September 02, 2008
こうもり親子

このところバタバタしていて、何かと話題になった北京オリンピックの開会式も閉会式もリアルタイムで観る事ができなかったが、友人のmixi日記に閉会式のビデオがリンクされていたので、次回開催地ロンドンへバトンタッチするショーの模様を観ることができた。
見逃した方のために、私もリンク貼っておきます。こちらから。
赤いダブルデッカーを中心に、音とダンスと光によって構成されたショー。
ダブルデッカーの横を、サイクリストが疾走する。(サイクリストの一人が、初めボリス・ジョンソン市長に見えて目をこらしたが違った。ボリス、もうちょっと頑張って自転車こげば良かったのに。)
ダブルデッカーに、いろいろな肌の色をした人が乗り込もうとする。
車椅子の人もいる。子供もいる。
横断歩道を渡る子供を、ロリポップ・レディ(イギリス版緑のおばさん)が手を引いて助ける。
ああ、これがロンドンなんだよなあ。
日本の様に皆が一斉に同じ方向を向いている統一性はないが、それぞれが違う方を見ながらも、身障者や子供に優しい社会。(その分税金は高いけど)
それぞれが好き勝手な格好をし、好き勝手な主張をもつことをゆるされる社会。
(仕事をしていない人も楽しく暮らせるのでその分税金は高いけど)
見慣れたロンドンの風景を客観的に見せられることによって、ロンドンに住み始めたばかりの頃に持った感慨がよみがえってきた。
北京の開会式は観られなかったけど、評判をきくと非常にお金をかけて「非日常」的な世界を創り出したのかな、という気がする。
それに対して「日常」のロンドンをフィーチャーしたこのミニ・ショー、自分もロンドンにいて見ているのに、なんだかとても懐かしい様な気持ちになった。そうか、ロンドンは日常がドラマになる街なのかもしれない。
前回イギリスの悪口を書いた舌の根も乾かぬうちだが、なかなかやるな、とロンドンに住んでいることを誇りに思わせてくれる様な、良いショーだったと思う。
しかし、変わり身が早いのは私だけではなかった。
5歳の息子は最近、
「僕はチャイニーズでもジャパニーズでもないよ、イングリッシュだよ」
とよく言うようになっていた。
中国語や日本語を教えようとする時にこの台詞が出るので、単に言葉に対するアレルギー(他の友達が1ヶ国語だけでいいのに、一人で3ヶ国語覚えろと言われるのは確かにつらい)だと思ってはいたが、少し気になっていた。
それが、オリンピック終了後には
「僕はチャイニーズだよ」
と胸を張って言うではないか。
理由は簡単、中国が100個のメダルを取ったかららしい。
こんなコウモリ少年的な理由でも、息子が半分中国人であることに誇りを感じ始めてくれたことは喜ばしい。
先日、私が学校で日本の話をしたことで日本に対しての意識も良い方向に変わったようだし、英・中・日、彼を生み、育ててくれる3カ国を自然に愛することができるようになるといいなあ。
「ロンドンでオリンピックをやったら、もっと人や車が増えて混雑するし、物価も更に高くなりそうだしー」
と後ろ向きな要素ばかりを考えていた私だが、ビデオを見た後はちょっと明るい気分になった。
ロンドンオリンピックが開催される4年後には息子は9歳になっている。
少なくとも彼にとっては忘れがたい、素晴らしい経験になるんだろうな。
August 12, 2008
イギリスの情報操作 オリンピック編

今週はホリデー休みのはずでしたが、どーしても言いたいことがあって、書くことにしました。
オリンピックが始まった。
英国生活が長くなると、よく友達から
「日本とイギリス、どっちを応援するの?」
と聞かれることがあるが、そんなものは決まってる。日本に決まってるでしょうが!
で、開催中はオリンピック漬けになりたいのに、どうしてこ~もTVのCoverageが少ないの?イギリスは!!!
日本みたいに、猫も杓子も一斉に同じ方向を向く過熱報道も行き過ぎだとは思うが、それにしても放送が少ない。
確か日本では民放も放送していたと思うが、イギリスではBBCだけ。
そのBBCでもごく限られた競技しか放送しないし、民放にいたっては「オリンピックなどこの世には存在しません」とでも言うように、黙々と普段通りの放送を流す不気味な静けさである。
BBCのオリンピック放送では自分の国がメダルをとったら最後、延々とその場面を何度も再放送し、他の競技には触れようともしない。
ああ、今まさにヤワラさんが柔道をやってるのにい~!見せて~!!
イギリスがメダルをとらなかった日は、何故か「過去のオリンピック名場面集」とか「過去のメダリストインタビュー」などを放送している。
まさにこの瞬間、2008年のオリンピック競技が行われているのに、「なつかしのオリンピック」をなぜ今ここで放送する必要がある?
いいから北島の水泳見せて~!見せろったら見せろ~!
オリンピックチャンネルをつけると、60%の確率で乗馬ばかりやっているのも気に入らない。
乗馬はイギリスが強い、数少ない競技だものな。
4年前のオリンピックの時から思っていたが、そもそも「乗馬」と「100メートル走」のメダルの重さが同じって、どう考えてもおかしくないか?
乗馬はごく限られた国の、ごく限られた階級のみ(最近は裾野が広がったとはいえ、まだまだやっている人は少ないぞ)ができる競技、片や100メートル走(200メートルでも400メートルでもいいが)は健康な2本の足さえあれば世界中の誰もが参加できる。
この競技人口の差を考慮せず、メダルが同じ意味を持つって、どう考えても不公平だとは思いませんか?
「西洋式乗馬」が認められるなら、日本の「流鏑馬」だってオリンピック競技に加えるべきである。アン王女も流鏑馬に種目替えするかもしれないぞ。
競技者はもちろん、戦国武将の格好をしなければならない。
他国の選手が着替えに手間取っている間に、日本がメダルをかっさらうと言う算段だ。うーん、完璧。
という訳で、日本に比べてオリンピックに対する温度が非常~に低いイギリスである。
(フットボールのヨーロピアンカップの方が皆がエキサイトしているように見えるのは気のせいか?)
自国が勝てないものには「興味ないもんねー」とあえて目を向けず、無関心を装っていることで大英帝国の面目を保っているのだろうか。
イギリスの勝った競技だけ放送し、その他は「無かったこと」にするようなメディアによる情報操作により、誇り高いイギリス人の皆さんは
「オ~、ブリタニア♪、イギリスってグレートだなあ♪」
と今日もパブでご満悦なのであった。
(と、悪口を書いた後でニュースを見たら、イギリス人がメダルを取った日なのにグルジアのニュースがトップだった。そういえば、ロンドンテロの時も、騒いだのは当日だけで、翌日はTVも新聞も他のニュースがトップに来てたな。日本だったら何日間も延々と、怪しげなコメンテーターの皆さんがあーでもない、こーでもないと引きずるだろうに…。こういった冷静な報道姿勢は、日本のメディアも見習うべきかもね)
と考える、自国贔屓にならないとっても公正な私でした。
August 05, 2008
Keep Your Mouth Shut

2年ほど前は言葉の発達が遅れていて、望んでもいないスピーチセラピーやヒアリング・テストに送られてしまった息子だったが、最近は
「ちょっと黙ってくれない?」
と思うほど、一日中喋っている。
親も遣わないような自然なネイティブ表現を遣ったり、私の発音を直してくれることもある。
無料の発音矯正だと思って、有難く直していただく。
親としては嬉しい限りだが、口が達者になってくると、困ることもある。
息子はレセプションクラスの友達の影響で、「小さなフットボールファン」になっている。
特に友達の一人のお父さんが筋金入りのアーセナル・ファンで、彼の息子の私服はいつも「アーセナル・シャツ」だ。
ちなみにイギリスにおける、「フットボールシャツ」の位置づけだが、ある日本語のガイドブックには
「フットボールシャツを着ているのはワーキング・クラスの人です。ミドル・クラスはまず着ません」
と書いてあった。
この定義が100%正しいかどうかは別として、まあ大阪で虎キチの親父が息子にタイガースのユニフォームを着せているようなもので、微笑ましいと思うことはあっても、「お洒落」とか「トレンディ」とか「洗練」いう世界とは別物である。
確かにフットボールシャツを着ている大人には、パイントのビールと怒声がよく似合う。
とまあ、要するにそういうものだし、フットボールにまるで興味のない私としては、まさか自分の息子にフットボールシャツを着せようとは夢にも思わなかった。
「僕もA(友達の名前)みたいにアーセナルのシャツが欲しい」
と言われても、
「はいはい、じゃあ今度探しておくからね~」
「お店で探したんだけど、見つからなかったわ~」
といつも適当にあしらっていた。
しかし先日、久しぶりに息子とセンターのショッピング街を歩いていると、スポーツ用品店を見て息子の足が止まった。
「このお店、見たい」
と言う。まあいいかと思って中に入っていった。
店内を一通り見回して、特に欲しいものも見当たらなかったので帰ろうとすると、息子がはっと気づいたように言った。
「ここならアーセナルのシャツを売っているかも」
やばいっ。確かに売っていそう。
「え~、売ってないと思うよ、ほら、どこにも見あたらないし…」
といつものようにごまかそうとすると、息子は勝手に店員のところに歩み寄って
“Do you have Arsenal Tops?”
などと聞いている。
(売ってないように、売ってないように…)と祈っていると店員は、
“Basement”
と答えているではないか。
嬉々としている息子に引きずられるようにして地階に行くと、売り場の一角に子供用のフットボールシャツのコーナーがあった。
(あちゃ~)
と思いながらも見てみると、一番下のサイズで7才用だ。
しめたとばかりに、
「ほら、大きいサイズしかないよ、君のサイズは無いね、残念だね~」
さっさと退散しようとしたが敵もさる者、息子はまた近くの店員に歩み寄って、
“Do you have Arsenal Tops for me?”
と勝手に聞いている。
(売ってないように、売ってないように…)とまたもや祈ったが、店員は息子のサイズの売り場に連れて行ってくれてしまった。
そこにはまさに、息子の捜し求めていた一品が…。
サイズもちょうど良さそうだ。
目を輝かせて私を見る息子。
うう…。フットボールシャツなんて着せたくないと思っていたが、息子が自分で店員に聞いて、探し当てた努力は買ってあげたい。
もう買わない言い訳も見つからないし逃げられそうにない。仕方ない、努力賞と思って買ってあげるか…
……と、シャツを手にとって、値札を見たとたんに気が変わった。
29.99ポンド?(約6千円)
自分の今来ているシャツより高いぞ。ワーキングクラス御用達(By日本語ガイドブック)のフットボールシャツってこんなに高いのか。いくらなんでもこんな金額を出したくない。
急に方針を変更して、息子に(半分)真実を伝えることにした。
「ちょっと高いね…マミー、今日お金持ってないから買えないわ。」
「カードは?」
(ちっ、小賢しくなりおって)「…カードも今日、忘れちゃったの、おほほ~」
と今度こそ本当に店から引き上げようとした。
出口に向かう途中、さっきフットボールシャツの場所を教えてくれた店員に会ってしまった。
手ぶらの息子を見て、
“You didn’t like it?”
と聞いてくる。
「サイズが合わなかったから~」と私が言うより先に、息子が
“Too expensive……”
と答えていた。言うなよ、おい!!!
明らかに失望した様子の息子、少し可愛そうかな、と思いつつ店を出て通りを歩いていたが、一難去ってまた一難。
フットボールシャツを売っている露店を息子が発見してしまった。
(あっ……)
と思った時には息子が
“Do you have Arsenal Tops?”
と聞いていた。
露天商は満面の微笑みで、息子のサイズを出してきた。
ハウマッチ?と聞くと、10ポンドだと言う。
“Mummy!! It's Only 10pounds!! It's Cheaper!!!!”
オックスフォードストリートの真ん中で息子に叫ばれた。
…もう面倒くさくなって買いました…。
露店で買ったシャツのラベルには、大きく“UNOFFICIAL”と書いてあった。
「フットボールシャツ」しかも「バッタもん」という、考えられる限り最悪のアイテムを購入するという結果になってしまったが、息子は嬉々として着ている。
しかも友達や親戚に会う時には特に、
「このシャツ見せたい」
と着たがるので、20ポンド程度をケチったがために私は
「バッタもんのフットボールシャツを息子に着せている母親」
として人々の脳裏に深く刻み込まれるのだ。
…息子が言葉を話せなかった頃が、少しだけ懐かしい。
(次週からホリデーのため、2週間お休みさせていただきます)
July 29, 2008
5歳児に、「日本」について語る その3

