価をするのは、イギリス大衆紙ミラーの記者、ザーナ氏。

スライスされた和牛フィレは程よい大きさで噛みやすく、硬すぎず柔らかすぎず、口の中でポルチーニとトリュフのバターが絶妙に混ざり合う・・・のだそうだ。

かなりボリュームがあるので、ランチとディナーで半分ずつ食せば、一食£14で値段のショックは多少和らぐ(か?)というアドバイスもあった。

さて、あなたは清水の舞台から飛び降りてみますか?