NHS制度

NHS(National Health Service)とは、1948年より実施されている国営医療制度。救急治療、専門医療、眼科、精神医療、性の健康に関する医療、産科等のサービスを、ほぼ無料で受けられます(処方箋は有料)。歯科治療も受けられますが、一部治療費の負担があります。

NHSの医療サービスを受けるには、居住地域の総合診察医/かかりつけ医(GP / general practitioner)に登録することが第一歩。通常の診療や専門医(specialist / consultant)への紹介は全てGPが行い、個人が病院の内科や外科等の専門医に直接出向くことはできません。歯科と緊急以外はどんな症状でも、まず登録したGPで診察を受ける必要があります。

外国人の場合、永住権保有者はNHSサービスを無料で受けられますが、滞在ステータスによって登録条件が異なりますので、まずは近くのGPに問い合わせてみましょう。

登録手続き

NHSのサービスを受けるための手続き

① GPの選択
NHSのウェブサイトで自宅の郵便番号/ポストコード(postcode)を入力して検索するか、非営利団体である市民相談所(Citizens Advice Bureau)やNHSのウェブサイトで登録可能地域のリストを入手します。

② GPへ登録
希望のGPが新規登録を受け付けていることを確認後、登録届(Family Doctor Services Registration)を提出します。登録届は直接GPに出向いて受け取るか、政府ウェブサイトからGMS1と呼ばれるフォームをダウンロードします。

③メディカルカード
後日、NHSより担当医の名が記されたメディカルカードが送付されるので大切に保管しましょう。診療時に携帯する必要はありませんが、GPを変更するときにはこのカードが必要となります。

診察を受ける

受診の際には予約が必要です。オンライン予約や当日の電話予約を受け付けているGPもあるので、登録時に確認しておきましょう。

診療・治療待ち

GPに受診を申し込んでも、診察まで何日も待たされることもあります。また、専門医への紹介後も、緊急でない限りは実際に治療や手術を受けるまで長い待ち期間があることを覚悟しておきましょう。

GPの利点

GP制度では、診察料や検査料は無料です(処方箋は有料)。

GPの変更

医師に不満がある、引越しをした等、その理由にかかわらずGPを変更したい場合には、上記の要領でGPを探して新規登録が可能か確かめた上で、メディカルカードを持って出向きます。診察の必要がなければ予約は不要です。

キャンセル

無断キャンセルは他の患者や医師の迷惑になるだけでなく、NHSの財源を無駄にすることにもつながります。予約通りに診察を受けられない場合は、必ず事前に連絡しましょう。3回連続で無断キャンセルが続くと登録GPから外されることもあるので気を付けましょう。

GPオンラインサービス

NHSイングランドには、オンラインによる診察予約やキャンセル、診察、処方済み医薬品の再注文、診察記録の部分的な閲覧等のサービスを提供しているGPもあります。オンラインサービスは登録GPで利用申込書を提出して登録します。
サービスや利用の詳細はこちらで確認を。
また「myGP」アプリを使っても同様のサービスを受けられます。詳細はこちらで。

専門医

NHSの専門医にかかったり精密検査を受けたりするためには、必ずGPからの紹介状(reference letter)が必要です。

(協力:Dr.伊藤クリニック