軌道を修正して、食生活だ。
「日本人は鯨を食べますが、それが国際的に大きな顰蹙をかっています」
などのControversialな話題は当然避けるとしても、図書館で借りてきた本の中の写真の、朝食風景らしい日本人家族の食卓には、なぜかソーセージと目玉焼きとオレンジジュースがのぼっていた。
なぜ、味噌汁とご飯とアジの開きのトラディショナルな朝食でなく、ソーセージと目玉焼きなのか。
編集者の意図が分からないが、とりあえず
「……こ、このように、日本人もソーセージや卵を食べます…」
と写真を見せながら言うと、先ほどの「10ミニッツ」の子が、
“Just like us?”
とナイスな、合いの手を入れてくれた。
「そう!Just like you! でも、その他に魚も沢山食べます…」
と日本食につなげる。
本には、日本の古い木造の家と高層ビルの立ち並ぶ新宿の写真も載っていたので、それも見せた。
なんだか意図せずに、食、住の「古い日本」と「新しい日本」の対比のような進行になっている。
(子供達が分かってくれたかは怪しいが)
「古い木造住宅」の方は、私でも
「もう少しましな家はなかったのか…」
と思うほど古い「あばら家」で、何人もの子供達から
「そこに人が住んでるの?そこに人が住んでるの?」
と質問された。
「(多分)住んでる、(と思う)よ…」
と自信のない返事をした。
さて。
突然だが、私は昔から
「西洋人の木造住宅についての偏見」
について、不本意に思っていた。
絵本「三匹の子豚」では、木造とわらぶきの家は吹き飛ばされてしまい、レンガの家だけが残る。
(木造の家は怠け者の作る弱い家 by西洋人)
イギリスに来た頃通っていた英語学校のテキストには、
「レンガの家はコストがかかるけど頑丈である。木の家は安いけれど長持ちしません」
という、驚きの一文が載っていた。
(木造の家は貧乏人の安い家 by西洋人)
各地の気候や地形などの自然条件を無視し、レンガの家=最高と決め付ける、これぞ西洋至上主義。
無垢な5歳児達が洗脳される前に、真実を伝える良いチャンスだ。
「日本の伝統的な家は木でできています。なぜなら日本には地震があって、大きい地震が起きた場合、レンガの家ではとっても危ないからです…」(他の理由もあるだろうけどとりあえず)
ここぞとばかり熱弁をふるっていると、子供達が退屈したような顔になってきた。おかしいな。
ここで秘密兵器、ポケモンに登場してもらうことにする。
「という訳で、日本は遠いけれど、イギリスでも日本のものは身近にありまーす」
と、ポケモンの絵を見せた。
子供達の顔が急に輝く。
「ポーキモン!」
と今までおとなしかった子も叫びだす。
「ポーキモンだけじゃありません、じゃ~ん」
とパワーレンジャーを見せると、男の子たち大興奮。すでに戦いポーズをとっている子もいる。
ふっふっふ。まんまと手の内にはまったな。
「女の子の好きなものも持ってきたよ~」
最後にキティちゃんを見せると、
「Hello Kitty~」
女の子たちがとろけそうな顔を見せた。
きゃー、女の子って可愛いー。
普段息子や、息子の友達の野郎どもとばかりと接しているので、この女の子たちの反応に私が萌えた。
と、少し子供達の目を覚ました後に、
「こんにちは」をお辞儀の実演つきで教えたり、数を1から5まで教えた。
ちなみに数の数え方は、以前大人に教えた時に、
1(itchy=痒い)、2( knee=膝)、3( sun=太陽)、4( sheeh!=シー!)、5( go=行く)
と教えたら覚えやすかった。
今回もその方法で行こうかと前夜に息子の前で予行練習をすると、どうも彼が腑に落ちない顔をする。
「日本語を教えるのに、何で英語なの?itchyは英語だよ」
そうか、子供はへたな語呂合わせをしたらかえって混乱するかも。
そのままの音をストレートに受け止めてくれるだろうから、語呂合わせ作戦は無しにした。
子供達は「コニーチワ」ではなくて「こんにちは」と、1,2,3,4,5もスムーズに繰り返してくれた。
いい感じなので「6から10もやる~?」と聞くと、先生だけが大きな声で
“Ye-s!!”子供たちは流石に飽きてきたのか首をふっていた…。とほほ。
時間もいい頃だと思って、お開きにした。
次の日、同じクラスの子のお母さんに会うと、
「家で、日本の話をしていたわよ。数の数え方とか覚えていたわよ~」
と言ってもらえた。
後日先生と話した時も、朝の出席のとき、それぞれ好きな言語で「おはよう」を言うのだが、クラスの大半の子供がお辞儀つきで「コンニチハ」と言うとのこと。うれし~。
私自身の感想としては、子供達が質問をするときに必ず手を挙げるように言われているのが印象的だった。
イギリスで自分が何かのクラスに通ったときには、皆自由に発言していたので、手を挙げて指されなければ口を開いてはいけないのは「日本式」かと思っていたが、最近は変わったのだろうか。
それとも小学校の頃にそのように仕込まれても、年齢が上がるにつけてコントロール不可能になっていくのだろうか。
どなたか詳しい方がいたら教えてください。
私自身も気づかされる事が多く、新鮮な体験をさせてもらったし、今まで日本に興味のなかった息子もこれをきっかけに
「日本もそれほどBoringでもないのかも」
と前よりは興味をもってくれたような気がする。
それにしても、「言葉の通じない人々」と毎日接している先生は本当に大変な仕事だな~と実感。
低学年には低学年なりの、高学年には高学年なりの難しさがあると思うが、いつも笑顔で子供達と接している先生方に頭が下がる思いでした。
July 22, 2008
5歳児に、「日本について語る」 その2

息子の学校で「日本のことについて話す」日の前日、担任の先生と話した。
「明日はよろしくお願いします。ベーシックな事でいいので…。天気とか、何を食べているとか…」
ピカチュー以外にも何か話さなければ…とは思っていたが、何に絞るか決めかねていたので、先生が言っていた「天気」と「食生活」をそのまま採用。
他にネタはないかなと思い、近所の図書館に行くと、その名も“JAPAN”という小学生向きの本があった。
写真も豊富なので、これは良い小道具になりそうだ。
他に、日本の位置を説明するために、世界地図(こちらのものなのでイギリスが真ん中)も持ち込むことにした。
前夜、息子と夫を前に予行練習。
寿司好きの夫は、「日本人は生の魚を食べます」のところで目を輝かせていた。
予定通りの15分くらいで収まったが、夫に感想を聞くと、
「寿司のところが良かったな…」
と涎をたらしながら、まだ目を輝かせていた。
どうもチェックのしどころが、間違っているような気がする。
「たまに子供達にこっちから質問したらいいんじゃない?日本のことについて何か知ってる?とか。インタラクティブな方が飽きないし」
と言うので、
「へ~い」
と素直に助言を聞く。
当日の朝は、息子を学校に連れて行き、そのまま子供達と一緒に教室に入り出席をとった後に私の出番となった。
夫の助言通り、まず子供達に
「日本のことについて何か知ってる~?」
と聞いてみる。(インタラクティブ、インタラクティブ…)
子供達、シ~ン。
先生が、助け舟を出してくれた。
「日本のことについて、習ったでしょう?日本は遠いの?近いの?」
と子供達に聞くと、一斉に
「ファ~~~!!!」
なるほど、大人だって質問があまりにも漠然としていると答えにくいものな。
質問をするときは、Yes,Noで答えられたり、的をしぼった質問の方が良さそうだ。
「そう、遠いんだよ~。イギリスから飛行機でどのくらいかかるか知ってる?」
と「具体的に」聞くと、何人かの子供が手を挙げた。
その中で一番早く手を挙げ、自信満々だった男の子を指すと、
“テン……”
というので、おっ、10時間か、いい線いってると思っていると、
“ミニッツ…”
思わず、椅子から転げ落ちそうになった。君、間のとり方うますぎます。
そして世界地図で日本の位置を見せた。
イギリス中心の地図だと、日本は東の一番端っこにちょこんと浮かんでいる。
次に日本地図を見せて、東西南北に長い日本の天気などを説明。
地図をじっと見ていた男の子が手を挙げ
“Where do you live?”
と聞く。
私がまだ日本に住んでいて、毎朝息子をロンドンの学校まで送り届けていると勘違いしている節もあるが、とりあえず
「Tokyoに住んでいたのよ(本当は近県だけどTokyoと言っておくのがわかりやすい)」
と答えた。
すると、他の子が手を挙げた。その子を指すと
“Where do you live?”
と同じ事を聞かれた。
「Tokyo」
と答えると、今度はクラスの半分位の子が手を挙げた。
その中の一人を指す。またもや
「あなたはどこに住んでいるの?」
「ト、トーキョー……」
このままクラス全員一周するまで同じ質問に答えなければならないのかな、と思っていると、傍らで聞いていた先生が
「みんな、ちゃんと聞きなさい!トーキョーって言ってるでしょ!」
と怒っていた。
すると、他の子がめげずに
“Where do you work?”
と質問を変えて攻めてきた。
日本から息子をロンドンの小学校に送り届けた後、また日本に戻って仕事をしていると思われている節もあるが、とりあえず
「Tokyoで働いていたのよ」
と答えると、また他の子が手を挙げて
「あなたはどこで働いているの?」
……先生に怒られていた。
ああ、5歳児ってこんなもんなんだなあ。
他にも、こちらが何か聞いた後、自信満々で手を挙げる子がいるので指すと黙りこくってしまったり、ジャパニーズアクセント云々以前に、「ネイティブの言葉もよく通じない人々」なのだ。
ところどころで脱線してリハーサル通りにはいかないが、素でコントをやっているみたいで笑ってしまった。
でも先生は私に気を遣ってくれてか、
「もう質問はいいから、お話をきちんと聞きなさーい!」
と質問禁止令を出していた。
つづく
July 09, 2008
5歳児に、「日本」について語る その1

息子が学校から1枚のレターを持って帰ってきた。
普段の印刷されたレターと違って、表に私の名前が手書きで書いてある。
なんだろう?と思って開くと、中も手書きだった。
「今週、我が校では『日本』について学んでいます。そこで、お時間があったら学校に来て、子供達に日本について話をしてもらえませんか?短い時間で結構です、30分以下で。」
というような内容だった。
息子の学校では毎週テーマを決めて、それに沿って学年毎に学んでいるらしい。
それで今週は『日本』がテーマなのだとか。
ふ~む。
5歳児に「日本について話す」か…。
テーマが広すぎて、何を話していいのやら。
どっちにしろ30分なんて話せん。子供の集中力も私の記憶力も持たない。
それより何より、私でいいのか。
在英10年を迎えて、私の中にチャイニーズ文化とイギリス文化が入り混じり、「エセ日本人」的になってきているぞ。
その割りに、英語は相変わらず上達しない。私のバリバリのジャパニーズ・アクセントを5歳児が理解してくれるだろうか。
などとレターを手に考え込んでいると、夫が帰ってきた。
事情を話すと
「それはぜひ引き受けるべきだ。普段、お世話になっている学校に協力しなくては」
と言う。
私は普段から積極的に学校行事などに参加するタイプでもないし(多分日本にいても、そうだったと思う)、ご指名で頼まれた時くらいは協力するべきだろう、とは確かに思う。
それに、日本の事について学んでくれている、というのも嬉しかったりもする。
そうよねー、断る理由もないし…と背中を押された気持ちになり、引き受けることにした。
翌朝、学校に息子を連れて行ったついでに先生に了解の旨を話すと、彼女(手紙をくれた先生とは別の先生)は
「ありがとう。簡単な事でいいのよ。数の数え方とか…15分位でいいのよ。」
と言ってくれた。
一晩で30分が15分に短縮された。これはいい感じだ。
約束した日は2日後だ。
さて何を話そうかな。
やっぱり話を聞いているだけじゃ飽きるよな。
参加型ということで「折り紙」を折らせるとか…と一瞬思ったが、考えてみれば我が息子でさえ、折り紙なんて折ったことがない。
前に教えようとしたことがあったような気もするが、全く興味を持たれなかった。
泥沼化しそうなので、これは却下。
ステレオタイプの日本像(着物とか、寿司とか)を見せて話をしてもいいが、何かもっと、今の「ありのままの日本」を知ってほしいな。
だからと言って、秋葉原のメイド喫茶の写真を見せるわけにもいかん。先生をドン引きさせてどうする。
…やっぱり日本の誇る世界のアイドル、ポケモンかな…。
うちの息子を見ていればわかるが、15分も座らされ、未知の文化を押し付けがましく語られても、5歳児には苦痛なだけだ。
子供にも馴染みの深い「日本のもの」から入ってもらおうと思い、イギリスでも人気のあるポケモンの絵を見せて、興味を引く作戦にした。
インターネットで適当なピカチューの絵を見つけ、A4の紙にプリントアウト。
ピカチューだけでは寂しいので、やはり男の子に人気の「パワーレンジャー」、女の子受けするキャラも欲しいな、ということで「キティちゃん」も見つけダウンロード&印刷。(なんだかんだ言って私、やる気満々?)
ふっふっふ。これで子供達のハートはがっちり頂きだわ…。
(先生の意図するところから離れていっているような気もするが、トークの結果は次回で)
つづく
July 02, 2008
スポーツジム その2

以前から、たまにプールや、ピラーテスのクラスに単発では行っていたが、今回は友人が「効果てきめん」と言っていたエアロビクスのクラスに参加するのが第一の目的だった。
しかしエアロビの時間になかなか都合がつかなかったので、代わりに「Step(台)を使ったエアロビクス」とパンフレットに書いてあった、Stepというクラスに参加してみた。
インストラクターはドレッドヘアの黒人の兄ちゃんだ。
クラスが始まるやいなや、私のところに来て
「このクラスに参加するの初めて?」
と聞いてきた。
そうだと答えると、
「これは中級クラスだから…きついかもしれないけど、まあ様子を見ながらやろう」
と言われた。
しかしこれはなかなか楽しい。
ポップでファンキーな(もう少しましな表現はできないのか)音楽にのって、レゲエ兄ちゃんの動きを真似していると、10分過ぎた頃には汗がどっと噴き出してきた。
私は普段、あまり汗をかかない方だが、1時間のクラスが終わる頃には汗だく&すごい爽快感。
その日は一日中、体が軽くなったような気がした。
こんないいもん、なんで今までやらなかったんやろー。
(日本でもイギリスでも、スポーツクラブのメンバーになっていたことはあったが、当時は仕事をしていたこともあって時間に制約されるエクササイズクラスには殆ど参加しなかった。
それも週に一度泳ぎに行けばいい方で、しかも水泳よりジャグジーに漬かっている時間が長く、スポーツジムというより健康ランド状態だった。最後の方は月一回ペースになって退会、というお決まりのパターンだった)
この他に、ダンベルやバーベルを使うクラス(これはStepほど楽しくはないけど、わき腹や足の肉をとるのにはよさそうだ)や、プールで、週3~4日はスポーツクラブ通いをした。
これくらいのペースで運動をすると、運動しない日があると気持ちが悪くなってくる。
よく中毒のようにジムに通い詰める人がいるが、気持ちが少し分かるような気がした。
先週は夫が午後から仕事すれば良い日があったので、午前中テニス、午後は水泳のダブルセットなど、それまでの運動不足人生40年を覆すような日々となった。
で、3週間過ぎた。
体重はあまり変わっていないが、ぷるんぷるんの二の腕や、たるんでいた腹も、すこしは引き締まったような気がする(当社比)
貧乳、ずん胴の二重苦だったボディにも、ほのかに「くびれ」の様なものが…。(当社比)
「せっかく運動したんだから」と暴飲暴食もしないようになった。(当社比)
年をとればお肌も水分不足になるし、皺もシミもできる。それについては自然には逆らえないと思っている。
でも、体重(体型?)だけは唯一、努力すれば自分で管理できる部分なので、なんとか林真須美にならないように頑張ろう…!
ミック・ジャガーはしわしわだけどあんなにカッコいいじゃないか。(黒木瞳をめざすんじゃなかったのかよ)
ちなみに、ダンベルを使うクラスに、息子のナーサリーでよく見かけたお母さんも来ている。
いつもいるので、殆ど毎日来ているのだろう。
話した事はなかったが、背がとっても高く(180cm近くありそう)、筋肉質で、目立つ人なので覚えていた。
しかも顔立ちがはっきりしていて化粧も濃いので、実は初めて見た時、一瞬、「ドラッグクイーン???」と思ってしまったことを告白しよう。
(それだけ贅肉がなくて、引き締まってるって事ですが…具体的に言うと、エイミー・ワインハウス系の顔に、アンジェリーナ・ジョリーをもっとムキムキにした感じのボディ。)
やはりそれなりの人は、隠れた努力をそれなりにしているのだなあ…とドラッグクイーン、いや(心の)ママ友を熱く見つめながら、たるんだ二の腕をぷるぷるさせつつバーベルを持ち上げる私であった。
ジム友もできたし(勝手にジム友にしているが)頑張って、会費の元をとるぞ~。
(実はこれが一番の原動力であるような気もする)
June 24, 2008
スポーツジム

去年の暮れから訳あって、数ヶ月間忙しかったが、5月の半ばで一段落ついた。
息子の夏休みが始まるまで、約2ヶ月ある。
息子は学校の後、アフタースクールに毎日通っているので、9時前に家を出てから6時過ぎまで家に戻ってこない。5歳ですでにサラリーマン並みの生活である。
よって私は息子を学校に送っていった後は、6時まで自由時間になる。
この貴重な2ヶ月間をどうやって過ごそうか…と考え、「スポーツオタク」になることに決めた。
40を過ぎ、中年体型になる恐怖と日々向き合っている今日この頃である。
イギリスで暮らしていると、周りの方々がナンなので、ついつい、自分は「細い」と勘違いしてしまう環境もいけない。
先日、何も考えずにそこいらにあった服を気、何気なく鏡を見て、鏡に映った自分を見て驚愕した。
「私って、林真須美みたい…」(日本にしばらく帰っていないため、例えが数年前に世の中を騒がせた人物になっております。ご了承ください)
コーディネートの問題もあるが、その時の私は、たぷっとしたチュニックに、バギーパンツを合わせていた。
何も考えていなかったとはいえ、あんまりだ。
「上にボリュームのあるトップスを着たら、下は細めのジーンズやレギングで引き締めて、逆にバギーパンツなどボトムスがたっぷりしている場合には、ピタTシャツなどで上はすっきりと、引き算の法則よ」(byピーコ)
という、基本中の基本さえ忘れていた。
今まで、漠然と「おばさん臭い」と認識していたファッションだったが、林真須美ルックは、上も下もタップリした服を着たときに完成するのだということを偶然にも論理的に悟り、目からうろこが落ちた。(それほどのもんでもありませんが)
悟っている場合ではない。
いくら上下ダブダブでも、10代や20代の女の子が着れば、林真須美にはならないだろう。
アウターの重要さもさることながら、やはりその下にたるんだ皮下脂肪があってこそ、林真須美は完成するのだ。
ああ、本当は黒木瞳系の、素敵な中年に憧れていたのに(顔もスタイルも違いますが。まあイメージってことで)。
現実は厳しい。私はこのまま林真須美系へと、ごろごろと坂をころげおちてしまうのか。
前置きが長くなったが、そんな時、日本の友達が
「スポーツジムに入会して週5日エアロビに通ったら、ダイエットに成功した」と言う。
その言葉にも触発され、さっそく地元のスポーツジムの会員になり、2ヶ月間運動漬けになることにした。
つづく
June 11, 2008
地下室に続く謎のドア

今、うちでは玄関先の工事をしている。
イギリスにお住まいの方にはお馴染みだと思うが、こっちの家は、門から敷地に入り、階段を上った所にドアがある家が多い。(3~4Floor ある、比較的古い建物の場合)
なぜ地面と同じレベルに玄関を作らないかと言うと、Basementという半地下の階があるので、Basementの天井(つまりGround Floor-日本で言う一階の床)の地点まで階段を上り、Ground Floorから家の中に入る仕組みだから(だと思う)。
という訳で、Basementの部屋に住んでいる人は、半分地中で暮らしていることになる。
なぜ、シンプルに地上に建物を建てず、こんな複雑な構造にしたのかはよく分かりません。(ご存知の方は教えてください)
ちなみに家は4階建てで、下の2Floors(Ground floor とBasement)には他の家族が住み、私達はその上の階に住んでいる。
下に住んでいる家族は引越しして出て行き、今現在は空き家となっている。
何はともあれ玄関の話に戻すと、門から階段までの3メートル位の通路(ドライブウエイというのか?)と階段がひび割れてきて危ないので、表面のコンクリートを外して新しく作り直しているのだ。
工事の人は、階段を少しずつ壊していって、今は階段の姿は残っているが、側面に穴の開いた形になっている。
(説明するの難しいですねー)
で、毎日の様に昇り降りしていた階段の「中身」をその側面から初めてのぞいた。
階段の「中」ってどうなってると思います?
中は空洞で、鉄の支柱でドアの前の踊り場(というのか?)を支えてあった。
「へえー、中は空洞だったんだ」
素人には小さな発見だった。
先日、近所のニッキーが遊びに来ていた時、家の中で遊ぶのにも飽きて、玄関先で息子と二人、遊び始めた。
職人さん達は帰った後だったが、「工事現場」は子供達にとってはとっても面白く発見の多い遊び場だ。
「危ないかな…」とは思いつつ、二人で喜んで遊んでいるので、そのままにさせておいた。
するとしばらくしてから、ニッキーが興奮した様に家の中に入っていて、
「ねえ!階段の下に、Trap Door があるよ!」
と報告しに来た。
「Ah?Trap door? そんなもん、ある訳ないじゃん」
と相手にしなかったが、あまりにニッキーが本当だ本当だとうるさいので、私も外に見に行った。
膝を曲げて、側面の穴から中を見ると…
確かに、ある。
てっきりただの空洞だと思っていた階段の「中」に、Basementの部屋から続くと思われる「ドア」がある。
しかも、割と新しそうである。
一瞬血の気が引いて、先月オーストリアで発見された「実娘監禁事件」を思い出した。
「ほ…ほんとにあるよ…」
「僕達の言ったこと、うそじゃないだろ?」
ニッキーと息子と私、3人通りに向かってお尻を突き出す形で、穴から内部のドアを観察していると、夫が仕事から帰ってきた。
「3人で何してるの?」
「お、おかえりなさい。この中にね、地下から続くドアがあるのよ…(顔面蒼白)」
「ええ?ちょっと見せて」
夫もお尻を突き出して、中を見る。
「確かに、あるな…」
「ね?あるでしょ?そういえば、下からなんか臭い匂いが漂ってきたことあったよね…(顔面さらに蒼白)」
「しかし、これは物置として使うのでは?」
「はい?」
というわけで、「監禁部屋疑惑」は夫の一言により、あっけなく払拭された。
「なんだーニッキー、驚かさないでよねー」
とやんややんやと家に入ったが、また数分すると、ニッキーが家に上がってきて、
「脇の小窓から、Dead Bodyが見えたよ!中にDead Bodyがあるよ!」
と報告しに来た。
「事件」でなくてがっかりしたのは分かるけど、人の家(性格には階下の家)を勝手に「監禁部屋」にしないでよね。
とりあえず、
「あの家の地下にはTrap doorがあって、中にDead Bodyがあるのを見たよ」
とか近所で言いふらさないでよね…と硬く口止め…いや、注意し、ニッキーを家に返した。
もし「北ロンドンのある家の地下に、監禁部屋に続くドアがあり、中では実の娘とその子供達を監禁している鬼畜夫婦がいる…だが妻はその事実を知らないと言い張っている」
とか尾ひれがついて噂が周っていたら、それ、嘘ですから。信用しないでくださいね。
June 03, 2008
「セックス・アンド・ザ・シティ」

映画「セックス・アンド・ザ・シティ」の全米興行ランキングが、「インディ・ジョーンズ」を抜いて第一位になったそうだ。
「セックス・アンド・ザ・シティ」のTVドラマの人気があるのは知っていた。
でも、私は一度も見たことがない。
だって……、サラ・ジェシカ・パーカーの顔がどーしても、どーしても、好きになれないんですう!
イギリス人にも‘Horse-faced’(馬ヅラ)とか言われているが、私はどうしても渋谷駅待ち合わせ場所に鎮座していた(今でもあるのか?)「モアイ像」を思い出してしまう。
庶民としては、やはりスクリーンやブラウン管の中では、「美しい女優」を見て、非日常の世界を感じたい。 (まあこれは主観的な問題ではありますが)
この手のごっつい顔を、どうも鑑賞する気になれないのだ。
「登場人物が身にまとう華やかなファッションや靴も見所のひとつ」
であるらしいが、40過ぎてミニスカートを履き、NYの街中で白昼堂々、ロイヤル・アスコットみたいな帽子を被って張り切っている姿は、どうしても「痛いおばさん」としか私の目に写らない。(それとも「馬」にかけたのか?)
何でも、サラ以外の3人の中の誰かは50歳を過ぎているそうで、まあそれはそれとして、お見事ではありますが。(誰なのかわからないけど)
という訳で、ドラマや映画のパブリシティがいくら氾濫しようとも、見て見ぬフリをしてきた私だが、「インディ・ジョーンズ」を抜くほどの人気だったととは知らなんだ。
(どうも興行的に、「セックス…」と「インディー…」の一騎打ちのような話になっているらしい。「中年女」と「初老男」の戦いか。私なら、中年女がHの話ばかりする映画よりも、初老男が体に鞭打って演ずる、夢と冒険の物語を観たいなあ)
「セックス・アンド・ザ・シティ」がターゲットとする観客は、25歳以上の女性だそうである。
私はターゲットに当てはまるばかりでなく、登場人物と同世代でもある。
世の女性にこれ程までに支持されている「セックス・アンド・ザ・シティ」。
その魅力が分からず、単なる「チンドンヤ四人衆」としか写らない私の目は、女として失格なのか。
それとも、
「どうせ外反母趾の私の足にはあんな靴は履けないしぃ、あんなドレス着ていく場所もないしぃ…」
と現実から目を背けているだけなのか。
もしくは、
「彼女たちの着てる服のセンスがちっとも良いと思わない」
と思う事自体、私自身がファッション音痴の「おばさん」になってしまった証か。
少し心配になって、夫に
「ねえ、ゴツ美…いや、サラ・ジェシカ・パーカーって可愛いと思う?」
と聞くと、
「馬ヅラだと思う」
と、典型的な男性視聴者の答えが返ってきたので、その人気の秘密に迫ることはできなかった。
という訳で、「セックス・アンド・ザ・シティ」ファンの方がいたら、その魅力をぜひ教えて下さい。
May 29, 2008
また、やられた その2

※子供のハーフターム中につき、更新が遅れてすみません。
先日、近所のプールに泳ぎに行くと奇遇にも、マダムココとダーリンに遭遇した。
プールの隅で水につかりながら3人、しばらく立ち話(?)をしたが、そのうち私の「盗まれた楓」の話になった。
マダムとダーリンの話によると、「植木泥棒」の被害にあった話はよく聞くとか。
「鉢植えならまだしも、掘ってまで持っていくなんて…」
と憤慨していた私だったが、どうも、この国ではよくあることらしい。
そういえば、盗まれた当日、夫が
「これは植物に詳しい者の犯行だな…。なぜなら、BONSAI TREE (夫は楓をこう呼んでいた)の値段が高い事を分かっているのだから… 」
と探偵にでもなったかの様な推理をしていた。
普段はモノに執着しない夫が、流石に今回は気の毒だと思ったらしく私を慰めるつもりで出た言葉だっただろうが、盗まれたショックと怒りの収まらない私は、
「植物に詳しい者の犯行って、犯人はロイヤル・アカデミー・オブ・プラント(注・そんなものありません)の卒業生だとでも言うの!?植物の値段なんて、そこらへんのガーデンセンターに行けば一目瞭然よ!!」
と夫の説を一蹴した。
しかしマダムココとダーリンの話を聞いた後、改めて考えると、確かに「植物『専門』の泥棒」が存在するのかもしれない。
盗んだ植木を道端で売るわけにはいかないが、どこかに植木を買ってくれる場所があって、各地から集まった戦利品を、一括して卸す「闇の流通経路」があるのかも知れない。
盗む植物は当然、市場で「商品」として通用する品でなくてはならない。
「植物に詳しい者の犯行」というのも、あながち間違っていないかも。
ということは、私の楓は小さいながらも
「プロの目に選ばれた一品」
ということになる。
盗まれた当日、他の家も被害にあっていないか、念のため近所の家の前庭を一軒一軒チェックして回ったが、(私の行動の方がよっぽど怪しいという説もあり)、穴の開いている場所は見つからなかった。
隣のフィオナ邸も、お向かいのガーデニングが趣味の退職夫婦の庭も無傷である。
ということは、去年に引き続き、私の植物が近所の
「プラント・オブ・ザ・イヤー」(選考委員:植物専門ドロ)
に輝いたってことか?
連続二冠ということで、「自分を褒めてやりたい」気持ちになった。
まあ考えてみれば、犯罪の被害の中でも、植物泥棒は最も軽くて笑い話にできる位の事だし、これで厄払いをしたと思えばいいか。
(あまりにも前庭が荒れ果てているので、単に「空き家」だと思われたのでは、という心の声は封印しておきます。)
May 20, 2008
また、やられた

先日の朝、玄関を出て前庭を見ると、直径40センチ程の穴が掘られているのが目に入った。
(あれ?何だろう、この穴……)
今まで、こんな穴はなかった。
5秒ほど考えて、気がついた。
無い!無い!
その場所に植わっていたはずの、「楓」の植木がない!!!
最近、イギリスでも日本の赤い葉をつける楓が人気で、ガーデンセンターでは”Japanese Maple”とか “Acer”とかいう名で売られている。
「指」の部分が細くて長い、繊細な葉が美しい。
割と高い値段が付けられているが、見るたびにノスタルジックな気持ちになるので、昨年、小さな苗木を買ってみた。
前庭の、空いている部分に植えた。
(一応、植物によって適している土だとか日当たりだとかがあるらしいが、私はそんな細かい事を気にする性格ではないので、ただ単に『空いている』場所に植える。はたして育つかどうか、ギャンブルの様なものである。)
こんな大雑把な植え方でも、一応、新しい場所で、植物が落ち着くかどうかは気になる。
「この場所は気に入った?ハッピーかい?」
と人目を盗んで楓に話しかけたりもしつつ、(近所の人に見られたら、とうとうホームシックで頭がおかしくなったと思われるので要注意である)苗木の新生活を気にかけていた。
そのうち冬が来て、赤い葉が全部落ちて、枝だけになった。
枯れてしまったのか、寒いから単に落葉しただけなのか、素人目にはよく分からない。
長い長い冬の間、じっと固まったように前庭の隅にぽつんと植わっていた。
少し暖かくなってきた頃。
一冬越した楓を見ると、枝の間から、小さな赤い芽が吹き出していた。
「おおっ生きていたか」
小さな芽はどんどん広がり、あっという間にまた綺麗な赤い葉をふさふさとつけた。
「新しい住処を気に入ってくれたみたいだな」
まだ小さいが、去年よりは一回り大きくなったような気もする。
家に出入りする度に、楓の姿を見るのが楽しみになっていたところだった。
そういえば、去年の今頃も、「丹精こめて育てた…という訳でもないが、それなりに愛着のあった鉢植え」(手のかけかたが微妙)を2鉢、玄関の前から盗まれた。
盗まれた時の気分が悪いので、それ以来、玄関に鉢植えは置いていないが、まさか土に直接植えてある植物を掘ってまで持ってかれるとは思わなかった。
恐るべしイギリスの泥棒。何でも持って行きます。
それはそうと、私の楓ちゃんは、新しい場所できちんと根付く事ができるんだろうか。
つづく
May 06, 2008
男のプライド 2

親が知らないうちに、5歳の息子にも「男の小さなプライド」の様なものが芽生え始めているようである。
息子と友達を遊びに連れて行った帰り、車の中で2人でTVの話などをしていた。
運転しながら後ろの話を何気なく聞いていると、始めはパワーレンジャーの話で盛り上がっていたが、その内友達が
「Little Britainて観たことある?超クールだぜ」
みたいなことを言っている。
息子は
「うん、知ってるよ」
と答えている。
あれ、Little Britainなんか観たことないと思うけどな…と思いつつ、黙って聞いていると
「家で、マム(友達の前ではマミーじゃなくて、マムと呼ぶ、これもプライド?)がいない時に見たんだ。本当だよ」
と、運転席の私を意識して、アリバイ作りまでしている。
この友達は息子と同じ年だが、お兄ちゃんがいるのでちょっと早熟だ。
たかがTV番組でも
「知らない」
というのは子供ながらに男のプライドが許さないのかな、とこれまた笑えた。
そういえば、自分の周りの人を考えると、知らないことを素直に「知らない」と言えるのは、女性の方が多いような気がする。
例えば私の夫と一緒に歩くと、初めての場所に行く時もどんどん歩いていくので
「あ、道を知っているんだな」
と思ってついて行くも、しばらくたったところで
「道に迷った」
と言い出すことがある。
車を運転している時も同様で、自信ありげに運転しているのですっかり安心していると、突然
「道に迷った」
と宣告される。
気づいたときにはもう遅い、Middle of nowhereから帰り道を探すのが大変である。
道が分からないなら「どっちだと思う?」と聞くなり、ナビゲーターを頼むなりしてくれた方がかえって助かるのだが、どうも「わからない」というのが言えないらしい。
これはいったい何なんだろう、と思っていたが、やっぱり男のプライドか。
「わからない」=「相手に弱みを見せることになる」と本能的に思うのかも。
戦国時代じゃないんだから、「わからない」と素直に言った方が物事が合理的に進むのに、と思うのは女の発想なのだろうか。
ロンドンに来たばかりの頃、街で人に道を聞くと、自信満々で教えてくれるのでその通りに歩いていくと、全く違う方向だった事が良くあった。
これも男性に聞いたときによく起こったような気がするが、知らないなら「知らない」と言ってくれた方がよっぽど親切なんですけどね。
ちなみに夫に、
「道が分からないとき、どうして素直に『分からない』と言わないの?」
と聞いてみると、
「どうしてなんだろう。分からない…」
とこれは素直に悩んでいた。
April 28, 2008
男のプライド 1

近所に住むニッキーは、息子より2才年上の男の子だ。
学校が休みの日は、いつも暇そうに家の前でぶらぶらしている。
彼のぶらぶらテリトリーがだんだん拡大して、最近は徒歩5分ほどの我が家にまで一人で来るようになった。
(ニッキーは7才。一応、11歳以下は一人で外出してはいけないことになっているが、まあこの位の年齢になれば気にしない親子もいるのだろう)
イギリス人は「アポ無しで人の家に来るなんて、ありえない」人種だが、やはり子供は
「あ~そ~ぼ」
と気軽に遊びに来るのだな。物騒なロンドンでも牧歌的な気持ちになる。
一人っ子の息子も遊び相手が来ると大喜びで、ふたり仲良く遊んでいる。
(ただし、日本の様に子供だけで外で…と言うわけにはいかないので、大抵家の中で遊ぶことになる)
でも、いつでも突然の来訪なので、こちらの都合が悪いこともある。
先日、息子の友達のバースデーパーティーにさあ出かけよう、というところで
「ピンポーン」
とニッキーがやってきた。
「ごめんね、今からパーティーに行くから…」
と言うと、この世の終わりの様な顔をされてしまい(実話)なんだか気の毒になってしまった。
会場を借り切ってのパーティーだったし、お母さんとも仲が良かったので、まあ一人増えても変わらないか、と一緒に連れて行ったこともあった。
(Invite myself ってやつですな。イギリスのオキテ、無視しまくりのニッキーと私である。)
この春休みの間、息子は毎日ホリデークラブ(いつも行っているアフタースクールクラブが終日面倒を見てくれる)に通っていた。
ある日、私が外の用事から戻ってくると、我が家の前でニッキーが待っていた。
どれくらいここで立っていたのだろう。
息子を待っていたのは火を見るより明らかだが、私が一人で戻ってきたのでお目当ての息子はどこかに行っていると瞬間的に察したのだろう、
「僕、今から友達の家に行くところなんだ」
と私に言う。
「そうなんだ、いいねえ~」
などと私も合わせると
「でも…明日なら○○(息子の名前)と遊べるかな…」
と言う。
「ごめんね、明日もホリデークラブに行くのよ」
と私が言い終わるか言い終わらない内に、
「ああ、忘れていたけど明日も友達と遊ぶ約束しているんだった。ん~、多分週末なら遊んであげられると思うよ」
と言い去っていった。
息子が不在だった気まずさに加え、毎日スケジュールが真っ白みたいに思われるのは7歳児でもプライドが傷つくんだろうか。
面白いなと思っていると、最近、息子にも同じような言動が見られるようになった。
つづく
April 08, 2008
新学説発見

先日、新聞を読んでいたら
「男の子の母親は、女の子のみを産んだ母親よりも男性ホルモンが多い」
という研究結果が発表されたという。
異性である男の子を育てるのは、どの母親にとっても多少のカルチャーショックを伴うが、性格が男性的な母親の方が男の子を育てるのに適しているので、そのようにプログラムされているのでは、というような話だった。
・・・・・・・
私は「男の子の母親」である。
「こんなに女らしい(そりゃ貧乳ではあるけど)アタクシに、『男性ホルモン』が多い?なんて失礼な…」
と一瞬憮然としたが、よく考えれば、貧乳であることが女性ホルモンの欠如を語る何よりの証拠であるような気もする。
そんな事はどうでもよいのだが、とりあえず、
「あなたは男の子を育てるためにプログラムされた母親である」
と言われれば、何となくそんな気がしてくるから不思議だ。(流されやすいだけか?)
「カルチャーショックが少ない」という事に関して言えば、確かに私には二つ年上の兄がいる。
物心ついた頃から、小学生くらいの男子がどんなにおバカか、どうでもいいような下らないことにどんなに情熱を注ぐか、ということを自然に目撃しつつ育ってきた。
親戚の家に遊びに行ったとき、あまりに兄が走り回ってうるさいので、伯父に縁側の柱に縛り付けられてしまった事がある。
これで静かになる…と思いきや、逆効果だった。
かえって喜んで、ますますエキサイトする兄を見て、墓穴を掘ってしまっただけの伯父を、幼心に気の毒に思ったものである。
子供の頃の兄の影響は強く、私は小学生の頃は「マーガレット」よりも兄の「少年ジャンプ」を、高校生になれば「セブンティーン」よりも兄の「ホットドックプレス」を愛読していた少女であった。
「ホットドックプレス」で勉強して得た知識のお陰で、息子が思春期になってからの体と心のケアもばっちり(な筈)である。
そう考えると、男兄弟がいたことが、知らず知らずのうちに男の子を育てるのに役立っているのかもしれない。
ここでひとつの仮説が浮かんだ。
A. 自分に男の兄弟がいる母親 → 男の子を産む確率が高い。
B. 姉妹のみがいる、もしくは一人っ子の母親 → 女の子のみを産む確率が高い。
(男の子も女の子も産んだ母親は、Aに属します。 母親自身に兄弟も姉妹もいる場合も、A。)
ロンドンのママ友や日本の友達のことを考えると、なんと一人を除いて全てこの法則に当てはまった。
しかし、なにぶん私の狭い交友関係の中のみのサンプリングなので説得力に欠ける。
皆さんや、周りの方はどうですか?この法則に当てはまりますか?
サンプル数が集まり合致率が85%を超えたら、学会に発表しようと思います。(うそです)
何はともあれ、今日も息子は彼の中の「マイブーム」の
「ウィリー・ボトムダンス」
を披露してくれた。
(私がソファに座ってTVを観ていると、おもむろに私の前に立ち、「ウィリー・ボトム、ウィリー・ボトム」と歌いながらズボンをずり下げ、腰を振って踊りだす。座っている私の顔の位置と、立っている息子のお尻の位置がちょうど一緒なので、代わる代わる彼のお尻とお○ん○んを目前で鑑賞しなければならない仕掛けである)
「おバカな男児」を生まれた時から見ている私は、こんな5歳男児の行動にも…決して……動じない。
……だけど…うちの兄は…ここまでバカじゃなかった様な気がする…という事実は、あえて考えないことにしている。
April 01, 2008
ジャンクフードの甘く危険な香り 2

子供は誰でもそうかもしれないが、息子も御多分にもれず、ジャンクフード大好きである。
なるべくジャンクフードを与えないようにはしているが、以前、私が風邪をひいて買い物に行けなかった時に、禁断の、秘蔵ラーメンをあげてしまったことがある。
うすらぼけた味の母の手料理に慣れていた息子は生まれて初めて出会った味に目を輝かせ、すごい勢いで平らげていた(涙)。
先々週のイースターの初日、日本食料品店に行くと、息子がインスタントラーメンのパッケージを見つけた。
「マミー、これ…欲しいな…」
見ると、半額お得セールである。
「そうね~。じゃあ、少しだけね~」
と言いつつ、
「息子が学校に行っている間に、また矢野顕子が来るかもしれないしな…備えあれば憂いなし」
と夫の目を気にしながら、すばやく数袋、かごの中に投入した。
その上を納豆でカバーし夫からの視線を遮断する。
家に帰ってから日本食料品店で買ったお刺身で遅めの昼食をとった後、夫と息子は外に遊びに出かけた。
夕方になり、少しお腹がすいた。
私の頭の中では、先ほどから矢野顕子が歌いまくっている。
家にひとり…。オーガニック信者の夫も息子もいなく、絶好のチャンスである。
インスタントラーメンを調理し、幸せな気分で「パンチの効いた味」を堪能した。
ラーメンのパッケージも破棄し、鍋や食器を洗い、証拠隠滅も完璧だ。
夫には、やはり先ほど購入した「おから」と野菜を煮て、「ヘルシーな一品」を作った。
夫と息子が帰宅すると、夫は
「お昼が遅かったから、あんまりお腹すいてないな」
と言う。
「そう思ったから、おから作っておいたよ。」
「う~ん、もっと軽いものでいいな…」
「軽いもの?なんかあったかな。」
すると夫は言いにくそうに、
「あのさ、君、さっき、インスタントラーメン買ってたよね…」
……あんたも食べたかったんかい!
息子ももちろん、滅多に食べられない「ごちそう」インスタントラーメンへの期待で目が輝いている。
(言っときますが、珍しいご当地ラーメンとかじゃなく、単なる出○一丁みそ味)
というわけで、その夕食は家族3人、インスタントラーメンのパンチの効いた味に舌鼓を打った。
…この夜、家族3人(息子は強制的に参加させられてるだけだが)の中で、「プチン」と音を立てて何かが弾けた。
「オーガニック教」のしがらみを振り切ったように、次の日もお昼はケンタッキーフライドチキン、夜はピザ、と3人でジャンク生活を楽しんだ。
勢いは留まるところを知らず、スーパーでクリスプの大袋を購入し仲良くシェア、翌日はバーガーキングで昼食をとった。
そしてとどめは近所の「ガストロパブ」ではないパブで、定番メニュー冷凍ラザニアの夕食だ。
私は「まあ、イースターだもん、いいよね~」
と自分に言い聞かせつつ、息子にもジャンクフードを解禁。
息子はいつもは食べさせてもらえないクリスプやハンバーガーのお許しが次々と出て、盆と正月が一緒に来たような喜びようだった。
家族3人、「ジャンクファミリー」となり果て(ジャンク‘フード’って意味ですよ)、イースターは終わった。
このままジャンクフードの甘い罠にはまってしまうのだろうか。
一年後の私達の姿を想像した。
スーパーで、トローリー一杯に炭酸飲料やクリスプや冷凍食品を買い込み、「あーはなりたくないよね~」とスリムな人々に指差され笑われる、横3倍増幅のデブデブ一家に成り果てた私達…。
一家の行く末を心配したが、ジャンク生活を謳歌したイースターが終わったら、なぜかまた「間の抜けた味」の私の料理が恋しくなった。
次のジャンク生活は、クリスマスかな。
March 26, 2008
ジャンクフードの甘く危険な香り 1

私の夫は「オーガニック信者」である。
私は元々、それほど気にしない方ではあったが(普段の食生活にお金をかけるくらいなら、洋服を買ったりホリデーにお金を回したい)、やはり一緒に暮らしていれば夫の教義に知らず知らずのうちに洗脳されてくる。
加えて、5年前に子供が生まれた事と、昨今の食品の安全性が信用できない風潮も重なって、我が家のオーガニック嗜好に拍車がかかった。
ちなみに最近、日本で中国産食品の危険性が重ね重ね報道されているが、実は我が家では何年も前から、
「中国産の食べ物は買うな」
と夫からのお達しにより、中国製品は締め出されていた。
自分が中国人なのに、中国産の食べ物が信用できないというのも悲しい話だが、身内だからこそ分かるということもあるのかもしれない。
中国製品締め出し政策は調味料まで及び、我が家の豆板醤はリ●ンキではなく、キッコーマン製である。オイスターソースもキッコーマン製である。日中逆転現象が起こっているといっても過言ではない(何のこっちゃ)
しかし、やはりオーガニック食品は高い。
毎日のこととなると、それなりの出費となり家計に響く。
というわけで、私が買い物するときは、オーガニック以外の肉や野菜も適当に織り交ぜて購入する。
夫が帰宅する前に料理をすませ、「オーガニック」の文字の見えないパッケージはゴミ箱に放り込んで証拠隠滅を図ることも忘れない。
化学調味料も極力使わないようにしている。
…こんな風に書くと、なんだかとってもヘルシー嗜好の奥様のようだが、実は夫にも息子にも言えない秘密がある。
たまにむしょ~に「インスタントラーメン」が食べたくなるのだ。
化学調味料の味が嫌いなのは嘘ではないが、たまに、その化学調味料の味にまみれたラーメンがとても恋しくなり、
「ラーメン食~べたい、今すぐ食~べたい」
と矢野顕子の歌が頭の中をぐるぐるまわり、一秒も待てないほどの、狂おしいほどのラーメンへの恋慕で心が一杯になる。
(私はこれを『矢野顕子現象』と名づけている)
息子がもっと小さかった頃は彼の手前我慢していたが、最近は息子が学校に行っている間に矢野顕子が現れると、ひっそりと禁断の果実(麺だけど)を味わっている。
オーガニックに洗脳され、塩分控えめで化学調味料も使わない、うすらぼけた様な味の料理(自覚あり)に慣れた舌には、「インスタントラーメン」のパンチの効いた味は鮮烈だ。
夫にも息子にも秘密の、白昼の密かな楽しみである。
ああ、人に隠れて何かをするってどうしてこんなに楽しいのだろう。
若い頃、親に隠れてした○○なことや●●なことを思い出す…。(遠い目)
だからどうした?って感じでもありますが、
つづく
March 18, 2008
ゴールド・ディガー

ポール・マッカートニーと元妻ヘザー・ミルズの離婚調停に決着が着いた。
ポールからヘザーに2430万ポンド(約47億3000万円)を支払うことで同意したという。
ヘザーが提示していた金額は1億2500万ポンドだったから、約5分の1に大幅値引きだが、なぜかヘザーも今回は「ハッピーよ」と合意したという。
一人娘のベアトリスちゃんへの養育費は年3万5000ポンド。これも予想よりかなり少ない。
今年の9月から小学校に上がるべアトリスちゃん、私立の学費が平均1万ポンドだから、これだけで約3分の1が飛んでいってしまうな、パチパチ。(そろばんを弾く音)
ヘザーもポールも、離婚した当初から「ヘザーはポールのお金目当てで結婚した訳ではない」と主張しているので、他人が金額についてどうこう言う問題ではないでしょう。(と言いながら思いっきりどうこう言ってますが)
そう、ヘザーはポールのお金目当てで結婚したわけではないのです。
年齢が25歳も離れていようと…。
そして「二人の結婚生活を出版やテレビ出演によって口外する権利」にあれだけ固執しようと…。
だって本人がそう言っているのだから…。
なので、ヘザーには全く関係ない話ではありますが、先日、新聞に
「ゴールド・ディガー(お金目当ての女)に捕まらない方法」
というのが載っていた。
なぜか記事の横には裁判所へ向かうヘザーの写真が添えられていた。
「写真は本文とは関係ありません」
と注釈を付けてあげたくなった。
だって、ヘザー本人がお金目当てではないと言っているのだから…。
それはそうとして、その「ゴールド・ディガーの見分け方」
を読むと、
1. 初めてのデートでレストランの支払いの時、自分も払う仕草をするかをチェックせよ
2. まだ付き合って間もないのに、洋服や宝石などをおねだりしてきたら要注意
3. あなた自身や両親の資産をさりげなく聞いてきたら、かなりゴールド・ディガーの要素あり
などなど、「資産家の男性読者の皆さん」に近づいてくる女のチェック事項が事細かに書かれている。
あの……、これって、わざわざ記事にする様なことか?
そのまんますぎるんですけど…。
大体、プロの(?)ゴールド・ディガーの皆さんはもっと巧妙に男性に近づくんじゃなかろうか。ヘザーがポールにしたように……(おっと失礼、ヘザーはお金目当てでポールに近づいたんじゃなかった、だって本人がそう言ってますから。)
その記事の最後には、
「上記の様な、ゴールド・ディガー撃退法をマンツーマンで指導してくれる、資産家のあなたに最適なクラスがあります。魅力的な女性が1日あなたと模擬デートをして、状況別に個別サポート。ポールの二の舞を踏む前に、女性を見る目を養って、本当の愛に満ちた結婚をしましょう!(そしてあなたの財産を守りましょう!)料金はお手頃な475ポンド!(プラス実費)」
一日475ポンド(プラス実費)…あの……これって……。この会社が「ゴールド・ディガー」なのでは?
それとも「資産家の男性読者の皆さん」にとっては、自身の資産を守るためなら、475ポンド(プラス実費)の出費など屁のようなものなのだろうか。
貧乏人にはよく分からない世界だが、こんな講座に、ほいほい出かける時点で「ゴールド・ディガーの餌食候補」の要素満点なような気がする。
講座が終わるや否や、
「おめでとうございます!これがグレード1の修了証書です。更なる飛躍を目指して、グレード2の講座の予約を今すぐに!あ、更にパワーアップした講座内容となっておりますが、受講料はたったの800ポンドです!」
さらに、どこからか登場した「関係会社」の面々に、
「ぜひお勧めしたい株があります。まあここにお座りになって…」
「イタリーに良い別荘地が…」
と、一日が終わる頃には身ぐるみ剥がされ会場を去る「資産家の男性読者」の姿が目に浮かぶ。
そしてしつこい様だけど、ヘザーはゴールド・ディガーじゃないんだってば、だって本人がそう言ってますから…。
March 11, 2008
マザーズ・ディ

先週の日曜日(3月2日)はイギリスの「母の日」だった。
その前の週、学校から戻った息子は、私の顔を見るなり
「来週の日曜日は母の日だよ、知ってる?」
と聞いてきた。
そして息子は、
「ヒヒヒ……」
と企んだような顔つきをして、傍にいた夫に耳打ちした。
「母の日のために、学校でプレゼントを作っているんだ、でもマミーには言っちゃだめだよ・・・」
……あの、全部筒抜けなんですけど…。
言い終わると、こちらを向いて、ニカーっと笑い、再び夫に
「あのね、カードとバスケットを作っているんだ……。でもマミーには言っちゃだめだよ…」
……3メートル先まで聞こえそうな声で「内緒話」をしている。
どうやら、人の耳の側で話せば、どんな大音量で話しても音は全て耳に吸収される仕組みだと思っているらしい。
こちらを見て、ニヤニヤしているので、なんか言わないといけないかなと思い、
「何話してたの~?マミーも聞きたいな~」
などと、わざとらしく息子に聞いてみると、
「I’m not telling you~♪ Because Mrs ○○(担任の先生の名前) told not to tell Mummy~♪ 」
君……全部言っているようなものなんですけど……。
5歳児がこんなにバ…、いや無邪気だとは思わなかったが、気持ちは嬉しい。ここは私も大人、何も知らない振りを通すことに決めた。
それにしても、カードは分かるが「バスケット」まで手作りしていると言ってたな…
バスケット… よく観光地に売っている「手作り工房」とか書かれた札がついているようなバスケットだろうか?
「竹細工」や「籐細工」のバスケットは、マレーシアのお婆さん達がせっせと青空の下で作っているイメージがある。
5歳児たちがあんな高度なスキルを一週間で習得できるものだろうか。
いや無理だ…。少なくとも、自分の名前さえもミミズの這ったような字を書くうちの息子には到底無理だろう。
「バスケット」の謎を残したまま、母の日が近づいてきた。
ちなみにその間も息子は、毎日学校から帰ると夫に
「今日も学校で母の日のバスケットを作ったんだ~」(筒抜け)
と耳打ちした後で、私に向かって
「I’m not telling you~♪ だってミセス○○がマミーには言っちゃだめだって言ったも~ん♪」
とご丁寧に報告してくれた。
ここまで焦らされれば(?)否が応にも期待が高まるというものである。
母の日前の金曜日。息子を学校に迎えに行き、いつもの様に何気なく息子のランチバックを持つと、はっとした息子は
「マミー!中を見ちゃだめだよ! だってミセス○○がマミーは日曜日まで見ちゃいけませんって言ったもん!!」
と私から奪還した。
……何が入っているか言っているようなもんなんですけど……
家に着いてから、息子は「謎のバスケット」を家のどこかに隠したらしい。
夫が帰宅すると、またもや耳打ちした後、夫の手を引いて「隠し場所」に連れて行き、「ブツ」を見せているらしかった。
「お~すごいな~。マミー、きっと喜ぶよ~」
夫の声が聞こえた。(注:私の夫も声が大きい)
親子ともに、全くの「ネタバレ」状況だが、「大人の私」はまたもや知らない振りをして
「何を隠したの~。マミーも見たいな~」
などと言ってみた。
「だめ、あとふたつネンネしたらね!」
いつもはこっちの台詞をぴしゃりと返されてしまった。
さて、日曜日当日…
息子がくれたバスケットは竹細工でも籐細工でもなく、↓の様なものでした……
「写真」
※ 巷のブログの技術革新の世界から著しく取り残されている当ブログ。今回初めて写真を入れようと、「きっとやってみればわかるわ~」などと軽く考え試みたところ、どうやるのか分かりませんでした…(涙)。(バスケットを文章で描写するのが面倒だったという噂もあり)というわけで、「写真」と文字で代用し、気持ちだけ表現してみました。どなたかやり方教えてやってください…。
February 25, 2008
アカデミー賞

この原稿を書いている2月25日は、第80回アカデミー賞の授賞式である。
さっきニュースで報道されていたので、ちらっと結果は知ったが、授賞式の模様そのものを私はTVで観ることはできない。
……なぜなら、衛星放送のスカイだけで放送して、BBC1などの地上波では放送されないから。
夫が不満そうに言う。
「オスカーだよ?オスカー。TVライセンス(イギリスの受信料のようなもの)に年100ポンド以上払っているのにオスカーも放送しないなんて、BBCは全く使えないよな。」
以前は我が家もスカイと契約していたが、大して見る番組もないので、数年前に止めてしまった。
「BBC、高すぎて番組の放映権を買えなかったのかな。」
「ニュースキャスターに年間、何百万ポンド(数億円)も払っているからオスカーも買えなくなるんだ。それでとばっちりを受けるのは、いつでも我ら庶民だ。年100ポンドも払っているのにオスカーも観る権利がないなんて……この国に、平等な富の配分はないのか……」
ニュースキャスターの年棒、数百万ポンドに触れた直後に受信料100ポンドをいつまでも根に持つのもせこい気がしたが、確かに夫の言い分にも一理ある。
「それか、スカイが放映独占権を買ったとか。ほら、買い占めるの好きだから」
「またマードックか……。新聞の「タイムズ」も、あいつの傘下に入ってから質が落ちた。」
などとアカデミー賞を観る事ができない憤りを、腹立ち紛れに富の配分やマードックのせいにして気を晴らしていると、息子が話に入ってきた。
「オスカーって何?」
「え、えーっと、映画館に行って映画を観たことあるでしょ、どの映画が一番良かったか決めて、一番の映画にプライズをあげるんだよ」
「ベスト・フィルム?それなら『ウォーター・ホース』だね」
そういえば、ハーフターム中に通ったホリデー・クラブで映画に連れて行ってもらって、そんな映画を観たとか言っていたな。
「ウォーター・ホースは本当にいい映画だったよ…。モンスターの話なんだ、でも怖いモンスターじゃないよ。僕は、本当に本当に、ウォーターホースが世界で一番の映画だと思うね。」
オスカー選考委員も君の意見は聞いちゃいないであろうが、まあそんなに楽しかったのなら良かったね。
なぜか片肘をつきながら、熱っぽく語る息子であった。
「マミーはどの映画がベストだと思う?」
「え……最近映画なんて観てないからわからないよ」
「僕と一緒に映画館に行ったじゃないか。『ウォーター・ホース』は観られなかったけど、他の映画を観たじゃない」
確かにここ数年、映画館なんて息子の付き合いでしか行っていない。
「踊るペンギン」とか「料理をするネズミ」とか「人間の言葉を話す蜂」の映画は観たけどな…。
予告によると、これからも、空を飛ぶ「スーパー・ドッグ」とか「カンフー・パンダ」とか子供向け映画は容赦なく封切される予定らしい。(実話)
十二支を考えるだけでも、まだキャラクター化されていない動物が沢山いるので、身体的不利を乗り越え縄跳び選手権に挑戦する「スキッピン・スネーク」とか、エキセントリックな性格の「マッド・カウ」(主演は英国産の牛でぜひ)など、製作側はまだまだ素材には事欠かない事だろう。(予測) 恐ろしいことである。
ちなみに、「The Water Horse」はネス湖のモンスターの話で、ピク●ーやディ●ニーの作品ではないので、観てもいいかも、という気になった。息子の批評を信じる方はギャンブルのつもりでぜひ。
それにしても、先週はフットボール評論家だったと思ったら、今週は映画評論家気取りの息子である。
来週は何の評論をするのやら。
(私の料理の評論だけはしないでね。)
February 19, 2008
2008年のフットボール

夫も私もフットボールには全然興味がなく、試合中継も見ないし知識もない。
が、もう一人の住人が、最近なぜかフットボールにはまっている。
レセプションに通い始めて約半年、学校では他の2人の男の子といつも3人組で遊んでいるらしい。
この2人の親友、揃ってフットボールファンらしく息子もその受け売りで、家でもああだこうだとフットボールの話をするようになった。
とは言え、あくまでも友達の「受け売り」なので、ところどころに「認識の誤り」が生じる。
「マミー、マンチェスター・トゥナイテッドって知ってる?」
今夜、マンチェスターで?…… 何かあるのだろうか。
とりあえず細かい事は指摘せず
「マンチェスター・トゥナイテッドって強いの?」
と聞くと、
「うーん、マンチェスター・トゥナイテッドはToo Oldだね。」
としたり顔で言う。
「マンチェスター・トゥナイテッド」は人だと思っているらしい……。
かと思えば、
「スティーブン・ジェラードはいいチームだね。」
などと「評論」したりする。
フットボール選手といえば、ベッカムとルーニーくらいしか知らない私でも、「スティーブン・ジェラード」が人名であることくらいは分かる。どうやら「チーム」と「選手」の区別がついていないらしいが、それでも
「マミーはどのチームをサポートする?僕はイングランドをサポートする」
などと愛国心のあるところを見せたりもする。
「チーム」というのは、「アーセナル」とか「リバプール」とかの事なのではないのかな、と思い
「アーセナルは?」
と聞くと、
「アーセナル?rubbishだね。」
とこれまた生意気なコメント。
しかしその後、その頃にヨーロッパでの親善試合だか何だかが行われていたことを知り、この場合の「チーム」は息子の言う「国名」が正しかったことを知る。これは息子に一本とられた。
……どうでもいいが、低レベルのフットボール知識合戦だな。
せっかくなので
「ジャパンは?いいチーム?」
とご意見を伺って見る。
「ジャパン?Rubbish! Legs are too short!!」
と間髪入れず返答される。ガーン。
足が短いと言われても激しく否定できないところが悲しいが、
「に、日本だって最近は頑張っているんだよ、日本だって強くなってきてるんだよ…」
としどろもどろに反論するも、「足が短い」は明らかに友達2人の受け売りだろう。
その友達の意見も、彼らのお父さんの受け売りだろうから、
「一般的な英国人フットボールファンの日本人選手に関する見解」 = 「足が短くて、まるでダメ~」
と言う事が、図らずも分かってしまった。
ワールドカップの頃は、近所のイギリス人に
「日本、なかなかやるね」
とか言って貰ったが、やっぱり社交辞令だったのだな…。Too shortだもんね…。
とりあえず息子の話についていけるように、今まで全然興味のなかったフットボールの試合結果なども、ニュースで流れると注意して見るようになった。
来年の今頃には、フットボールライターとして記事を書いているかもしれない……筈ありません。
February 11, 2008
子供と宗教 後日談

先週、
「息子の通っている学校は英国国教会の学校なので、祝うのはキリスト教の祭ばかりで、チャイニーズ・ニューイヤーや他の宗教の祭事には触れてもくれない。寂しい~」
と書いた舌の根も乾かぬうちですが、前言、撤回させていただきます。
なんと、チャイニーズ・ニューイヤーの日に先生は
「今日はチャイニーズ・ニューイヤーです。」
と言い、息子の名前を呼んで皆の前に立つように言ったそうだ。
「家で、新年を祝った?」
と彼に聞いたという。そういえば、クラスの中でチャイニーズの血が入っているのは息子だけだ。
「…はい、新調した赤い服を着て、皆でご馳走を食べました。長いヌードルを食べるのは長寿を願う意味からです。お母さんは、花や新年の飾りつけをして、家の中は赤や金のお飾りでいっぱいです…」
みたいな答えを先生は期待したのかもしれないが、生憎「お母さん」はクリスマス、1月のお正月に酒池肉林の宴を経た後で、間髪いれず旧正月を祝うほど、そこまで私の頭もめでたく出来てはいない。
今年のチャイニーズ・ニューイヤーは平日だったこともあって、(大体日にちも間違えていた…来週だと思っていた)正月らしいことといえば、学校へ行く前に夫が慌しくレッド・パケット(日本のお年玉に相当するもの)を渡した位だった。
そういう訳で、「祝った?」と聞かれて返答に窮した息子は、何を思ったか
「中国では、天気が悪くて人々が家に帰れなくて大変です」
と質問から大幅にずれた回答をしたらしい。(確かにその少し前、中国では悪天候で交通機関が麻痺し、人々が立ち往生している様子がニュースに映し出されていた)
まあそれはそれで、先生は感心してくれたらしい。結果よければ全て良しである。よかったよかった。
偶然だがその日、目から鱗が落ちるような事がもうひとつあった。
学校から帰ると息子は
「ベイビーは皆、生まれてから教会でおでこに水をつけるの?」
と聞いてきた。
学校で洗礼の話でも聞いてきたかな、説明するの難しいな…と思いつつ、
「うーん、教会のゴッドを信じている人のベイビーはおでこに水をつけるけど、他のゴッドを信じている人もいるんだよ。そういう人のベイビーは教会でおでこに水をつけないね…」
と私が言い終わらないうちに、
「うん!エイミーやクシュは、他のゴッドを信じてるよね!」
と元気に言い放った。
はっとした。確かに、いつも遊びに行くエイミーの両親はベトナム人で家には仏陀が飾られているし、幼稚園で一緒のクラスだったクシュはインド人で、ヒンズー教のお守りをいつも身につけている。
息子はダメ押しで、
「マーマ(夫の母のこと)も、他の神様を信じてるよね」
そうだった…。うちにも義母の部屋に仏陀の置物があった…。これぞ灯台もと暗し。
自分の家の中に「他の宗教」のサンプルがあったのに、
「キリスト教の学校に行ったら、その宗教を絶対だと思ってしまわないだろうか」
と心配していた私こそ視野が狭かった。いやーすいません。
しかし子供ってすごいな。
誰に教わるわけでもなく、世の中にいろんな宗教があることを疑問も持たずに肌で理解していたのだな。
というわけで、私なんぞが心配するまでもなく、英国国教会の学校も、子供も、皆柔軟です。
(柔軟すぎて、英国国教会のエライ人は大変な事になってますが)
February 04, 2008
子供と宗教

来週からチャイニーズ・ニューイヤーなんだそうである。
イースターと同じでチャイニーズ・ニューイヤーも毎年日にちが変わる。
その日暮らしで先々の予定を立てるのが苦手な私は、毎年夫に
「来週からチャイニーズ・ニューイヤーだよ」
とリマインドしてもらい初めて、
「ああ、今年も、もうそんな時期か」
と気づく。
それを聞いていた息子も話に加わった。
「去年は幼稚園で、Tのお母さんがライオン・ダンスをしたね。」
ああ、そうだったな。
息子が去年まで通っていた幼稚園では、チャイニーズ・ニューイヤーを学校ぐるみで祝っていたので、中国出身の父兄の一人が、中国の獅子舞を子供たちに披露した、と聞いていた。
この幼稚園は公立小学校の付属だったが、高級住宅地の隣にカウンシルフラット(公営住宅)がある、という地域柄、父兄もイギリス人のミドルクラス&ワーキングクラス、バングラディシュやソマリア、東欧からの移民、インド人のビジネスマンetc、と雑多で、「これぞロンドンの縮図」といったような学校だった。
私はいろんな人種や文化が混沌とひしめきあっているのがロンドンの魅力の一つだと思っているし、様々な肌の色の子供たちが一緒に遊んでいるのを見るたびに、なんだか「オリンピックの入場行進」を思い出し微笑ましい気持ちになった。
まだ偏見のない子供のうちから、いろんな国から来たいろんな人種の子供と一緒に学べる息子は、なんてラッキーなんだろうと、思ったりもした。
その頃、まだ日本語で10まで数えられなかったのに、ベンガル語で数の数え方を覚えてきたときは思わず笑ってしまった。
さまざまな文化背景をもつ子供達を抱える、この学校の努力も素晴らしかった。
クリスマスはもちろん、ヒンズーのディワリ、イスラムのイード、そしてチャイニーズ・ニューイヤーも同等に敬意を表し、子供達と祝っていた。
そういえば去年の今頃、息子のクラスの先生に
「壁に中国語を貼りたいから、書いてもらえない?」
と頼まれて、いくつかの漢字を書いてあげた。
借り物のようにこの国に暮らしている外国人の私だが、この時ばかりは自分の文化が脚光をあびて(正確に言えば中国の文化だけど、まあ近いってことで)誇らしい気持ちになった。
きっと、インド人も、バングラディシュ人も自分の文化が学校で祝われる時、同じ気持ちになったのではなかろうか。
この学校を息子も私も大好きだったのだが、残念ながらレセプションの席は得ることができなかったので、第二希望の英国国教会の学校に昨年から通うことになった。
私は無宗教だが、夫は8年近く、近くの教会に通っている。
教会系の学校に息子が通うことになって夫は喜んでいたが、私はどうも複雑な思いがした。
現代のようにいろいろな価値観が混ざり合っている中で、ひとつの宗教だけを子供に教え込むのはどうなんだろう。
大人になってからどの宗教を持っても持たなくても勝手だが、無垢な子供に大人の選んだ宗教を「洗脳」するのは、どうも腑に落ちない気がした。
ためしに息子に
「学校の先生、チャイニーズ・ニューイヤーの話する?」
と聞くと、
「ううん。今は、イースターの話してる。」
との事。そりゃそうだよな。でもなんか寂しいな。
教会の学校に願書を出したのは親である私達だし、納得した上で通わせることにしたのだから、こんな御託を並べるのが筋違いであるのは百も承知の上だが、なんとなく、一神教を教え込むよりも、
「世界には色んな文化や宗教があります、皆でそれを理解し祝いましょう」
と子供に教えるほうが、今の世の中に合っている様な気がする。
まあ教会系の学校が「ゴッド」や「ジーザス」の話をするのは当然だし、いい学校ではあるんですけどね。
January 29, 2008
チキン・ラン

日本では、みのもんたが
「奥さん、ブルーベリーが目にいいんだってよ。旦那や子供に食べさせなさい」
と発言すると、次の日スーパーの棚からブルーベリーが消えるらしい。
このような現象は日本だけかと思っていたら、ここイギリスでも、
「すわ、みのもんた現象!?」
と思うような事が起こった。
年が明けてすぐに、チャンネル4は一週間にわたり「イギリスのチキン産業」に関する特別番組を放送した。
仕掛け人はセレブリティ・シェフ(この言い方もなんだかねえ)のHugh Fearnley-Whittingstall。
英国南西部ドーセットで自給自足に近い生活をし、その暮らしぶりはRiver Cottageという番組で紹介されている。
(夫も私もこの番組の大ファン。ちなみに昨年の夫へのクリスマスプレゼントは、ヒューの“Fish”という本だった。)
私もかねがね、スーパーにずらりと所狭しと並ぶチキンを見て、不思議に思っていた一人である。
(イギリスのスーパーは魚売り場が小さい代わりに、肉売り場の面積がとても広い。特にチキンは英国民の好物で、消費量も日本の比ではないと思われる)
いくら国民食だとは言っても、毎日、イギリス国内全てのスーパーマーケットにこれだけの数のチキンを供給できるって、すごいことだ。
しかも安いものは2羽で5ポンドとか、これまた信じられないお値段。
いったいどうすれば可能なのか。
疑問に思いつつも、からくりは分かるような気がした。
狭い場所にできるだけ押し込められ、最も安い化学飼料を与えられ、効率性を最優先した「チキン・ファクトリー」で大量生産された鶏たちが毎日毎日、市場に出回るのだろう。
という訳で、4夜連続でヒューがイギリスのチキン産業の実態に迫る番組を、興味深く観た。
大方は、予想したとおりのものだったが、「動物」ではなく、「商品」として扱われているチキン生産の実態は想像を超え、思わず目を覆いたくなるような場面も。
通常、チキン・ファクトリーはスーパーマーケットとの契約農家が経営しており、ヒューの「チキン・ラン」キャンペーンは結果的にスーパーマーケットの方針に批判的な要素を帯びることとなる。
番組の3日目に、ジェイミー・オリバーが登場した。
自己の名声を上手に利用し、プロセスフードばかりだった学校給食を変えたり、イギリス人の食に関する意識改革に成功している「社会派シェフ」ジェイミー。
オーガニック好きでもあるし、ヒューの運動に賛同するのは当然だとしても、問題がある。
ジェイミーは大手スーパーマーケット「センズベリーズ」の広告塔であること。
センズベリーズから彼には、毎年数百万ポンド(数億円)の契約金が支払われているに違いない。
美味しいクライアントを捨ててまで、ヒューの運動に賛同するのだろうか。下世話な私は興味津々。
大量生産用のチキン小屋を見学したジェイミーは、
「これはひどいな・・・ 君に協力するよ」
と約束し、現場を去った。
で、金曜のジェイミーの番組に続くわけだが。
月曜から木曜まで、ヒューの「チキン・ラン」が放送された後、金曜はジェイミーの司会で、スタジオに視聴者や業界関係者を招き、「イギリスのチキン産業改革」に関する大プレゼンテーションが行われた。
これが凄かった。
2時間(くらいだったかな)、時折ビデオを織り交ぜたり、現物のチキンやひよこを見せたりしながら、ジェイミーがしゃべるしゃべる。“Naked Chef”の時と同じ弾丸トーク。
しゃべくっていたと思っていたら、気がつくと鬼のような包丁さばきで料理までしている。おい君、さっき生きている鶏を触っていたが、いつ手を洗ったんだ。
あまりに密度の濃さに、テレビを見ているだけでも疲れたが、あれだけの仕切りを見せたジェイミー、見事という他ない。
ちなみに、スーパーのチキンにもヒエラルキーがあり、一羽2.5ポンドのものからフリーレンジ、オーガニックと値段が当然のごとく高くなる。
最高値のチキンは安いものの3~4倍、下手すれば5倍くらいの値の開きがある。
ヒューの番組が放映されている間、新聞では
「安いチキンを市場から追い出して、フリーレンジやオーガニックチキンだけになったら、それを買う金銭的余裕のない家庭はどうなる。チキンを食べるなということか。またチキン農家を廃業に追いやるのか。」
と批判的な意見も書かれていた。
確かにそれもそうだな…と思っていたが、私が感心したジェイミーの折衷案は、
「ぎゅうぎゅうに詰め込まれた飼育小屋ではなく、ある程度運動ができる位のスペースがある小屋」で育てたチキンを市場の主流にする、という事だった。
確かに動く隙間もない鳥小屋よりも、遊ぶスペースのある小屋で育っているチキンはずっと幸せそうだった。
このように育てたチキンは、もちろん現在の最安値のチキンよりは高くなるが、それでも一羽1ポンド程度の上乗せで販売できるという。(実際、すでに多くのスーパーマーケットがこの方法で育てたチキンも販売しており、チキン・ヒエラルキーの下から2番目位の位置だろうか)
会場にいた多くの人が、
「1ポンド高くても、ハッピーなチキンを選ぶ」
と答えていた。
そしてクライマックス。ジェイミーは、スーパーマーケットの代表も会場に招待していた。
あえてスーパーマーケットの罪には触れず、各代表に、より健康的な鶏や卵を販売しようとする取り組みを語らせるあたり、出来試合という感じもしたが、まあこれだけキャンペーンをすれば十分ということだろう。
結果的に、スーパーマーケットも自社のポジティブな姿勢を宣伝し、「イギリスの食生活を改善する一員」として世間にアピールすることができた。
ああジェイミー、誰も敵に回さず、なんという如才なさ。
10代でレストラン修行を始め、ワーキングクラスの英語を話すジェイミー。片やイートン校、オックスフォード大卒で、「インテリ」のイメージが強いヒューとは対象的なイメージもあるが、ジェイミーの企画力、実行力、プレゼン能力があれば大学に行ったとしても、ビジネスを始めていたとしても、それぞれの世界で大成功していただろうな、と思わせる、今回も凄い手腕だった。
結果的にジェイミーに全部美味しいところをもっていかれた感じのヒューだったが、それでもヒューの朴訥とした雰囲気、私は大好きなんですけどね。
この番組の後、スーパーに行くとなんとオーガニックの卵が品切れになっていた。
まさか番組の影響で?と思ったが、他のスーパーもチェックしてウラをとる根性はなかったし、その後は安定供給が続いているので、ただの偶然かもしれません、て中途半端なオチですいません。
January 21, 2008
羊とロバ 3

という訳で、思いっきり間延びしましたが、昨年の話の続きです。
インターネットで羊のコスチュームを探すと、思いの他いろいろと見つかった。
その中で、納得できるデザインと値段のものがあったので、それを注文。
カードで支払いをし、無事完了。しばらくして注文の確認メールを受け取った。
「この度はご注文ありがとうございます」
はいはい、定型通りの確認メールだな。
「カード決済の支払先は、‘Wild★Night’と記載されます。」
…はい?
羊コスチュームを探すのに夢中で会社名までよく見ていなかった。
子供用品を売る店かと思っていたが、どうやら「大人のコスチューム」が専門の店だったらしい…。
ふと心配になった。
私の夫は会社員でないので、税金の申告は毎年、会計士にまかせている。という事は、申告時には会計士に一年間の銀行明細を全て預ける。
夫の銀行明細に記載された‘Wild★Night’という支払先を見て見ぬふりをしつつ、プロフェッショナルとして仕事に徹する会計士と、その横で
「ち、違うんだ、これは子供の劇で… 息子が羊になって…」
と聞かれてもいないのに、あたふたと墓穴を掘る夫の姿がまざまざと浮かんだ。
しかしもう後戻りはできない。
会計士に夫婦の趣味を誤解される位で、可愛い息子の羊役を応援できるのなら安いものだ、ええどうぞ誤解してください、と一人PCの前で開き直る私であった。
まあ、そんなこんなでいろいろあったが数日後、無事に羊コスチュームが自宅に届いた。
送り主が、なぜか‘Fancy★dress’となっている。
そんな、いらん気遣いをするのなら、銀行引き落とし用の社名も変えんかい、と小包につっこみを入れつつも、学校にコスチュームを持参するように指定された日にはあと4日ある。
やれやれと、ほっと胸をなでおろした。
なでおろしたのも、つかの間。
次の日、息子が学校から帰るなり
「僕、羊じゃなくてロバになったんだ」
と明るく宣言するではないか。
「え?ひ、羊じゃなくなったの?どうして」
「ロバ役の子がロバじゃ嫌だって泣いたんだ。それで先生が、『誰か代わりにロバになりたい人いる?』って聞いたから、僕が手を挙げたんだ。ロバの方が面白いよ」
息子は上機嫌で、“Carry Mary all the way~”と歌を歌いながらロバ役の踊りをし始めた。
どうやら、妊婦マリアをベツレヘムまで運ぶロバ役らしく、短時間だが脚光をあびる場面があるらしい。
確かに草を食べているだけの(決め付けているが)羊よりも面白そうだ。
息子もやる気満々になっているし、まあロバならロバでもいいのだが、問題はコスチュームだ。
学校に持参するように指定された日まで、あと3日しかない。
もう一度ダメ押しでWild★Nightに注文しようかとも思ったが、まあとりあえず先生に確認するのが先決と、次の日を待つことにした。
翌朝、先生に聞くと、先生は
「ああ、コスチュームのことがあるものね。○○、(元祖ロバ役の子の名前、以下、元ロバ)本当にやりたくないの?」
と元ロバに聞いた。元ロバは少し考えた後で
「僕、ロバやる~…」
と、また泣き出した。
息子は先生と元ロバのやり取りをじっと聞いていた。
まずいな…ロバ役をゲットし、あんなに喜んでいた息子がゴネるかと思ったが、意外にも
「OK…」
とポケットに手をつっこみながらあっさりと引き下がった。
家にいる時とは違う、そのあまりの諦めの良さに驚いた。ぬか喜びをして可愛そうだったな、という気持ちと、でも外では割と大人の対応をしているんだな、と少し誇らしい気持ちが微妙に入り混じり、学校を去った。
さて劇の当日。
ステージの上で、息子はきちんと羊になっていた。
これが親ばかというものだろうか。
単なる「その他大勢」の息子にスポットライトが当たっているかの様に、彼しか目に入らない。
劇には全学年の子供達が参加していて、確か45分くらいの長さ